桜花賞2022の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

桜花賞の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第82回 桜花賞(G1)
グレード重賞(G1)
日程2022年4月10日(日)
発走時間15時40分
開催場所阪神競馬場
距離芝1,600m
コース右回り
賞金1億500万円
レコードタイム1:31.1

桜花賞予想2022 の予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

桜花賞2022の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11ナムラクレア浜中 俊牝355.014.16栗東・CW・良(浜中)
6F 80.1-63.1-49.1-35.1-11.2(一杯)
栗東・坂路・良(調教師)
800m 52.9-37.8-24.0-11.7(馬なり)
12カフジテトラゴン古川 吉洋牝355.0333.818栗東・坂路・良(古川吉)
800m 55.6-40.1-25.2-12.3(馬なり)
栗東・坂路・良(古川吉)
800m 54.8-39.4-24.8-12.3(馬なり)
23アルーリングウェイ藤岡 佑介牝355.020.78栗東・坂路・良(藤岡佑)
800m 51.4-37.3-24.2-12.0(一杯)
栗東・CW・良(藤岡佑)
6F 81.3-65.6-51.2-36.8-11.6(稍一杯)
24パーソナルハイ吉田 豊牝355.0103.917栗東・坂路・良(坂井瑠)
800m 52.3-38.0-24.6-12.1(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.4-38.0-24.8-12.4(馬なり)
35ピンハイ高倉 稜牝355.027.110栗東・CW・良(高倉)
6F 86.6-69.9-53.4-38.2-12.0(馬なり)
栗東・CW・良(高倉)
6F 90.6-73.9-57.3-40.9-12.4(馬なり)
36ウォーターナビレラ武 豊牝355.06.73栗東・CW・良(武豊)
6F 82.7-67.7-52.9-37.6-11.4(馬なり)
栗東・坂路・良(吉田隼)
800m 52.4-37.8-24.7-12.2(強め)
47サブライムアンセム岩田 望来牝355.041.412栗東・CW・良(岩田望)
5F 65.2-50.7-36.3-11.3(馬なり)
栗東・CW・良(岩田望)
4F 53.0-37.3-11.3(馬なり)
48スターズオンアース川田 将雅牝355.024.59美浦・南W・稍重(杉原)
6F 82.8-65.8-50.8-37.1-11.6(馬なり)
美浦・南W・稍重(川田)
6F 83.9-68.2-53.7-38.3-11.2(馬なり)
59クロスマジェスティ武藤 雅牝355.087.515美浦・南W・稍重(武藤)
計測エラー(G前仕掛け)
栗東・CW・良(武藤)
7F 96.6-66.3-52.4-37.7-12.0(馬なり)
510ライラック福永 祐一牝355.013.45美浦・南W・稍重(福永)
5F 68.1-53.9-39.4-11.8(馬なり)
美浦・南W・稍重(石川裕)
5F 65.2-50.2-36.8-11.8(馬なり)
611ラブリイユアアイズ坂井 瑠星牝355.014.67美浦・南W・稍重(坂井瑠)
6F 84.3-68.7-53.8-38.6-11.3(G前仕掛け)
美浦・南W・稍重(助手)
6F 82.6-67.0-52.4-38.2-11.7(馬なり)
612ベルクレスタ吉田 隼牝355.035.311栗東・CW・良(吉田隼)
6F 82.3-66.0-51.1-36.4-11.5(一杯)
栗東・坂路・良(吉田隼)
800m 53.3-38.3-24.6-12.1(強め)
713ラズベリームース池添 謙一牝355.090.116美浦・坂路・稍重(助手)
800m 53.2-38.3-24.3-12.0(強め)
美浦・坂路・稍重(池添)
800m 55.3-40.1-25.6-12.4(馬なり)
714プレサージュリフト戸崎 圭太牝355.012.04美浦・南W・稍重(助手)
5F 69.1-53.3-38.5-11.9(馬なり)
美浦・南W・稍重(助手)
6F 85.5-68.6-53.5-38.7-11.7(馬なり)
715アネゴハダ幸 英明牝355.072.514栗東・坂路・良(助手)
800m 51.5-37.1-24.3-12.3(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 51.5-37.6-24.6-12.2(一杯)
816サークルオブライフM.デムーロ牝355.03.01美浦・南W・稍重(助手)
5F 65.9-51.1-36.8-11.4(G前仕掛け)
美浦・南W・稍重(助手)
6F 82.5-66.0-51.0-36.5-11.3(馬なり)
817フォラブリューテC.ルメール牝355.047.713美浦・南W・稍重(助手)
5F 66.7-51.6-37.8-12.1(馬なり)
美浦・南W・稍重(助手)
5F 68.3-53.4-38.6-11.8(馬なり)
818ナミュール横山 武史牝355.03.12栗東・坂路・良(助手)
800m 51.4-37.4-24.7-12.5(一杯)
栗東・坂路・良(横山武)
800m 54.9-38.5-24.3-12.0(馬なり)
人気1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気4回7回3回6回20%55%70%
2番人気8回4回0回8回40%60%60%
3番人気2回2回3回13回10%20%35%
4番人気0回1回2回17回0%5%15%
5番人気1回0回4回15回5%5%25%
6~9番人気3回4回5回68回3.8%8.8%15%
10番人気以下2回2回3回169回1.1%2.3%4%
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬1回1回1回17回5%10%15%
先行馬9回4回3回57回12.3%17.8%21.9%
差し馬4回10回13回139回2.4%8.4%16.3%
追い込み馬6回5回3回83回6.2%11.3%14.4%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠0回1回2回35回0%2.6%7.9%
2枠1回0回4回34回2.6%2.6%12.8%
3枠1回2回1回36回2.5%7.5%10%
4枠3回4回0回32回7.7%17.9%17.9%
5枠7回0回5回28回17.5%17.5%30%
6枠0回2回3回35回0%5%12.5%
7枠5回5回4回46回8.3%16.7%23.3%
8枠3回6回1回50回5%15%16.7%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト49回44回48回282回11.6%22%33.3%
ロードカナロア23回16回19回160回10.6%17.9%26.6%
ハーツクライ19回10回17回132回10.7%16.3%25.8%
キングカメハメハ15回12回9回79回13%23.5%31.3%
ダイワメジャー14回23回15回140回7.3%19.3%27.1%
ルーラーシップ12回14回12回112回8%17.3%25.3%
エピファネイア11回13回9回58回12.1%26.4%36.3%
キズナ10回9回9回72回10%19%28%
ハービンジャー7回9回5回94回6.1%13.9%18.3%
オルフェーヴル7回4回10回74回7.4%11.6%22.1%

