スプリンターズステークス2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

スプリンターズステークス2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切りの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第58回スプリンターズステークス(G1)
グレード重賞(G1)
日程2024年9月29日(日)
発走時間15時40分
開催場所中山競馬場
距離芝1,200m
コース右回り
賞金1億7000万円
レコードタイム1:06.7

スプリンターズステークス2024予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

スプリンターズステークス2024の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11オオバンブルマイ武 豊牡458.014.67栗東・坂路・良(武豊)
800m 52.0-37.3-24.2-11.9(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.3-39.7-25.3-12.2(馬なり)
12トウシンマカオ菅原 明良牡558.08.95美浦・坂路・重(助手)
800m 54.8-39.5-25.5-12.6(馬なり)
美浦・ウッド・良(菅原明)
6F 84.4-67.4-52.7-37.8-11.6(馬なり)
23ウインマーベル松山 弘平牡558.023.410美浦・ウッド・重(助手)
5F 65.5-50.6-36.9-11.5(一杯)
美浦・ウッド・良(助手)
5F 67.3-52.4-37.6-11.5(馬なり)
24エイシンスポッターA.シュタルケ牡558.039.711栗東・坂路・良(シュタルケ)
800m 52.8-37.4-24.6-12.3(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.5-39.7-25.3-12.3(馬なり)
35ナムラクレア横山 武史牝556.07.84栗東・坂路・良(横山武)
800m 50.4-37.1-24.0-12.0(一杯)
栗東・坂路・良(調教師)
800m 53.6-38.2-24.0-11.7(馬なり)
36ママコチャ川田 将雅牝556.06.12-栗東・坂路・良(川田将)
800m 53.5-39.2-25.7-12.2(馬なり)
47マッドクール坂井 瑠星牡558.07.43栗東・CW・良(坂井瑠)
6F 82.4-66.5-51.1-35.9-10.9(一杯)
栗東・坂路・良(坂井瑠)
800m 51.9-37.4-24.6-12.3(馬なり)
48モズメイメイ国分 恭介牝456.041.713栗東・坂路・良(助手)
800m 64.8-45.5-28.7-14.0(馬なり)
栗東・坂路・良(国分恭)
800m 53.9-38.3-24.6-12.3(馬なり)
59ムゲンK.ティータンセ558.061.016--
510ピューロマジック横山 典弘牝354.020.99栗東・坂路・良(調教師)
800m 54.9-40.3-25.9-12.6(馬なり)
栗東・CW・良(調教師)
4F 55.4-39.0-11.5(馬なり)
611ダノンスコーピオン戸崎 圭太牡558.056.115栗東・坂路・良(助手)
800m 53.8-37.7-24.0-11.8(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.5-38.4-24.4-12.0(馬なり)
612サトノレーヴD.レーン牡558.03.01美浦・ウッド・重(助手)
5F 63.3-48.4-34.6-11.2(馬なり)
美浦・坂路・良(レーン)
800m 54.6-39.5-24.9-11.9(馬なり)
713ルガル西村 淳史牡458.017.98栗東・坂路・良(西村淳)
800m 50.9-36.7-23.6-11.7(末強め)
栗東・坂路・良(西村淳)
800m 53.1-38.1-24.1-11.8(馬なり)
714ビクターザウィナーJ.モレイラセ558.010.96-中山・芝・良(モレイラ)
4F 54.7-38.1-11.6(馬なり)
815ヴェントヴォーチェC.ルメール牡758.049.014栗東・坂路・良(ルメール)
800m 52.0-38.0-24.6-12.2(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.6-39.1-25.4-12.5(馬なり)
816ウイングレイテスト松岡 正海牡758.041.412美浦・ウッド・重(松岡正)
6F 81.8-66.5-51.9-36.8-10.9(G前仕掛け)
美浦・ウッド・良(松岡正)
5F 67.6-52.5-37.8-10.9(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬4回3回1回12回20.0%35.0%40.0%
先行馬6回8回5回52回8.5%19.7%26.8%
差し馬9回7回8回106回6.9%12.3%18.5%
追い込み馬1回2回6回90回1.0%3.0%9.1%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠2回2回6回30回5.0%10.0%25.0%
2枠1回5回3回31回2.5%15.0%22.5%
3枠2回1回4回33回5.0%7.5%17.5%
4枠5回3回0回32回12.5%20.0%20.0%
5枠3回4回0回32回7.7%17.9%17.9%
6枠0回1回3回36回0.0%2.5%10.0%
7枠5回2回3回30回12.5%17.5%25.0%
8枠2回2回1回36回4.9%9.8%12.2%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ロードカナロア16回14回10回113回10.5%19.6%26.1%
ダイワメジャー10回8回11回81回9.1%16.4%26.4%
アドマイヤムーン6回9回8回36回10.2%25.4%39.0%
ビッグアーサー6回2回2回42回11.5%15.4%19.2%
マツリダゴッホ5回2回8回49回7.8%10.9%23.4%
シルバーステート5回1回1回26回15.2%18.2%21.2%
モーリス4回4回1回21回13.3%26.7%30.0%
ミッキーアイル4回3回4回35回7.8%15.2%23.9%
エイシンフラッシュ4回1回2回28回11.4%14.3%20.0%
アメリカンペイトリオット4回1回2回15回18.2%22.7%31.8%

