マイルチャンピオンシップ2020【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着グランアレグリア(1.6倍)2着インディチャンプ(8.8倍)3着アドマイヤマーズ(11.1倍)

 
レース名第37回 マイルチャンピオンシップ
日程2020年11月22日(日)
優勝馬グランアレグリア
優勝騎手C.ルメール
勝ちタイム1:32.0
馬場
3連単配当4,480円
 

マイルCS 2020 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

 
着順馬番馬名タイム着差
14グランアレグリア1:32.0-
28インディチャンプ1:32.13/4
37アドマイヤマーズ1:32.2クビ
411スカーレットカラー1:32.41
517サリオス1:32.4クビ
単勝4160円
複勝4 110円
複勝8190円
複勝7200円
枠連2-4370円
ワイド4-8280円
ワイド4-7320円
ワイド7-8830円
馬連4-8620円
馬単4-8790円
3連複4-7-81,610円
3連単4-8-74,480円
 
 

マイルCS 2020 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「いいスタートを決めて、すぐにいいポジションを取れました。ずっとリラックスして走っていましたね。直線はいいタイミングで外に出せず、我慢しなければなりませんでしたが、ラスト150メートルでスペースに持ちだし、すごくいい脚を使ってくれました。大人になり、パワーを全部使えるようになりました。来年もとても楽しみです」
※C.ルメール騎手のコメント(グランアレグリア)
 
 

マイルCS 2020 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

マイルCS 2020 - 回顧

完全に進路を失ったグランアレグリアは、そこまで理想の展開ではなかったはずだが、案外、古馬の圧に呑み込まれてしまったサリオス以下、先行した3歳2頭のパンチ不足もあって、苦しい競馬の中では、何かが向くような感じで、ギリギリのタイミングでの外への脱出で、勝負を決めることとなった。
 
1強という評価はその通りだったが、どうも、どの馬も完璧なローテとはならなかった影響もあったのか、大外枠で確勝級のサリオスも不発。
 
レースを盛り上げるべき伏兵がちょっと少なかったからこそ、GⅠ馬だけの争いになってしまったために、騎手の駆け引きの方がメインになってしまった。
 
実力だけで突き抜けられるはずのレースに持ち込めるはずだったグランアレグリアもサリオスも、様々な思惑が交錯する人気馬としての苦しい立場の中でしか戦えなかった。
 
筆者は前走ほどの瞬発力を持続的に使うことはほぼ不可能と考えて、かなり軽視していたのだが、あまりにもレシステンシアが自由に先行出来てしまったがために、それに合わせるより他がないライバルや本命級たちは、案外、こういう競馬が好ましいインディチャンプを除けば、持ち味を全て出し切れた感じでもしないではなかった。
 
勝ったグランアレグリアの勝因はポジショニングだったものの、後半で破壊的な伸びを見せる彼女とすれば、強烈な上がりではない。
安田記念の時より馬場はいいわけで、きっと、筆者のレース展開の読みが正しくなかったように、乗っている騎手としても、どこか人任せの競馬をしがちなメンバーたちのちょっとした死角の中で、ならばと、絶対的な決め手を誇るグランアレグリアの勝負手が、全ての馬の脅威と出ただけなのかもしれない。
 
何となくだが、この感じだと、同じ条件をセットアップして、ダビスタのリセット的再戦を講じられたのならば、もっと違った結果が出ていた可能性も感じられた。
 
サリオスは苦しかった。
 
出が甘いわけではなく、加速するタイミングをつけるのが難しい、駆け引きのマイルGⅠのリズムに、もっとタフな展開を望む人馬には、あまりにも過酷な展開となってしまった。
 
思えば、つい最近の毎日王冠の勝ち馬は、いずれも人気を裏切り、大いに凡走して見せたが、今回のサリオスに関しては、そりゃないよという面と、いつものミルコらしいアグレッシヴさを出せなかったのもあるか。
 
グランアレグリアもサリオスも、望んでいた展開にならなかったので、かなり苦しんだわけだが、ここまで枠の不利な面が前面に出てしまうと、上がりの限界があるサリオスの身体的特徴から生ずる死角からも、未完成度合いなども少々あるのだろうし、これまでの逞しい経験を活かす場面に、ここでは恵まれなかった。
 
まあ、これは力負けとは少し違うので、小難しい解釈は必要ないだろう。
 
ただし、今度は自分で流れを変えられるサリオスになっていないといけない。
 
レシステンシアの逃げは、
 
34.9−46.9−58.5
 
ここに上がりの33.5秒を足すのだから、前後半のラップを記すと、
 
46.9−45.1
 
望ましい展開ではなかったことの要因と同時に、アドマイヤマーズという時計に死角のある馬にとって、大いに有利な展開を作ってしまうことになる。
折角のチャンスをものにできなかった…。
 
