2023年高松宮記念予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

高松宮記念の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第53回高松宮記念 (G1)
グレード重賞(G1)
日程2023年3月26日(日)
発走時間15時40分
開催場所中京競馬場
距離芝1200m
コース左回り
賞金1億7000万円
レコードタイム1:06.2

2023年高松宮記念予想 - 予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

高松宮記念2023の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11トゥラヴェスーラ丹内 裕次牡858.081.713栗東・坂路・良(丹内)
800m 51.9-37.2-23.7-12.0(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.8-38.1-24.2-12.0(馬なり)
12ウォーターナビレラ吉田 隼人牝456.098.914栗東・CW・良(吉田隼)
6F 81.9-66.1-51.2-36.8-11.4(強め)
栗東・CW・良(調教師)
4F 49.9-36.0-11.5(馬なり)
23キルロード和田 竜二セ858.0125.315美浦・南W・良(五十嵐雄)
6F 82.6-65.6-50.3-36.4-11.5(強め)
美浦・南W・良(五十嵐雄)
5F 66.1-50.8-36.5-11.7(馬なり)
24ダディーズビビッド秋山 真一郎牡558.065.412栗東・CW・良(秋山真)
6F 84.4-67.7-52.6-37.4-11.5(馬なり)
栗東・CW・良(助手)
6F 84.3-69.0-54.0-38.3-11.3(末強め)
35メイケイエール池添 謙一牝556.03.62栗東・CW・良(池添)
4F 47.0-34.4-11.7(末強め)
栗東・CW・良(助手)
4F 51.9-35.8-11.4(馬なり)
36ナランフレグ丸田 恭介牡758.019.78美浦・坂路・良(助手)
800m 55.0-39.9-25.9-12.7(馬なり)
美浦・南W・良(丸田)
6F 83.3-67.3-52.5-38.0-11.6(G前仕掛け)
47ヴェントヴォーチェ西村 淳也牡658.030.610栗東・坂路・良(助手)
800m 57.5-42.0-26.9-13.5(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.9-39.1-25.3-12.4(馬なり)
48ロータスランド岩田 康誠牡656.017.77栗東・CW・良(岩田康)
6F 80.5-65.5-51.7-37.2-11.3(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 50.1-36.8-24.4-12.5(馬なり)
59ディヴィナシオン松本 大輝牡658.0265.017-栗東・坂路・良(助手)
800m 51.3-37.0-24.3-12.4(一杯)
510オパールシャルム武藤 雅牝656.0257.216美浦・坂路・良(助手)
800m 52.6-39.2-26.1-13.0(馬なり)
美浦・坂路・良(助手)
800m 54.6-39.8-26.1-12.9(馬なり)
611ピクシーナイト戸崎 圭太牡558.010.85栗東・坂路・良(助手)
800m 50.3-36.6-24.0-12.1(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.8-37.9-24.2-12.0(強め)
612アグリ横山 和生牡458.04.93栗東・坂路・良(横山和)
800m 49.8-36.2-23.4-12.0(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.0-38.5-24.9-12.4(馬なり)
713ファストフォース団野 大成牡758.034.211栗東・坂路・良(小崎)
800m 50.3-36.7-23.7-11.7(一杯)
-
714トウシンマカオ鮫島 克駿牡458.09.94美浦・南W・良(鮫島駿)
6F 82.5-66.0-51.5-36.9-11.2(直一杯)
美浦・南W・良(鮫島駿)
6F 81.4-65.3-51.0-36.6-11.2(馬なり)
715ナムラクレア浜中 俊牝456.03.11栗東・CW・良(浜中)
6F 79.8-64.5-51.1-37.0-11.5(一杯)
栗東・坂路・良(調教師)
800m 53.3-38.5-24.4-12.1(馬なり)
816グレナディアガーズ岩田 望来牡558.0v28.19栗東・CW・良(調教師)
6F 82.2-66.4-51.5-36.0-11.0(馬なり)
栗東・坂路・良(調教師)
800m 52.0-37.4-23.9-11.7(馬なり)
817ボンボヤージ川須 栄彦牝656.0273.418栗東・ポリ・良(川須)
5F 61.5-48.1-36.3-12.1(馬なり)
栗東・B・良(川須)
4F (計測エラー)-11.7(馬なり)
818ウインマーベル松山 弘平牡458.011.36美浦・南W・良(松山)
6F 83.3-66.5-51.4-37.1-11.6(一杯)
美浦・南W・良(助手)
5F 68.0-52.4-37.9-11.6(G前仕掛け)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬2回0回1回17回10.0%10.0%15.0%
先行馬7回5回5回58回9.3%16.0%22.7%
差し馬10回13回13回123回6.3%14.5%22.6%
追い込み馬1回2回1回99回1.0%2.9%3.9%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠2回0回3回35回5.0%5.0%12.5%
2枠6回3回1回30回15.0%22.5%25.0%
3枠3回1回1回35回7.5%10.0%12.5%
4枠1回4回4回31回2.5%12.5%22.5%
5枠2回2回3回33回5.0%10.0%17.5%
6枠2回1回2回35回5.0%7.5%12.5%
7枠2回3回3回50回3.4%8.6%13.8%
8枠2回6回3回48回3.4%13.6%18.6%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ロードカナロア20回9回11回100回14.3%20.7%28.6%
ディープインパクト8回9回4回59回10.0%21.3%26.3%
キンシャサノキセキ6回6回4回46回9.7%19.4%25.8%
ダイワメジャー4回11回7回61回4.8%18.1%26.5%
キズナ3回4回6回33回6.5%15.2%28.3%
モーリス3回3回0回21回11.1%22.2%22.2%
オルフェーヴル3回2回1回19回12.0%20.0%24.0%
ミッキーアイル3回2回0回12回17.6%29.4%29.4%
ビッグアーサー3回0回2回14回15.8%15.8%26.3%
War Front3回0回0回1回75.0%75.0%75.0%

