秋華賞2014 回顧

力勝負になった。ハイレベルの展開で、3歳牝馬の限界に挑む競馬となった。

在りし日のエアグルーヴがもがき苦しむ直線を、好位から悠々抜け出したファビラスラフィンが独走した第一回に記録された、遠くて気高いスーパーレコードが、歴史的ハイピッチの好メンバーたちの死闘によって大きく更新されることに。

時代は変わった。

ショウナンパンドラの栄光は、全ては春のオープン特別でことごとく勝負弱さを見せたからこそでもある。

だからこそ、春のクラシックには縁はなく、ステイゴールドを筆頭に秋に出番がやってくることの多いサッカーボーイ一族だから、こういったとんでもない競馬で出番がやってくるのだ。

決め手勝負でもなければ、単なるGⅠの底力勝負とも違う強烈な時計で争われた競馬。

インを通れたのは人気がなかったからだが、たかが2勝馬の競馬としては、オークス馬とあまりにも力が拮抗している。

つまり、みんなが期待してクラシックに出したかったという気持ちが、実力のありそうな馬だったことを、踏ん張って不良馬場をこなした新潟での激走が楽な権利獲りであり、その能力は本物なのだと自ら証明したのである。素晴らしい。

降参である。

時計の持つ異次元への誘いは、いつの時代も不可思議ながら、至極納得のいく結果をもたらしてきたのも事実。

面白い競馬だ。いや、競馬が面白いのかもしれない。

エイシンヒカリのあり得ない逃げ切り勝ちから10分後。彼が刻んだのと似たようなラップで、ペイシャフェリスが逃げた。

それについていった組は4着のブランネージュしか残れなかったが、そんな流れよりずっと楽なポジションにいた後方中団グループの一番前にいたのが勝ち馬で、その後ろにいたのがヌーヴォレコルトだった。

枠があまりにもよくて、走りやすすぎたタガノエトワールがその間の外。結果、脚を溜められた順にゴールした。

それらがまとめてゴール前で抜け出してきて、超絶レコードの要因となる激闘を展開。

ヌーヴォは能力を出し切り、タガノは内枠でもう少し抑えられたらなどと思う気持ちもあったろうが、この時計では仕方ない。

人気をある意味で裏切ったサングレアルも、最後は突っ込んできた。一方で、憂鬱から脱せない2歳女王は相変わらず…。

元気があれば、何とかなる。上位勢に、前走からの大幅減の馬はおらず、重賞連勝中のヌ―ヴォは+10kgだった。

単純なもんなんだな、競馬っていうやつは。