マイルチャンピオンシップ2023【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ナミュール(17.3倍)2着ソウルラッシュ(5.8倍)3着ジャスティンカフェ(27.5倍)

レース名第40回マイルチャンピオンシップ
日程2023年11月19日
優勝馬ナミュール
優勝騎手藤岡康太
勝ちタイム1:32.5
馬場
3連単配当176,490円

マイルチャンピオンシップ2023 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
116ナミュール1:32.5-
21ソウルラッシュ1:32.5クビ
35ジャスティンカフェ1:32.61/2
47エルトンバローズ1:32.73/4
56ダノンザキッド1:32.8クビ
単勝161,730円
複勝16510円
複勝1250円
複勝5590円
枠連1-83,530円
ワイド1-161,820円
ワイド5-165,140円
ワイド1-51,780円
馬連1-164,440円
馬単16-110,490円
3連複1-5-1630,930円
3連単16-1-5176,490円

マイルチャンピオンシップ2023 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「馬がよく頑張ってくれました。急遽の乗り替わりでしたがこれだけの馬ですし、レースは見ていたので、事前に(高野)先生や前走騎乗していたモレイラ騎手からも話を聞いていたので、いいイメージは出来ていました。応援して下さった皆様ありがとうございました。これからもナミュールの応援よろしくお願いします。」

※優勝した(藤岡康太騎手のコメント(ナミュール)

マイルチャンピオンシップ2023 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

マイルチャンピオンシップ2023 - 回顧

ナミュールの血統

3代母・キョウエイマーチは、1997年の2着馬。

8代母のクインナルビーから分岐したラインから誕生し、1989年に死闘を自ら演出したようなところのあるこのレースを制したのが、顕彰馬に選出されることにもなったのが、オグリキャップである。

同じ一族から、これで大物が3頭も連対したことになる。

キョウエイマーチはタイキシャトルに敗れたもの、オグリキャップはバンブーメモリーを勝利を奪った1勝。

いずれも、レース史を彩る名シーンである。

ナミュールはハービンジャーの産駒であり、何度やっても好走したペルシアンナイトと同じリズムで、来年もまた好走して不思議ない。

速い血統になるグループには属さないが、勝つときはインパクト大が持ち味の一族。

母の半妹であるマルシュロレーヌが、よもやのBCディスタフ制覇を果たしたように、底知れぬ豊かさが有り余ったかのような、他を制圧する能力を誇る。

紅一点と言いながら、ベストに近い富士S好時計勝ちからの参戦。

ハービンジャー産駒だから、これ以上時計が速くなっていたら問題ありだったかもしれないが、日本で走るダンチヒ直系は、決まって時計不足の内容で、渋くG1を制するといった、ペルシアンナイトやディアドラのイメージよりは、当時のレコードで駆けたマイル女王のノームコアに近い性質なのであろう。

左記の女王が、北米血統を芝向きにシフトさせたのに対し、元より、芝もダートも底力勝負を好む在来牝系のナミュールが、マイルG1を快勝する図というのは、そもそも、2歳時に弾けた2勝目の内容から<赤松賞でスターズオンアースを置き去り>、ほぼ、陣営の思惑通りであったように思うのは、筆者だけではない。

本物のハービンジャーは、何故か牝馬ばかりというのは、摩訶不思議ではあるのだが…。

我々の知っている、バンビちゃんのナミュールではなかった。

ビッグアーサーに乗ると、何故かちょっと引いて出てしまう藤岡康太でもなかった。

道中の運びは、昨年のセリフォスぐらいチグハグだったものの、

34.3-46.5-58.2→レース上がりは34.3秒

勝ち時計は1:32.5

という、基本距離の古馬ビッグタイトル争いが、自然な形で進行する展開に対し、ほぼ殿に近い直線入り口から、瞬く間に、馬群も先行勢もまとめて面倒を見るように差し切ったナミュールの末脚は、実に清々しい33.0秒。

2位が形作りに徹する前に、勝負そのものを敬遠するしかなかった無念のシュネルマイスターの33.4秒。

時計が近年の京都で通常開催されるマイルCSのレベルより、少しだけ速かったことからも、このそれなりに評価されるべきタイムは、ナミュール自身の底力を反映したタイム。

正攻法で勝ったはずのモレイラ・ソウルラッシュをものともせず、ほぼほぼ完勝に近い内容だった。

また、それをテン乗りにならざるを得ない、騎乗予定者・ムーア騎手の緊急交代による、3時間ばかりの準備の時間で、急かさないことも然り、直線の前の捌き方もまた然り、まるでライアンそのものだった藤岡康太も言うことなしだろう。

