天皇賞(春)2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ワールドプレミア(5.2倍)2着ディープボンド(3.6倍)3着カレンブーケドール(7.3倍)

レース名第163回天皇賞(春)
日程2021年5月2日(日曜)
優勝馬ワールドプレミア
優勝騎手福永 祐一
勝ちタイム3:14.7(レコード)
馬場
3連単配当11,490円

天皇賞(春)2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
11ワールドプレミア3:14.7-
212ディープボンド3:14.8 3/4
33カレンブーケドール3:15.2 2
42アリストテレス3:15.2 アタマ
514ウインマリリン3:15.6 2 1/2
単勝1520円
複勝1160円
複勝12150円
複勝3200円
枠連1-6470円
ワイド1-12360円
ワイド1-3500円
ワイド3-12530円
馬連1-12940円
馬単1-122,220円
3連複1-3-122,040円
3連単1-12-311,490円

天皇賞(春)2021 - レース後コメント(騎手/厩舎

「調教である程度、特徴はつかめていた。どこから仕掛けるかというところだった。少し考えていたより早く外に出しましたけど、いい脚を使ってくれた。いい競馬だったと思います。格式の高いレースを勝つことができて光栄です」

※福永騎手のコメント(ワールドプレミア)

天皇賞(春)2021 - レース結果動画(YouTube)

天皇賞(春)2021 - 回顧

上位人気グループで消えたのは、大外枠のトラップに父同様<オルフェーヴルも大外18番枠で大敗>はまってしまったように見せ場なしのオーソリティだけ。

まだ若いが、いいところで絶好調の軌道に乗れない死角がある。

ホープフルSからずっと同じだから、何とかしないといけない。

余裕ローテだが、積極的休養を提案しておきたい。今後も長い距離で走る馬。

ワールドプレミアも長い休養があった。

成長のリズムにすっかり乗って、ワールドプレミアにとって出自の重要ポイントを成すドイツの理想形よりさらに余裕を持って作り上げた、友道流の仕上げは、ダービーを制したマカヒキ<伏兵グループでは最先着に近い8着>やワグネリアン<現在8連敗中>では成功とまではならなかったが、若葉Sで皐月賞行きの切符を得ながら、次走は思い切って、それまでもパフォーマンスにあった菊花賞を目指すべく、神戸新聞杯を選択の英断があった。

菊花賞も勝って、有馬記念も極め付きのユタカスペシャルで激走するも、今度の次走は昨秋のジャパンC。

期待をしているからこそのローテであり、いずれ訪れる、種牡馬として価値を低下させないように、最小限の消耗まで考慮した形。

同じく晩成型で、長距離戦を中心に長く活躍のシュヴァルグランもそう。

敢えて、戻ってきた武豊騎手への再度の変更ではなく、一度お願いしたものを取り下げなかった陣営の狙いは、ほぼ確実に福永祐一騎手が厩舎のトップホースに絡んでくるからに他ならない。

シュヴァルグランの姉であるヴィルシーナにも乗ったことがあるし、秋華賞やドバイターフ勝ちの妹・ヴィブロスも主戦級。

シュヴァルグランの一族とは縁はあったが、その中で、今まで以上に関係を深めたからこそ、ワグネリアンとのダービー獲りプランが完遂された経緯もある。

乗っていただくのは武豊の方だが、乗ってもらいたいと常に思う騎手になった福永のことを、とても便利にではなく、確かな結果を出せて負けた時のフォローなどを含めた騎手としての安心感を買っている友道調教師は、今までになく勝負気配であり、スパートに対する注文まで付けていたとされる。

レース生き物だから、みんなが慎重に、かつ力を出し切れるように乗るので、カレンブーケドールも好位に、アリストテレスも絶好位、ウインマリリンこそ出たなりから慎重な仕掛けだったが、これも上位に食い込んでいる。

逃げたディアスティマが、日頃の矢作調教師の始動が素晴らしいのか、テン乗りになったディアスティマの持ち味を出し切り<やや下がり調子に見えた中>、厳しい展開を演出。

序盤からついていくほど器用ではない、有力勢では最も後方にいるだろうとされたワールドプレミアは、そんな展開を味方につけつつ、ようやく、レースを楽しむ余裕は生まれてきた福永祐一騎手のシグナルに対し、最高のポジションにつけた面々を勝負所ではむしろ、少し動かすくらいの勢いで、いつもズブさを出したディープボンドらを射程圏に入れて進出。

ウインマリリン云々をとやかく言っていたが、勝負すべく相手はクリストフか<アリストテレス>、5歳のトップランナーであるカレンブーケドールかという絞り方で、きっと、ディープボンドの渋さはコントレイルに乗っていれば、手に取るように理解していただろうから、見えるところにいれば捉えられる思っていただろう。

