桜花賞2021 予想

桜花賞の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第81回 桜花賞
グレード重賞(G1)
日程2021年4月11日(日曜)
発走時間15時40分
開催場所阪神競馬場
距離芝1600m
コース外回り
賞金1億500万円
レコードタイム1:31.9

桜花賞2021の出馬表(馬柱)- 出走予定馬の馬体診断と想定騎手(枠順確定)※予想オッズ更新!

枠順 出走予定馬予想オッズ騎手斤量(負担重量)厩舎
1ストライプ62.3倍田辺裕信55.0kg(美浦)尾形和幸
1ファインルージュ10.0倍福永祐一55.0kg(美浦)木村哲也
2ブルーバード176.7倍柴田大知55.0kg(美浦)高橋祥泰
2ソダシ3.2倍吉田隼人55.0kg(栗東)須貝尚介
3アカイトリノムスメ9.6倍横山武史55.0kg(美浦)国枝栄
3ストゥーティ83.3倍岩田康誠55.0kg(栗東)奥村豊
4ククナ14.8倍藤岡佑介55.0kg(美浦)栗田徹
4メイケイエール6.6倍横山典弘55.0kg(栗東)武英智
5エンスージアズム113.1倍岩田望来55.0kg(栗東)安田翔伍
5アールドヴィーヴル14.8倍M.デムーロ55.0kg(栗東)今野貞一
6ジネストラ86.2倍北村宏司55.0kg(美浦)鹿戸雄一
6ヨカヨカ45.1倍幸英明55.0kg(栗東)谷潔
7エリザベスタワー10.2倍川田将雅55.0kg(栗東)高野友和
7ミニーアイル151.7倍藤岡康太55.0kg(栗東)武幸四郎
7シゲルピンクルビー38.9倍和田竜二55.0kg(栗東)渡辺薫彦
8ソングライン16.1倍池添謙一55.0kg(美浦)林徹
8ホウオウイクセル41.8倍丸田恭介55.0kg(美浦)高柳瑞樹
8サトノレイナス6.0倍C.ルメール55.0kg(美浦)
オッズ1着2着3着4着以下
1.9倍以下3回2回1回2回
2.0~2.9倍2回1回0回3回
3.0~4.9倍7回5回2回4回
5.0~7.9倍2回1回4回15回
8.0~14.9倍2回5回4回33回
15.0~19.9倍1回1回0回16回
20.0~49.9倍3回3回7回70回
50.0倍以上0回2回2回153回

桜花賞2021登録馬の1週前追い切りから最終追い切りの比較

馬名1週前追い切り最終追い切り
アールドヴィーヴル栗東・坂路・良
800m 52.5-38.5-25.5-12.5(強め)
栗東・坂路・良
800m 56.4-39.9-25.4-12.4(馬なり)
アカイトリノムスメ美浦・南W・良
5F 67.1-52.1-38.5-12.8(G前仕掛け)
美浦・南W・良
5F 67.1-52.2-38.4-12.5(馬なり)
エリザベスタワー栗東・坂路・良
800m 53.5-39.1-25.3-12.5(一杯)
栗東・坂路・良
800m 53.4-39.1-25.5-12.5(一杯)
エンスージアズム-栗東・CW・稍重
6F 85.5-67.9-52.1-37.9-12.2(馬なり)
ククナ美浦・南W・良
5F 66.2-51.3-38.2-12.7(馬なり)
美浦・坂路・稍重
800m 54.8-39.7-25.6-12.3(強め)
サトノレイナス美浦・南W・良
5F 64.4-49.9-36.1-11.7(G前仕掛け)
美浦・南W・良
5F 68.6-53.5-39.9-13.0(馬なり)
シゲルピンクルビー栗東・CW・良
6F 82.2-66.2-51.2-37.3-12.0(稍一杯)
栗東・坂路・良
800m 55.2-40.3-25.8-12.7(馬なり)
ジネストラ美浦・南W・良
5F 68.2-53.4-39.2-12.5(馬なり)
美浦・南P・良
4F 59.4-43.4-13.1(馬なり)
ストゥーティ栗東・CW・良
6F 83.7-67.3-52.4-38.5-12.1(馬なり)
栗東・坂路・良
800m 54.8-39.6-25.5-12.5(馬なり)
ストライプ美浦・南W・良
5F 64.2-50.0-37.3-12.7(直強め)
美浦・坂路・稍重
800m 51.9-37.4-24.5-12.5(馬なり)
ソダシ栗東・坂路・良
800m 52.4-38.5-24.5-11.8(一杯)
栗東・坂路・良
800m 54.5-39.1-25.4-12.5(馬なり)
ソングライン美浦・南W・良
5F 67.3-53.5-39.4-12.3(強め)
美浦・南W・良
5F 68.1-52.0-38.7-12.7(馬なり)
ファインルージュ美浦・南W・良
6F 82.6-67.6-53.0-39.0-12.9(G前仕掛け)
美浦・南W・良
5F 67.7-52.8-38.9-12.0(馬なり)
ブルーバード美浦・坂路・良
800m 53.3-38.4-25.2-13.3(叩き一杯)
美浦・坂路・稍重
800m 53.8-38.7-25.0-12.6(馬なり)
ホウオウイクセル-美浦・坂路・稍重
800m 55.6-40.6-26.2-12.9(馬なり)
ミニーアイル栗東・坂路・良
800m 53.8-39.4-26.1-13.0(強め)
栗東・坂路・良
800m 52.4-39.1-26.4-13.5(一杯)
メイケイエール栗東・CW・良
4F 49.2-36.3-12.5(馬なり)
栗東・CW・稍重
4F 51.2-37.4-12.1(馬なり)
ヨカヨカ栗東・CW・良
7F 93.0-63.0-50.2-37.7-13.5(一杯)
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桜花賞予想2021 - 過去10年のデータ傾向