スプリンターズステークス2024 - 過去10年のデータ傾向

香港を中心とした、外国調教馬の人気度合いには十分な注意を払っておきたい

1番人気馬は3年続けて、現在連外しを連ねているのだが、これが混戦が一般化している日本の短距離戦線の中で、このレースとしてはタイレコードのマイナスデータ。

前回に関しては、香港の馬とシンガポールのスターが人気になって、やや不発という結果であったのが原因でもあるのが、中では、香港調教馬のウルトラファンタジーも勝ち切っているから、結局、香港でいつも通りにまるで歯が立たないという状況に戻ったという雰囲気になっている日本の受けきる底力の不足にこそ、問題の本質が隠されているということ。

人気を背負うことで、自由な選択を奪われるという心理的要因を騎手や陣営に与えつつ、馬自体が、それに耐えきれるだけの柔軟な対応ができないからこそ、走り切れないことや頑張っても上まで届かないというようなことが起きる。

香港には速い馬が沢山いて、一時期よりは戦力は回復して、目下充実一途。

必ずしも、当地のエースではないビクターザウィナーに、ウルトラファンタジーの再来というべきムゲンの出現は、人気馬に大いなる圧となるが、1番人気に応えたのは、サイレントウィットネスやテイクオーバーターゲットなど、真のエース級で、且つ日本で走った経験のある馬だけ。

サトノレーヴやママコチャでも少し怪しいが、騎手の変更で影響が出そうなビクターザウィナー、ナムラクレアらへの支持の度合いが、大きなウェイトを占める可能性が大いにあるから、ここから狙いを決めるならば、動向はしっかりと注視すべきだろう。

長いものに巻かれろ状態の正攻法トライアル組たるセントウルS参戦のグループは、能力で押さえるべき

連対したのは、2021年の1、2着が入れ替わった時と、2018年の着順そのまま継続のパターンに、G1で1番人気経験の3頭。

セントウルSに至るまでの実績に、過不足のない能力の証明が、少なからず、全体票の中で戦前から評価を受けて、そのこと自体には応えきれなかったメンツもいたところで、結局、早計な評価だったというだけのことだから、力を出せる条件で踏ん張り切ったりだとか、実力や勢いそのままで来たという話。

重賞連対実績のなかった馬がここから本番まで捉える勢いをもって、更には、他の人気馬を破ってという下克上の構図は、まず想定されない。

あのビリーヴ斬りのデュランダルも、その女王が出ていたセントウルSの3着馬。

人気だから買えるということもないが、この辺り、オッズに妙味を感じさせる組の取捨選択で、しっかりとしたスタンスでの買い目を押さえるべき組だろう。

混戦だったこともあり、1番人気大敗のピューロマジックまで含めて、上位3頭も当然押さえて、別のレースとなる時には、人気が集まりすぎたものをレース直前に修正されて、それでも大敗ではなかったダノンスコーピオンの本当の意味での叩き一変へ期待する一本釣りが面白い。

