高松宮記念2025の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り
目次
高松宮記念2025の予想と最終追い切りの予想を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!
歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。
| レース名 | 第55回高松宮記念(G1) |
| グレード | 重賞(G1) |
| 日程 | 2025年3月30日(日) |
| 発走時間 | 15時40分 |
| 開催場所 | 中京競馬場 |
| 距離 | 芝1,200m |
| コース | 左回り |
| 賞金 | 1億7000万円 |
| レコードタイム | 1:06.2 |
高松宮記念2025予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)
高松宮記念2025の予想オッズと登録馬
| 枠順 | 馬番 | 出走予定馬 | 騎手 | 性齢 | 斤量 | 予想オッズ | 人気 | 1週前追い切り | 最終追い切り |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | マッドクール | 坂井 瑠星 | 牝6 | 58.0 | 7.0 | 3 | 栗東・CW・重(坂井瑠) 6F 78.9-64.1-50.0-35.5-11.1(一杯) | 栗東・坂路・良(坂井瑠) 800m 55.0-38.8-24.6-11.7(馬なり) |
| 1 | 2 | ウイングレイテスト | 松岡 正海 | 牡8 | 58.0 | 49.9 | 11 | 美浦・ウッド・重(松岡正) 5F 70.8-54.7-38.8-11.3(馬なり) | 美浦・ウッド・良(松岡正) 5F 66.7-50.4-35.9-10.8(馬なり) |
| 2 | 3 | ビッグシーザー | 北村 友一 | 牡5 | 58.0 | 18.5 | 7 | 栗東・坂路・重(北村友) 800m 51.7-36.8-24.0-12.2(末一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 51.3-37.0-24.6-12.7(馬なり) |
| 2 | 4 | トゥラヴェスーラ | 丸山 元気 | 牡10 | 58.0 | 94.1 | 17 | 栗東・坂路・重(丸山元) 800m 52.2-37.5-24.6-12.7(末強め) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 54.1-38.7-24.3-12.1(馬なり) |
| 3 | 5 | オフトレイル | 菱田 裕二 | 牡4 | 58.0 | 54.6 | 13 | 栗東・坂路・重(助手) 800m 56.8-40.9-26.5-12.8(馬なり) | 栗東・坂路・良(菱田裕) 800m 53.0-38.0-24.5-12.2(馬なり) |
| 3 | 6 | ルガル | 西村 淳也 | 牡5 | 58.0 | 8.1 | 4 | 栗東・坂路・重(西村淳) 800m 50.5-36.7-23.7-11.8(一杯) | 栗東・坂路・良(西村淳) 800m 52.0-37.5-24.3-11.8(馬なり) |
| 4 | 7 | モズメイメイ | 松若 風馬 | 牡5 | 56.0 | 84.8 | 16 | 栗東・坂路・重(松若風) 800m 50.3-36.4-23.9-12.4(末強め) | 栗東・坂路・良(松若風) 800m 51.7-37.2-24.1-12.1(馬なり) |
| 4 | 8 | カンチェンジュンガ | 武 豊 | 牡5 | 58.0 | 24.8 | 8 | 栗東・坂路・重(加藤祥) 800m 50.4-36.7-23.9-12.3(一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 49.8-36.9-24.7-12.7(馬なり) |