桜花賞予想2022 - 過去10年のデータ傾向

消す意味がないJF→チューリップの黄金ローテ組は、トライアルで着順を下げた馬の方が狙い目

チューリップ賞組の約半分が、すでに桜花賞とも同コース、距離である阪神ジュベナイルフィリーズを経て、ここに挑んでくる。

ただし、その昔の阪神3歳牝馬Sの時代からずっとそうなのだが、2歳女王がそのまま、チューリップ賞も桜花賞も勝っているという例はほとんどない。

ニシノフラワーもアパパネも、トライアルではライバルに足を掬われるように敗れていた。

ジュベナイルの連対馬と拡大しても、最近ではリスグラシューが、勝ち馬となれば、2→3→1着の順で桜の女王となったレッツゴードンキが象徴的な存在として登場してくる。

要するに、目一杯ではないことを直前で体現した方がいいというわけだ。

なんだかんだで、滅多に崩れない名牝となったレシステンシアも、規格外のレコード走となったジュベナイルフィリーズから、1→3→2着と走っているから、まさしく今年は、いかにも国枝ローテ<アパパネスタイルとした方が通りがいいか…、アーモンドアイのインパクトがあまりにも大きいので>で、それとなくトライアル仕様に作った、去る昨秋の阪神ジュベナイルフィリーズウイナー・サークルオブライフ姫を押さない手はない。

