秋華賞2017 予想

クロフネやその父フレンチデピュティ、母父にその系統の血が入ったショウナンパンドラやアパパネといった面々が、この秋華賞で数多く好走、激走をしている。

来る時は決まって高速決着の年。

春の二冠レースよりは、血統の良質さが必ずしも重要ではない以上、クロフネ×ネオユニヴァース、一族の熟成される傾向が3歳秋以降という共通した成功パターンもあり、本命視される一頭であるアエロリットは、ここを通過としてしまう可能性さえ秘めている。

直前まで、あらゆる可能性をマイナス材料から見つけ出そうとした筆者だが、強烈な決め手を持つラビットランや惜敗癖から脱却して勝負強さを見せ始めたディアドラなど、タレントは枚挙に暇がない半面、誰よりも攻撃的な競馬を自ら率先して選んでいける強みは、主戦の鞍上が底力のある馬に課す「自分の力で勝負を決める武器の選択」で、より分かりやすい先行策をすでに見出している状況では、それが最大限に発揮できるのではないのかと、容易に判断できる。

雨がどの程度降って、また当日にどういう馬場の変化が起こるかは読み切れないものの、むしろそういう天候になった方が、数々の大舞台で一般のレース以上に大胆さが際立つ横山流のスペシャルサポートは、勝機を拡大する要素になり得る。

ライバル陣営からすれば、普通の良馬場で戦いたいという気持ちだろうし、アエロリットが唯一桜花賞が道悪という懸念材料がある一方で、勝ち馬はハイペースからの好位抜け出しで、その時だけ競馬にならなかったことを踏まえれば、血統構成からして、道悪歓迎である。

ソウルスターリングの先入観が案外の結末にがっかり感を増幅させたという経験を無視してはいけないけれども、52、+18kgで長短相殺の前走は、いくらスピード能力が違ったとはいえ、まるで相手はおらずという結果だった。

良馬場でハードな好位抜け出しを何度も経験しているアエロリットの死角は、実は道悪でよりマークを掻い潜りやすくなる状況になった方が、より狭まるはずだ。

◎アエロリット

○リスグラシュー

▲ディアドラ

注リカビトス

△カワキタエンカ、ハローユニコーン、ファンディーナ、ラビットラン

相手に関しては、人気があるとかないとかは重要ではない。

レースの主導権はアエロリットが握っていて、桜花賞のようなことがあれば、一気に混沌とする展開になってしまうことが目に見えている。

そうなれば、ファンディーナやカワキタエンカにもチャンスありだろうが、ソウルスターリングとレース巧者ぶりでは双璧の本命馬である。

確実に差して来られるタイプやよくわからない魅力が秘められた上がり馬が流すべき対象だ。

勝ち味に遅いからこそ、本番の底力勝負は歓迎のリスグラシューには、長く横山騎手と切磋琢磨してきた武豊騎手の一発狙いを期待する。

相手が作る流れを理解した時の正確な動き出しとそれを正攻法で受けて立つという勝負の形は、ここ四半世紀の日本競馬を牽引してきた彼らが、何度となく大一番で繰り返してきた「正しいGⅠレースの作り方」と符合する。

中団前目か後方待機のどちらかだろうが、動きやすいのは案外追い込み策だったりするから、強烈に差し込む形を選択するのではないだろうか。