スプリンターズステークス2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着ウインカーネリアン(50.0倍)2着ジューンブレア(20.2倍)3着ナムラクレア(5.7倍)
| レース名 | 第59回スプリンターズステークス |
| 日程 | 2025年9月28日 |
| 優勝馬 | ウインカーネリアン |
| 優勝騎手 | 三浦皇成 |
| 勝ちタイム | 1:06.9 |
| 馬場 | 良 |
| 3連単配当 | 1,301,150円 |
スプリンターズステークス2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
| 着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 16 | ウインカーネリアン | 1:06.9 | - |
| 2 | 13 | ジューンブレア | 1:06.9 | アタマ |
| 3 | 6 | ナムラクレア | 1:07.2 | 1.1/2 |
| 4 | 7 | サトノレーヴ | 1:07.2 | ハナ |
| 5 | 2 | ヨシノイースター | 1:07.3 | クビ |
| 単勝 | 16 | 5,000円 |
| 複勝 | 16 | 1,250円 |
| 複勝 | 13 | 540円 |
| 複勝 | 6 | 210円 |
| 枠連 | 7-8 | 3,150円 |
| ワイド | 13-16 | 14,410円 |
| ワイド | 6-16 | 5,850円 |
| ワイド | 6-13 | 2,030円 |
| 馬連 | 13-16 | 60,830円 |
| 馬単 | 16-13 | 119,920円 |
| 3連複 | 6-13-16 | 116,720円 |
| 3連単 | 16-13-6 | 1,301,150円 |
スプリンターズステークス2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「(ここまでを振り返って)長かったですね。この馬とコンビを組んできて、この馬が一番走れるリズムを知っているのは自分だと、自信を持って、枠順に関係なく、一番走れるリズムだけを考えていました。(直線の競り合いは)『頼む、カーネリアン頼む』とそれだけでした。追いながら、この馬と長くコンビを組んできてのいろいろなことが思い出されて、8歳という年齢で、チャンスも少なくなってきて、何とかここは勝たせてあげたいと思って追っていました。鹿戸厩舎で長くお世話になり、厩舎スタッフからも応援していただき、その中で大きなところ、GIには手が届いていなかったので、中央での初GIが鹿戸厩舎というのも良かった、という気持ちです。(JRAのGI騎乗127回目での初制覇について)自分でも勝てないんじゃないか、と思った時期はありましたが、逆に、127回も勝てない自分を応援して下さるオーナー、これだけたくさんのファンがいて、あきらめずに応援してくれていました。何とか気持ちに応えなければと焦っていた時期もありましたが、叶うことができてよかったです。デビューしてから18年間、自分でもこんなに長く乗っていたのだと、皆さんに感謝する一方、18年間GIには手が届いていなかったので、本当にあきらめたら終わりだと、あきらめずに頑張っていれば、こうやって周りの方が見ていてくれて、その中で、これだけの声援に応えることができたのは、騎手をやっていて一番幸せな時間ですね。これからも人馬無事に、良いパフォーマンス、そして、ファンの方がもっともっと競馬を好きになっていただけるように、僕も騎手として頑張っていければと思います。ありがとうございました」
※優勝した三浦皇成騎手のコメント(ウインカーネリアン)
スプリンターズステークス2025 - レース結果動画(YouTube)
※実況レース映像
