マイルチャンピオンシップ2016 予想

◎イスラボニータ

○ヤングマンパワー

▲ロードクエスト

☆ミッキーアイル

注マジックタイム

今なぜ、本命イスラボニータなのか。

筆者は、初めての右回りとなった皐月賞で、敢然と本命を打って、いい思いをさせてもらった経験がある。

あの時は、後に有馬記念で2着に入るトゥザワールドが人気の中心だった。

京都で強かったこの馬が、弥生賞でも強引な内容で力を示した。普通に回ってくれば…。

でも、2歳秋から立て続けに、東京1800Mの重要戦を三度勝ってきたイスラボニータならば、極端にゴチヤつくことでもない限り、中山の2000Mで輝けるだけの力は持っているだろう、と。

それから2年半を経て、彼の主な勝ち鞍は皐月賞のままだ。

重賞は勝てていたダイワメジャーも、5歳秋に再度大きな流れがやってきて、それからGⅠを4回も1年で勝ってしまったのだが、皐月賞までの戦績はまるで違う。

一介のトライアル3着馬が、その内容が良かったから面白いのではという識者のかすかな期待があったダイワメジャーと比べ、イスラボニータは2番人気の要注目馬。立場から完成度まで、まるで違っていた。

そういう馬は、往々にして浮き沈みの激しい戦績を辿るか、ロゴタイプのように延々低空飛行を続けた末に、突如として目覚める瞬間を迎えるもの。

よく考えると、この馬の母父はアドマイヤコジーンの父コジーン。

父もそういえば、カネヒキリと同じフジキセキなのだ。

幻の…。

ダービーは不運だったが、この馬に乗り続けてきた蛯名騎手もまた、最近は派手に勝ったり、先週のような不完全燃焼に終わる大舞台というのも多い。

戦績が安定しているイスラボニータには、もしかすると、ここでこそ乗ってもらいたい勝負どころなのかもしれない。

実は、イスラボニータには右回りコースの方がいいのではと感じるシーンそのものが少ない。

過去5走の戦績は【1013】で、言わずもがな全てGⅡ以上である。

中山記念で2度完敗、最後の産経大阪杯も見せ場なし。

しかし、昨年のこのレースで、まるで見当違いのところから猛然と追い込んで、上がり最速の33.0秒を記録した事実は消しようがないともいえる。

ワンターンのレースは、右回りではこの1度きり。

おまけに、クラシック前はよく使われていた東京1800も、3歳秋以降では毎日王冠3着の昨年1回使っただけの記録しかない。

もはや、消耗する理由もないし、事実力は出し切っていないように思う。

昨年の一連のレースより、今年は全般にタレントが豊富というレース傾向が出ている中、安田記念だけは古株の台頭で波乱が起きた。

その時負けた人気のモーリス、リアルスティールは、きっちりと立て直されて、秋の天皇賞でワンツーフィニッシュ。

フィエロはどんどん振れ幅の大きい馬になって、春に続いて前哨戦は惨敗。

サトノアラジンは、軽い非根幹距離重賞では勝っているが、本番向きの雰囲気はまだちょっと足らない感じで、本命にする勇気までは湧かない。

そのサトノアラジンとは、安田記念で半馬身遅れたのが初めてというほど、総合力では常にイスラボニータに軍配が上がっていた歴史がある。

本当は、サトノアラジンの方が東京向きの性質なのかもしれない。

京都の外回りでは追い込みが利く分、実は決め手がありすぎると、スローでないと届かない可能性がある。

デュランダルはまさにそれで、それは引退の理由にも直結した。

鋭くはないが、確実に伸びる馬にはルメールの正攻法が最も合う。

奇しくも、再び蛯名騎手から乗り替わったルメール騎手にとっては、結果を求められる舞台が因縁のマイルCSとなった。

ダンスインザムードではデュランダルの末脚を引き出してしまい、本格化前のダイワメジャーもハットトリックの強靭な決め手をアシストする正攻法の抜け出しだった。

昨年もサトノアラジンで4着。これは口惜しいはずだ。

今の勢いからして、半端な中団差しはないだろう。

外に張っていくか、正攻法でインから早め抜け出しか。

前走4番人気で、間違ってもその時の7倍よりオッズが少なくなることはない。

マイルでは昔から東西格差はなかった。最近はホームがずっと強かったが、本来の流れに戻りつつある。

それは安田記念も同じ。

もうスプリント仕様になりかかっているミッキーアイルも侮れないが、彼の作る平均ラップをバルザローナのヤングマンパワーがどんどん追いかけていければ、勝機は濃厚。

キレる馬は多いけれど、総合力勝負で来られる馬は、ロードクエストと京都得意のフィエロくらいだろう。

よって、

△ウインプリメーラ、ネオリアリズム、フィエロ

とし、サトノアラジンは本格化間違いなしでも、イスラボニータが上位争いのレースで用なしとして、余裕があった時のヒモに止める。

そういう意味では、スローの決め手勝負と読めば、真逆の裏を押えない買い目が第一候補になる。

ネオリアリズムは気性が難しいので、2度目のムーアでも簡単に手なずけられるかは正直分からない。