普段、着外グループは来ないが、1番人気は4倍くらいのオッズだったので、コースが変わるのだから、当然、ここからジョーカーを探すのも悪手ではない。

本当のところ、データほどは強い馬は多くないと思えるキーンランドC出走馬

やけに3着が多い。

レッドオーヴァル、ウキヨノカゼ、ソルヴェイグなどの意外な洋芝巧者に加え、エース級の人気馬・ダノンスマッシュと昨年のナムラクレアが入る。

両タイプいるのだから、どう狙ってもいいが、人気になって得なことはない。

後二者はいずれも1番人気である。

サトノレーヴはモレイラ替わりでも連勝継続だから本物だが、1番人気だったグループとも似た傾向。

ただ、カレンチャンはこれを乗り越えて、重賞4連勝でここも捉えた<ロケットマンが消えた2011年>のだから、レーン継続濃厚ながら、まだ不透明な面もある鞍上の問題も絡み、不安はデータ上にもあるとしておく。

どうせなら、スノードラゴン的な逆襲に期待であり、負けたエイシンスポッターからナムラクレアまでの間に、必ず好走馬が出てくるという読みがあっていい。

騎手が威勢のいい乗り手多めのところにきて、継続騎乗のオオバンブルマイにも期待したいが、どこまで前に行けるかわからない。

先にもう少し前に行けるようになったことを証明のエイシンスポッターには、完敗の前走だったからこそ、中山での末脚炸裂に期待が集まる。

上位組の中では偏った平坦巧者のようで、高速の中山で好走実績もあるから、その他とも大差ない。

適性を証明済みのサトノレーヴと、ここの点でガチンコの勝負になる。

ルガルを切るのもなんだから…、が通用して不思議ないほど、直行ローテは絶対数そのものが少ない

要するに、主だったところではミッキーアイルが連続2着に入った時以外、まず存在しないという希少ローテ。

だいたい、短いところを使う馬というのは、今の時代も、立て続けに走らせることが当たり前なので、何かしら不都合が生じてしまったという証拠にもなってくる。

ルガルも名誉の負傷という感じで休養を挟む格好となったが、何を隠そう、高松宮記念では堂々1番人気だった。

ピューロマジックのように馬鹿げたスピードでズンズン進んでしまうほど、クレイジーなスピードスターではないものの、今季初戦のシルクロードは、この路線の有力馬であるアグリを置き去りにし、実績の違いに対し、斤量差わずか半分の恩恵で大差に等しい、直線だけの3馬身差リードでゴール。

無論、継続騎乗の西村淳也騎手への期待を考えたら、微修正と叩き台の狙いは隠し持つ中でも、来年の高松宮記念、スプリンターズSだけでなく、十分に海外遠征に耐えられるだけのポテンシャルがあることも証明するためには、一定レベルの内容が求められる。

速い馬というイメージはまだないが、連続好走中の確変真っただ中である同期モズメイメイと、本質的に能力面で大差はない。

春の時点のイメージなら、同等評価が望ましい。

スプリンターズステークス2024- 出走予定馬の血統/成績/タイム

父の果たせなかった国内G1制覇が、意外な場面で叶ってこそ、この馬の仔であることの証明が果たせたと思えてくる

エイシンスポッターの血統

遠い親戚に、ジャパンCで1番人気に推されたユーザーフレンドリー<1992年、優勝馬はトウカイテイオー、自身は凱旋門賞で初黒星を喫するまで主要レースを中心に6連勝>がいるものの、そのような雰囲気をこの馬から感じさせるほどのものはなく、ただ、英愛血統らしく、サドラーズウェルズとデインヒルが、母にとっての祖父であるということくらいで、本質からして中身が違う。

でも、不良馬場の鞍馬Sで鋭く反応して勝ち切った能力の片りんは、父が曲がりなりにも、道悪のフランスG1・イスパーン賞を勝ったところと合わせ、間違いなく、そうした異様な状況への対応力があったという根拠くらいにはなる。

問題は、どこの距離に適性があるにしても、そうではない、日本の高速馬場への体力がどの程度のモノなのかを、G1級なのかというフィルターを通じ、解釈をしていく段階に入って、推せる材料が果たして見つかるのかという話。

G3で2着1回、2度の3着があるくらいで、実績では他に全く歯が立たないので、モレイラさん要素以外の何かが欲しいところなのだが、よくよく思い返すと、サドラーズウェルズをそのおじであるヌレイエフに置き換えて、ストームキャットの血を持つディープインパクト直系と考えた時、この路線で真っ先に思い浮かぶのが、このレースにも実績があり、ナムラクレアを今年も送り込んだミッキーアイル。