スプリンターズステークス2025 - 回顧
ウインカーネリアンの血統
父父グラスワンダー、母父マイネルラヴ。 彼らの現役時代を知る者とすれば、たまらない血統である。 ドラマチックな何かを、決まって、中山で決めてくれるそれを、見事に体現するのが、三浦皇成騎手のお手馬というのは、出来過ぎである。 いや、そういう運命であったのかもしれない。
この配合での主だったクロスは生じないが、アウトサイダー色の強い配合は、かつて、コントレイルやサリオスなどと一緒に、強行軍で道悪の皐月賞でも明らかなオーバースペックの4着があるのだから、底知れぬポテンシャルはずっと昔からみせていた。 驚くことにこれが5年半前のレースである。 戦うごとに、そして、故障を経て強くなっていったスクリーンヒーローのような輝き。
このレースと言えば、マイネルラヴに吉田豊が乗って、武豊の人気馬が敗れるというシーンを繰り返した世紀末を挟んだドラマがあったが、このレースの2着は、渾身とは言えない逃げの手で異論を全て配した武豊騎手が乗るジューンブレアだった。 面白いもので、シーキングザパールやアグネスワールドと同じように、北米産の快速血統。 血は争えないと言われるが、ここまで来ると、武豊がとにかく持っているから、三浦皇成が勝てたのだとさえ思えた。
1:06.9で決まったスプリンターズSなのに、ジューンブレア<武豊騎手らしい強かさが光る>の逃げ脚は、もはや、どんな馬場でも速くはないだろうという33.7秒。 従って、勝ち負けに必要な末脚は最低でも33秒ちょうどの脚が求められ、その脚を最も肝心な場面で使えたのが、ウインカーネリアンだった。 あの形になって、古牡馬が負けるわけはない。 ウインカーネリアンは確かに恵まれたが、努力が実ったのだから、この時計でもあるし、文句を言われる筋合いは全くない。
ただ、妙な折り合い方をした最内枠のピューロマジックもそう。 型があるような感じも、展開に柔軟に対応するサトノレーヴになりながらも、後傾ドカン型に進化したナムラクレアに交わされたあたり、どんな名手として、この形では苦しかった。 言い訳しても構わないが、昨年は西村淳也騎手の初戴冠、今年は中央のタイトルだけは縁がなかった三浦騎手。 無心で乗っている。
結果、流れを掴むことだけを重視しながら、馬なりの競馬で序盤は運んでいるのだから、改めて、スプリントG1に作戦は重要ではないと思わされた。 昨年の牽引者は横山典弘、今年は武豊…。 レジェンドのその片方が、小さなレースの展開の作り方に苦言を呈していたとされるが、伏兵の仕事をベテラン任せにしているようでは、自らの輝きを独り占めなどできない。 上出来のルガルだけは、少しだけ前に行って勝負したいけれども、それができないというジレンマを抱えていたのか出負けをしたのも痛かった。 ただ、大物はやることが違う。 有力勢の型が決まっている連中を除いて、じっとしておけよと、輪乗りから外れて、究極の脚を使わせたダノンマッキンリーや、執念のイン追走を完遂したヨシノイースターなど、いつまでもトップレベルをキープする名手が目立ったレースは、大体が変なレースになっていることが多い。
スタートが流石にまず過ぎた本命のペアポルックスと、今度は紙一重でドボンだったヤマニンアルリフラなどは、4歳なのでいいわけも色々許されるはずだが、その他に関しては、結果が出ていないモノに関して、変な言い訳はしないでもらいたい。 超ベテランはどの一人もかけず、出来る限るの策を尽くしていた。