2023年高松宮記念予想 - 過去10年のデータ傾向

ここまでは4、5歳両世代に、大きな力量の差が出ないという傾向が出ているが…

勝ち星と2着の数では、経験値と開催時期とのかかわりで、いくらか5歳馬が戦績上は評価も上となって然るべきなのだが、出走数が絶対的に少ないわけでもない4歳勢は、どの年の記録をとっても、確率論的にはほぼ互角の戦績。

ちなみに、ここ2年はかなりの重馬場であったこともあり、6歳牡馬による勝利となっているが、香港調教馬以外では、今の時点では決してベテランとはならない6歳馬を含めても、相手にまでは来ても、速い馬がどうこうではなく、まだ若さで勢いのある4、5歳の方が圧倒的に有利。

崩れかけている傾向ではあるものの、重馬場での接戦が続いていることで、時計面のレベル低下<無論、馬場悪化による影響>が重要なレース展開のカギを握っていることを表しているデータでもあるわけだから、本来は若い馬から行きたいところ。
6歳以上同士で決まった年も、3着は若いG1馬であるミッキーアイルが食い込んできている。

牝馬が来ていることは、一旦、頭から消した方がいい

実は、ここ6年で5度も牝馬が2着になっている。
降着の影響もあって、2020年の無観客レースの際は、成績記録上はモズスーパーフレアの逃げ切りで、相手が追い込み届かずのグランアレグリアという結果に。

しかし、上記内容に絡み、この辺りも少し馬場悪化による時計面の限界値があまり重要視されない部分が、かなり平準化されたスピード能力の差となっている近年の短距離戦線における構図からも、更なる混戦に拍車をかける結果になっていることは自明。
当たり前である。G1というのに、求められる時計耐性へのスキルが、条件戦勝ち抜けに必要な水準にまで低下するのだから。

元々、最初の4年行われた5月の開催の時代と合わせて、雨の多い季節にG1を開催せねばならないという番組の影響があるから、近年で突出して時計の速い年に連対の牝馬がいないという意外な傾向からも、メイケイエールやナムラクレアなど、スプリンターズSで大いに不発に終わった面々の再挑戦にも、いくらか割り引きがいるか。
何しろ、両者とも派手な時計勝負でかっこよすぎる美形ランナーの強さを見せつけてきた手前、荒れ馬場も想定内の一戦では、様子見も重要な駆け引きポイントになってきそうだ。

関東の穴馬には要注意

勝ち馬の数は比べるまでもなく、ほとんど関西のそれなりに名の知れた相応しいG1級による勝利が大半というレースなのだが、地味に怖いのが、2019年のミスターメロディに続いた、いかにも怪しげな関東の刺客が絡んできたという、妙な展開の解釈の仕方。

簡単に言えば、関西の人気勢であるモズスーパーフレア、ダノンスマッシュの自滅<翌年前者、翌々年は後者がそれぞれこのレースを優勝で、たまたまだった面もあるのだが…>による、空白地帯発生という副作用を、かつて4歳時にこのレースを勝ったセイウンコウセイと、もはや説明不能レベルのキルロード級快走であったショウナンアンセムが過敏なまでの反応で、鮮やかな追撃好走の主要因として見せた、驚愕の大波乱の本質的理解の方法の話。