| 5 | 9 | キタノエクスプレス | 国分 恭介 | 牡7 | 58.0 | 53.3 | 12 | 栗東・坂路・重(国分恭) 800m 52.6-38.2-24.2-11.9(末強め) | 栗東・坂路・良(国分恭) 800m 51.6-37.6-24.3-11.9(馬なり) |
| 5 | 10 | サトノレーヴ | J.モレイラ | 牡6 | 56.0 | 4.5 | 2 | 美浦・ウッド・重(佐々木大) 6F 81.5-65.0-50.1-35.7-11.3(馬なり) | 美浦・ウッド・良(モレイラ) 4F 49.8-35.0-10.7(馬なり) |
| 6 | 11 | スズハローム | 佐々木 大輔 | 牝5 | 56.0 | 99.9 | 18 | 栗東・CW・良(助手) 5F 75.1-58.1-41.2-11.8(馬なり) | 栗東・坂路・良(佐々木大) 800m 52.9-38.2-23.8-11.8(馬なり) |
| 6 | 12 | トウシンマカオ | 横山 武史 | 牡6 | 58.0 | 8.9 | 5 | 美浦・ウッド・不良(横山武) 6F 82.2-65.7-50.9-37.1-11.5(強め) | 美浦・ウッド・良(横山武) 6F 80.5-64.3-50.2-35.9-11.0(馬なり) |
| 7 | 13 | エイシンフェンサー | 川又 賢治 | 牝5 | 56.0 | 32.4 | 10 | 栗東・CW・重(川又賢) 7F 98.4-66.9-52.1-37.2-11.3(直強め) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 53.1-38.6-25.0-12.1(馬なり) |
| 7 | 14 | ナムラクレア | C.ルメール | 牡6 | 56.0 | 3.9 | 1 | 栗東・坂路・重(ルメール) 800m 51.5-37.3-24.4-12.1(馬なり) | 栗東・坂路・良(調教師) 800m 52.8-37.4-23.4-11.7(馬なり) |
| 7 | 15 | ママコチャ | 川田 将雅 | 牡6 | 56.0 | 9.3 | 6 | 栗東・坂路・重(助手) 800m 54.2-38.9-25.0-12.4(末強め) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 53.2-38.3-24.5-12.1(末強め) |
| 8 | 16 | バルサムノート | 亀田 温心 | 牡5 | 58.0 | 58.2 | 14 | 栗東・坂路・良(助手) 800m 55.2-39.3-25.3-12.1(馬なり) | 栗東・坂路・良(亀田温) 800m 53.1-38.5-24.5-11.9(馬なり) |
| 8 | 17 | ドロップオブライト | 幸 英明 | 牡6 | 56.0 | 62.3 | 15 | 栗東・坂路・重(幸英明) 800m 50.3-36.0-23.8-12.2(強め) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 54.0-38.8-24.6-12.0(馬なり) |
| 8 | 18 | ペアポルックス | 岩田 康誠 | 牡4 | 58.0 | 26.6 | 9 | 栗東・CW・重(荻野琢) 6F 86.2-69.3-53.1-37.1-11.0(直強め) | 栗東・坂路・良(荻野琢) 800m 52.9-37.8-24.2-11.6(馬なり) |
| 脚質 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 逃げ馬 | 2回 | 0回 | 2回 | 16回 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