チューリップ賞組は、昨年こそG1→G1のニュースタイルローテ<クラシックの本家イギリスでは決して珍しくないが、勝ち馬と当時に2着馬も来ることは極めて稀>が、連続の超高速決着で炸裂の結果となったものの、その前までは、2008年・大波乱、2011年・大震災で番組がぐちゃぐちゃという例外を除けば、馬券内はおろか、連対馬を出し続けてきた。

うち、暮れのG1にも出ていた馬は、阪神外回りコース最初の桜花賞に相応しいメンバーで行われた2007年に、ダイワスカーレットに本番との逆転を許したウオッカが2着になってから、前記の年以外だと、2016年・JF好走馬がチューリップ賞で不発→その連対馬が着順入れ替え再び連対、2019年・JF勝ちのダノンファンタジーが不発で、2着だったシゲルピンクダイヤが連続2着という例外しかない。

よほどのことがない限り、ジュベナイルフィリーズの着順は入れ替わらず、チューリップ賞で若干の変化があれば、それは元に戻るという感じ。

ナミュールは馬体重の面に大いなる不安を抱えるから、変に増えても重たくなるだけだし、元の順に戻って不思議はない。

 関東のG3組に関しては、フレッシュでほぼ無傷のG1初挑戦組の方がいくらか有利

クイーンC組
  • 2012年 1→2着 ヴィルシーナ
  • 2019年 1→3着 クロノジェネシス <前々走ジュベナイルフィリーズは2着>
フェアリーS
  • 2021年 1→3着 ファインルージュ

いずれもが前走重賞初勝利であり、その他で来た負けていたグループの桜花賞勝ち馬はこの中にはいない。

非トライアル戦を経た前走2着以下の桜花賞出走馬は、イレギュラーな朝日杯1番人気3着からの直行となった2019年優勝馬・グランアレグリア以外だと、チューリップ賞の必要性そのものが乏しかったグレード制導入前のハギノトップレディまで遡らないと登場してこない。

競馬の世界では前々世紀くらいの話であり、トップレディが勝った年の出走頭数は21頭。

大穴でも重賞勝ちだとか、ジュベナイルフィリーズで3着以内に入っているとかでないと、まず用なしというレベルになっている今の桜花賞で、重賞勝ち馬をわざわざ切る必要もない。

ファインルージュも秋華賞で2着に入り、十分にクイーンC組のスタークイーンたちといずれ肩を並べるはずだ。

出世の流れに乗りたいライラックとプレサージュリフトは、前者には小回り・右回りの経験があり、後者は左回りワンターンの余裕ローテの経験しかないが、無敗の金看板を武器として強気になれる要素を持っている。

評価順は言わずもがなであるから、穴の軸馬でライラックも面白いとしたい。

祖母ブルーリッジリバーは桜花賞2着馬で、前後してダイワルージュ、ダイワスカーレットらが桜花賞の著名な好走馬としてすぐに名が挙がる存在として、近親にいるという武器も強力。

まあ、能力互角とみる人は少ないから、ファインルージュ的な狙い、ジェンティルドンナはいないという考えで頭狙いのプレサージュリフトという買い方がパッケージとして推奨できるものとなってくる。

 直行しても構わないが、牝馬特有の機微の部分で、大事な変化をつかみ損ねる危険が大いにある

昨年の上位2頭に加え、無敗制覇でソダシとも共通のレッドリヴェールは、札幌2歳Sを不良馬場やら大レコードやらで制した、そのレースの歴史的勝ち馬であったから、その時点で特別。

