2022年ホープフルステークス【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ドゥラエレーデ(90.6倍)2着トップナイフ(18.7倍)3着キングズレイン(18.2倍)

レース名第39回ホープフルステークス(G1)
日程2022年12月28日(水)
優勝馬ドゥラエレーデ
優勝騎手B.ムルザバエフ
勝ちタイム2:01.5
馬場
3連単配当2,466,010円

2022年ホープフルステークス - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
111ドゥラエレーデ2:01.5 -
28トップナイフ2:01.5 ハナ
3
15キングズレイン2:01.7 1 1/4
4
1ファントムシーフ2:01.7 クビ
518ミッキーカプチーノ2:01.8 1/2
単勝119,060円
複勝111,410円
複勝8390円
複勝15480円
枠連4-629,300円
ワイド8-1113,070円
ワイド11-1510,940円
ワイド8-153,350円
馬連8-1164,580円
馬単11-8175,230円
3連複8-11-15232,970円
3連単11-8-152,466,010円

2022年ホープフルステークス - レース後コメント(騎手/厩舎)

「ドイツでG1を勝った時もうれしかったですが、日本で初めてG1を勝つことができてうれしいです。逃げ馬を見るレースプランでした。勝った瞬間は分かりませんでした。調教に乗った時からいい馬だと思っていました」

※優勝したムルザバエフ機種のコメント(ドゥラエレーデ)

2022年ホープフルステークス - レース結果動画(YouTube)

2022年ホープフルステークス - 回顧

父はクラシック二冠馬にして、タイトルホルダーとスターズオンアース、スケール感ではその上を行くのではとされる大器・リバティアイランドも今年ターフに送り込んで、大レース勝ちまくりのドゥラメンテ。

母はアルゼンチンの名牝・マルペンサの娘であり、そこから今後大きく展開するだろうという名牝の血を繋ぐ役目を担うこととなったマルケッサ。

兄は言わずと知れた有馬でキタサンブラックを倒したサトノダイヤモンド。

こちらも今年は初産駒を送り出したばかりで、ドゥラエレーデは縁起のいい年に突然登場した超新星となった。

父母のアドマイヤグルーヴと母父父ステイゴールドの各父の代に掛かるサンデーサイレンスのクロスは、一般化されたその3×4ではあるが、母マルケッサがヘイローの4×5・4を持つ関係で、繋がりはより強いといった印象。

中山向きであるかは不明でも、このクロスは距離延長のクラシックディスタンス、古馬の主要競走等で有効なものであるだけでなく、底力強化の気配はサンデークロスにこそあれど、そのヘイローに関わるインブリードというのが、サンデーサイレンスに絡むことで生じるというだけで、効果絶大といったところなのだろう。

エピファネイアなどに絡んで発生するサンデーの4×3は、その直系がロベルト=ヘイルトゥリーズン直仔であることで生み出される、ヘイルトゥリーズンの強い同系配合か、それに準ずる効果をもつサンデークロスによる強調により、ロベルトの持つ忘れられかけた早熟傾向が、妙にクローズアップされがちだが、ヘイローが昔そうだと言われていたはずで…。

サトノダイヤモンドは早熟のような面も否めないパフォーマンスのダウンが見られ、このドゥラエレーデにもその危険性は秘められているのだろうが、母父オルフェーヴルや父母アドマイヤグルーヴは5歳時の引退戦を圧勝した共通項がある。

今のところ、安定感はなくとも、オーラスではそうでありたいと願うのみだ。

61.5→60.0

という展開。

なので、各陣営が言い訳などできなかったはずだ。

しかし、結果は何とも恐ろしいほどに、アジア系出身の騎手同士による、至極単純な腕比べといった雰囲気。

レースレベルが上がったからこそ、人気勢に粗相が出たともできるが、最後の最後に意地のルメールが突っ込んできたくらいで、無敗馬がいずれも完敗、重賞人気馬も総崩れということは、まだまだ未完成の馬が多すぎたという組み合わせなのだろう。

ドイツの騎手ではあるが、欧州圏の歴史、地政学的なものや文化的な発展性も絡んだ移民の多さから、そもそも、外国人というような扱いはされない世界の芝競馬を牽引する欧州圏でも珍しい、中央アジアのカザフスタン出身というムルザバエフ騎手は、何となく、香港のホー騎手のような雰囲気で、しかし、ヨーロッパ仕込みのタフな競馬をどう乗り切るかという課題に常に向き合ってきたことで培われた技術により、やたらと強かったテュネスでのジャパンC参戦と同時に、この日本での騎乗を開始する運びとなったわけだが…。

天才現る…、という結果に終わった。

天才性において、他の国のトップジョッキーと見劣りしない横山典弘騎手が、完全に狙ったような先行策<秘めている策であっても、本音では最も勝ちに近い作戦と考え、下げることで結果続けて出ていたここ数戦のレースぶりながら、ほぼ先手必勝の狙いは実行するつもりでいたはず>で、件の絶妙なスロー<捲るのは厳しい展開の意>によって、ほぼトップナイフのG1制覇は見えていた。