有力馬のオートマチック分類から傾向を探ると阪神JF参戦組は縛りがきつくなる。

想定しているのは、阪神JF→チューリップ賞→桜花賞というローテの馬。

<連続連対の馬/2着と3着/連勝馬>… 今年は該当者なし

<1勝と4着以内>… メイケイエール

牝馬が暮れから阪神マイル3連戦は過酷というものあるが、「暮れからの直行ローテ」が流行るようになってきた。
『ダービー > 皐月賞』というような牡馬戦線の格の差みたいなものはない牝馬戦線は、クラシックの桜花賞もオークスも、秋華賞にしても牝馬戦線では格の高い出世レースの側面を合わせ持つため、桜花賞は勝ちたいレースであり続けた。

故に、大目標を前に消耗するようなことは避けたい。
ジュベナイルフィリーズとて高速決着は不可避という、若馬を預かる者にはあまりありがたくない傾向もあって、その好時計決着で際どく覇を競った2頭ともが、今年は直行ローテを選択。
この点をフォローすると、

<JFから直行>… ソダシ、サトノレイナス

<JF5~10着>→プレップはフィリーズレビュー

… 5着 ヨカヨカ<前走2着>
… 6着 オパールムーン<前走9着>

馬券になった半分より上に来た馬たちは、だいたいはトライアルでちょい負けくらいで、いいひと叩きに成功した馬。
例外的なプリンセスジャックは、一応、桜花賞を勝ったアユサンにJFでは先着していた、同じチューリップ賞参戦組の賞金上位で出走の馬。
上位入線ではない2頭が、見事に入れ替わるのは珍しいが、今年の場合、直行も多く、これが着順の入れ替わりを起こす最大要因になっている傾向<*後述>があるから、ヨカヨカあたりまでは押さえないといけないので、ワンパッケージのJF組として扱いたい。

あと、直行ローテはスティンガー以降の20年くらいでせいぜい10頭くらいなので、これからも類例はまず出てこない朝日杯から直行のグランアレグリアの成功例を加えたところで、良いか悪いかは、結局は個体差によるところが大きいとしか言いようがないのが、本当のところ。
サトノレイナスの場合、休み明けの初オープン戦がG1でのハナ負けだから、使い詰めのソダシよりは対応力に不安はないだろうということくらいか。

*直行ローテがハマると、謎の逆転現象が必ず発生する怪(笑)
(JF着順→桜花賞着順)

・2000年
チアズグレイス(4→「中間3走未勝利」→1) /マヤノメイビー(3→2)

・2014年
ハープスター(2→「チューリップ賞勝ち」→1) /レッドリヴェール(1→2)

・2019年 *勝ち馬グランアレグリアが朝日杯フューチュリティS3着からの直行

クロノジェネシス(2→「クイーンC勝ち」→3) /ダノンファンタジー(1→「チューリップ賞勝ち」→4)

