スプリンターズステークス2022予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

スプリンターズステークスの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!
歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第56回スプリンターズステークス(G1)
グレード重賞(G1)
日程2022年10月2日(日)
発走時間15時40分
開催場所中山競馬場
距離芝1200m
コース右回り
賞金1億7,000万円
レコードタイム1:06.7

スプリンターズステークス2022 - 予想オッズ/出馬表(馬柱)/出馬予定馬の馬体/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

スプリンターズステークス2022の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11テイエムスパーダ国分 恭介牝353.042.210栗東・坂路・良(国分恭)
800m 50.5-37.1-24.8-12.8(一杯)
栗東・坂路・稍重(国分恭)
800m 54.1-39.8-25.6-12.3(馬なり)
12ジャンダルム荻野 極牡757.040.49栗東・坂路・良(荻野極)
800m 50.6-36.5-23.7-11.8(強め)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 52.7-37.9-24.5-12.0(馬なり)
23メイショウミモザ丹内 祐次牝555.0122.814栗東・CW・良(助手)
6F 83.9-67.8-52.0-36.3-11.4(強め)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 53.2-38.8-24.7-12.1(馬なり)
24ダイアトニック岩田 康誠牡757.0111.113栗東・CW・良(助手)
7F 99.4-67.1-52.8-37.7-12.0(馬なり)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 55.3-40.0-25.4-12.2(馬なり)
35エイティーンガール秋山 真一郎牝655.094211栗東・CW・良(秋山真)
4F 51.4-34.5-11.5(G前気合付)
栗東・CW・稍重(助手)
3F 37.9-11.7(馬なり)
36ナランフレグ丸田 恭介牡657.014.44美浦・南W・稍重(丸田)
5F 67.8-52.9-38.0-11.5(G前仕掛け)
美浦・南W・良(丸田)
6F 84.6-68.0-52.6-38.1-12.0(馬なり)
47ウインマーベル松山 弘平牡355.021.37美浦・南W・稍重(助手)
5F 69.7-53.4-38.1-11.9(一杯)
美浦・南W・良(助手)
5F 70.1-53.5-38.3-11.7(一杯)
48ファストフォース団野 大成牡657.0104.512-栗東・坂路・稍重(助手)
800m 54.7-38.9-25.0-12.6(馬なり)
59ナムラクレア浜中 俊牝353.03.22栗東・坂路・良(浜中)
800m 49.7-36.2-23.3-11.5(末強め)
栗東・坂路・稍重(調教師)
800m 53.0-38.0-24.3-12.0(馬なり)
510タイセイビジョン福永 祐一牡557.018.46栗東・CW・良(福永)
6F 83.6-67.6-52.2-36.9-11.3(馬なり)
栗東・CW・稍重(福永)
7F 96.4-66.5-52.1-36.7-11.5(馬なり)
611トゥラヴェスーラ鮫島 克駿牡757.035.28栗東・坂路・良(鮫島駿)
800m 51.4-37.3-24.6-12.8(一杯)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 55.9-40.3-25.2-12.2(馬なり)
612ヴェントヴォーチェ西村 淳也牡557.017.65栗東・坂路・良(助手)
800m 53.9-38.9-25.1-12.2(馬なり)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 55.5-39.9-25.5-12.0(馬なり)
713メイケイエール池添 謙一牝455.01.81-栗東・CW・稍重(池添)
4F 53.5-36.8-11.1(馬なり)
714ラヴィングアンサー菱田 裕二牡857.0309.116栗東・坂路・重(助手)
800m 55.0-39.9-25.9-12.9(馬なり)
栗東・CW・稍重(菱田)
6F 82.3-67.0-52.3-37.9-12.4(馬なり)
815シュネルマイスター横山 武史牡457.07.23美浦・南W・稍重(横山武)
6F 84.3-67.7-52.2-37.1-11.5(G前仕掛け)
美浦・南W・良(嶋田)
5F 67.9-52.4-37.4-11.5(馬なり)
816マリアズハート菊沢 一樹牝655.0181.115美浦・南W・稍重(菊沢)
6F 84.3-67.7-52.6-38.2-11.5(強め)
美浦・坂路・良(菊沢)
800m 51.2-37.8-25.1-13.0(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬4回3回2回11回20%35%45%
先行馬5回9回5回49回7.4%20.6%27.9%
差し馬9回6回7回108回6.9%11.5%16.9%
追い込み馬2回2回6回86回2.1%4.2%10.4%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠1回2回5回30回2.6%7.9%21.1%
2枠1回5回3回30回2.6%15.4%23.1%
3枠1回1回3回34回2.6%5.1%12.8%
4枠6回2回0回31回15.4%20.5%20.5%
5枠4回3回0回31回10.5%18.4%18.4%
6枠0回2回3回35回0%5%12.5%
7枠5回3回4回28回12.5%20%30%
8枠2回2回2回35回4.9%9.8%14.6%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ダイワメジャー15回22回9回100回10.3%25.3%31.5%
ロードカナロア12回7回10回78回11.2%17.8%27.1%
アドマイヤムーン8回13回12回56回9.0%23.6%37.1%
マツリダゴッホ5回2回11回59回6.5%9.1%23.4%
エイシンフラッシュ5回1回3回35回11.4%13.6%20.5%
キンシャサノキセキ4回7回8回85回3.8%10.6%18.3%
ベーカバド4回3回3回26回11.1%19.4%27.8%
ヴィクトワールピサ 4回1回1回17回17.4%21.7%26.1%
ディープインパクト4回0回3回46回7.5%7.5%13.2%
ハービンジャー4回0回1回22回14.8%14.8%18.5%
人気1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気9回3回1回7回45%60%65%
2番人気2回8回2回8回10%50%60%
3番人気4回4回1回11回20%40%45%
4番人気0回0回0回20回
0%0%0%
5番人気2回1回2回15回10%15%25%
6~9番人気1回1回9回69回1.3%2.5%13.8%
10番人気以下2回3回5回124回1.5%3.7%7.5%

