高松宮記念2022【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ナランフレグ(27.8倍)2着ロータスランド(12.9倍)3着キルロード(225.8倍)

レース名第52回高松宮記念
日程2022年3月27日(日)
優勝馬ナランフレグ
優勝騎手丸田 恭介
勝ちタイム1:08.3
馬場
3連単配当2,784,560円

高松宮記念2022 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
1ナランフレグ1:08.3 -
2ロータスランド1:08.3クビ
3キルロード1:08.3ハナ
4トゥラヴェスーラ1:08.4クビ
5メイケイエール1:08.4 クビ
単勝21:08.4
複勝2660円
複勝9420円
複勝104,500円
枠連1-54,150円
ワイド2-93,490円
ワイド2-1040,170円
ワイド9-1028,390円
馬連2-913,560円
馬単2-934,720円
3連複2-9-10525,080円
3連単2-9-102,784,560円

高松宮記念2022 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「最後、直線で抜けたとき、うれしかったです。僕自身、うれしかったんですが、ファンの方に『もっと喜んでいいよ』と言ってもらって、大きくガッツポーズをしました。(馬場)全体に湿った馬場だったと思います。この馬自身、そういう馬場の経験はなかったですが、こなしてくれました。(後方からのレースは)いつものことなので、馬のリズムだけ考えてのポジション取りでした。(インを突いたのは)阪神でオープンを勝ったとき(3走前のタンザナイトS)にこなしてくれたので、自信を持ってインコースに行きました」

※優勝した丸田騎手のコメント(ナランフレグ)

高松宮記念2022 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

高松宮記念2022 - 回顧

かつて、筆者は彼をアイビスサマーダッシュ出走時に本命にした関係で、牝系をかなり深掘りしたことがある。

ただ、半兄が京王杯スプリングCで大穴の3着入線後、オープン特別3勝のインプレスウィナー<同じ宗像厩舎所属・父フサイチコンコルドと言えばその代表馬であるバランスオブゲームもこの厩舎の馬>というのでは、やや根拠に乏しい材料となるから、ここは補強しておきたい。

おじさんなら大体聞いたことはあるし、リアルタイムで見ていた人も一定数いるだろうが、ナランフレグ、インプレス兄弟の3代母に当たるミヤマビューティーは、彼女が生まれる数年前、5歳秋に完全覚醒して、3200M時代の秋の天皇賞と有馬記念を制したホウヨウボーイが半兄にいるという一族。

そのホウヨウボーイが勝った有馬記念が、前年ダービー勝ちのカツラノハイセイコとハナ差、前々年有馬優勝のカネミノブとは体半分の差という、奇しくも今年の高松宮記念と似たようなデッドヒートの一戦。

人気のメジロファントムらと力勝負を演じた有馬至上主義を通った昭和の競馬そのものだった、その直前で展開されたTTG<トウショウボーイ、テンポイント、グリーングラス・すべてグランプリウイナー>ともオールドファンの中では語り継がれる名勝負であった。

時は流れ、ドバイも日本の競馬場みたいになっている昨今、大いに渋残りの馬場で荒れた一戦を制した能力は、そのあたりの血のアシストがあってのこと。

80年代から全開であったノーザンテーストが、3代母の父であり、母母は昭和最後に芦毛時代を勃興させたタマモクロスの産駒、このレースに直仔は距離短縮初年度に盛り上げ役に甘んじた三冠馬・ナリタブライアンを送り込んだ以外、彼も含め散々というブライアンズタイムの牝駒が母に当たるという背景。

