宝塚記念2018 回顧

何かが起きそうな感じがしたが、サトノダイヤモンド&ルメールの自滅に始まり、キセキが流れに乗れず、まずまずの位置にいたヴィブロスも伸びきれず…。

穴党の興味は最初から伏兵探しにあった。

その中で、前走快走のストロングタイタンなり、昨年休み明けの七夕賞を快勝のゼーヴィントらと同レベル支持を受けていたミッキーロケット<和田竜二騎手>の春の天皇賞以上のスムーズなレースぶりが、究極の刺客・ワーザーの底力をわずかに上回った。

有力馬はだいたいいい位置につけていて、サイモンラムセスは快速タツゴウゲキにつつかれたこともあって、淀みない流れを作った。

先週までの馬場状態を考えずとも、力比べになることは見えていて、揉まれなければワーザーの気になる馬体重問題があったところで、彼の実力を出せれば、サトノダイヤモンドにだって肉薄する可能性はあったから、これは当然の台頭。

一方で、サトノダイヤモンドはボコッと出たことで、大阪杯の自分が乗っていなかった中での敗戦を繰り返すのを嫌がったのか、ルメール騎手は一度下げてから外を押し上げていく形をとった。

その時、勝ったミッキーロケットは好位のインにいた。

最高のスタートで、インから抜け出すのがスタイルになってきた人馬にとっては、理想的なポジション。

思えば、二年前の神戸新聞杯で接戦を演じた2頭である。

互いの成長や充実の度合い、レースへの適応力は、最初のリプレイで比較する段階にないことは明白と映った。

思えば、これもそう。

レインボーラインはその前のファインニードルなど、ジュールポレールやゴールドドリームもいる5歳世代は、サトノダイヤモンド等高水準の陣容を誇りながら、16年の有馬記念を境に、まとめて主要路線における不振が続いていた。

ヴィブロスも日本ではタイトルに縁はなし。

そういえば、ミッキーロケットはここ1年半で、重賞連対はたったの2度しかない馬である。

重賞馬であることを危うく忘れるところだったが、関西圏の重賞を中心に使われてきたミッキーロケットが、GⅠ以外で大敗することは、和田騎手騎乗ではまずなかった。

最高の競馬で、最高の結果を求める勝負の形を追求する。

いかにも、競馬を知って再成長の今の和田竜二にぴったり合ったパートナーである。

理想のポジショニングから、ある意味、サトノダイヤモンドの強引な仕掛けで前を掃除する必要のなくなったミッキーロケットが、ロスなく内から抜け出して、あっさり初タイトルを勝ち取った。

テイエムオペラオーのような競馬をすれば、サトノダイヤモンドだってもっと走れたはずだが、どうも馬というより、ルメール騎手の方がより冴えない感じの最近、危険を承知で憤死した筆者に言わせると、やるべきことができた人馬が自然に勝ったというだけのレースにしか映らなかった。

時計も出やすい条件だった先週までの馬場状態ではない。

地力で2:11.6を叩き出したのだ。それは昨年のサトノクラウンにも通じるものがある。

無理に仕掛けては…。ワーザーのボウマンの諦めの後方追走から、大外一気の2着に全てが含まれている。

目指すべきものは勝利であり、回復のための競馬をしたところで、そもそも消耗戦で余力勝負の宝塚記念は勝てない。

位置を取れなかった馬に勝利の女神が微笑まないという点で、この結果はそのまま、スイープトウショウ-ハーツクライで決まった05年の波乱の決着と瓜二つだったと言える。

余力はあったが、人馬とも自信を失いつつあり、スパイスの振り方がやや乱暴では、人気馬のレースはできない。

悲しいかな、そういうときほど、キレイに競馬した馬に勝ち運は舞い込んでくる。

宝塚記念は必ずしも実力通りに決着しないレースではあるが、どの馬にも正攻法で戦える舞台設定である点を考えた時、いつも以上に慎重に競馬をしないと、どんなに力のある馬でも勝てないのだ。

それはメイショウドトウに敗れたテイエムオペラオーがそうだった。

そこから学ぶべきは、今後を大きく展望する可能性にはあまりに乏しい内容ということ。

ワーザーも激走がたたらないことを祈るしかない。

運が左右しすぎては、GⅠで望ましい結果は生まれないものだ。