スプリンターズステークス予想2022 - 過去10年のデータ傾向 

セントウルSを使ってきた高松宮記念組は、人気の割にはアテにならない

セントウルSを使ってきた馬が、ここ10年で6勝。
うち、昨年のピクシーナイトのように前走敗れていた馬の逆転、逆襲の構図が4回。
また、その中でG1を勝っていた馬とそうでない馬が二分されるという構成であるから、前走内容が重要となってきたわけでもない。
ただし、当然王道のローテであるから、高松宮記念で好走していた馬も多く出てくる。
どのようなローテだったかを具にみていくと、サマーシリーズ戦を他には使わず、プレップとしてのセントウルSという出走の形をとってきた高松宮記念組のうち、勝ったのはロードカナロアだけ。
その他は、僚友の彼に敗れたカレンチャンが2着したのみ。
振り返ると、1番人気のレシステンシアもヴィクトリアマイル経由なので、一旦王道から外れるから、これはストレイトガールともそっくりで、牝馬のレース選択の幅の広さが、逆転の流れを生むという一つのパッケージはあるものの、かなり期間が開くこともあり<中長距離戦ほどの消耗ではないから、2つくらい使う馬が大半>、ならば、高松宮記念を使わなかった、出走できない3歳馬から狙う方が適当なのだろう。
春までは1200に縁のなかったタワーオブロンドンも、夏に一気に適性がフルで出てきたキャリア形成の成功で、本番勝利に繋げている。

高松宮記念を使っていない組で来るのは、余力のあるセントウルS組ばかり

割合でいえば、サンプルが少なすぎる、レッドファルクスのみ該当する非G1出走組のCBC賞から直行の異例ローテ成功例は一旦除外。
ただ、勝ち星として記録されるから、悪くはないとできる。
ほぼ3か月というローテの隙間に、サマースプリントシリーズのレースが4つ行われ、安田記念などを使っていない限りは、そのいずれかをステップに使う。
故に、傾向というものははっきり出てくる。
特に、函館スプリントS直行組は、翌年このレースを制するストレイトガールが、不利の関係で惨敗だったところから巻き返した2着の例があるものの、この年は新潟の超トラックバイアス状態の荒れ馬場で、稍重レベルの勝ちタイムだったから例外。
そうすると、数が多すぎて絞れないセントウルS組を除くと、北九州記念にも注目なのだが、これも後述するが、あまりにも特殊な高速戦になるため、条件が付きまとう。

