天皇賞(春)2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ヘデントール(3.1倍)2着ビザンチンドリーム(11.6倍)3着ショウナンラプンタ(9.7倍)

レース名第171回天皇賞春 (G1)
日程2025年5月4日
優勝馬ヘデントール
優勝騎手D.レーン
勝ちタイム3:14.0
馬場
3連単配当22,360円

天皇賞(春)2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
16ヘデントール3:14.0-
214ビザンチンドリーム3:14.0アタマ
38ショウナンラプンタ3:14.53
45サンライズアース3:14.82
511マイネルエンペラー3:15.01.1/4
単勝6310円
複勝6140円
複勝14290円
複勝8260円
枠連4-8900円
ワイド6-14680円
ワイド6-8630円
ワイド8-141,690円
馬連6-141,810円
馬単6-142,800円
3連複6-8-145,500円
3連単6-14-822,360円

天皇賞(春)2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「スタートも良かったですし、最初のコーナーまでをインサイドのいいところで迎えられました。前に馬もいたので折り合いもスムーズでしたね。直線でも手応え十分。外からビザンチンドリームが来ましたけど、いいファイトをしてくれました。まだ4歳ですし、体も精神状態もすごく若いので、そのへんが成長すればもっと良くなると思います」

※優勝したD.レーン騎手のコメント(ヘデントール)

天皇賞(春)2025 - レース結果動画(YouTube)

天皇賞(春)2025 - 回顧

ヘデントールの血統

ルーラーシップ×ステイゴールド。 母母はダートでの決め手勝負を得意とした、エンシェントヒルであるから、かなり癖の強い配合で、菊花賞は合っているようで、実際はどうなのかと思ったのだが、案外これが、そこまでひどい暴れ方をレースでは見せないのだから、強い個性が合わさったような組み合わせが、吉と出た格好だ。 きっと、母父がディープインパクトであるとか、長距離に合いそうなマンハッタンカフェであると、こうしたタイプには出ていないように思う。 ダート型であったところで、誰も、それを疑わなかったはずだ。
ノーザンテーストのクロスを受けて、直系に掛かるミスタープロスペクターと同じく、4×5を持つことになったが、これにより、多少の高速決着には適応可能なレベルに持っていくことができて、母系の奥に眠るリボーやボワルセルの末裔が呼び起こす、スタミナ満点であって不思議ない性質が、底力の強化に繋がっているのだろうし、長い距離ではある程度の目途が立っていたはずの血統。
ただ、この手の馬は、中距離のスピード勝負に死角のあるステイヤーではない遅い方の中長距離型なので、中山だとか阪神のグランプリに出てきて、いきなり勝ち負けというのは考えづらいタイプ。 凱旋門賞に行ってもいいが、一応、母系は北米系の底力型で、どこかで北海道の渋馬場を経験できたなら、そうした機会を活かすというのもありだろう。 どうせなら、ワープスピードでも勝負になったメルボルンCにでも行ったら、きっと面白い。 ルーラーシップもステイゴールドも、もちろん母系にしても、完全に時計が速くなりすぎない平坦馬場を好む配合だ。 欧州系ではないということも、それで証明されてしまうわけだが…。

