秋華賞2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着アカイトリノムスメ(8.9倍)2着ファインルージュ(5.6倍)3着アンドヴァラナウト(7.3倍)

レース名第26回 秋華賞
日程2021年10月17日(日曜)
優勝馬アカイトリノムスメ
優勝騎手戸崎圭太
勝ちタイム2:01.2
馬場
3連単配当26,410円

秋華賞2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
112アカイトリノムスメ2:01.2-
214ファインルージュ2:01.31/2
39アンドヴァラナウト2:01.41/2
45エイシンヒテン2:01.61.1/2
56スライリー2:01.7クビ
単勝12890円
複勝12260円
複勝14190円
複勝9240円
枠連6-71,330円
ワイド12-14800円
ワイド9-121,030円
ワイド9-14710円
馬連12-142,250円
馬単12-144,890円
3連複9-12-144,190円
3連単12-14-9
26,410円

秋華賞2021 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「強いアイドルホースがいましたが、最後の一冠でこの馬に乗せてもらい嬉しかったですし、勝てて良かったです。久々に乗せてもらいもう一段階上がったな!という感じを受けました。まだまだ成長すると思いますし、今後が楽しみです」

※戸崎圭太騎手(アカイトリノムスメ)

秋華賞2021 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

秋華賞2021 - 回顧

どう解釈すればいいのかを展開から読み解くと、牝馬向きの流れに加えて、スピード勝負になりづらい馬場状態に少し変化していた影響も、人気のソダシには影響したのかもしれない。

その辺りに壁があるアカイトリノムスメには、大いに味方をした。

いち早くソダシの後ろに入った福永騎手のアンドヴァラナウトもよくやったが、揉まれた経験もあるすでに春のクラシックを経験した馬たちは、4コーナーで少し膨れるシーンがあっても、それまでは完璧な前マークの絶好位だったから、まるで問題にならなかった。

一瞬、アンドヴァラナウトもあの位置であれば…、と思ったが、きっと振られてしまって、もっと前の2頭に置かれていたのかもしれない。

スピード勝負にならないという読みはみんなにはあったが、高速決着にまるでならないという勝ちタイムは面食らったところがある。

勝ちタイムの2:01.2というのは、ここ2年道悪競馬であった京都の秋華賞とも明らかに1秒余のプラス分が入った極めて平凡のタイム。

序盤が流れないのは、早々に縦長になったからだが、それは本来の動きではなかったソダシの問題とは別に、本質的に時計勝負の中距離戦に向くエース級が、このメンバーの中にはまだいなかったか、そのパフォーマンスが成長段階でちょっと難しいかのいずれかだったのかもしれない。

とはいえ、3歳牝馬に坂を二度も上る2000M戦は過酷。

大阪杯やかつてのラジオNIKKEI杯は、その後に望むもっと高い頂を目指すための最重要戦であるからして、タフな牡馬歓迎のレースである、その頃、つまり古馬になれば牝馬でもこなせるが、ソダシでも苦しいのだから…、とすれば、時計面の不満も解消できる。

と、ソダシをちょっとだけフォローしつつ、まず勝ち馬の特性を読みといういこうと思うわけだが…。

アカイトリノムスメの血統。

その父は三冠馬であり無敗達成の上、古馬タイトル4つも加えた計7冠の英雄・ディープインパクト。

母はその5年後に、今のところ史上唯一である2歳女王として、3歳シーズンも同期の牝馬戦はG1だけ3勝と圧巻の4冠を達成のアパパネ。

ディープインパクトの父はサンデーサイレンスであるが、これは1989年の米クラシック・ケンタッキーダービー、プリークネスSの二冠馬。

母父キングカメハメハは、史上初のNHKマイルCとダービー・東京優駿の変則二冠達成馬。

またその父キングマンボがフランスの2000ギニーウイナーにして、欧州圏のマイル巧者が集うセントジェームズパレスSも制して世代統一。

またその母のミエスクも、マイルの世界チャンピオンであり、日本にも多数の子孫が父系の中にも母系の肝心なところに入っている基礎繁殖牝馬となった。

言わんとするのは、ここに挙げた競走馬は日本で生まれれば、例の金子オーナーの勝負服であるということ以前に、ベストトゥベストを延々繰り返してきた分かりやすい血統構成であるという点。

レースは血統を繋ぐための審査であり、血統はまたその勝ったことのあるレースを勝つための基準を作る概念となる。

密接に繰りかえされた成功例を積み重ねた結果、非クラシック戦扱いでも、実は3歳牝馬限定戦で最も重要な役目を果たすとされる秋華賞競走のウイナーを2代続けて出したというだけで、アカイトリノムスメも立派なビッグネームにまで至った一族のエースになったと言えるわけだ。

