ホープフルステークス2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着クロワデュノール(1.8倍)、2着ジョバンニ(19.1倍)、3着ファウストラーゼン(303.3倍)

レース名第41回ホープフルステークス
日程2024年12月28日
優勝馬クロワデュノール
優勝騎手北村友一
勝ちタイム2:00.5
馬場良馬場
3連単配当293,380円

ホープフルステークス2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
16クロワデュノール2:00.5-
21ジョバンニ2:00.82
311ファウストラーゼン2:01.01.1/4
416ジュタ2:01.21
54クラウディアイ2:01.41.1/2
単勝6180円
複勝6120円
複勝1280円
複勝113,810円
枠連1-31,160円
ワイド1-6450円
ワイド1-1147,860円
ワイド6-1115,600円
馬連1-61,100円
馬単6-11,310円
3連複1-6-11140,500円
3連単6-1-11293,380円

ホープフルステークス2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「馬が本当に強かったですし、馬を信じていました。枠の並びを見た時にスタートだけは絶対に決めたいなと思っていたので、出てくれて良かったです。来年はまた大きいところで活躍したいと思いますので、ともにまた歩んでください。これからも一生懸命努力していきたいと思います。応援よろしくお願いします。」

※優勝した北村友一騎手のコメント(クロワデュノール)

ホープフルステークス2024 - レース結果動画(YouTube)

ホープフルステークス2024 - 回顧

60秒台で誰かが先行できていれば、もしかすると、大レコードが出ていてもおかしくなかったのかもしれないが…。

レースレコードウイナーは、今年のグランプリホースとなったレガレイラ嬢。

それより0.3秒遅れただけ。

昨年は、先行勢が押し合いへし合いの厳しいラップを、ルメール騎手が下手にストレスを感じさせないようなに、リスクは最小限に留めつつ、抜群の決め手をこの上ない形で引き出していたが、流れに乗ることが得意なタイプでも、そのあとどうしたらいいのか、いつも迷っている感じもあった今年の北村友一&クロワデュノールコンビは、序盤から、フルゲートと相手の圧をひしひしと感じる対17騎という構図をしっかりと踏まえ、位置を最初から取りに行った。

しかし、結果的には、流れなりの競馬で決着タイムの差も小差。

少なくとも、レガレイラ級であると同時に、その前のレコードを持っていたキラーアビリティの活躍の程度には止まらず、またその前に無敗王者が続出していた時代のウイナーと、十分に双璧あると感じる直線は、終い34.9秒でまとめているのだから、この上ない比較要素として、むしろ、昨年以上の時計勝ちまで踏まえて、もうクラシック当確と思わせるには十分であった。

レース展開が、まるで東京スポーツ杯でぶったまげるような独走で、ライバル馬というか、クラシックを狙うための準備を周到に行ってきた有力陣営を黙らせたあのコントレイルような振る舞いにも思った。

彼の場合は、新馬戦が2歳シーズンの序盤で運動さえろくにできない状態だったことを踏まえて、秋の阪神でデビューしたことで、少しだけ右回りに不安があったものも、無敗論法のブルドーザー型論破で正面突破できたものの、今回はそれさえなかった。

がしかし、面白いもので、強い馬が集まった時こそ、本物はそのスケールの大きさを遺憾なく見せつける。

ムーア騎手に叱咤されたためのいやいやのレコードの後、縁あって、手が戻った福永元騎手のコントレイルは、この日のクロワデュノールがそうであったように、一頭、いや、前にいる連中をジワリと追い詰めると同時に、後続の猛烈な追い上げを沈めるには十分な仕掛けで、しかし、自分が一番楽になる形だった。

最後の最後は、コントレイル同様、手綱を抑える余裕がある。

本物であることを、極めて重要なクラシック前哨戦たるホープフルSで示した馬が、3戦3勝であった場合、ここまで、中山移設後のわずか10年

の期間で、レイデオロ、サートゥルナーリア、コントレイルらが、翌年の種牡馬選定で最も重要な役目を果たす、春のクラシックレースを制している。

サートゥルナーリアは母方の血統の影響もあり、好発進の種牡馬初年度を終えたが、いよいよ、親仔二代無敗三冠のコントレイルの産駒が、2023年生まれであるから、競走年齢に来年達する。

長い目で見ても、よくわからない配合で走る馬が出てくることのあるキタサンブラックの産駒<父の母方に入るテスコボーイは日高で重宝がられた大種牡馬であって、その影響力が確実に顕彰馬となるイクイノックスにダイレクトに繋がれた印象もある>であるというのは武器にもなるが、少なくとも、その代表馬というか、日本競馬の誇りであるイクイノックスとの現時点での比較では、脚質的なことと、本質的なスピード能力の関係で、コントロールが最低限で済むクロワデュノールの方が断然上だろうが、明らかに晩成の血で固められ、また、強烈な直線での推進力を一戦ごとに倍増しさせていったようなイクイノックス的展望は望む必要もないはず。