関西初遠征も休み明け、続く桜花賞もそれ以来のサトノレイナスはダービーに転じて、力を出し切ったかさえ不明のまま、現役を退いたが、そこでは5着。

いずれもが規格外で、顕彰馬級の活躍を見せることとなるグランアレグリア<前走その他組の超異例な存在>と比する何かを持っているのだとすれば、きっと通じるのであろう。

それができないのであれば…。

かつて、マヤノメイビーという馬が直行ローテで2着に入ったことがあったが、臨戦過程というか、キャリアそのものがサトノレイナスとそっくりで、5戦2勝で次走東京でラストラン。

レッドリヴェールも全く走らなかったし、ソダシも札幌記念は勝ったが、ダートいう逃げ道がなければ、同じ道をたどっていたかもしれない。

その他だって似たようなものだし、休み明けで走ることそのものが結構危険。

マヤノメイビーが走った前年に直行ローテを、見事なスタートの大煽りで自爆したスティンガー<2歳女王としての初戦>から学ぶとすれば、サトノレイナスやマヤノメイビーのような形が理想に近いか。

今年の直行組は、2着だったラブリユアアイズのみ。

デビューから20kg減でG1連対など、グレード制導入の前後の時代までならよくあったことだろうが、その点を踏まえた休養明けということでは、レッドリヴェールと同じように細化防止の方策としか考えられない。

ロゴタイプの産駒。この後のお楽しみとして、ここは自重するのがいいだろう。

 困った存在ばかりのフィリーズレビュー組が台頭する理由

トライアルとして機能しているというよりも、速い馬を選定するところで、時たま、ハイレベルになりやすいチューリップ賞回避で権利獲り成功の中で稀に中距離級でもこなせる馬が出てくるという期待に応えた超少数派を見つけるための…、とするより、アイムユアーズやレーヌミノルらのように、とっくの昔に2歳重賞を制して、桜花賞を狙うための準備を入念にしてきた快速型の復活の舞台とここはしたいところ。

だから、メイショウマンボやクイーンズリングは馬券外に敗れ、距離延長の舞台で好走。

前記2頭加え、同じくジュベナイルフィリーズ好走のアットザシーサイドのような馬が、短距離志向でも総合力で2歳女王らを完封し、力を見せつけたのである。

ちょっと前のレジネッタ<2008年優勝>も、ジュベナイルフィリーズを使われて、年明けもせっせと使われるも未勝利で、本番とオークスだけよく頑張ったという馬。

有力馬の層が厚い年だと、なかなか台頭の余地がないが、自身が距離適性の関係で疑われただけという人気落ちの場合は除いて、その他で来るとすれば、それこそ波乱の使者という立場以外では苦しい。

それこそ、血統の底力で来たブルーリッジリバー<フィリーズレビュー4着>が現調教師の四位騎手で、外国人騎手で台頭のアイムユアーズを除くと、あとは福永、池添といういかにも牝馬と手が合うあたりの柔らかい名手が出てくる。

今年の場合、岩田望来騎手のサブライムアンセムだとか、レーヌミノルに桜花賞から乗れなくなった浜中騎手のナムラクレアだとか、ちょっとどうなのかまで見当がつかないコンビで参戦となりそうで、もっと謎のアネゴハダには昔から牝馬と縁がある幸騎手の継続騎乗が濃厚。

様々織り交ぜての考察で、ジュベナイルフィリーズ最先着のナムラクレアが昨年のヨカヨカくらいの人気にならなければ、昨年ほどのメンバーレベルではないだろうから、穴馬の筆頭に押さえるという考えは通るはずである。

1番人気が10年で1頭しか勝たない桜花賞なのだから、何かが人気馬を押しのけて、めちゃくちゃ頑張るシーンを我々は毎年のように目撃しているのだ。

桜花賞予想2022 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

これは素晴らしいと思わせた左回り巧者は大体消えてきたが、彼女だけは特別かもしれない。

プレサージュリフトの血統

プレサージュリフトのファミリーに関しては、言うまでもなく、素晴らしいとするのが正しいだろう。

4代母であるRose Bedの孫世代には、アイルランドグループのRose of Jerichoを経た一族から、ダービー勝ちのドクターデヴィアスが登場し、日本の桜花賞2着馬・ロンドンブリッジの父となると、その直仔は日本のオークスを制したダイワエルシエーロ、ロンドンブリッジを母母に持つのが、ついこの間までやらかし芸を体現してきた菊花賞勝ち馬のキセキ、という流れをしっかりと作り、大いなる功績を残した。