ただ、いずれか2戦を経ている馬が3頭好走し、それがセントウルS組。
かつ、異例の3戦を経たタワーオブロンドンも加わるとなると、締めのセントウルSでまだ活力漲る上がり目を見せた馬は、ヘロヘロの馬も多いが、勝てないまでも好走はするのだ。

強烈なスピード型を多く出す北九州記念組は、特に、G1経験が重要

通用した馬がここ10年で3度挑戦のモズスーパーフレアだけで、4歳時に2着があった後も、馬場が重すぎた5歳時は潰れたものの、昨年のラストチャレンジは5着と踏ん張った。
あとは、北九州記念の前にCBC賞も走り、なおかつ、高松宮記念の重馬場に苦しめながら、ゆっくりと復調を見せていったアウィルアウェイが、ちょうどモズが撃沈した年に3着。
要は、ピクシーナイトなども含めて、この北九州記念組が毎年好走しているのである。
ただ、好走するのには理由があって、例えば、ちょっと古いところでは2007年の極悪馬場で北九州記念出走馬がワンツーしたのだが、いずれも負けていた。
ただ、G1連対経験もあったアストンマーチャンが巻き返し、セントウルS圧勝のサンアディユがオープンキャリアそのものが年明けからという古馬だったことで、展開的がバイアスによる不利もあったが、底力の差が出てしまった。
マイルだけでなく、G1参戦という経験が糧になる典型例が、北九州記念組では顕著に表れている。
ナムラクレアはこれで、函館スプリントS組の呪縛から解き放たれる。

人気馬が勝っているイメージだが、毎年のように絡む二桁人気の馬を拾わねばならない

速い馬というよりも、強い馬が順当に来るイメージがしっかりと定着している近年のスプリンターズSでは、揉まれて何もできなかった2016年のビッグアーサーを除き、1番人気であるというだけで毎度来ている印象。
色々と不安の多いメイケイエールさんは、人気面で他の追随を許さないのだから、味方につけるのみである。
過去10年に拡大し、消えた残りの2頭について列挙すると、

  • ・2014年 ハクサンムーン<前年2着/前走セントウルS2着>

新潟開催とムラな一面などがハイペースなどの要素と混ざり、力を出し切れず惨敗

  • ・2021年 ダノンスマッシュ<前年2着/前走香港で不発から5か月ぶりの参戦>

万全の休み明けローテが暗転し、高速決着に対応しきれず、その悪い流れが香港の大事故にも引き継がれ…

古牡馬が不確定要素にまみれ、下手に実績を買われてしまった時、ムラな結果を生み出す可能性があるとできる。
そういうところで、超伏兵の30倍以上の単勝オッズが付くよくわからないキャラが、自由に走ってくる。
この枠にヴェントヴォーチェを取り込もうとしたのだが、どうもオッズは思ったほどつかないようなので…。
前走オープン特別・リステッドは2頭が好走し、内枠というファクターで引っかかった、いかにものハマった馬が近年ほどよく目立つ。

現状、くじ運次第なのであるが、大負けしていないで近走にそこそこの実績のある馬となると、普段は目立たないキーンランドC組が気になってきて、G1経験のある北九州記念組もそれなりにいて、休み明けは不安なしのレース傾向も母父ブライアンズタイムで古風なファミリーのナランフレグを絶対視できないとなった時、よりメイケイエールに偏るからこそ、逆張りするなら安田記念好走のシュネルマイスターかキーンランドC快勝のヴェントヴォーチェ。