とはいえ、そうした展開を思わぬ苦労を強いられる騎手人生をなっていた三浦皇成騎手が制するというのは、神様は本当にユニークである。 眼鏡を愛用して四半世紀以上の筆者としては、たまにあふれ出る熱いもののせいで、2度ほど眼鏡を吹いたほどで、それは老いが…、ということ以外にも、鹿戸厩舎への移籍の経緯や度重なる大きな事故での負傷など、スクリーンヒーローを管理した鹿戸調教師も含め、一気に、そうした過去の試練、それこそ、あのホープフルSのランドオブリバティなど、因縁がこれでもかと詰まりまくっている中山で、新人最多勝記録の1番と2番の順で入線して…、競馬を愛すれば愛するほど、憎たらしいほどイケイケだった18歳<武豊騎手は17歳からキャリアスタートで、得している記録も多い>を訝しげに見ていたアンチも多かったが、今や、愛される存在である両者が、運命の場所で勝ち分けたシーンは、ハンカチ抜きには語れない。 今は暑いから、薄めのタオルもアリだ。(笑)
例えば、武豊騎手が最年少、最少キャリアでの重賞勝利記録を持っているわけではないのだが<弟君がやってくれた>、トウカイローマンで京都大賞典を制したのは当然、秋の話であるが、三浦騎手のフィススペトルは夏の函館。 無論、ルーキーイヤーに決める偉大なる記録であるが、その点でも、もうこの時点でトンデモナイ男となっていた武豊騎手に対し、パワー勝負で優勢のままなのだから、当然、レジェンドの記録は過去のものになって当然だった。 ちなみに、今村聖奈騎手の強烈な大レコードを作ったCBC賞は、この時季より少し前という記録。
誕生日が違うのだから、あまり最年少の記録は年を重ねないと意味はないが、無意味に争っている生え抜き3枚が今週は元気だったから、考えようによっては、三浦皇成騎手初JRAG1制覇のブラフは、あからさまに立っていたと思える。 今村聖奈騎手もすっかり立ち直って、自厩舎の期待の新馬でぶち抜いて見せた。
中間省略の要素があまりに詰まっている三浦皇成騎手が、これを勝ち切るに相応しいパートナーがウインカーネリアンというのも、何だか、武豊に見栄を張る意味でも、妙な価値を臭わせる。 最初にG1・スプリンターズSを制したのは、武豊騎手騎乗、武邦彦厩舎のバンブーメモリーである。 何度も沈んだ船に、色々な整備を重ねて、それでも、 気高くあるその姿は、王者に相応しいものがあった。
陰で応援していた香港のラッキースワイネスは、この地域の競馬のスタイルもあってか、ロマンチックウォリアーがその呪縛から解放されるためのアウェイの戦いを繰り返す中で、かつての中距離王・ワーザーの大幅体重減を思い出した気配。 サイレントウィットネスも安田記念で、本命のスプリント戦でなく、連勝も止まったということもあって、勇躍、秋に備えた準備もしてきたが、たしか、これだって二桁減だった。
日本馬も他人のことを言えた質ではないが<海外遠征でうまくいかないことは決まって、この手のガレすぎ問題が生じた時>、オーストラリアの競馬を凝縮して、少数精鋭の競馬を興行とする香港もまた、島国の日本のように、長距離移動に伴う飛行機での輸送を苦手とする。
国境を超えるのが当たり前で、国内移動にも飛行機を使うことがあるが、北米は当然、どの類のモノでも長い距離ではこれを移動手段にするしかない。 日本もこれを有効に活用するということをしないと、有能な運転手が乗り心地抜群の馬運車で運ばれるJRAのエリート育成に成功も、井の中の蛙となり得る 現に、シンボリルドルフも北米遠征はこれで大失敗。 最近こぞって参加する、西海岸のレースに、時代は異なるとしても、しっかりとした態勢で挑めていなかったから、野平調教師はジョッキーに対し、無理はしてくれるなと注文を付けたとされる。
今の時代、瞬間移動のようなスタイルが恒常化しているグローバルな世界観で、島国の競馬がこの有様では、むしろ、最先端を進むべきものを大きな視点で、明らかな失策の一つであると、他人の再びの失敗から学ばないと、自分たちが失敗している数では圧倒的に多いのだから、慣れを大切にしないといけない。
奇しくも、勝ち馬は8歳にして、3度目の海外遠征で、実は初の直線競馬で勝ち切る寸前までいっていた。 馬に食わせてもらっているのに、何もできていないではないか。 ウインカーネリアンとそれにかかわる人たちが教えくれる、重い事実にどう向き合っていくのか、実は、世界を牽引しかけている日本競馬には、こうした課題を多いことを弁えるべきであろう。