その前もナックビーナス<前後して直前オーシャンSでは4年連続2着という牝馬では聞いたことのない珍記録を生んだ名牝>だとか、言わずもがな、昨年のキルロードなど、こんなもん誰が買うんじゃ…、というウインズに詰めたおじさんたちの総ツッコミが入りそうな超高額配当の使者たちが、なぜか関東馬ばかり。
昨年はナランフレグと丸田恭介の年だったが、皆を感動させた、勝負のイン強襲が炸裂したように、何故か伸びないはずの外に出して突き抜けたセイウンコウセイだとか、こういう極端な策をとる、鞍上は兎も角、美浦所属の馬には気を付けたい。
人気がないのをいいことに…、という理論展開であれば、前走で不発のウインマーベルあたりが匂う。
トウシンマカオも同様だろう。いずれも関西所属ながら、主戦級の鞍上が連続騎乗する予定だ。

人気になった理由が、実績というよりは適性であった場合、いくらか信頼度が増す

ロードカナロア2回、ビッグアーサー、レッドファルクス、レシステンシアなどのように、短距離重賞でいつも人気になっているような馬が強い。
ロードカナロアに関しては、2012年の3着の例が11年前なので例外となるが、他の3着にヴィクトリアマイル連覇のスプリンター・ストレイトガールの、不良馬場懸命の3着なだれ込みだから、ある意味でこれも評価できる。

即ち、単純な前走の結果による、上がり目十分のように見せた好走をダイレクトに評価基準に組み込むと、秋の状態に戻せずに惨敗となった6歳時休み明けのストレイトガールのようなこともあり、ここの辺りが、人気必至のメイケイエールさんとどことなく被る面がある。
彼女も前年は当然の2番人気だったが、そこで人気だったのが、香港スプリントから直行のレシステンシア。

古馬の場合は、ステップレースを省いて、狙いをG1の中でも更に数戦に絞りこむことがある。
直行で使うしかないことと、狙い通りの休み明けとではニュアンスがあまりにも違うこともあるが、必ずしも古豪優勢ではないこのレースであるから、5歳以上の休み明けの好走への過度な期待は、ほどほどにした方がいいだろう。

2023年高松宮記念予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

G1昇格後で3例目となる親仔制覇がかかる、宿命のスピード血脈を継ぐスター候補に期待

トウシンマカオの血統

2016年の優勝馬・ビッグアーサーの初年度産駒。
また、最初のオープン競走、重賞レースの勝ち馬になったのがこのトウシンマカオ。

徐々にスピード能力を全開にしていく、晩成型のスプリンターであった父とは違い、新馬戦を勝った直後に京王杯2歳Sでの連対実績は、ここまでの全キャリアの中でも重要な意味を持ち、昨秋の京阪杯快勝の記録と合わせて、ビッグアーサーの持つ可能性とトウシンマカオという競走馬が持つ非凡な才能が同時に高く評価される結果ともなった。

血統的な特性とすれば、ウッドマンが母母父に入ることで生じるミスタープロスペクターの4×4がそれなりに目立つくらいで、父がサクラバクシンオー×キングマンボ直仔の母、母もスペシャルウィーク×前出ウッドマンがブルードメアサイアーということだから、単純なパワー型を合体した形。
母がニジンスキーの4×3を持っていて…、ということであるなら、父がノーザンダンサーのクロスを抱えつつ、その母シヤボナがエルコンドルパサーと同じ配合ということを武器として、タフな競馬を好むように見せて、実際はこのレースのレコードタイムである1:06.7で駆けた、真の快速系。

もはや、自分たちのモノにしている英国由来のナスルーラ直系・プリンスリーギフトのラインを継承する馬とすれば、どこかの代でこうしたモンスター級のスピードスターは絶対に必要。
癖のない配合であるからこそ、順調に成長していくことを計算できるようなタイプでもあるから、関東馬にしては異例の4連続オープン競走で中京以西に遠征という経験値も、まだ4歳ながら、十分に蓄えられている。
ビッグアーサーもシルクロードSでは大いに不発だったが、馬場質を味方につけ、本番では見事に変わり身を見せている。
親仔3代でのスプリントG1制覇となると、欧米などでは当然の記録となるだろうが、国内では当然初めて。
いずれ、ロードカナロアの孫もこのレースを制する日が来るだろうから、お早めに…、である。

前走は休み明けではなかったが、3連続の関西圏への輸送の上、夏の札幌からずっとコンスタントに使われてきた上で、近走続く、大外枠からの発走と斤量設定の変更による、58.5という厳しいハンデが敗因に直結。
勝ったナムラクレアとは、実質同斤の56.5という本来は微差の斤量であったはずが、コース取りが影響した勝敗でもあったが、上がりでも0.3秒、余計に突き放された計算。
客観的に見れば、完敗である。

