安田記念2016 予想

トミー・ベリー云々ではなく、そろそろモーリス久々の黒星に、一歩踏み込んだ推理、まあ、邪推の類にはなるけれど、ちょっと確度の高いところからその可能性について、改めて考えてみた。

マイルチャンピオンシップは、正直、4番人気での出走という時点で、みんな半信半疑だった一戦。

でも、オルフェーヴルがそうであったように、一定以上のファンが負けそうと思った時は、大抵勝ってしまうもの。

休み明けをモノともせず、タイキシャトルを超える、前走から約半年弱のレース間隔での勝利だった。

そう。もうその勝利の瞬間に、歴史的マイル王者であるタイキシャトルと同レベルのステージに立ったのである。

引き合いに出されるのは、歴代のマイルチャンピオンシップ勝者というよりは、世界レベルの日本馬であり、続く香港マイルの勝利も、どこか既定路線のようなところもあった。

年間無敗で締めたので、ジャスタウェイとかディープインパクトとか、何なら違うカテゴリーのロードカナロアとか同時期に厩舎にいたもう一頭の看板役者のドゥラメンテなど、過去との比較が必要とも限らない最高レベルにまで到達してしまったモーリスは、そんな人間の勝手なこじ付けをまるで無視するように、予定されていたローテではない中で、またしても香港のファンを支持者に変えてしまうような内容でチャンピオンズマイル制覇を難なく果たしてしまうのであった。

香港GⅠ経験組は、過去にはエイシンプレストンがいたくらいで、ロードカナロアも似たようなところはあったにせよ、彼の主戦場ではなかったから、フレッシュなメンツとして混戦を絶った他路線からの刺客というカテゴリーなので、類例は少ない。

エイシンプレストンも強い馬だったが、国内の主要GⅠは勝ち切れなかった。

ただし、前哨戦を使ってから春の海外GⅠに挑むケースが多いのに、遠征を経て、2戦目を安田記念とするこのローテは、穴がないことはない。

クイーンエリザベスⅡ世Cからのローテで、過去国内初戦を好走したことのある馬は、アドマイヤムーンや2着だったが秋にオールカマーを制したマイネルラクリマなど。

直前はハイレベルなレースを好走していた。

「中4週以上に厳しいのではないのか」

チャンピオンズマイルは、香港マイルが最高潮の時に挑めれば勝てるレースとは違い、日本のA級馬がどんなに順調に挑んでいっても、だいたい現地は暖かいし、向こうはシーズン末期で王者決定戦の意味合いがあるレースだから、今まではまるで勝負にならなかった。

それを勝ったモーリスは、沙田<シャティン>の馬場にフィットした馬であることを十二分に証明したけれど、あまり順調ではないのは確かだし、平均してマイルチャンピオンシップより時計が速くなる安田記念への不安が払拭されたわけではないのだ。

チャンピオンズマイルを勝って出てきた馬が、過去何度もここで好走しているのとは違い、モーリスは日本馬だから、適性云々など関係なく押さえるべきという絶対視も筋違いはないのだが、しかし、彼のマイルのベストタイムは1:32・0<15安田記念>で、当日推測される良馬場での過去5回の決着タイムは、基本的には、1分31秒台中盤。

チャンピオンズマイルとのコネクションも、香港の大物があまり日本に来なくなったせいで、どうにもこれが不確定要素となるような気がしてならない。

力はモーリスだろう。

かなりの確率でモーリスの競馬だ。

しかし、流石にもう日本の競馬に慣れてきたベリー騎手が、昨年果敢に好位につけた、結果つけることになった川田騎手の乗り方を再びするとは考えにくい。

ムーアもモレイラも中団外からの差し切りを選択した。

ディープなら勝負になるのではないだろうか。

サトノアラジン、フィエロ、リアルスティール。

ダービーもオークスも…。否、2年前は3連チャンであった。

マイナー血統の穴埋めは、主要血統の一流馬の役割と考える。

【4101】

その年のドバイデューティフリー<現ターフ>出走の日本馬の安田記念における成績である。

高松宮記念ないし、産経大阪杯の週からの参戦であれば、中間短期放牧だって挟める。

出てきたら買い。

最近、クソみそに扱き下ろしてきたリアルスティールを今更買うなんて、自分でも気が引ける部分はあるが、相手がモーリスなら何でもありだろう。(笑)

世界一強いとされる馬を負かせるのは、世界の風も肌で感じている国際派に限る。

中距離戦のような決め手を求められるような少頭数の直線勝負は、ディープの十八番である。

福永騎手は、マイル以下の競馬では、実に潔い策をとる。

案外、モーリスの後ろという手は、今回に限れば有効にも思えるし、逆ならもっと有利だろう。

モーリスが楽に走れる時計になれば、同時にキレ負けのリスクが伴う。

死角はモーリスの方が多いと考える。