正直、ここまで上がりが掛かるという想定ではなかったはずだが、消耗戦というより、正しい長距離G1らしい展開であったとすべきところで、筆者期待のクラシック連対の4歳2頭以外は、長距離重賞勝ちかあのJCで上位半分に入っていたスタミナ十分の有馬記念にも参戦の猛者だけ。

風もあり、雨が降ったり止んだり…。

どことなく、長くファンが願っていた天皇賞らしさが期待通りに展開されたゴールシーンで、皆が納得感を得た正しいG1の姿が戻っていた。

トレンドの牝馬も健闘の一戦。

久々の牝馬好走だったが、検討の時挙げた、ライスシャワー−メジロマックイーンで決着のレコード戦で敗走のイクノディクタス、タケノベルベットより、スタミナではなくスピード能力に魅力があった2頭は、内容はともかく、掲示板に載っている。

それがなかったメロディーレーンには、そもそも、水準級のスピード能力を繰り出す筋力が足らないのだろう。

小倉辺りで再び適鞍があればいいのだが、引退する時期も気になる5歳シーズンも、ここには出番なしでは、それが早まるかもしれない。

いい繁殖牝馬になりそうな気もするが、動向が気になる。

最後は同期同士。

テイエムオペラオーが走っていた頃、ちょうど、桜花賞を勝った福永騎手だったが、その辺りから「洋一の息子」というフレーズはとれていた気がする。

だからこそ、若くしてチャンピオン級牡馬を駆る和田騎手に対しては、頑張ってほしいという感慨以外の複雑な感情があったはず。

時を経て、ディープインパクト<2002~2019年>が生きた時間を経て、和田は孫のディープボンドで正攻法の競馬を、福永は直仔のワールドプレミアで絶妙な仕掛けで動き出す。

若き日、本当はひと世代下の和田騎手候補生と同じ場所、時間を過ごし、夢にまで見た一騎打ち。

いや、もうそんな感慨もないか。

しかし、立場がどうなったところで、この素晴らしい展開をお互いが作った展開は、まるで偶然でも何でもない。

第一、ユタカの馬と理解してもワールドプレミア騎乗依頼を取り消さなかった陣営の狙いもある。

目の前にアリストテレスの理想形だったワールドプレミアと、後ろから両方に追われる側のディープボンドは、ワールドプレミアの自在の仕掛けを受けて立ったが、理想の体になったところで、古馬になって苦しんだ父キズナと同じズブさに今回もやられた感じ。

ワールドプレミアは乗り替わりで理想の自分を取り戻したが、ディープらしさが少し残っていた勝ち馬の方が、真の意味での決戦では有利だったということか。

追う者の強み。競馬の基本である。

それは鞍上の流儀とも、とてもよく似ていた。故の叩き合いだったのだ。

この馬の全兄は、ワールドエースであり、厩舎こそ違うが、福永騎手が主戦のクラシック候補だった。

何の因果か、今は3着ではダービー出走を可能とできない青葉賞の惜敗馬に、ワールドエース産駒のレッドヴェロシティがいるというのも血縁なのだろう。

両親ともドイツの名血であり、特に、母マンデラの半弟で欧州圏のトップホースに成り上がったマンデュロ<父モンズーン/4歳時G1を3連勝>は、ヴァジラバドというドバイゴールドC<メイダン3200・G2>3連覇のフランス調教馬を出し、欧州圏でも特別長距離のカドラン賞<ロンシャン4100M・G1>も勝っているのだが、他には、ウルトラというロンシャンの2歳マイルG1勝ち馬を出していて、まるでマンデラの産駒と似たような傾向。

マンデラの父であるアカテナンゴは、軌道に乗ったあと、ドイツの中距離戦ではほぼ無敗のハンプトン直系という馬で、ジャパンC勝ちのランドも出した。

日本で厳しい時計の長距離戦も走ることは分かっている。

マンデュロにはアカテナンゴの父であるズルムーの血が入ったモンズーンという大種牡馬が、その活躍の大元になる根拠を担い、かつ血の交雑が一辺倒になった欧州圏の競馬界に、フレッシュな底力を加えた偉大さもある。

アカテナンゴは素晴らしいが、血の発展をサンデーサイレンスという全く畑違いのラインから登場のスターとの交配で、こうして代を経ることでベストマッチを体現しているのだから、地味な血統でも何でもない。

我々は幸せだ。

多様なデータを取りつつ、世界の良血に恒常的な触れ合いをできる環境など、世界広しと言えども、日本以上の国はない。