NHKマイルカップ2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着パンジャタワー(26.1倍)2着マジックサンズ(8.4倍)3着チェルビアット(73.7倍)
レース名 | 第30回NHKマイルカップ |
日程 | 2025年5月11日 |
優勝馬 | パンジャタワー |
優勝騎手 | 松山弘平 |
勝ちタイム | 1:31.7 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 1,505,950円 |
NHKマイルカップ2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 11 | パンジャタワー | 1:31.7 | - |
2 | 10 | マジックサンズ | 1:31.7 | アタマ |
3 | 3 | チェルビアット | 1:31.7 | ハナ |
4 | 1 | モンドデラモーレ | 1:31.8 | 1/2 |
5 | 5 | ランスオブカオス | 1:32.0 | 1.1/4 |
単勝 | 11 | 2,610円 |
複勝 | 11 | 850円 |
複勝 | 10 | 390円 |
複勝 | 3 | 1,560円 |
枠連 | 5-6 | 2,920円 |
ワイド | 10-11 | 4,690円 |
ワイド | 3-11 | 23,910円 |
ワイド | 3-10 | 8,070円 |
馬連 | 10-11 | 20,740円 |
馬単 | 11-10 | 39,730円 |
3連複 | 3-10-11 | 275,990円 |
3連単 | 11-10-3 | 1,505,950円 |
NHKマイルカップ2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「最高です。あまりポジションは考えずにこの馬のリズムで走ろうとレース前は思っていました。スタートも上手に出てくれていいリズムで競馬できたなと思います。頼むっていう気持ちで最後は必死に追っていました。デビューした時から力のある馬だなと思っていましたし、東京で重賞勝ちもして、最後に脚を使える馬ですので、今日もそれを心がけました。しっかり伸びてくれましたし、まだまだ成長できる馬だと思います」
※優勝した松山弘平騎手のコメント(パンジャタワー)
NHKマイルカップ2025 - レース結果動画(YouTube)
NHKマイルカップ2025 - 回顧
パンジャタワーの血統
父は2018年の当レース1番人気馬。 ルメール騎手が内でトラップにハマって、何もできずに惨敗してしまったが、その前に京王杯2歳Sを勝っていた。 そこで親子制覇を果たしているパンジャタワー。 前走重賞1番人気も同じ…。ものは考えようであったというところもある。
母は未出走馬であったが、その半兄は泥田のような不良馬場のダービーで、エンジン性能の特殊性を示したロジユニヴァース。 ヴィクトワールピサはその翌年の皐月賞馬であり、父は同じネオユニヴァース。 ただ、マキャヴェリアンの血を抱える両者を組み合わせたから、母はそんなクロスを3×3で持ち合わせることが、走ることに特化させる性能を体現できないという、インブリードの死角の部分だけ出してしまう形で、まるで走れなかったということを、今度は、母となった時、この底力に溢れる血統の持ち主が最高の結果で示したことにもなる。
ヘイローのクロスも併発するが、マキャヴェリアンの父であるミスタープロスペクターが父系では遠いところにあるため、この配合が選択されたようなところもある。 合う合わないの境目が、異例の京都開催だった2歳チャンピオン戦だったということで、大いに波乱の結果を生んだ決定的な要素ともなったわけだが、東京の1400で好時計勝ちの記録を持つタワーオブロンドンが、同じ左回りの1400で不発の後に一戦というのは、父がマイルの旧アーリントンC快勝後に直線でつっかえたのとは好対照で、何とも、因縁めいた、大本命とは違うところに存在するストーリーが、再びクローズアップされるような結果になったということでも、興味を惹かれる血統の魅力を伝えるという点で、価値あるレースにもなった。
序盤が速すぎたというのは、前日のエプソムCを、アドマイヤズームと同じモーリスの仔であるシュトラウスが、中盤で、 34.2-46.0-57.3 と、ハイラップを自ら刻んだことによる、いわば、予測された範囲の自滅の内容で、大レコード樹立のお膳立てをしたわけだが、朝日杯でも掛かっていたアドマイヤズームは、何かの文句でもあったのか、折り合う気配のない序盤で、伏兵陣に今度は、 33.4-44.6-56.4 と、激しいまでの超高速ラップを刻ませて、それを真っ向で追走する形を自ら演出したので、結果としては、同じような負け方となってしまった。