そういう見立てはあって仕方がない立場ではあったが、本質は何となく別のところにあるような気がする。
 
もう少し、繊細さがあったレシステンシアは、大幅体重増に全く映らない完璧な仕上げで、理想の状態を体現しているように伺えた。
 
ということはつまり、お釣りを作っていない状態であったということ。
 
本来、休み明けで大一番に臨む快速型は、そういう作りにした方がいいように思われるが、ダイワメジャーやその代表産駒でもあろうアドマイヤマーズなどもそうだが、ポン駆けが利かないという死角があるように思う。
 
馬の個性に合わせて作らねければならないから、もしかすると、これは休み明けの皐月賞でも快走のサリオスと、うまいこと噛み合わないローテ面の死角があったことになる。
 
本来はそういうのが普通とされてきたわけで、そうでない馬の方がずっと珍しいが、休み明けでかなり走ってしまったグランアレグリアが、何とか面目を保つくらいの走りはできていた。
 
本当はそういうことは、理想のローテの中で可能になるのだが、レシステンシアにその型が当てはまらないのだとしたら、作り上げた割には本当の出来になかった可能性がある。
 
無論、これは推測だが、大幅増ではなかったチューリップ賞とそれを絞った桜花賞とでは、道中の漲るようなものが違っていた。
 
パドックから大人しさがあったから、スイッチが入るような場面はどこにもなかったと、ここでは解釈したい。
 
体の作りは、古牡馬にもグランアレグリアにも見劣らず、とても泥臭いレース展開を好むように思わせないキャラに思えたが、この辺は、来年の期待すべきものとして取っておくとしよう。
 
実は、グランアレグリアよりもずっと、距離延長を歓迎の馬に成長したように見えた。
 
インディチャンプは一度は抜け出したが、自分と同じかそれ以上の脚を持っているグランアレグリアに追いかけられる状況になってしまったという不運もあった。
 
何から何まで、張り合う対象であり続ける鞍上の関係性は、当然、来週の同時刻頃も胃がキリキリするほどにやり合うという状態にあるが、ベテランだからか、あっけらかんとした感じの力みのなさが、本当の好走要因、そのアシストの効果のように思う。
 
うまくいかなかったとして、それが結果にどう反映されるかはともかく、中身を突き詰める方が理にかなっていると考える福永騎手とすれば、この結果は素直に受け止めるはずだ。
 
惜しむらくは、去年自分がこの週に乗っていれば、インディチャンプもコントレイルも…、となっていたはずだが、福永祐一はそんなに小さな男ではない。
 
アドマイヤマーズは前走の通りにもう一度乗った川田騎手と褒めるべきで、レシステンシアと人気が入れ替わったのも、何となく発奮材料になった気もしないではないが、この辺りも、因縁のある北村友騎手との関係性がある。
 
変な因縁などないはずだが、年が近いだけに、ファンもこういう微妙な関係性には敏感であった方が、得なようにも思える。
 
スカーレットカラーは、岩田康誠騎手の期待にいつも応えようと懸命に頑張る馬だが、サリオスよりずっと前にいて、ただ、普通に流れに乗った結果の4着だから、昨秋の豪脚を思えば、これが本質的なマイル適性なのかもしれない。
 
筆者はこういうハマり方の牝馬はあまり得意ではないが、展開不適で体調もまだまだのサウンドキアラより、この先の展望はあるのかもしれないとも考えられる。
 
よくわからない決め手があるヴィクトワールピサの牝馬について、我々が知っていることは案外限られているように思う。
 
 
特に言い訳する材料などないが、(笑)そんなに阪神のマイル戦に適性があるわけではないはずなのに、どうしていつも阪神で目立っているのかと考えてみたら、サンデーサイレンスの血が入っているからとしか説明がつかない。
 
いつも、後半の上がりが凄く激しいくらいに強烈なものを求められると、我慢した分だけ、最後は爆発する。
 
どうしたって長い距離に向かない、特に、芝ではステップ幅があまり大きくないピッチ走法に近い走り方をする馬ほど出世する、北米型スピード血統が母系の魅力だからこそ、芝向きにかなり特化したサンデーサイレンスの血は、そのスピード能力そのものを活かしながら、破壊力を増した短距離用の末脚のフォーマットも用意していることになる。
 
 
マイルはスローだと得意に見えたデュランダルは、短い距離ほど安定して追い込んだが、このマイルチャンピオンシップではパフォーマンスの差が激しかった。
 
NHKマイルCで揉まれてアウトの競馬と、その前の阪神の2歳戦でパンパンに水を詰めた詰めた風船を割られるとようにして、共にアドマイヤマーズに完敗だった時は、今のグランアレグリアの自らに対する自信が違うから、比べることはできないが、細かい面で気にならない馬に変化したからこそ、シアトルスルー系の馬力を前面に押し出したスピードの出し加減に、柔軟さが出てきたという以外説明はできない。
 
名馬は特殊な存在とされるが、グランアレグリアのそれは、異常なまでに、全ての概念から逸脱したスピードホースとして形を体現しているように思う。
 
その逆が、ビッグボーイたるサリオスなのかもしれない。