名手がレース史を彩り、何故か、ムーアや武豊にそれほど縁のない<結果的に、いずれもアクシデントの影響により不参戦>一戦というところで、人気のG1馬は共だって自滅。

相手に不足なしと思われたところで、モレイラ一本推しで攻めるしかないとなった時点で、人馬が100点満点の回答であるなら、怖いものなしだった。

かつての追い込み伝説に負けないほど、この日の勝ち馬と鞍上は、冴えまくっていた。

あと、もう片方にある悲劇に関しても、少々処理すべきことが必要だろう。

セリフォスは一旦何だったのか。

シュネルマイスターはスタート直前に何があったのか。

それにしても、完璧な位置取りで、休み明け不発はたまにあるとしつつ、セリフォスが荒れ馬場ごときで惨敗では、やや拍子抜けである。

先週も素晴らしい組み立てで、エリザベス女王杯の名に相応しい、G1ジョッキーとしての腕の確かな所を見せた川田騎手も、一瞬、坂の頂上付近で吹き上がりそうになった馬をなだめることには成功したのだから、主な敗因とは考えづらい。

よほど京都がダメなのか、やはり、調教番長の本質で、見せかけの絶好調気配であったのか、香港に行くかは不明も、一気に先行きが怪しくなってしまった。

せめて、落鉄くらいの理由は欲しいというほど、実に情けない直線であった。

伏兵でも、あのポジションなら、10着にまでは落ちないはずだ。

シュネルマイスターは気難しい馬というイメージはさほどなかったものの、明らかに、昨年のこのレースやその直前で全くいいところなしだったスプリンターズSなどもそう、どこか、気持ちが散漫になりつつある。

3歳の春から、日本のマイル古馬タイトルのギリギリの攻防で、常に好勝負のスターホースであるが、それは3年もあれば、どこからおかしなことにハマる一戦だってあって不思議なかったものの、スタート直前、今週はこっちがゴールドシップになってしまった<言わずもがな、先週のジェラルディーナのこと>のかと、やや呆れつつ、直線勝負型でも、キレキレというほど、スパッと反応できる血統的な強みのないこのタイトルホルダーとて、NHKマイルC以降で久々のマイル戦勝ちの記録が、この京都であったということで、少し偏り過ぎた人気になっていたことは否めない。

基本を大事にしつつ、時に柔軟にというスタンスのルメール騎手であるから、これ以上のリカバリーはあり得ないだろう。

煽って、押して出せない上に、勝負所でナミュールが隣にいた。

勝負にならない。キャラが違いすぎるから、もう無理はできなかった。

パンパン馬場向きなのであろうが、本質的には、超高速のレースも向かないし、押して上げていかないといけない一流馬という特性は、勝負どころも少し慎重にならないといけないほど、この日のシュネルマイスターはらしくなかったから、京都の下りは全く味方につけられなかった。

本来は、もっと競馬が上手にならないといけない立場、馬齢でもある。

ゴール前に、差し馬人気のところで、見せ場十分だったジャスティンカフェ、エルトンバローズらは、上がり勝負になる事が最初から決まっているようなところがある毎日王冠で、少しだけ期待を裏切った者と、期待を大きく上回る結果で沸かせたという点で、まるで結果は違ったのだが、根幹距離のG1であると、こういう力関係であるのだろう。

ジャスティンカフェはエピファネイア、エルトンバローズはディープブリランテという各父のキャラクターから、マイルで攻めるなら、こうした決め手を凝縮するような展開で出番ありだったが、その本格派の筆頭であるセリフォスは崩れ、変わって春は不利に泣いたナミュールが代行のエースらしいレース運びで、大いに目立つ結果を、裏で引き立てるまではいったが、これ以上を求めるのは少し酷だろう。

血統のマインドからも、上位2頭はパワー勝負で超高速まで行かないこうした馬場のG1で底力全開というタイプ。

どこでもいいところ止まりでは困るが、1800重賞勝ち馬には、この先は、正攻法という縛りが付きまとう。

エルトンバローズは来年、もっと荒れ馬場で本領発揮を願うのみである。