オッズを比較すれば、まずG1未勝利馬が上に来ることはないから、軸は決まるが、穴など絞り込めるわけがない。
ただ、候補になる伏兵が近走成績などから、あまり期待できる複穴狙いの構図にフィットしないため、単穴で注目すべき中山快時計走破者のヴェントヴォーチェに狙いが絞り込まれると考えた。
今年買うなら、王道のセントウルS上位入線馬の人気落ちグループだけのようにも思う。
展開利がもしかするとあるかもしれない、前走札幌で不発のレイハリアくらいしか、穴の狙いは立たないように感じるのだが…。

スプリンターズステークス予想2022- 出走予定馬の血統/成績/タイム

中山で1:06.8というタイムを出せる馬が、弱いわけがないという理屈で絶対に買いたいヴェントヴォーチェ。

ヴェントヴォーチェの血統

謎多きタートルボウル産駒の中で、唯一のG1ウイナーであるフランス産・調教馬であるLucayanが、当地の2000ギニーを制しているのだが、北米のビッグトレーナー・ドライスデール厩舎に移って、12Fの重賞を勝っているからよくわからない。
これが母父グランドロッジを筆頭に、ずっとノーザンダンサー系をかけ続けられた馬。

日本ではヘイルトゥリーズン・サンデーサイレンスの血を取り込んで成功の馬が当然多く、母父キングカメハメハのアンデスクイーンが、唯一のダートグレード競走ウイナー<重賞3勝>ながら、これは従弟がジオグリフなので、母母父がサンデーサイレンス。
ガイアフォースの出現までコースレコードを守っていた小倉記念など重賞3勝のトリオンフも、中距離型の代表馬ながら、仕掛けのタイミングに条件が付く先行型。

難しいと最初から分かっていたタイセイビジョンは、2走目から2歳スピードレースの代表格である函館2歳Sに出てきて、快速のビアンフェに続く2着。
その時期は、デビューすらしていない今回本命のヴェントヴォーチェは、故障などもあり、今年になってようやく彼と対戦すると、快記録で圧勝したあの春雷Sで開眼を印象づけた。

こちらは若いうちに結果を出すことも多いタートルボウルの影響があまり強く出ない、非サンデーサイレンス系との組み合わせで、高速決着に完成されてからはきっちり対応する能力は、恐らく、日本ではキーンランドスワンが短距離戦線で大活躍したディスタントヴューの血を母父に持ち、あまり気付かれないところに配置されたノーザンダンサーの血の結びつきにより、北米系の総合商社的位置づけを復権させたエーピーインディのバッキバキのフルスマッシュ感がより引き出されて、完成期をひとつの条件として、多様なスプリントの展開に適応したのだろうとできる。

速さの要素は複雑なスプリンターだから、血の重さも軽さもあまり重要とはならない。
従って、完成が遅い馬ほど成長は確実にできるのだから、身体能力にも大幅な向上が期待できる。
速い馬であるからこそ、重厚な血は欲しいものだが、熟成に時間を要するとグレイソヴリン・ネヴァーベンド・シアトルスルーといった速いナスルーラの血のトリオが、より適性を際立たせる。
5歳でブレイクだからこそ、この手の血統の馬は大一番でこそ狙ってみたい。

スプリンターズステークス予想2022 - レース展開と最終予想

春雷Sの勝ち馬などまるでアテにならなかったのは、最新のトレンドに照らし合わせてみたら、もう前の話という感じになっている。
快時計決着となった今年の春雷Sで好走している馬のうち、2着と復調のサインをみせたタイセイビジョンが、高速決着頻発の小倉で2度2着。
4着で完敗のタイセイアベニールは、人気になって大コケのヴェントヴォーチェに代わり、函館スプリントSで大穴3着に食い込んできた。
最近には珍しく、春雷Sで中団ポジションにつけての好走が、ちょっとしたサインであったのかもしれない。

当のヴェントヴォーチェはというと、自信をもって夏のスプリントシリーズに挑むも、函館も新潟も出番なく、オープンへ勝ち上がった3勝クラスと同じ北海道、自身としては初でも洋芝に勝ち星があるということで挑んだ、札幌のキーンランドCで、やや外差しイメージ先行の一戦を、ルメール騎手が鮮やかな手綱でロスなく運び、斤量に有利さのあった3歳のウインマーベルをきっちり捉え切った。