| 先行馬 | 7回 | 5回 | 5回 | 58回 | 9.3% | 16.0% | 22.7% |
| 差し馬 | 10回 | 14回 | 12回 | 122回 | 6.3% | 15.2% | 22.8% |
| 追い込み馬 | 1回 | 1回 | 1回 | 101回 | 1.0% | 1.9% | 2.9% |
| 枠順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1枠 | 2回 | 0回 | 4回 | 34回 | 5.0% | 5.0% | 15.0% |
| 2枠 | 5回 | 4回 | 1回 | 30回 | 12.5% | 22.5% | 25.0% |
| 3枠 | 3回 | 1回 | 1回 | 35回 | 7.5% | 10.0% | 12.5% |
| 4枠 | 1回 | 3回 | 4回 | 32回 | 2.5% | 10.0% | 20.0% |
| 5枠 | 2回 | 2回 | 4回 | 32回 | 5.0% | 10.0% | 20.0% |
| 6枠 | 2回 | 1回 | 2回 | 35回 | 5.0% | 7.5% | 12.5% |
| 7枠 | 3回 | 4回 | 2回 | 49回 | 5.2% | 12.1% | 15.5% |
| 8枠 | 2回 | 5回 | 2回 | 50回 | 3.4% | 11.9% | 15.3% |
| 種牡馬 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ロードカナロア | 22回 | 13回 | 13回 | 114回 | 13.6% | 21.6% | 29.6% |
| ディープインパクト | 8回 | 4回 | 7回 | 37回 | 14.3% | 21.4% | 33.9% |
| キンシャサノキセキ | 6回 | 11回 | 6回 | 72回 | 6.3% | 17.9% | 24.2% |
| ビッグアーサー | 5回 | 5回 | 7回 | 50回 | 7.5% | 14.9% | 25.4% |
| ダイワメジャー | 5回 | 3回 | 3回 | 46回 | 8.8% | 14.0% | 19.3% |
| モーリス | 4回 | 4回 | 0回 | 40回 | 8.3% | 16.7% | 16.7% |
| キズナ | 4回 | 3回 | 5回 | 43回 | 7.3% | 12.7% | 21.8% |
| ミッキーアイル | 4回 | 0回 | 1回 | 8回 | 30.8% | 30.8% | 38.5% |
| オルフェーヴル | 3回 | 5回 | 0回 | 24回 | 9.4% | 25.0% | 25.0% |
| War Front | 3回 | 3回 | 2回 | 9回 | 17.6% | 35.3% | 47.1% |
高松宮記念2025 - 過去10年のデータ傾向
きっと、今年も1番人気は苦しいでしょう
最後に勝ったのは、大レコードが樹立されたビッグアーサー快勝の2016年。
この馬が揉まれて、大コケしたスプリンターズSを制したレッドファルクスが主役なった翌年、本調子に戻る前の復帰戦で3着に敗れ、もっと得意だったはずの荒れ馬場のまた翌年は、今度はもううんともすんとも言わなくなってという連敗から、雨馬場開催固定モードの近5年も大外し連発。
レシステンシアなど、まるで不得意なはずの荒れ馬場で見せ場をしっかり作っていたのだから、2歳女王の奮闘には頭が下がる。
牝馬も来るし、若い馬も旺盛な古豪も当然絡む春のチャンピオンシップながら、1番人気は様々な観点から、そりゃ来るわけないわな、という必然の怪しい条件の組み合わせにより、ナムラクレアがルメール人気ながら、曰く、高松宮記念を勝ちたい<ドバイの日程と重なることが多い>ことが、パッとしない感じに仕上がっている普通のままのクリストフであると、ちょっと今年も…。