序盤から先行勢が伏兵の仕事をしたことで、坂の上り、当然2周目に入ったレース後半からは、超ロングスパート戦を日経賞を制したマイネルエンペラーと阪神大賞典独走Vのサンライズアースとが、スタミナの限りを尽くした勝負に出たことで、奇策ではないにしても、狙った出し抜けを敢行した盾男・武豊のショウナンラプンタの捲りでも、結果としては早かったことになる。 これだけ勝っていても、早く動いて負けたレースはいくつかある。 さすがの逆襲であったが、相手が一枚上だったか。
その点で、マイネルエンペラーとサンライズアースの未来は、熱いものにもなった。 今日がライバル物語のスタート。 もっとパワーアップが期待できる4、5歳の本格派ステイヤーとして、ファンを長く楽しませてくれるだろう。 引退したばかりのディープボンドも、それを後押してくれるように、誘導馬の役目を完ぺきにこなしてくれていた。
それにしても、枠を引いた時点で、ヘデントールは程のことがない限り、相当に京都というか右回りを苦にしない限り、まず上位争い可能と思っていたのだが、サウジでキレキレだったビザンチンドリームと共に、外からの圧巻の伸び脚に、あのリスグラシューを思い起こした。 このキャロットの勝負服。 昨年は、レースに参加する前の段階かまでは不明も、人気になったドゥレッツァが熱中症で、勝負所から完全にギブアップの大ブレーキだったが、こちらは思い切って、早めスパートも、菊花賞の時のような直線スパートも予測された状況で、こうした周りの動きが、レーン騎手の勝ち運と合わさり、今週も完ぺきなG1制覇の道が、道中で確定した格好だ。
レガレイラの不振や今はまさに、同じように牝馬の活躍馬であるチェルヴィニアがそうなってしまったが、木村哲也厩舎の分厚い陣容は、イクイノックスの王道路線総取り大作戦の完全成功に対する、正当な報酬 であると同時、調教師冥利に尽きるとはいえ、難しい課題を、それこそ、あのコスタノヴァ<この翌日にかしわ記念参戦>の鞍上問題に、そもそものレース間隔の不安や距離延長への対策など、これ以外にはもっと沢山の問題解決を抱えるという悩ましい日々の中で、歓びをこうして、G1勝利の形で得られるのは、胃がキリキリする日々の中で、レース後の処置なども多忙だろうが、大変に有意義であろう。
そうなりたい調教師は、矢作師のように、世界中にアンテナを張って、いつでも狙っていきますという姿勢をとることも、今では増えてきたが、今年は北米遠征が敢え無く失敗の春となって、先週はあんなこともあったから、責任の持ち方は、それぞれのキャパの範囲に限られるのが現実なのだろう。
夏はいっぱいに使って、菊花賞まで使って、次は冬に走らせる。 ドゥレッツァは尾関厩舎であるが、厩舎に実力型がいたなら、香港にしょっちゅう刺客を送り込んできた名門。 選択肢が色々ある中で、国内のレベルを問うという、何とも情けない論評が今また増えているが、強い馬がG1を勝ってしまえば、文句を言えるものではない。 あまり得意な部類ではなかった、本当の長距離のカテゴリーに、木村哲也厩舎の大物が登場し、再びの淀の決戦で、勝ち切ったということで、また有力が2歳馬が来年以降も入ってくる。 春の競馬は、生産界も厩舎関係者にも、同じくらいの重みがある結果がもたらせる。
惜しい結果に終わったビザンチンドリームは、本当の京都が得意なようで、筆者、前哨戦の神戸新聞杯で狙って仕方ないと思ったが、本番の方が走ったので、少しびっくりしていると、斤量が60というとんでもない設定で、別枠のように扱われたサウジアラビアでも、強烈な決め手でほとんど楽勝なのだから、ロングスパートをするほかないという性格的な部分も、このコースでの圧倒的な適性で、いつでも他を圧倒できる雰囲気がある。
本当なら、ドイツの名手・シュタルケで確勝級だったはずだが、総合的なスピードを基準とした底力の求め方とすると、菊花賞の時の馬場よりも、遥かに良質な結果を求めることのできる絶好の状態で差し切れなかったのだから、いくらか、G1でこそ求められる速さに今回も見劣ったので、現状は、この着差の通りの差であろう。 何となく、京都ではこの差を埋められない気もするが、案外、早熟系も多いロベルト系の中でも、ブローンザホーンに似た晩成のそれを体現するこのビザンチンドリームには、前で消耗していた彼らとの長い戦いの序章であるという気もしないではない。
中団より前に上がったジャスティンパレスや意外とうまく全て運べていたハヤテノフクノスケなどは、自ら動き出す流れに持ち込むまではよかったが、何となく、普通にうまく乗ることに成功してしまったせいで、百戦錬磨のG1ジョッキーなどの格好の的になってしまった印象もあった。 内から抜け出すのが、本来、京都の長距離戦の早め抜け出しのセオリーなのだから、型通りに乗ったとはいえ、案外、これでは失敗に繋がる正攻法だったのかもしれない。
こんな時、下手の乗ってしまったと自分が思うことで、次につながるものである。 巧く乗ったところで、ライバルとすれば、計算通りになる。 この厳しさを知った後、大きな成果を上げた途端、鮫島克駿も岩田望来も、皆に信頼される大物騎手と認知されるのである。 まだまだ、思い切ったレースを積み重ねていきたい。 失敗ではないことの反省は実に難しいが、武豊を後ろに置くことの恐ろしさを<前を整理する動きを菊花賞でも見せていた>、G1の舞台で経験した意味は大きい。 超大物というのは、ダミアンの様に、大舞台でこそ、最高の騎乗を出来る。 東のダービージョッキーも、あり得ない競馬でトライアルの優先出走権枠を勝ち取っていた。