また、ドクターデヴィアスの半弟は、言わずもがな、高松宮杯優勝のシンコウキングだ。

そのシンコウキングの全妹から同じレースである高松宮記念を制したスズカフェニックスが登場。

近親にはほかにも、エリザベス女王杯に登場したダンシングレイン<英・独オークス勝ち>であるとか、現役のEven So<アイリッシュオークス>という牝馬の大物が出ている。

北米系を取り込んだプレサージュリフトのファミリーにも、デアレガーロやオールアットワンスがいるから、平成以降で一族の熱量が落ちることは一度もなかったことになる。

ドクターデヴィアスの方とは大物感で格差のようなものを、結果的に下で見られてしまうような形で、全体の評価を落としてしまう面もあるが、実力以上の何かを探す際に、近親に某がどうこうということで利用されるのはむしろ、シンコウキングとそのドクターデヴィアスの兄弟の方であり、そうした面で、本質的なクラシック向きの底力は担保されているように感じる、くらいの理屈を挙げることは可能。

ただし、ハービンジャー頼りの距離適性への絶対的な何か足らないものに関しては、当然、想像の域を出ないから何とも怪しい。

手掛かりは凱旋門賞連覇のAllegedが母父に入ることで、快速クラリオン系種牡馬のAhonooraから、ケンタッキーダービー経由でエプソムダウンズのダービーを勝ち切るドクターデヴィアスが登場するのだから、その影響力は大きい。

快速系のイメージ先行のミスプロ系・スーヴェニアギフトが輸入され、スプリント重賞で活躍のディープ牝駒・シュプリームギフトが登場し、昨年3歳になった半姉のオールアットワンスは、あっという間に重賞勝ち馬になった。

サンデー系を入れづらい配合から、ミスプロ系がよく配されてきたところで、流れ的にハービンジャーであったのか、この世代ではナミュールを筆頭に、同期の兄弟のような存在がライバルに登場する。

元はフランスでトウルビヨンを激しく重ねられた上で淘汰にかけられた、ここぞの場面で強烈なパフォーマンスが可能な一点突破向けの底力型の性質が伝えられた一族。

オークスへの展望は一旦置いておくとして、そうした芝のクラシック向きに出たときに外さない何かが、得意のワンターンで全開となる桜花賞になりそうな気がしてならない。

そのデモンストレーションが、同父ナミュールの激しすぎたチューリップ賞のハイパフォーマンスであったように思う。

実は、彼女の秘めるシュリリー系の底力などより、ずっと激しい性質を秘めるのがこのプレサージュリフトなのだろう。

パフォーマンスの内容こそ、見た目には新馬戦のインパクトとは比べようがなかったが、大きく立ち遅れ、直線一本の末脚勝負に出たことと上がり3Fの数字が、新馬戦の33.3秒に対し、クイーンCでは33.5秒とほぼ同質。

その前段を踏まえ、ラップ比較をすることで、彼女の才覚はすでに一級品であることが改めて証明されるのである。

新馬戦<10/24 東京芝1600M>
  • 3F~5F通過ラップ 36.6−49.2−61.9→ 勝ちタイム・1:36.7
クイーンC<2/12 同上>
  • 同上通過ラップ 35.3−47.5−59.7→ 勝ちタイム・1:34.1

ちなみに、前年のクイーンC勝ち馬でのちに秋華賞を制することになるアカイトリノムスメの場合、

  • 34.6−46.5−58.4→ 勝ちタイム・1:33.3
  • アカイトリノムスメの上がり3F:34.4秒

条件戦に比べ、中間のラップが明らかに変化するのがオープン競走の特性とすると、その点で、最小限ほどの上増し分しかなかったとできる今年ではあるが、少なくとも、アカイトリノムスメが赤松賞を制した時のレースラップと酷似している今年のクイーンCは、昨年の一戦と似た感じの接戦ではあったが、ターゲットタイムが昨年ほどはさすがに速くはならないと推定したとき、