「東京マイル無双説」さえも、懐疑的になってきたご時世
想定したレースはアルテミスS、クイーンCだが、サウジアラビアRCで連対するお嬢さん方も増えていて、それも加えてある。

データとしてはっきり出ているのは、阪神マイル組同様、時計が出やすくて上がりのタイムも強烈になる今の東京において、不要な消耗の疑われる者は即用なしとなるといった傾向。勝ち馬が揮わないのも厳しい。
両方連対となれば、当然人気にもなるわけで、

・2016年 1番人気 メジャーエンブレム<4着>

ローテ:〔アルテミスS 2着〕 →JF 1着→ 〔クイーンC 1着/超絶レコードで圧勝〕→ 『桜花賞 4着』

・2019年 4番人気 ビーチサンバ<5着>

ローテ:〔アルテミスS 2着〕 →JF 3着→ 〔クイーンC 2着〕→ 『桜花賞 5着』

かなりローテに気を遣って、なおかつ体調管理に適した合理性まで窺えるにも関わらず、この有様では、主要レースとして十分に機能を果たしているとは言えない…、とは言い過ぎか。
むしろ、シンザン記念やフェアリーSといった1月重賞をある程度仕上げて、勝ち星をしっかり挙げるという手法の方が、今の競馬の潮流には適しているのだ。
アーモンドアイのように3か月空けるのがベストというわけではないが、今は2月の前哨戦群からの直行でも、疲れを残した馬は多い。

・今年の該当馬

<1勝以上>… ソダシ、アカイトリノムスメ
→必ず人気になるような中心馬だが、データ上では少し怪しい存在

<どれか1つでも連対>… ククナ、アールドヴィーヴル
→ほかの重賞での好走実績か、トライアルでしっかり見せ場を作って権利を取っていることが重要なので、前者が優勢。

また、池添さんとエルフィン勝ち馬が作る流れはいつも一定。

『エルフィン→阪神で試走→本番』という王道を勝ち進んだ猛烈な春キャンペーンを敢行した名牝たちは、20世紀中にはいたが、今はエルフィンSで負けでも、こんなローテでは通用しない。
本番で体が動かなくなる、昨春のアーモンドアイのような展開が見えているからだ。
現に、エルフィン惜敗のチアズグレイスやアローキャリー、レジネッタらは、トライアルも負けたが本番は制している。

エルフィンSから連勝の馬は、昨年の3歳絶対女王であるデアリングタクトや震災の年に見事な余裕ローテで末脚爆発のマルセリーナなど、今でも使えるローテ。
重賞を勝っていない馬が、ラストチャンスとして勝ち切った時、桜花賞以降の立ち位置を一気に好転させる機会を得ることになるのだ。

桜花賞予想2021 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

今年、勝ち馬はいない。
大敗後に盛り返したエリザベスタワーの底力が、トライアル以上に出せるかが問題か。

池添謙一騎手は、初のタイトルがこの桜花賞だった。
前出のアローキャリーでのものであり、衝撃の波乱桜を演出したわけだが、翌年のシーイズトウショウも2着ながら、三冠馬とエリ女杯連覇で二冠馬の母という、サンデーサイレンスの傑作牝馬に挟まれて異次元適性を示した上に、近10年の好走実績はルメール以上という圧倒的適性。
美浦の林厩舎も最近、やけに気になるタレントをよく我々に披露してくれるが、その筆頭となって全く異論の出ない、紅梅S圧勝のソングラインに騎乗では、ファンも黙ってみているわけにはいかないだろう。

筆者はソニンクからルミナスポイントという流れでは、ロジユニヴァースのような距離への対応力は示せないだろういうことで、あまり相手にはしていないのだが、血統が血統だけに、道悪では買うしかないか。
アローキャリーも4年前のレーヌミノルも、『G1好走馬、渋った馬場、テン乗り』の3点セットで、人気の盲点をグサりとついてきた池添謙一だからこそ、今週末も天気予報には気を遣っておきたい。

武豊を嫉妬させるような騎乗をした時、この男にまた新たな勲章が加わることとなる。

同じ目標を据えて<岡部幸雄の作った最多勝利記録>、全くの同時代に理想の形を極めたならば、似てきて当然だったはずなのに、武豊騎手と横山典弘騎手が何で全く違うタイプの、対極の大山のてっぺんに鎮座するようになったのか、事あるごとによく振り返ることがある筆者。
まだ、彼らと同じ50代になるまでは時間があるから、減量騎手時代まで振り返ることは厳密には不可能だが、例えば、メジロのライバルであった、