カロの血を父が抱え、母系にはミルリーフの奥にリュティエが入る。

コジーンの血筋や気まぐれ名マイラーだったダイタクヘリオスを経たダイタクヤマトの活躍を振り返れば、近年ほど、サドラーズウェルズ=フェアリーキングとデインヒルの血のミックスが、必ず、短距離路線のスタンダードになっているという中で、ナムラクレアとも大差ない組み合わせ。

2019年の持ち込み馬と北米産馬の組み合わせで決まった前後は、日本のスタンダードな血統であるサンデーサイレンスの血を含む馬が、昨年さえも3着に食い込んできたので、直系の勝利は今回制すると5度目ながら、珍しいということはない。

決めきることに適さない何か不穏なものを抱えるディープ系の短距離型は、主力の大半を集めた5歳世代の中から、出世頭も出てくる気がする。

なかなか、我々でも呑み込み切れないような大騒動の後、本当の意味での事が起きてしまったのだから、キーンランドCでの乗り替わりは仕方なかったにしても、エイシンスポッターのキャリアを振り返ることは、在りし日の角田大河騎手<享年21>を再評価する、格好の映像資料ともなっている。

手が空いているときには、是非とも、エイシンスポッターが勝ったレースを見てもらいたい。

何故、関係者の評価がすこぶる良かったのかが、手に取るようによくわかる。

ただ、エイシンスポッターはまだこれからの馬。

58にも、急坂のあるコースにも課題があるし、何より、スタートの死角は何にも増して大きく戦績の不安定さに直結する主要因にもなっている。

がしかし、最初から主戦が馬込みを突き抜けてくるようなセッティングをすることで、前に壁を作るシーンを直線の中で迎えたとて、ある程度のことには対応できるようになってきた。

モレイラ騎手がその辺りを踏まえ、自慢の操作能力をフルに活かし、正攻法に近い内からの抜け出しを図ったが、少しだけ、サトノレーヴの決め手に屈していたような部分もある。

昨年も出てきたが、極端ではないにせよ、何故か渋っているような馬場状態であって、その中でのバランスラップに近いスロー基調の展開は、若い人馬には苦しい展開にもなった。

それ以外は、何かしらの言い訳もできる敗戦が、オープンでは多い。

ここで、しっかりと教え込んできた出来るだけ普通の競馬に対応できるようにしようと、満を持して、結果的にはたまたまの超前傾ラップで、夏前期開催になった北九州記念において、大河騎手は、今まで以上に馬を叱咤して、動かそうとしていた。

今まではそこに至る過程に、直線でのフォームのバランスを保つという末脚爆発の必要絶対条件があったが、果敢に馬込みを、それも最も混雑するところを抜け出そうというところで、完全な不可抗力である内から外へ押し出される馬の登場で、唯一通れたコースをカットされ、何度も進路を変えて踏み直すことになった影響で、9着に沈んだ。

何となく、これがモレイラ騎手にとてもいいヒントを与えたようなところもあって、もう少し常識的なラップのキーンランドCは、ほぼ好位抜け出しにも近いインからの追撃だった。

これがやりたかったが、バテる馬が多すぎた。

直線で内へと進路を変えて、難しいところからでも抜け出すテクニックを人馬とも鍛えてきたところで、2度目のG1に挑むことになったが、ここでも通用する可能性を見出したと言えるのが、3走前の京都・安土城S。

明らかに、ペースに対して無理に自分の型にハメこんでいるようなところもあったが、その前にマイルを使って、いくらか終いが鈍ったという背景も影響した。

1400とはいえ、超高速に近い京都のリステッドで、かなり間が抜けているレベルの3F通過36.0秒は、差し馬にはもちろん、オープン馬であるからこそ、超A級でもない限り、最後にハイラップを重ねることが得意ではないだろう短距離型先行馬にも厳しいレースにもなった。

