スプリンターズステークス2014 回顧

回る男も逃げが身上の男も逃げられず、安田厩舎最古参のGⅠに縁のなかった男が、急遽乗り替わった勝浦騎手とともに先手を握った。

しかし、それぞれ自分の形ではないから、残り100M辺りからはそれら路線の牽引者たちが映像の中心で捉えられることはなく…。願わくば、中山だったなら…。

先行残りでもなければ、単純な差し追い込み競馬にもならなかった。そんな時にアグネスデジタルやアジアエクスプレスのような才能がなければ、それこそ何かきっかけのようなものがない限り、スノードラゴンのような馬がGⅠで芝レースの初勝利を決めるはずはないのだが。

どうやらそれがあったらしい。

昨秋から、今日もパートナーとして騎乗した大野騎手とこれで8戦6連対。

信頼の深さは、完璧なヴィクトリーロードの確保に繋がったような気がする。見事な差しきり勝ちだった。

レースを振り返れば、3角過ぎから一番いい手応えで外を回ってきたのが勝ったスノードラゴン。

でも、よほど彼を絡めた馬券を大量購入していない限りは、それに目が行くのはゴール寸前だったはず。

武豊なのか?いやいや、岩田がやっぱりインをついてストレイトガールだ!

いや、違った。何かが外から来そうな予感はあったが、それが何かを当てることが非常に難しいレース。

もし、コパノリチャードが完全にスタートでアウトとなった時点から、600M通過までの間で馬券を売ったとしても、恐らく大半の人は三浦皇成の初GⅠ制覇に賭けて、涙を呑む人多数だったろう。

難解な馬場状態。内が残るとかではなく、内回りコースは外に膨れすぎると立て直す間もなくロスの少なかった馬に勝たれてしまう、コース特性のポイントはそのまま。12年前も、内を回った馬だけの争いだった。

マヤノリュウジンもハナズゴールも、結局馬場のいいところに出す間にレースが終わってしまった。

短い距離の競馬なのに、色々なことが起きるのがスプリントGⅠ。

改めて、騎手と馬の相性が大切であることが証明されたレースとなった。

ちなみに、スノードラゴンの芝1200Mでのここまでの走破時計最高記録は、今年のオーシャンSでの1:09.1。

芝の左回りは、3戦全て2着。ダートは中山が合っていて、芝は左回り。

この謎、別に深く考えることもない。だって、あの極悪馬場で36秒台の脚を使って大外を伸びたGⅠ2着なのだから。

こんな日に、父アドマイヤコジーンに乗っていた後藤騎手が新潟に来ていた。ファンとしては是非とも肖りたかったところだろう。