「マックイーン/4歳から武」
「ライアン/未勝利勝ちの前戦から横山」
との関係性のように、どことなく光と影を成すコントラストが、今も昔も続いているのは確かなように思う。
またちょっとすると、

「マーベラスサンデー/ずっと武」
「サクラローレル/5歳の故障明けから横山」
またそれぞれが引退したすぐ後に、

「スペシャルウィーク/武の運命の馬」
「セイウンスカイ/途中から横山に託された快速馬」

このままだと名馬級以外の話まで出てくるのでやめておくが、最近でも、興味深い対決がちょうど5年前にあった。

「1着:アンビシャス/横山典弘」
「2着:キタサンブラック/武豊」

今年、そのファーストクロップが登場する顕彰馬・キタサンブラックが真の意味で本格化する直前、武豊騎手と初のコンタクトをとった最後の産経大阪杯<G2>である。 *翌年は、見事に雪辱を果たす。
2016年の春。前走の有馬記念では、キタサンブラックの背には、北村宏司騎手の怪我で代打を請われた横山騎手が跨り、やけに無難な<能力相応のアプローチということではあるが>スロー逃げで、負荷をかけない程度にファイトした3着であった。

武豊騎手くらいになれば、ライバルになりそうな馬のキャラクターは知っているはずだが、同じくらい競馬を深く理解する横山騎手は、何かを超えるためのアプローチを試みるケースが上級のレースほど多く見られる。
ただやっても勝てないから…、とかそんな理由だろうが、現役中、企業秘密をぺらぺら喋るバカはいない。

キタサンブラックのことはずっと見てきたし、乗っていたから知っているが、アンビシャスは両者とも関わりがこれまでなかったから、その本質までは理解していなかったはず。
この時、横山騎手はこれまで乗ってきたルメール騎手のようなそっと乗るアプローチを捨て、勝負に徹した2番手追走を敢行。
終いには、一騎打ちに持ち込んで競り合いを制した。
わずかクビの差だったが、武豊なら次戦の天皇賞を見越して、速い流れを作ることはまずないと決め打った横山の奇襲に、武はこう語ったとされる。
「アンビシャスがあんな所にいるなんて、誰も思わない」

アンビシャスを推していた筆者は、行く気を促した刹那、直線の攻防を想像して早くも妄想に興じ、的中までも確信したのだった。
いつも二人の間には、同期であり<武と>同年代のライバル<横山と>という蛯名現技術調教師がいたと記憶する。
かなり熾烈な争いを繰り返してきた同士ながら、まさに文字違いの同志。
勝った負けたの薄っぺらい関係性ではなかった。
記者たちは会話の内容を聞きたくしょうがないから、ぶら下がりを敢行したのだろうが、きっと三者とも本当に話したことなどほとんど言わなかっただろう。

いいところも悪いところも知り尽くした者同士が、利害の相違を超越したところで、華麗な騎乗を魅せることに全てを注いだ。
フリーの先駆者である岡部元騎手の考えは、こうして彼らにダイレクトに伝わり、福永騎手や四位現調教師ら直下の世代に取り込まれたところで、この国の競馬の常識に定着する。
フリーの騎手たるもの、身一つで勝負を繰り返すのだから、誰を責めずとも誰かのためになる仕事をしなさい、といったところか。
時に独りよがりに思える横山騎手の独特の判断は、奇を衒ったものでありつつ、実は、競馬の真理をつく技術の一端のように思えてしまうことも多い。

花舞台で華麗に舞うにはあまりにも課題が多いメイケイエールの騎乗者変更は、頼めるところが限られるとして、深読みするまでもなく横山騎手への依頼へと至ったと誰もが気づく。
妙にそこに過敏な反応を見せるファンも多いのだろうが、彼女に無理をさせっぱなしの陣営とすると、様々なリセットのシチュエーションを整えた一戦とも思えなくはない。

