2020年チャンピオンズカップ【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着チュウワウィザード(13.3倍)2着ゴールドドリーム(9.9倍)3着インティ(57.5倍)

レース名第21回 チャンピオンズカップ (gi)
日程2020年12月6日(日)
優勝馬チュウワウィザード
優勝騎手戸崎 圭太
勝ちタイム1:49.3
馬場
3連単配当206,940円

チャンピオンズカップ2020 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
111チュウワウィザード1:49.3 -
22ゴールドドリーム1:49.7 2 1/2
313インティ1:49.7 クビ
415クリソベリル1:49.9 3/4
512モズアスコット1:50.0 3/4
単勝111,330円
複勝11320円
複勝2390円
複勝131,490円
枠連1-63,040円
ワイド2-11770円
ワイド11-133,970円
ワイド2-133,740円
馬連2-114,010円
馬単11-211,170円
3連複2-11-1335,310円
3連単11-2-13206,940円

チャンピオンズカップ2020 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「馬の状態が非常に良かったし、レースでも目標のクリソベリルがちょうど前にいてマークすることができた。追ってしぶといですし力を出してくれて、馬の力で勝つことができました」

戸崎圭太騎手のコメント(チュウワウィザード)

チャンピオンズカップ2020 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

チャンピオンズカップ2020 - 回顧

出が甘かったインティの最後の失速は仕方ないとして、道中スムーズに見えたクリソベリルは

様々存在した王者に対する死角のようなものが全て出てしまった感じで、掛かったこともプラス体重も、それほどまでに大きな問題には思えなかったのだが、ついに、自分の型ではなかったインティさえも捕まえきれず。

流れはともかく、持ち味が出せなかった感じの先行勢に対し、叩いてより良化するキングカメハメハ産駒らしい弾け方で、チュウワウィザードが久々の美酒を堪能するのであった。

こんなに速い時計で走れるのかと、1:49.3の勝ちタイムを見てびっくりしたが、昨年のこのレース4着時の走破タイムは1:48.8であって、いかにもタフな浦和、川崎で大威張りのスターではなかった。

結果的に、昨年のチュウワウィザードのローテをそのまま今年のクリソベリルに当てはめれば

それと全く同じになったと考えてみても、たとえ、経験のある馬が多い南関東の競馬場でJBCをしたところで、勝ち切るというのは、アドヴァンテージを出せない要素であると、最強王者が証明してしまったのであった。

チュウワウィザードにあっさりと置いていかれてしまうとは…。

厳しい掟は、無敗の三冠馬に受け継がれる伝統とよく似た構図でもある。

クリソベリルの敗因の一つに、パッとしない調教の内容と同じくらいに、外枠の経験はあっても、何かのスイッチが入ったヨシオに無駄に圧をかけられるような形で、まるで自分のリズムを取れなくなってしまったものが、結局は、サウジアラビアでも揉まれて怪しい結果に終わったそれと同じで、意図しないところで邪魔な動きをする馬がいると、対応できないというキャリアの死角がどうしても付きまとうというものが、ダート戦線だからこそ、決定的なダメージになってしまう可能性を常に孕んでいると言える点が挙げられる。

地方に行って、どこで走ってもいつも同じ位置につけられるから、自分が動けない時はあっても、最終的にはねじ伏せることができる。

ところが、わけのわからない存在であったヨシオのような男と、終始、誰かの後ろにつけて競馬をすることを宿命づけられているようなチュウワウィザードは、マイペースを守れる、いつもの自分で居続けられる条件でなくなった時、途端に危険分子へと変貌するのである。

南関東出身ながら、まるで中央のダートタイトルに縁のなかった、最初は牝馬の戸崎だった名手は、自身の生き方にも影響を与えるような昨秋の浦和での大事故を経て、更に大きくなって帰ってきた。

道中の動きなどを見ていても、直線に入るまではほとんど、クリソベリルに負けるために走っているような、クリソベリルのキックバックをまともに受けるような追走だったのに、直線ではむしろ、追われ慣れていないクリソベリルに今度は自分が砂を浴びせるようにあっさり抜け出していた。

マークの対象以前に、リスペクトすべき相手という心意気というか、何とかするにはこうするしかないという割り切りが、無敵艦隊のクリソベリル&川田の戦闘意欲を奪った格好。