何も説明は要らないのだから、結果も必然性がある。

ステーブルメイトのサトノレイナスがいないことは不満だろうが、結果にははっきりとした血統の根拠もあり、適性もあった。

立派の一語では片づけられない快挙だが、この血は100年経過しようとも色褪せないA級血脈になることが、この一戦で決まったと断言はできる。

いい位置につけたのもあるが、アカイトリノムスメの戸崎騎手は、掛かり気味のアールドヴィーヴルや徹底ソダシマークのアンドヴァラナウトらも見る、決め打ちではない最高の差しポジションにつけて見せた。

これで負けるのは仕方がないから、申し開きなどいくらでもできる最高の展開は、ゴールシーンまで続いた。

一度進路を変えることになったが、坂までは頑張っているアンドヴァラナウトに対し、じんわりとエンジンをかけることで魅力が現れてくるアパパネらしさを見事に披露しつつも、巧みさや底力、もちろん経験値も加えた完勝と映った。

哀れに退散のソダシとはあまり対照的であり、ソダシの好む北米血統特有の粘り合いのタフな先行残りの流れに持ち込めなかったそれとは違い、いかにも日本的な好位差しをスパートが鮮やかだった順に決めた一戦は、世代の一連のレースの中では、最も平凡に映ったものがあるが、それだけソダシを筆頭に、初G1からグイグイレースを作ってハイレベルにしていった副作用もあったのだろう。

普通のレースに展開した途端、ソダシの魅力が失せてしまい、血統だけなら大威張りで、小柄だからこそ<これは父のいいところ>自在にレースを運べる強みで、坂2度の2000はさすがに厳しかった、差しの一手に拘ったファインルージュも完封であるアカイトリノムスメは、全てにおいてこのレースの覇者に相応しい振る舞いだったように感じる。

動いていっても悪くないが、一足も二足も今までよりタフな展開を望んで勝ちに出たアンドヴァラナウトは、福永騎手だからああできるのであって、インはきっと入りたくなかった直線の進路<そういうアクション>にも見えたが、結果的にはそれも正解だった。

坂を上がり切って疲れていた。

近年で、前々走が8月という馬が、北海道組以外でクラシック最終戦等で活躍することはまずない。

十分に頑張ったのだから、これも褒めたい。

距離も再びこなしたファインルージュも前途は明るいし、何だかインを突いてきて、オルフェーヴル的な何を体得したようなスライリーも面白かった。

逃げ残って当然のエイシンヒテンも、アンドヴァラナウトがあれだけやったのだから、当然の粘り込み。

こういう馬たちを抑え込んできたソダシとサトノレイナスは、大いに立派ではあったが、順調すぎた春までの戦いを経て、また大人になる過程であたらな課題と向き合う必要が出てきた。

怪我をしたレイナスはそれを治せばいいが、まだマッチョ化していないソダシは、早くもダート馬の匂いがしてくるギブアップのレースであり、ちょっと揉まれ弱い白毛一族の死角も覗かせている。

ダートではそれは出ないが、安定して好走するわけではないのも弱点。

ここを勝てば、俄然、ドバイワールドCも大威張りで出走可能だったはずだが、そうもいかない。

速い馬の死角は必ずしも、早熟性であるとか天才的な能力の発揮とは限らないと、地味でも勝負強くそして速いソダシが、自ら戦うごとに弱点とされたものを消してきたが、もうそれでも適性の壁や血統的な限界点も見えてきたのだろう。

わざわざ、普通に設定された条件で強いアーモンドアイやジェンティルドンナ<その娘がやたらと強い>で見せ場ばかり作る必要はないアイドルに、次なる好結果を求めるならば、もう長い距離の条件でも、みんなが知っている大舞台でもないのかもしれない。

そういうことは普通のレースの方が向いているだろう秋華賞上位組に委ねて、しばらくは違う世界で旅をするといい。

休んだ方がいいかもしれないし、コーナー6つならまだわからないと、グランアレグリアもコントレイルも出てこない有馬記念に行ってもいいのだが、どういう形でダートを狙った方がいいのか、真剣に考え始める必要は間違いなくある。

キレ負けではなく、執念を失ったソダシの復権は案外難しい。

早くから活躍したのだから、三冠馬がそうであったように、狙いをもう絞っていく必要がある。

国枝栄厩舎<アーモンドアイの管理調教師>の馬に負けたのが何だか口惜しいものだが、須貝厩舎にはゴールドシップとジャスタウェイがいたのだ。

そもそも、一般的な尺度で物を捉える枠にハメた活躍など望むべくもないところに、ソダシが選ばれて入って行ったとするなら、今度は這い上がってくるソダシをやさしく見守るファンの心意気も必要であろう。

何でもスーパースターに仕立てる必要はない。

ソダシはこれから、挑戦者の立場になっていくのである。