ママコチャは荒れ馬場が苦手。
早速、開幕週から雨が降った。
洋芝の高速決着がどうも得意そうなサトノレーヴが、モレイラさん効果で過剰人気なら、もっと来ない。
きっと、また負けるのである、1番人気の人馬は…。
本流の前哨戦が荒れ馬場×極荒れ馬場のトライアル仕様でどうなるか
近年、京都通常開催でも変則日程の関係で似た馬場状態になっていた中京代替でも、同じような感じの馬場状態で底力を測る競馬をしたことで、シルクロードSは大いに前哨戦として機能していたが、今年は連続開催のスペースを確保して、1か月整備に充てることで、馬場回復をしたシルクロードSだったものの、雨の影響と変なスイッチが入ったままのピューロマジックがまたアンバランスな先行をしたことで、大いに波乱。
一方、ある意味でJRAが前哨戦としての機能を取り戻すべく、あえて、荒れ馬場必至の京都最終週<通常は7、8週開催の最終週の番組>に移し、爆速競馬の阪急杯と大いに色分けをした京阪杯パート2状態のそれが、例によって、いぶかしがる陣営の思惑を反映するように、案の定の波乱。
カンチェンジュンガが弱いとも思わないが、何の適性を問われたのか不明である以上、今年のはいずれもの結果が好走要因を引き出す理由づけにならない情勢。
エイシンフェンサーと川又騎手への応援票もねじ込みたいところだが、ここで大敗だったペアポルックスのオーシャンSでの姿が本当だったと仮定した時、あまりにイレギュラーな展開だった気もする。
残念ながら、まるで買う気が起きない。
1200ということが売り物だったオーシャンSはより高速化して…
勝ち馬は振るわないが、近年で唯一の勝ち馬となったナランフレグが、連続の低速決着で連対を継続。
2着となった馬も少ないから、ロードカナロアと肉薄し、夏に使った分の差を見せつけた、逆転のセントウルSも印象に残るハクサンムーンが意地でエアロヴェロシティに食らいついた2015年以降、少し下火のムードなのだが、雨馬場にもなりやすいという相関関係からなのか、3着にエグい伏兵を送り込む、巨大爆弾生産レースとなっている。
ここ最近だとキルロード、その前がショウナンアンセム、また前年の2着だったのに人気ガタ落ちのナックビーナス。
人気がないのは関東馬だったという影響もありそうだが、アルビアーノはルメール騎乗もあって、3番人気、前走流れ合わずの5着から巻き返した3着が高速のビッグアーサーの勝った年。
高速だったオーシャンSに続いて、今年こそは晴れれば…、という妙な理屈でこの願いが通るようだと、1、2着馬は一定の格を持つ中山のスプリント重賞好走馬、それも当該実績で上位の2頭でもあり、互換性は兎も角<こちらはもっとバランスラップになりやすい>、強い2着のペアポルックスとそもそも強いG1馬であるママコチャを消す理由がまず見当たらないとなってくる。
また荒れ馬場としても、京都の荒れ馬場とコンセプトがまるで異なるから、中京の方がいくらか旧コースに由来する小回り適性も少し問われる関係で、阪神開催がなかったというところで、少々、割り引きが必要な分だけ、軽視するわけではないが、オーシャンS組優勢のスタンスで無理筋を通していく考えでいる。
その他の主要レース経由組で際立った実績を残す京都牝馬Sの消滅について考える
ナムラクレアやレッツゴードンキなどは、クラシック・桜花賞の好走馬であり、総合力を古馬になっても堅持したエース級だから、前哨戦云々など、そんなものは関係ない立場だったとはいえ、実力は認められても、格下の感は否めなかったロータスランドが、阪神変則開催の京都牝馬から連続好走。
むしろ、阪急杯と同じコースになったことで、一定の理解を求めることはできたのだが、元より、牝馬は距離が短ければ、時代に関係なく、上のクラスでも牡馬と互角という論理的解釈で説明のつく、京都牝馬Sの廃止というか、愛知杯に名前を変えて、時期も変更した上での継続により、牝馬は阪急杯として統合の京都開催ではめ込まれた前哨戦に組み込まれるところを、ステップとして選ぶことを任ぜられた初のシーズンと相成った。