ところが、その後ろに武豊ならぬ、ムルザバエフがいたということだ。

天才を引き合いに出すなら、そのハナ勝ちの覇者・ドゥラエレーデの父ドゥラメンテも、その点でこの1、2着馬の鞍上らと比肩するものがあった。

どこから上がってきたかはわからないけれども、何だかスゴい脚を直線で使って見せた皐月賞に、正攻法のダービーは当時のレースレコードでの勝利。

レースの水準の通りの結果、タイムにしても、ちょうどサートゥルナーリアとコントレイルの間の走破時計だから、馬がどうこうというよりは、騎手の方が正確にレースを組み立てて、その通りに運び、馬は一生懸命に頑張った。

オッズが90倍と20倍弱の馬が競ったというレースは、ちょっと前の皐月賞で、全く同じコース、逃げ馬と2番手の馬という組み合わせで、結果は逃げたヴィクトリーを押し切り勝ち。

わずかな差で敗れたサンツェッペリンにG1勝利の縁は訪れなかったが、気づけば、その鞍上の松岡騎手は、1か月もしないうちに、ヴィクトリアマイルでコイウタと共に衝撃の初G1制覇を果たすのであった。

ムルザバエフ騎手の日本競馬への親和性は、もはや、全盛期のデットーリやモレイラ級なのだろうことは明らかだが、理解度の点で横山典弘騎手に及ぶはずもない。

ところが、馬乗りの才能を競い合うような直線の勝負になった時、ふと、そうしたテクニックと馬との一体感で、絶妙な差を生むことがある。

新馬戦も芝の未勝利戦も、勝った馬がクラシック候補とされたレースで敗れていたドゥラエレーデは、ダートで初勝利を挙げ、東京スポーツ杯では天下のムーア様によるご指導で、やんわり覚醒…。

とは誰も思わなかったが、ある意味、ムーア騎手よりもムルザバエフ騎手の方が合っていたのだろう。

多分に経験値が結果に及ぼしたこのレースは、逃げたり差したり、色々な組み立てで乗り替わりなども経験した馬同士の決着。

残念ながら、レース水準はともかく、現状で皐月賞の展望をするのに適した出世レースといった雰囲気とは、一線を画している。

その前の2頭を追いかけた大外枠のミッキーカプチーノは、心なしか、エピファネイア的な狂気が宿っているかのように、危ない気配がパドックで漂っていた。

結果的には上位勢が作ったレースに適応できなかっただけだが、露骨に前が残りやすいというほど、上がりが速いわけでもなく、当然、馬場状態も開幕週ほどは快速決着になりづらいものであったとて、ガス欠にも映った最後の直線は、かつてのレイデオロが差して勝ち切った同レースの3連勝目を決めたそれよりも、ずっと常識的な追撃の態勢だったが、そういうことが得意ではない可能性も感じた。

疲れもあったのだろうが、得意な条件でもなかった。

それよりは、スムーズに運んで好位抜け出しのプラン通りに近い競馬をできたファントムシーフ<福永騎手>の方が、枠の差があまりにも大きかった最内枠発走ながらも、差し引いて、器用さであるとか、現代っ子的なプレップを避けても本番狙い撃ちのスタイルが合っていそうな感じで、もう、福永騎手が騎乗することはないのだろうが一応の候補は彼が一番手。

両者とも、やけに同じ血統が強く組み合わされた怪しげな配合だけに、結果を早くから求めたい面はあったのだろうが、コントレイルに完敗だったオーソリティは、2年後のジャパンCで勝ったっぽい感じを出したような2着で、同期のスターの花道を飾っている。

両者とも、わざわざ本流に最初から乗っていく出世の形は、狙いながらも、願わくばという感じで行った方がいいように思う。

セブンマジシャンもハーツコンチェルトも大きく敗れたというほど置かれたわけではないが、この辺りがハーツクライやジャスタウェイの限界でもあるのだろう。

位置取り争いから見劣り、ヴェラアズールのような負け方にも見えたガストリックがその典型。

いずれもが、じっくり成長を促した方がいいタイプの配合には思うが、クラシックで活躍できなかったと言ってその後は希望に溢れる…、などといっているうちに、イクイノックスや甦るだろうタイトルホルダー、エフフォーリアらにどんどん大レースを奪われる。

数少ないチャンスで結果は出せない馬に陥る前に、まずは前に行けるように作り直す必要がある。

上位勢に加え、追い込んだというか突っ込んでくることに成功したというキングズレインのようなうまいことやるという結果論的なものは、ハーツクライのような実力派の血筋ではなかなか難しい面がある。

動けるようになった時、その瞬間は近づくが、それがいつになるかが問題だ。

そうした若々しすぎる候補が、今年は多すぎたのかもしれないが、多頭数戦という不確実性は、戦前に予測できる範囲で、十分に読めるものがあったと、今回ばかりは皆反省であろう。