そうなる必然性がないからこそ、最初から父の様に、前に行けているのだろうと、コントレイルの4コーナーでの仕掛けを再現しているようにしか見えなかったクロワデュノールの未来像も何となく見えてきた。

重厚な欧州系の血を搭載した血をいくらか避けてきた社台系の生産イメージは、思わせているよりも、ずっとサクラバクシンオーというか、そのプリンスリーギフト系が秘める不変のスピード能力をコンスタントではないにしても、いくらかスピード型に偏って出す傾向に早く気づき、敢えて、より重厚な血を重ねるという、スタミナ型の父×軽い血統の繁殖牝馬という今のスタンダートの裏をかいて、こうして、早めにこの手の化け物を送り込んだ。

試しにやっている部分もあるだろうが、これがイクイノックスに替わった時、何が起きるのかも少し気になるほど、クロワデュノールのポテンシャルが異次元であり、近年の東京スポーツ杯を象徴する二大巨頭であるコントレイルやイクイノックスとの比較や、違うところの良さにも気づけるほどに、全てが他の17頭と、今の時点では違ったのである。

本音を言えば、これまでのように前に行って…。

掛からなかった今回は、実は、今回の方がこの前の東京よりも時計にして半分ほど、遅い流れだったのだ。

不安もあっただろうが、語りつくす前に感情を抑えきれなかった北村友一騎手<大怪我が一度や二度ではない騎手にとっては、この上ない感動を味わった一戦であった>とすれば、直線でフラフラする可能性もあって、前と置かれる形では内にモタれるこれまでの走りで不安もあったのかもしれないけれど、全て、馬が勝手に解決していった印象も残した。

誰よりも余裕を残し、クラシックに向けて、万全の態勢を整えるのだから、ケチのつけようがない。

重い責任を背負う斉藤崇史厩舎、そして、サンデーレーシングと北村友一騎手との組み合わせは、グランプリ春秋制覇の大御所にまで態勢を遂げたクロノジェネシスのコアメンバーである。

不安はあっても、余計なことをしない。

気持ち吹かしていく形にも見えた勝負所の仕掛けは、大事に乗ったという印象さえあって、その丁寧な動く出しが、クロワデュノールのリズムにはぴったり。

筆者の読み通り、直線スパートの形をとれば、やはり、鋭さまではないにしても、簡単に沈むような末脚ではない、決定力があることを大舞台で示したのだから、相手は少し対抗策に気を揉むだろう。

戦いづらい。

何しろ、自分より前にいる馬も後ろの馬も、簡単にリズムを崩させるだけの決め手があると分かってしまったのだから。

やけに出来がよく見えた内枠のジョバンニは、これまで、クラシック候補のエリキングに連続して敗れ、ここで真打登場では…。

切なくもあったが、この馬が好位の後ろからメンバー最速の上がりで2着に挙がった。

完成はそこまで早くないだろうが、同じエピファネイア産駒のデアリングタクトで大きな舞台を踏んできたチームワークが、この後試される。

無理に使わなければ、必ず、大物に育つだろう。

マジックサンズは、どうも、中間の肝心の場面で、仕上げに不安が生じる出来事があったようだが、少なくとも8分以上、しかし、無理に作らなかったことでは、勝ったクロワデュノールと同じで、賞金はある程度手に入れたから、次に向けた準備を始めたところで、今回は、最初から不安視された外枠で、勝ち馬と対照的な掛かり方で、少し残念な内容に終始。

案外、仕上がりの早さが魅力になってきたキズナの産駒で、その強みを活かせず、ライバルになりきれなかったことの死角は生まれたが、恐らく、いきなりの朝日杯挑戦でも苦しかったはず。

若すぎるけど、そういう道中の運びはほとんどない佐々木騎手と共に、進化する過程を楽しみに見守っていきたい。

長い距離向きではない。

アマキヒとジュタの名門良血出たとこ勝負グループもいい形を作った後者が目立ったくらいで、連対できなかったのは痛い。

賞金のあった上の2頭に、果敢過ぎる絶妙な動き出しで、結果、マジックサンズを自滅に追い込んだ杉原騎手のファウストラーゼンが、100点満点の10000点くらいあげられる3着だったのと比べると、少し物足りない。

上位2頭は、ここではすべての点で上位だった。

若いマスカレードボールやピコチャンブラック、ジェットマグナムらは、クロワデュノールとの対決に重きを置いた上等な作戦を繰り出すが、これは仕方ないな…、という完敗も、自分が頑張れば、何も心配はないキャリア。

前に行った後に、抑えての立ち回りは実は難しいとされるが、組み立てとすると上々の発進だったクロワデュノールに対し、器用さや反対に馬力勝負で挑めないのでは、自分が進化するしかない。

それができてしまうクロワデュノールという馬は、想像以上に、大物だったということなのだろう。

恐らく、全力では走っていないはずだ。