これにより、暮れも京都だったことで、初の阪神ではない阪神Cが、俄然注目されることになったが、これも結局、その遠因が京都の前哨戦群の不満が残りそうな決着に繋がった部分と直結し、やはり、完全に優勢とは言い難い。
ただし、勝ったのはナムラクレア、2着もマッドクール。
ここ2年ほどのこの路線を牽引する2頭に、ママコチャや完全に迷走モードのオフトレイルもいたレースだから、実力反映という点に加え、今の状況、1200ではいくらかマッドクール優勢の流れから、差があるなら、尚良さそうなマッドクールを食い込ませ、あとは好き勝手になってくださいとした。
ルガルやトウシンマカオ、もう負けられないサトノレーヴなどの遠征からの帰国初戦組も付け加えながら、道悪実績なども考慮せねばならない近年の馬場傾向というか、天候の事情に鑑み、隙間を4歳馬に埋めてもらうべく、さすがにオフトレイルでは荷が重いから、この程度の相手関係ならば…。
実績馬の隙をつけるまたとないチャンスを得たペアポルックスの穴快走推しの根拠は、ここに全て詰まっている。
高松宮記念2025- 出走予定馬の血統/成績/タイム
このG1唯一の連覇を決めた父の背を知るベテランの絶妙な仕掛けに期待
ペアポルックスの血統
母母は謎の戦績を刻んだ、計50戦のタフネスガール・イルバチオ。
当時としては斬新な、追い込んでアイビスサマーダッシュを勝ち切ったことで、レース巧者であったカルストンライトオの調子を見極めるバロメーターとなった。
往年の西の2歳王者であるサニーシプレーの母にあたるマタティナがいるから、彼にとっては年上の従弟にあたる名種牡馬・ミルジョージとも近い関係にある。
高速馬場に良績の集中するペアポルックスは、本格化した暁に、そうした偏りの性質は消えるが、G1級でないと知れると、そのままのキャラが定着する。
こればかりは、近走成績から面白いと思わせるものがあるから、大丈夫そうに見える、雨馬場定番化の宮記念において、読み解けない重要なファクターだけに、この適性を問われると案外厳しいものがある。
前々走の内容に関しては、後述するとここは茶を濁しておく。
サンデーの同系配合で3×3は、近年というか、これから一般化のフサイチコンコルド型<ノーザンダンサー同系の同構造のクロス>となっていくはずだが、案外、欧州的なノーザンダンサーの重複が見られる割に、強く関わる配合ではないから、かえって、その強いクロスが目立つ一方、ディープインパクトの血が入った馬には是非とも加えたいリファールが薄っすら、キンシャサノキセキの母母母父の代と4×5を形成し、これもトレンドに一般化されつつある、ニックスに近い相似形が散見されるから、皆が思うより、ずっと良血の印象。
高速馬場で苦しい印象のあった1200戦におけるキンシャサノキセキのイメージは、敗れはしたものの、本格化寸前、岩田康誠騎手と挑んだ5歳時、旧コースの高速決着時に、初の1200挑戦の際に叩き出した1:07.1がベストだったように、今の性質に囚われるのは危険。
ペアポルックスは記録上、前走の内容がまさに、ファイングレインに最後捉え切られたそのレースにそっくりな負け方の様で、1分7秒台はもうこれで5度記録。
往々にして、そうした隠れた本格化こそが、荒れ馬場で本領を発揮するものだったりする。
キャリア11戦という、4歳馬にしてはタフな戦歴も魅力。
オーストラリア産で大いに成長スピードが遅かった父も、堀調教師がかなり勇気のある積極的なレース参戦を重ね、似たようなキャリアを刻み、7、8歳時にこのレースを連覇。
この根拠に勝る、有力な支持の理由は見当たらないが、見事なまでに酷似していることは、実に、逞しい光景が出てきた何よりの証左ともなっている。
高松宮記念2025 - レース展開と最終予想
G1馬に本気の走りを思い出させたような前走の内容に、筆者は自信を深めている。
名手・岩田康誠の手綱捌きが堪能できる一頭・ペアポルックスの戴冠に期待する。