結果、四苦八苦しながらも、自身上がり32.5秒でまとめ、強引に前を捉え切った。

中盤以降の終いまでの4Fは、45.0秒である。

前半のラップに換算すると、この1400ではハイラップのバランスで、これはこれで厳しい超後傾ラップ。

上位勢は皆差し馬ばかりで、いずれもが32秒台の上がりを記録。

よく考えたら、あのモズアスコットも似たようなレースをして、差し切れなかったが、安田記念とフェブラリーSを勝っている。

日本には非根幹距離のスプリントタイトルはJBCスプリントしかないので、これまであまり縁のなかった1400で勝ち切った。

メンバー中最も厳しいとはいえ、実績からは妥当な57.5で差し切りというのは、必ずしも好材料にはならないものの、これにより、G1級のスピード能力の一端を示せたとできる。

何しろ、超スローのほぼ最後方から、何度か進路変更をしながら、最後はもう一つギアを上げて、しっかりと伸びてきたのだ。

スプリンターズステークス2024 - レース展開と最終予想

1200での行き詰まり感と同時に、いくらか軽さだけではない部分が出てきて、かつ、古馬オープンにおける番組の数の問題と合わせ、スプリンターズS敗戦後は、そのレースまで3走続けて、少し長いところを使ってきたが、同時に共通の結論を導き出したのだろう。

北九州記念参戦は、言わば、阿吽の呼吸のようなところがあった。

これまで目立っていた、見た目とは違う3、4コーナーの位置取りの大きさに対し、ここ2走は中位につけての直線であるから、必然的に上がりのタイムは平凡になっている。

ただ、安土城S優勝の評価基準としてあげたいのが、当然の話にしても、1200での全5勝はバランスラップに近い前傾から、小倉で挙げた2勝目の安定した超前傾での好走実績であり、これまでのモノとは一線を画す。

みんなが似たようなラップを終いで使った昨年のオーシャンSは、末脚炸裂ではなかったが、オープン入り初戦では上々の3着で、全体上がりの5位。

スプリンターズSでは、超高速とは言えないところに来て、中山ではバランスラップに近い前後半差2秒以内の総合力勝負で、味気ない上がり2位の大敗を喫したものの、どうしたって、結果的には逃げているだろうピューロマジックが登場。

上がりが掛かったとしても、道悪になりかねない予報も出ているとはいっても、1分9秒台の不良馬場決着が通常のこのレース。

平成以降でG2時代も含め、1分10秒台は一度もない。

不良の京都で、元が高速だったことでバランスのとれたラップで走れた1:09.9という鞍馬Sの記録は、平坦巧者の証明のようで、実際は、底力溢れるチャンピオン級スプリンターの可能性を示す、まさに能力の指標であろうと思う。

見た目よりはいつも前にいて、ロスなく回ってくることを期待されてきたが、そのスキルも発揮しつつ、今回はある程度抑えて仕掛けを待つはず。

そうした条件が整っているところに来て、空模様がしばらく怪しいという予報の通りに、中山の馬場に変化が起きれば、差し馬に味方して不思議ない。

前哨戦のセントウルSも、前週の台風による影響で、荒れ馬場になっていた。

そこでの出走各馬は皆、今回もチャンスありで、人気のピューロマジックも、その先にある安全地帯を知る男をゲットして、ゾーンに入った時の恐ろしさもあるから、壮絶な前残りもあるので、プランBだろう普通の競馬でも、それはハイラップが必然として、差し馬が相変わらず有利。

もっとハイセンスなキレイな競馬を得意とするサトノレーヴと、馬場はどうあれ、結局は差すしかないオオバンブルマイにばかりを奪われず、全体には高松宮記念上半分の組に、前哨戦からの変わり身に期待の2頭を軸とした穴狙いをしてきたい。

香港勢はまずまず、力そのものでは上位のはずだが、案外、道悪では脆かったりもする。

オーストラリア遠征も経験した欧州産のロマンチックウォリアーならまだしも、良馬場ハイペースか時計の出やすいバランスラップになった時、ビクターザウィナーの能力も前回だろうが、ピューロマジックを中心ににぎわう先行勢は、エース級ではない彼には少しタフな展開になり得る。

それをこなし切ってしまったり、何かしら展開が向いてしまえば、もうごめんなさいであるが、なまじ、日本の競馬で楽な展開を経験してしまった馬だけに、鞍上が危険を察知したとて、差し馬に生まれ変わるとも思えず、ここはワイドで流す余裕があれば…、という程度の扱いに手控えたい。