一応、今までになく460kg台で駆けたということで、ローテーション上の不利を見込んだ、お試しのG1展望を兼ねた挑戦ともとれたわけだが、このシルクロードSに出走していた馬が、3割方を占めそうなメンバー構成である以上、京阪杯で完封していたムラ馬のファストフォースに先着を許したのは誤算ながら、昨年ここで好走のキルロードは再び沈めたとなると、同期で同じようなローテから、先に古馬G1挑戦で惜しい内容だったウインマーベルなどと、本来は力差なく、こちらもトウシンマカオと同じように、明け4歳には過酷な59を背負った経験が、ここで活かしきれる可能性がある。

いずれも関東馬であり、本番と間隔が詰まる上に中京輸送まで考えて、関東所属でもオーシャンSを使わなかった両者には、他の古馬、ロイヤルアスコットで59.5を経験したグレナディアガーズ以外が背負ったことのない58を超える斤量を背負ったことのある、それも若い馬というアドヴァンテージで、ここは一気に巻き返せるチャンス。

2023年高松宮記念予想 - レース展開と最終予想

予報もしばらくはぐずつきそうな感じもあり、とりわけ、洋芝実績のあるウインマーベル、小柄でも馬力勝負に向くトウシンマカオなどは、ミッキーアイル産駒の人気牝馬に、再び好勝負を挑めそうな条件が整っている。

また、本命に推したトウシンマカオは、本来は450kg台がベストウェイトなので、この中に入って小柄な部類に入る牡馬。
前進気勢を何とか抑え込むための川田起用が、望外の内枠有利の展開で、不利も数度あって、差し切れなかったキーンランドCにしても、また前走で、厳しい条件が揃っていながら、伸びきれなかったのは仕方ないにしても、渋とく末を伸ばしていた部分は、環境激変、古馬相手では55までしか経験していなかったことを考えて、それでも1分7秒台で走っているのだから、問題ないとも言える。

元々、新潟の外回りでデビューして、2勝目も東京のクロッカスSという馬。
実は、1400が合っているのではないのかという評価は、阪神遠征の2戦で完勝続きだったことで、むしろ、スペシャリストとしての道を突き進んでいることを証明している。

この馬は何と言っても、テスコボーイの直系。
サラ系のランドプリンスが皐月賞を制したのは1972年。
直後にキタノカチドキ<皐月賞、菊花賞等>、トウショウボーイ<皐月賞・東京、有馬記念等>→ミスターシービー<クラシック三冠>という、表の部分に出てくる名馬こそが、プリンスリーギフト系の継承者に相応しいと、90年代に入るまでは、皆が思っていたが、残念ながら、もう直系の発展に期待できるグループではなくなった。

一方で、テスコボーイの本当の傑作は、秋の天皇賞レコード勝ちのサクラユタカオーであり、その直仔が、世紀の短距離王・サクラバクシンオー。
これが初期に登場したことで、最初は薄くとも、時が経つにつれ、横に広がりを見せ、最終的に、ショウナンカンプ<高松宮記念>、グランプリボス<NHKマイルC等>、そして、トウシンマカオの父である2016年優勝のビッグアーサーと、血を継いでいけそうなタレントがしっかり揃ったのは大きい。

過度にスピード能力に特化したのは、完全突然変異のサクラバクシンオーの影響だが、本質はマイル近辺が主戦場という傾向。
その一端を、長きに亘り活躍することでその底力を大いに示すこととなったグランプリボスの存在も大きいが、順番としては、まずビッグアーサーの産駒に出番が回ってきた。

不滅のプリンスリーギフト系であり、またその大本であるナスルーラの子孫は、巧みな戦略で時にステイヤーも出しながら、主にスピード型を出すことで、その血を残してきた。
一旦は、一級戦から退いたように見えたボールドルーラーのシアトルスルー直系が、大種牡馬・Tapitの躍進により、ほぼ全ての同系が息を吹き返した。
細々とでも、何かしらの形で子孫を残し、或いは自身が種牡馬としてずっと仕事をこなしていくことで、チャンスはいずれ生まれるものだが、それを体現した数少ないこの直系の底力は侮れない。

グランプリボスがまだ2歳の年に、安田記念直前に突如目覚めたのが、あのグラスワンダーを差したエアジハードの仔・ショウワモダンであった。
3連勝で親仔制覇を果たし、そのまた後に今度は、ビッグアーサーが短いながらも天下を獲る時代が訪れた。
サンデーサイレンスもノーザンテーストも、キングマンボの名も見られれば、欧州圏の大物であったニジンスキー、サドラーズウェルズの血も組み込まれたトウシンマカオには、影なる部分を持たない、明快なコンセプトで作り出された名馬というバックボーンは既にあり、あとは結果を残せるかどうかという段階に入った。
乗れる騎手に既になっている、鮫島克駿騎手が有能な馬乗りの血筋であることを徐々に証明してきたように、人馬一体の初戴冠への期待は高まっている。