スマートに見せる好漢・戸崎圭太騎手に、どういうわけだか、春の復帰からはどことなく泥臭さが備わってきたと思っていた。

経験もあるだろうが、真の勝負師というのは、型に拘るよりもっと重要な「勝つための勝負」に不可欠となる判断力と裏をかく技術の研鑽が、日々しっかりと調教から小さなレースもメインレースでも、しっかりとできているかが、こういう舞台で判然としてくるもので、昨日はダメでも…、という切り替えも大事。

筆者、前日は自信の◎戸崎騎手のシルヴァンシャーを推しながら、鞍上も言うように、馬場の質が彼に全く合わなかったような後半の失速に、陣営と同じくらいに嘆いていた。

ところが、こういう堅実なんだけど、もうひとつ何かが足らない中堅に、こういうアプローチで良さを引き出したのだから、なんだかうれしい。

インティ狙いで大外しの筆者とて、こういう競馬を見たいという願望が叶っただけ、先週のアレと同じくらいに面白味を堪能したのである。

勝負の綾は常に、人気馬の動きで全てが一変する。

陣営の立て直しと同じくらいに、チュウワウィザードの充実の競走生活が、この結果に繋がったように思う。

たまにはいいことがあるものだ。

実力を示したのは、チュウワウィザードだけではない。

途中からレースの趣が変化した中で、再びゴールドドリームが伸びてきた姿を捉えた時は、びっくりだった。

思い出が多いのはフェブラリーSだって同じくらいのはずなのに、これでこの馬の3歳時からの参戦の結果は、

3歳 12着<ミルコ・デムーロ>

4歳 1着<ライアン・ムーア>

5歳 回避

6歳 2着<クリストフ・ルメール>

7歳 2着<和田竜二>

もはや、関心の域など超えている。

これでなおなつ、毎年のように地方ではタイトルを得ていた。

今年はうまくいかないことは多かったが、十分である。

ミルコでも翌年はフェブラリーSを勝っているのだから、優しい平田調教師でも、こんなに頼もしい馬を預かって、最高の出会いでなかっただろうか。

はっきり言って、この馬は流れに乗っていたわけではないと思う。

それもまた素晴らしい。

中京で自分を取り戻しかけたインティは、鞍上の見事な抜け出しの判断もあったが、今回は外枠が良かった面もある。

出ないものを無理に行かせようとしない武豊流であるから、序盤はいかなかったが、エアアルマスが行くようではさすがに邪魔くらいはしないといけない。

ダートでもタフな展開に自ら持ち込む松山騎手だけに、無理ではない位置取りだったが、筆者の期待よりは、まだまだ本領発揮の段階まで戻っていなかったか。

それでも、パンパンの筋肉に張りのようなものから、自信は取り戻しているだろう。さて、次はどこに行こうか。

カフェファラオに関しては…。

ルメールに責任を負わせるのも、彼の能力を否定するのも違う。

適性を判断する前に、脚質もまだ確定していない。

クリソベリルでも昨年は厳しい戦いになっていた。辛い思いすらしたことのない、この手のスピードランナーの扱いは、大型のクリソベリル一つとってみても、こういう結果になってしまうのだから、難しいのは当然。

そもそも、日本の中で彼の走りやすいコースなど、雨が降らない限りは皆無に等しいくらいに少ないはずだ。

お馴染みのファンシミン系で、とりあえず、毎回頑張るけど、過剰に人気を集めたり、自分が率先して頑張らないといけないハイクラスの競馬で脆いというか、勝負弱いところがどうしてもある。

ただし、自分の流れに持ち込んだ時、こういう少し評価落ちの場面で圧倒的に強いのもファンシミン系。

名手とのコンビネーションが、この系統の名馬物語についてくるが、何となく、そういうイメージで物を見た時、戸崎圭太という存在は、彼には味方したのように思う。

わがままというほどではないが、自分に合わせてくれそうなタイプが合っていて、去年の福永騎手だって、うまく抜け出せなかっただけで、最後は突っ込んできていた。

母にかかるノーザンテーストのクロスからも伺える、丁寧に騎手が仕事をしてあげると結果を残してくれるタイプの良さは、もっと主要血統<リーディングサイアー争いの意>がバラつくような時代に入った時、最も威力を発揮する。

そういう時代に適した牝系から、またスターが登場したことになる。