ここにも有力馬として登場する昨年の勝ち馬であるマッドクールもそう。
セイウンコウセイやナランフレグ同様、この馬も重賞未勝利馬だが、皆が、フロックではないことを再び示す快走を見せてきた近年の優勝馬に続きたい。
元は松若風馬騎手にぴったりの前に行く馬だったのだが、自身が飲酒運転による制裁を受けた関係で、秋からは岩田騎手が騎乗することになった。
一見、外連味のないオーソドックスな先行タイプと映るが、小倉で連勝していた頃、松若騎手の騎乗ぶりから類推するに、明らかに、序盤と直線でのスパートに入ったところでの馬の動きが違う。
単純に言い分けるなら、前半は前進気勢が勝ったタイプだった父キンシャサノキセキ、後半に入ると今度は母を形作ったディープインパクトとイルバチオの直線スパートの能力が際立つというタイプ。
一見、それならば無敵ということになるが、言わずもがな、前に行く馬も後ろからゆっくり仕掛けるタイプ、本質は紙一重。
決まって、その馬格で行かせるべきか、しっかりと折り合いをつける訓練を重ねて、差し馬にしていくかを振り分けるもの。
ただ、その両方を兼ね備える性質であるために、前半の消耗がカギを握るタイプにも思えた。
近走で、同期のピューロマジックという桁違いの前傾ラップ愛好者と再戦した時、32秒台で彼女がグイグイ飛ばしていくと、動き出しは比較的スムーズであれば、当然前に行けるペアポルックスは、大体その後ろにつけるが、折り合いが難しいというか、相手なりに前に行ける自在性がかえって災いする格好で、見事に、3度とも先着を許している。
前々回のシルクロードSは、内枠で隣に彼女がいて、道悪で少し立ち遅れ。
おまけにこうした馬場は好まないピューロマジックが失速で、よもやの共倒れだった。
それが嘘であったかのように、クリスタルCのタイキウルフ<1994年のヒシアマゾン伝説の一節はどこかでご確認くだされ>のような前走の負け方で、完勝の流れを断ち切られた哀れさもあったのだが、強い時のペアポルックスであった以上に、そのバランスがかなり崩れていた前走の失態の直後に、よくぞここまで走ったという、正攻法の抜け出し。
中山は川田騎手への賞賛とママコチャのアイドル性に魅了された、幸せな土曜夕刻となったが、岩田騎手もペアポルックスもこれで負けたなら仕方ないというだけのこと。
力負けではあったのだが、まだバランスが悪い印象の走りで、体重減も少し気になったが、往時の逃げはもうできないテイエムスパーダの単調な33.7秒の逃げに合わせ、後半スパートのいくらか後傾となる33.4秒の自身の上がりは、迫力のママコチャにねじ込まれたようで、自分がそうした演出をしたというだけのことで、もうひと声があるなら、本番の壮行レースとして、十二分に合格点を与えられるようなものと見えた。
岩田パパとのコンビ結成の始まりは、いずれも態勢が悪い中でのスパート。
2度目となった福島のみちのくSでは、ゲートを潜って出そうになっている状態から発走したので、すぐに前を閉められたから、直線では強引に外に持ち出した。
これが前半驚異の35.1秒という超スロー。
これでも上がりの方がいくらかかかった特殊な馬場状態だったとはいえ、無理やり大外を追い上げて、あわやタッチの差まで追い詰めた4着での入線後、ペアポルックスは、まだ走りたそうに再加速しそうな雰囲気さえあった。
こういうタイプの馬には、常に、強敵がいた方がいい。
少なくとも、ハイペースよりはスローの展開、本質、自分でレースを組み立てられるから、前後半のバランスラップがぴったりというこの馬に、序盤のラップがコース形態の関係で、下り坂での序盤進行ではないことも絡み、まず32秒台の高速の展開にならず、上がりの方が極端に遅くなることもまずない高松宮記念は、ペアポルックスの能力が全開になる舞台であろう。
問題は回りだろうか。
体調も馬場状態も不安材料になるが、それは単なる自滅の要素。
ただ、高速ラップを好むような印象と小倉での実績作りに序盤で成功した関係で、中京開催は沢山あったのに、東京、新潟に適鞍がないのは仕方ないにしても、この経験が足されなかったことは、敗因にもなりうる。