乱戦になる、時計はそれほど掛からない、それでも雨の影響は残り、昨年よりは走りやすい。

単なる道悪適性以外のものを求められると、返って、良馬場で本領発揮の馬だけでなく、道悪重賞の実績が半端にあった馬にはつらい結果になる。

血統背景からして、土着牝系の隠れ道悪公社が能力全開の際、人気馬やきらびやかな良血人気の馬などが消えるというのは、ずっと昔から続く競馬の伝統でもある。

若いファンにも、難しい結果の解釈を四苦八苦しながら、何かを得るきっかけとしてもらいたいところだ。

そのついでに、サンデーサイレンス系のダート種牡馬・ゴールドアリュールの血が、ナランフレグのスピード能力を補強したとするのが筋であろう。

インをついた丸田恭介。

やるじゃないか。

それに応えたナランフレグも素晴らしい。

菊沢一樹騎手のキルロードによるアップセットは、わずかのところでかなわなかった。

筆者以外にも京都牝馬Sの好内容に注目する穴党が多かったから、きっと、安定の好走・岩田望来騎手のロータスランドを拾うことも不可能ではない。

昨年の重馬場で行われた阪神の米子Sを独走したときは、まだ条件馬の身だった。

ロベルト系の案外な道悪適性に反し、彼女こそが真の雨乞い牝馬なのであろう。

しかしだ。

一番の勝負どころである坂を上りきったところで昨年以上の激戦になったところで、まだインにいた丸田騎手の勝負勘は、あまりにも冴えていた。

結局、最大の目標馬であるレシステンシアの後ろにいたわけだ。

理屈は簡単で、それを差せるかどうかの勝負に持ち込めば、きっと分がある。

想像以上に他の伏兵や人気馬まで含め、読み切れないレベルの変更事項満載の残り100あたりで、ついに内から抜け出す態勢が整ったとき、外から差せそうな実力者も馬ごみから上手に抜け出した人気勢もいなくなっていた。

乱戦こそ、勝負を落ち着いて見極めた上での進路取りが必要だった。

その辺り、若い望来騎手もあまり重賞で目立つほどの活躍まではできていない菊沢騎手と、重賞の戦い方を独自に見出し、短距離戦に特化した戦法を数多く重賞制覇に繋げてきた丸田騎手の経験が活きたということになる。

これまでJRA重賞は10勝弱ながら、夏によく走ったリトルゲルダや秋のダート重賞・カペラSぶっちぎりのダノンレジェンド、少し後に穴快走のソルヴェイグなど、人気馬に多く乗る騎手ではないとはいえ、やや癖のある馬場や馬を駆って、最高の結果を導くという実績が際立っている騎手でもある。

ダンスインザモアの福島記念や世紀の波乱となった七夕賞のメドウラークもインパクトでは見劣らないが、その辺りは運もあったりする。

短距離重賞で複数回穴馬を持ってくることは、条件戦ではないから難しい。

地味ながら着実に経験を積み上げ、キレ者・ナランフレグを師匠である宗像調教師から、新馬戦の時点で任せられたからこそ、外から突っ込んでくる例のアレでなくして、こうした戦法をとることができたのである。

たまには、こういう競馬を見てみたい。

ファンのささやかな願いが叶ったおかげで、多くの投資者は見返りを得られなかったわけだが、3連単を絞って当てるような人がいたら、ほかのレースはきっと的中しないであろうから、これ以上はない。

こうした一連の流れに対し、アシストする側に回った人気勢に関しては、土着の血が秘める道悪適性<特に雨上がり特有の難しい馬場状態でこそ浮き彫りになるもの>で、北米系の血を活躍の源にしているようなダート適性と表裏一体のナランフレグ、キルロードらにさえ見劣ったということだろう。

もまれて惨敗が怖くて逃げるしかないレシステンシアは、昨年はどろどろの雨馬場で、浜中騎手が道中押し上げながらという経験したことのないような競馬を外追走の中で、実力出し切りの2着だが、あのデアリングタクトに葬られた桜花賞の雨馬場も危惧されたようなスピード型。

フォーム的にはステップ幅が小さい方だから、総合力でこなせる馬場質だったはずだが、意外にも、1200は5戦目にして初の単騎先行。

1400も今は少し怪しくなった1600も総合力でこなす名牝には、突出した武器がないということが、残念ながら、顕在化したような印象を受ける。

1400巧者の限界が出てしまったような負け方ではなかったのでないのか。

ハイペースは嫌いではないが、自分で演出するジュベナイルフィリーズのような展開は、この距離では適さないのであろう。

メイケイエールとグレナディアガーズらは、キャリアや本質的なレシステンシアなどと同じような性質に加え、有利にも働く道悪の外枠スタートが、味方につけられなかった。

自身初に近い、完成期に入りかけた状態での古馬の大レース。

ただよく考えてみたら、レシステンシアにメイケイエールは先着、グレナディアガーズも大差をつけられた敗戦ではない。

いずれもがレース間隔が開いた中での参戦。

道悪の時に、案外、正攻法のローテの方がはまるというのは、昨年がイレギュラーだからこそ忘れられがちだが、この辺りはスタンダードな波乱の構図であった。

サリオスは内枠もあるが、どの馬よりものしのし走るから、最内枠も最悪、初の1200で道悪ハイペースは、ナランフレグのような徹底直線勝負型ではないので、これも苦しかった。

評価しようがない面もある一方、レシステンシアと同じくらい好気配であった以上、G1馬としてはいただけない結果。

あのタフな大阪杯も経験している以上、次に良馬場のスピード勝負で台頭がなければ、もう過去の馬になってしまう。

同期がようやく本格化しているような状況にあって、レシステンシア以上に今後はシビアに結果が求められることとなる。