桜花賞予想2021 - レース展開

脚質1着2着3着4着以下
逃げ馬1回1回1回17回
先行馬9回4回3回56回
差し馬4回10回12回141回
追い込み馬6回5回4回82回
枠順1着2着3着4着以下
1枠0回1回1回36回
2枠0回0回4回35回
3枠1回2回1回36回
4枠4回4回0回31回
5枠7回0回5回28回
6枠0回2回4回34回
7枠5回6回4回45回
8枠3回5回1回51回
 1着2着3着4着以下
阪神1600m重賞で3着以内に入ったことが【ある】6回7回5回23回
阪神1600m重賞で3着以内に入ったことが【ない】4回3回5回125回

ディープインパクトの孫で快速馬。
サイレンススズカ<稀代の快速中距離馬>とディープインパクト<英雄の異名を持つ七冠馬>の距離適性に丸被りの点を見出した横山騎手は、かつて武騎手に対し、
「直接対決したら、どっちが勝つと思うか」
と尋ねたらしい。
実世界で同レースに違う馬には乗れないという縛りをこの幻の対決にも採用した時、ディープに乗るだろうユタカを驚かせるべく、サイレンススズカにもっと違う逃げ方<戦略>を提案してみたいのではと、勝手に突き進んで妄想した筆者は、その機会を奇異にも今回得たのだと考えた。

サイレンススズカ<武>の戦法は、間違いなく菊花賞大レコード勝ちのセイウンスカイ<横山>に落とし込んだ主要素であり、初の東京で好き勝手に逃げ切った<横山>の戦略は、道悪のシャンティイで大勝<武>のエイシンヒカリのドラマにも大きく関わってくる。
事あるごとに、その立場を入れ替えては、また違う場面で戦いを繰り返してきた同士。
酷い掛かり方には程があった前走から、どこまで抑える形を想定するのか全く読めないからこそ、この桜花賞は面白い。

かつて、岡部・武・横山の三者ともが乗っていた馬がいた。
後に、皐月賞馬のロゴタイプを送り込むローエングリンだ。
掛かって仕方ない馬だったが、それぞれがさまざまな勝ち方を提示していった。
ここに後藤元騎手が加わり、栗毛の天才ホースはG2王になっていったわけだが、横山騎手はこの馬で旧コース・阪神のマイラーズCを制している。
前年は岡部騎手で負けたレース。

桜花賞を勝てるような乗り方を、どことなく、是としなかった面もあった岡部氏は、ついに勝ち切れなかった。
引退翌年の冬、外回りコースが出来て、これなら勝てたもしれない…、と苦笑いしながら語っていた。

<横山典弘騎手の主な戦績>
・皐月賞 1勝

・東京優駿 2勝

・菊花賞 1勝

・優駿牝馬 1勝

いや、勝っていないのを挙げた方がいいか、

・フェブラリーS<G2時代の最終年制覇>

・大阪杯<G2時代の最終年制覇>

その他、ジャパンCや秋華賞といった主要レースや、クラシックレース&旧八大競走完全制覇の最後の砦にこの花舞台を残した名手は、一体、何を彼女にアドヴァイスするのだろうか。

桜花賞予想2021 - 最終予想

若い選手には、いいところを伸ばすコーチングは適当だが、弱点克服を何にも先んじて課題に掲げたトレーニングは、結果的に、才能の芽を摘んでしまったり、かえってその開花を遅らせてしまうと、よく球界の名伯楽たちは語る。
騎手というより、超調教師的位置づけになった横山典弘にとって、今更、桜花賞を獲る価値は然したる意味もないのかもしれないが、教育の一環として、もっと違う勝ち方をアドヴァイスすることにかけては、歴代の名手たちとも引けを取らない、彼独特のアプローチが見る者を魅了してきた。
勝ったとて武豊が嫉妬するわけはないが、手を叩いて称賛の形は、きっと望んでいない。
距離は長いが、何となく、どの馬もこの阪神の1600戦に怪しいにおいを残したレースを続けてきたからこそ、あえての黄金ローテがハマると考え、あえての乗り替わりに勝機があると結論づける。

速い馬を抑えるのが武豊の専売特許ならば、追い込み馬が秘めるスピード能力を序盤から全開にさせる技巧で右に出る者はいない横山は、才能が伸びに伸びている甥っ子を含めた3人の息子たちに、偉大なる騎手としての背中を大舞台で再び見せておきたい。
キレイにG1が決着するのは、それはルメールばかり勝ってきたからに他ならないが、時にトリッキーな自在策を具現化するマジシャンに期待するG1が、年に何度かあってもいいはずだ。
大いにチャンスのある一戦だろう。