がしかし、それ以外の要素で勝機をかき集めたかのような、見事なキャリア形成は、今後の飛躍を大いに約束するに十分な有望株とできる。
かれこれ、命懸けの勝負を制したレインボーラインの骨折走となった春の天皇賞から7年間、JRAはおろか、地方のビッグタイトルから見放されている岩田康誠騎手だが、妙な感じで、レジェンドたちの動きがここ最近ほど活発だったことに合わせるように、うまくかみ合わないか、かみあったところで2、3着という繰り返しだったG1戦線に向け、例年以上に、いい馬に乗せてもらっている印象がある。
この間の金鯱賞などは、主戦級の騎乗馬同士、究極の選択だったはずだが、お手馬はあくまでもホウオウビスケッツ、金杯へのスライド出走が決まる前から、騎乗できないことは見えていたが、大切なパートナーの一頭であるデシエルト<思えば、この馬のデビューからの5戦、ダービーまでの鞍上はずっと岩田パパである>の復活に大いに貢献しながら、立て直しが必要な状況が見えていたから、しっかりと組み立て直す仕事をこなし、少し普通の牝馬と違うキャラであるクイーンズウォークが、川田騎手の思惑以上に序盤か進んで行ってくれたことで、割を食う形とは、まさに中山のあれとそっくりだったが、素晴らしい仕事が出来ていた。
反対に、掛かって仕方なかったデシエルトについて、武豊騎手は改めて、岩田康誠という騎手の素晴らしさを思い知ったはずだ。
無論、あれはあれで思惑通りだったのだが、クイーンズウォーク以上に前に進もうとしすぎて、折り合うことはついになかった。
決して、負け札を引かない時期もあった岩田騎手の全盛期は、武豊騎手の怪我なども含めた低迷期と重なる。
だからこそ、福永現調教師も、戸崎もルメールも川田も…、という感じで、騎手のタイトルは次から次へと移り変わるわけだが、ほぼ最年長みたいなものの横山典弘騎手が、恐ろしいまで精度でダービー馬を爆誕させた<未完成の馬を不慮の事故から立て直す最中で大舞台に臨み、120点の競馬をする中で、いくらかお釣りも残して、成長分を取っておいたという芸当>春以降、潮目が少し変わり、若手とこの超ベテランの健闘が目立っている。
大きな仕事を立て続けにこなし、周りが見えない時期というものがあって、落ち着いてから、改めて馬作りに精を出す時のベテラン騎手ほど、大舞台で気持ちの悪い存在になる事は少なくない。
ドウデュースと共に、再び戻ってきた武豊騎手が、なぜか再び姿を見せないことがあったかと思えば、この春の中東遠征は前期を消化済み。
癖馬・ノースブリッジを駆る季節はまたやってくることを楽しみに待つ間<どうも、不思議な症状の脚部不安のようで年齢的にもリミットとのギリギリの勝負の段階に入っている>、気が合いそうな若い相棒を得た永遠のやんちゃ坊主のよく聞き取れない優勝騎手インタビューも、もうそろそろ聞きたくなった。
またG1を勝つことで、それこそ、10年前に突然この世を去った後藤騎手への想いを伝えるべく、墓参りだって行きやすくもなる。
いつもいらんことをするパパだが、当時は目立ったその手のラフプレーが、最近はあまり見られない気がする。
いいバランスで乗れる、馬乗りの天才らしさが戻っている証拠であり、そういう経緯で、ペアポルックスが気持ちよく走っているのだと考えたら、ここで推さない手はない。
場合によって、昨年のルガル同様、好機を見極めて投資したできた者だけが天国にいける、妙味のある場面の最終局面であって不思議ないからだ。
ペアポルックスは十分に、大きな舞台で活躍できる素質がある。
ママコチャを蘇らせた川田騎手の後日談として、かなり拗らせてしまった彼女とのやり取りの難しさと同じくらい、あのオーシャンSは困難を乗り越えた1勝だったと、ペアポルックスの素晴らしい走りを眼前に、一瞬負けを覚悟したとも語った、今の競馬界で最も正鵠を射た評論の出来る騎手の体感を、ここは信じたい。
岩田父の言葉だけでは、我々は理解が難しいと思います。(笑)