2019年桜花賞
  • 同上 35.4−47.7−59.4→ 勝ちタイム・1:32.7
  • 勝ち馬・グランアレグリアの上がり3F:33.3秒

というのが、現実的なターゲットになってくるだろう。

ここ2年が超ハイペースである桜花賞は、押しなべて、1000M通過は59秒前後で、他コースでは明らかなスロー判定をされる展開が一般的。

暮れのジュベナイルフィリーズは、まさに、そのオーソドックスな若い牝馬限定で行われる阪神マイル重賞の基本形である59秒ちょうどの通過だった。

下手をするとそれより遅くなる。

桜花賞予想2022 - レース展開と最終予想

後方からなだめながらの追走でも、直線に入ってまだ余裕をもって追い出せる強みは新馬戦の大野騎手の乗り方でも、明快な形で表現されたわけだが、前走のクイーンCは本番想定の戸崎騎手を迎え、絶対に連を外してはならない場面ということもあり、動き出しは展開以外の理由でかなり早かった印象。

馬の戸惑いまでは感じられなかったが、周囲のライバルが重賞を経験していることで、同格の上がりを使って叩き合いに持ち込んで一見苦戦に映ったが、事情を踏まえたとき、戸崎騎手が乗るしかなかった状況の、あのアーモンドアイが勝ったシンザン記念と本質は同じように感じられた。

ナミュールもとても強いが、前走のチューリップ賞はここまで半年ばかりの競走生活ですでに4戦目。

初めての休み明けながら、重賞も阪神コースも経験済み。

アーモンドアイがラッキーライラックを難なく差し切った構図ともよく似ていて、晩年は超名牝扱いと両者別物として高く評価されるわけだが、クラシックレースはそうではない。

完成度と同時に、未知の魅力を問うのがその存在意義とイコール。

ましてや今度は同父。

まあ、アーモンドアイはロードカナロアでラッキーライラックはオルフェーヴルと、親仔2代での同期のライバルながら、娘たちは同じ中学校で学ぶライバルとなった。

その翌年は同父ながら、保育園のような6月の新馬戦から対戦していたグランアレグリアとダノンファンタジーが、小学生時代までの勲章を見せ合いっこしながら、いきなりの大レースで再度の成長を見つけられ、大きく水をあけられるというような構図になった。

一昨年も2歳女王のレシステンシアが、驚異の2戦2勝馬・デアリングタクトの引き立て役に甘んじ、昨年、2歳女王が久々防衛を果たした刹那、それまでの流れが一変するクラシックの展開が生じることを、オークスで皆が目撃するのであった。

例年よりは混戦の構図であり、しかし、才能のあるなしの点で近年の名牝たちに大きく見劣ることもない世代。

阪神マイルの流儀を知る1分33秒台の時計を持つ実力者より、それより見劣る持ちタイムの他コースで圧巻のパフォーマンスを見せてきた面々に期待である。

アーモンドアイもグランアレグリアも、本番以上の持ち時計は持っていなかったが、意外と、人気で敗れた面々の方がその点の上増しでできずに苦杯をなめてきた傾向がある。

そもそも、限界に近い持ち時計がありながら、それを2秒更新という昨年の流れは基本的に参考資料とはならない。

チューリップ賞を勝ったナミュールの1:33.2は限界ではないだろうが、更新は難しい。

ならば、自己記録更新も3着の2歳女王の方が上積みできる要素はあるし、ならば、1秒くらい楽勝で縮められる「ヒシアマゾン」ではなくなった時のプレサージュリフトには、もっと速く走れる可能性がある。

雨が降ってしまうと…。決まって短距離型が強い傾向だが、それはその時の話。

今は可能性の詮索に傾注していきたい。