マイルチャンピオンシップ2015 予想

ここではモーリスは一枚上だと思う。

安田記念で際どく迫られたヴァンセンヌは、距離延長というよりも中距離戦独特のスローペースに完全にやられてしまった印象で、前走の内容は即マイルへの短縮で買えるほど捗々しいものではなかった。

危うい矢はもう一本。

久々のマイル戦に挑むイスラボニータは、ついに時計の壁を突き破ることができなかった。

1800Mでは1:45.8という平凡な時計しか持っていない上に、東スポ杯をレコード勝ちした時と、前々走とで0.1秒しか縮めることができていない。

2000Mでも、前走3着時の1:58.6が最高。

2200Mの2:11.7は、新潟での記録だからこの京都戦にも当てはめることができなくはないが、新潟2歳Sの1:35.0という記録をどれほど更新できるかは、それより短い距離での記録が、勝った時に出された数字ではない部分でも、ちょっと怪しさを感じる。

でも、フジキセキにコジーンという配合。母母父はこのレースで衝撃的な追い込みを決めてレコード勝ちしたアグネスデジタルを生んだクラフティプロスペクター。マイルの高速勝負を歓迎とする向きもあれば、先週と週中の雨の影響で、ちょっとタフさが求められる馬場になることに期待感を持つことだってできる。

イスラボニータ、扱いにくいことこの上なしである。

ただ、全くもって速さを感じさせない血統背景のモーリスでも、そんな速さを体現するのに最高の血統馬と古馬の時点で対戦するならば、数字の持つ根拠によって十分に勝負できるのだ。

安田記念を1:32.0で押し切ったスピード能力は、中山3戦で見せたパフォーマンスと比べば地味だったけれど、想像以上に馬自身が成長を遂げ、また戦闘意欲を突然の戦法変更でも失わない、メジロボサツの一族らしい確かな底力を体現したものだろう。

怖いのは、2歳王者がせっかく復活を遂げたのに出て来ないにも拘らず、GⅠ連対馬を4頭も送り出した3歳勢の層の厚さである。

最有力は、突如差す競馬を成功させたアルビアーノ。

忘れたころの馬というならば、富士Sの直線で全く画面に映らなかったアルマワイオリとクラリティスカイ。GⅠ快走前は、各々4着以下からの巻き返しだったし、前走も勝ち馬から1秒くらいしか離されていない。

桜花賞馬のレッツゴードンキだって、ローズSの時計を見ればイスラボニータと遜色なし。

敵は多い方が盛り上がる。

だからこそ、モーリスの底力がフルに発揮される気もする。

今年、実際のところまともに走ったのは、転厩初戦の1月の中山と安田記念だけだ。

無理をしてダービー卿CTで鬼脚を繰�り出したなら、相応のメンバーの集った安田記念で先行抜け出しできるはずがない。

安田記念の時のように、同厩舎のリアルインパクトが行くのか、カレンブラックヒル、ケイアイエレガントなどが、ロゴタイプやクラリティスカイなどに突かれピッチを上げざるを得なくなるのか。

ちょっと先行タイプが少ないから、返って、思い切りよくハナをきる馬も出るかもしれない。

先週はそうだった。

少しだらしないところはあるが本質平均ペース型のサトノアラジンとフィエロをマークしつつ、やっぱり上昇度を買いたいアルビアーノを対抗とし、モーリスからこのレースでは昔からよく来る関東の実力馬をしっかり押さえて、右回りなら逆襲もありそうなレッドリヴェールくらいまでは流しておく。

自身の不安は多いにせよ、他馬のイマイチ感が1強を再確認する意味でも、それを手助けするような展開になりそうな予感がする。