今年に入り、目立つ場面で仕事をして、重賞2戦も上位人気の支持。
ただ、乗り替わりなどが多いことと、もともと順調に使えないという事情もあった馬が、人気落ちのキーンランドCでいきなり快走だから、驚きをもって捉えられた。
ただし、そこは芝向きのパワー型ノーザンダンサー系の馬である。

元々崩れることの少ない好走率の高さが、故障などもありながら、6戦での条件戦脱出という見事な戦績に反映されている。
オープンにも慣れ、生涯ここまで最高の競馬となった春雷Sは、言わずと知れたスプリンターズSと同じ中山1200Mのレース。

軽く上っ面だけチラ見した、過去14回の前後半ラップの分類では、今年の、

〔33.2-33.6→1:06.8〕

という構成は、当然最もハイレベルであると同時に、歴代で前後半のラップ差が小さい年と比しても、

〔33.9-34.3→1:08.2/ 2009年・勝ち馬:アポロフェニックス〕

〔34.4-34.0→1:08.4/ 2012年・勝ち馬:エーシンホワイティ〕

〔33.9-33.7→1:07.6/ 2016年・勝ち馬:エイシンスパルタン〕

〔33.9-33.8→1:07.7/ 2019年・勝ち馬:ビップライブリー〕

特筆すべきは、競走馬として最も体力を使うだろう、ゴール前200Mあたりでよく飛び出すレース上の最高ラップが出る場面で、序盤がある程度の流れになったのに、レース上がりでは34.1-33.4で勝った2017年のフィドゥーシアの年に次いで速い、かなり強烈な加速を見せたということ。
スプリンターズSも大いにタイムトライアルの側面があり、現レコードホルダーであるロードカナロアが4歳時初タイトルをゲットした年のレースラップが、

〔32.7-34.0→1:06.7/ 勝ち馬ロードカナロア自身の上がりは33.4秒〕

全く違う展開ながら、目標タイムを設定できる良馬場での争いと仮定した際、想定できる最後の試走が春雷Sであるのだから、春雷Sのヴェントヴォーチェの上がりは33.1秒と、ちょうどロードカナロアがレース上がりに対し、今年のヴェントヴォーチェとは0.1秒だけ上回った分だけ、勝ちタイムが速いとなる。

要するに、目標としたターゲットタイムが比肩しうるものだからこそ、完敗の2着だったタイセイビジョンが、小倉で厳しい中でも連続好走出来てきたとも言い換えられるのだ。
ほとんどおまけのキーンランドCで得た重賞タイトルは、まあ、その春雷Sの結果に対するご褒美であり、あまり極端に速い展開にならないだろうことが予測される今年、こうしたバランスラップで好記録を出したヴェントヴォーチェのような馬は、要注意であろう。

鞍上の西村淳也騎手は、これまでのJRAG1での戦績が【0・0・0・4】と、そもそもの参戦経験が乏しいものの、積極性で魅せた昨年のギベオン<金鯱賞>であるとか、気分良く小倉で走らせたベレヌス<中京記念>など、味のある立ち回りでファンをうならせている。

今年の芝1200での勝ち鞍に着目し、新馬戦を除いた過去5勝分の記録は、1度の1番人気勝利以外、全て単勝5倍以上の対抗以下評価になるだろう伏兵ばかりでの勝利。
だから、1番人気でリステッド勝ちのヴェントヴォーチェの快走の記録が、妙に目立ってくる。
既に馬の方は、人気落ちでの変わり目を見せてくれたが、果たして手が戻った西村淳也騎手とどういう冒険してくるのか。
1分8秒台中盤の持ち時計しかなかったヴェントヴォーチェに、G1級の走破タイムを図らずも体感させた鞍上が、どう運んでいくか。
ここ数走の変な出方をしなかった時、その破壊力が再び中山で披露されるのではないだろうか。
面白い伏兵の戦い方に期待したい。