記録を調べたのだが、超ハイペースで人気のファビュラスラフィンが沈んだ第1回が、もちろん、直線の長さが違う時代の東京なので、直接の比較はできないものの、ひたすらいじめられて、今回のアドマイヤズームと同じ14着だった。 ただ、このフレンチガールは、同期のエアグルーヴが故障発生で何もできなかった初回の秋華賞を制した後、世界のシングスピールと真っ向勝負でジャパンCを戦い抜いている。 無論、この中で一番強かったという評価は間違いではなかったはずのアドマイヤズームは、負けるべくして負けただけであるが、これでスピードが足らないなどと言うこともない。
スローになりそうなところで、自分でリズムをとろうと、川田騎手は主導権を握ろうとしたのだが、そういう流れは、今の東京だと、回りが動くことで、必要以上に速くなる展開を生むもの。 自信が掛かってしまった時点で、勝負に挑むというか、挑戦者の本気を受け止める自由な選択をできない状況に陥ったという、若さが出た敗戦とすべきだろう。 ファビュラスラフィンに陣営はもちろんのこと、多くのファンも見習いたい。
その破壊的ハイペースの覇者となった初代王者・タイキフォーチューンが、つい最近になって、天寿を全うしたという方が届いた。 期せずして、その後最初のレースで、第二のタイキフォーチュンのようになったのが、前走のファルコンSで1番人気に応えられなかった、前述したタワーオブロンドンの産駒でもあるパンジャタワーであった。 無敗のまま、京王杯2歳Sを制する馬など、毎年のように登場するから、まるで気にも留めていなかったが、大敗のアドマイヤズームがそうであったように、こちらも賞金に余裕がある立場だったプレップで、強引な仕掛けをしなかったことで、あの秋の府中で見た強烈な末脚を再現。
ここで今回休み明けとなってしまったマイネルチケットとファルコンSを勝つことになるヤンキーバローズを一気に倒していたこの一戦。 道悪でそれなりの展開になったことで、差し脚全開だったパンジャタワーの実力が、裏に隠れやすいファルコンSでの不発により、全く競馬にならなかった京都の朝日杯の惨敗の記録とも合わさり、見事に、人気の盲点になっていた。 アドマイヤズームもパンジャタワーも、前走は期待された1頭であったのだが…、重賞を先に勝っていたパンジャタワーは、アドマイヤよりも朝日杯では人気で少し上だった…。
豪快の追い込みは、完成期に入った4歳時の父のそれであったから、意外な早熟性を秘めるロジユニヴァースのソニックレディ一族の良さとも合わさったが、その点、シアトルダンサー直仔のタイキフォーチュンがそうであるように、重厚な血の選択により、こうも簡単に、少しだけ後ろから攻めていける馬に有利となった時、明暗くっきりとなるのだから、競馬は難しい。 時計はこなせていけるだろうアドマイヤズームの課題は、パンジャタワーのような差し脚を繰り出すことではなく、マイペースをまず認識したうえで、戦える態勢を整えることの重要性が顕在化したとする意味でも、パンジャタワーが快勝したことの価値は大きい。
ただ、激しい歴代屈指の好時計決着となった今回は、当然のごとく、デッドヒートとなった。 アドマイヤズームマークが完全に裏目のイミグラントソングはご愛嬌としても、そこで総倒れとしなかった武豊騎手のマジックサンズは、神懸かったイン差し。 この馬、そんな経験はなかったのだが、道悪の札幌2歳Sのウイナーで、激しい一面を抱える、これもダービー馬・フサイチコンコルドのファミリーであることを念頭に、マイル仕様でも、丁寧な仕事であわやのシーンを演出。
普通はこうはいかないが、武豊だとこうなる。 一瞬、雨馬場となった2006年に今年と似たような支持のロジックを勝たせ、ファイングレインやキンシャサノキセキなど、後のスピード王にG1の戦い方を知らしめたシーンを思い起こしたが、即座に振り返って、完璧な仕上げには思えなかった。 恐らく、ダービーも視野に入っているが、安田記念でもいいのだろう。 これ以上に、さすがと思わせるシーンを作ることはできないから、勝ち切れないこと以外、何一つ、否定する要素などないことが、改めて考えても恐ろしい。
吉村誠之助騎手のランスオブカオスは、不運にも、自分がレースを作る側に回るという、想定以上のハイペースの敗者でありながら、見せ場十分の5着。 中団前の組では再先着。 勝ち運はまだとっておいた方がいい、人馬共に…。
それらに対し、牝馬でタイトなローテでも、ディー騎手が当今注入したかのようなチェルビアットが、これもあわやのシーンを作った。 日本の名手が意地の連対を果たしたが、これ、G2では2着はあるが、桜花賞では6着に終わっていたような馬。 内枠は明らかに有利な条件にもなったはずだが、的確に進路を選び、伏兵でも諦めない意欲ある騎乗。 日本で、選抜に至る過程の厳しさを感じることはあっても、来てしまえば、チャンスはいくらでも与えてもらえると、未来ある若者のような姿勢で、やる気満々だったネクストオージーファイターは、きっと、また日本に来ることになる。
レーン騎手の目立つここ2週間であったが、大変な才能の持ち主であることは明らかになった。 派手な仕事をどこかでするとすれば、津村騎手や田辺騎手がテクニカルな要素を求められた場面で能力を全開にさせたような、今回のチェルビアットのような人気薄とのコンビの時かもしれない。 こういう結果なら、日本のファンも、半分くらいは納得してくれるはずだ。