中山大障害2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着オジュウチョウサン(3.3倍)2着ブラゾンダムール(116.6倍)3着レオビヨンド(7.9倍)

中山大障害2021 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「非常にうれしいです。内枠を引けて、有力馬が外枠だったので、それを見ながら行こうと思っていました。タガノ(エスプレッソ)に思ったより主張されなかったので、ある程度の位置で運ぼうと思いました。(早めに動いたのは)ペースも速くなく、逃げ馬の後ろでかぶされるのが嫌だったので、主張していきました。感謝という言葉しか思い浮かびません。最近ふがいないレースが続いていたので、いい姿を見せたいと思って厩舎の方たちと頑張ってきました」

※優勝した石神騎手のコメント(オジュウチョウサン)

中山大障害2021 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

中山大障害2021 - 回顧

唖然茫然、しかし、歓喜の復活勝利。

人馬一体で復活を果たすのが暮れの中山の名物でもある。

そう、まるで有馬記念のオグリキャップやオルフェーヴルのそれを見ているようであった。

他の馬には何もさせない。

いや、超伏兵のブラゾンダムールが大いにファイトして盛り上げたのだが、あれもきっと、予定調和の出し物の一つ。

そこにタガノエスプレッソ以下、平凡に成り下がってしまった現役屈指のトップジャンパーらがいないことには、無尽蔵のスタミナを誇る王者・オジュウチョウサンには敵わない…。

そう思って見ていた人は、往時の彼を知っている者ほどパーセンテージとしては低かったはずだ。

何しろ、レースが近づくにつれ、タガノエスプレッソの単勝オッズの方が売れていったわけだから…。

オジュウチョウサンの血統は、

勝手知ったる「サンデー系×ロベルト系」の配合なのだが、母父シンボリクリスエスの同サンデー系の活躍馬は案外多くない。

アカイイトやアルクトスといった、特殊な条件で快勝の印象深い個性派が目立つ。

むしろ、

  • アドミラブル <父ディープインパクト>… ダービー1番人気で3着(勝ち馬も母父シンボリクリスエスのレイデオロ)
  • ランブリングアレー <父同上>… 今年のヴィクトリアマイルで2着
  • オーソリティ <父オルフェーヴル>… 今年のジャパンCで3着
  • シングウィズジョイ <父マンハッタンカフェ>… エリザベス女王杯でクイーンズリングの2着

という特性が、はっきりと見えている「ミニシンボリクリスエス化」の顕著さにより、平地競走や一般的なイメージのある正しい規格の重賞・G1で一歩足らない惜しい結果が多い。

本格化前のシンボリクリスエスのまま、完成期を迎えてしまうこともあるのだろう。

ただ、障害初勝利まで4戦という非天才型にして、初重賞勝ちが中山グランドJという特異な戦績は、いかにもステイゴールド×シンボリクリスエスのイメージの通り、大舞台でこその実力派である、その可能性を秘めた馬はそうした強気の格上挑戦の方が味が出るタイプ、なのであろう。

それからずっと強くて、未勝利戦を勝ち上がれなかった平地競走でも、自信をつけて、有馬記念参戦を画策したことで7歳時に特別競走を2勝している。

走る馬ほどヘイルトゥリーズンの同系配合の馬は芝の方がいいということが多いし、シンボリクリスエスはダート寄りずっと芝向きという同ロベルト系のグラスワンダーとは偏りのある性質が出ているので、では、初期の活躍馬であるサクセスブロッケン<ジャパンダートダービー、フェブラリーSなど>は一体何だったのかという感じにエピファネイアの産駒が道を元通りに作り直した今は、長い距離でこその分かりやすい性質を示した馬がしっかりと結果を出していると、普通に評価できる。

長い期間活躍できていることについては、素軽さのサンデー系とはまるで本質が異なることで、それは障害馬だからという理由付けになるオジュウチョウサンの特異な戦績の残し方には、自信をつけた王者の底力、という以外に形容できない能力発揮の構図があるということだけは付け加えたい。

血統を超越する馬こそ、真の名馬であり、その血筋の正しい後継者なのである。

上手に走ることはできるが、昨年の京都ジャンプSで不穏なところを見せてから、それこそ、三冠馬のコントレイルと同じように、雌伏の時を過ごしていたオジュウチョウサンは、テクニックに加えて、この日は余裕があったように感じる。

最初から完璧なレースプランでタガノエスプレッソがマークするところを、隙のないのコース取りと安定の飛越で、他の隙を完全なる力量と余力の差と一完歩ごと、障害をバンケットをひとつひとつ越えていくごとに見せつけたことで、勝負所ではライバルが誰もいなくなっていたのである。

まさにこれが、石神&オジュウがこれまで体現し続けてきた最強の勝利の法則なのである。

何故それができたかと言えば、時間をかけて立て直すことができたことと、結果的に、今年もグランドJに参戦し、夢の6連覇はできずも走り初めがこのスペシャルコースである大障害のある一戦だったことで、遠因にあるのだろう。

あれは少し気が逸ってタガノエスプレッソとやりあった時間も長かった。

今回は互いに落ち着いて、自分の型にハメ込むことを主眼に置いた一騎打ち狙いの競馬であった。

勝ったことのあるオジュウチョウサンは難なく出来たわけだが、もう一方はというと…。

ある意味で、こちらのタガノエスプレッソの惨敗の方が気になった。

9歳馬ということの影響より、予想の際記した騸馬が多いという血統背景が、こうした普通の型にハメ込むマークする相手を的確に抑え込むような、正しい戦略にフィットしない面があるのだろう。

ノビノビ走らせようにも、人馬よく知る大障害のコースなのだから、変に差しに出たり動きに行ったりするのもおかしな話。

そういう馬なのだから、仕方がない。

そんなのは、ステイゴールドの二枚看板の一角・ゴールドシップのやらかし敗戦後の、陣営のコメントのようだから、きっとそういうようなことなのだろうと思う。

この感じだと、春のグランドジャンプは大変なことになってしまいそうな雰囲気も出てきた。

そろそろ、南半球の刺客が出現するかもしれない。

こういう性質のタガノエスプレッソだけに、上がり目がないなどと10歳シーズンでずっと軽視するとなると、それはそれでリスクがあるだろうから難しい。