皐月賞2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着ミュージアムマイル(10.6倍)2着アクロワデュノール(1.5倍)3着マスカレードボール(13.7倍)
レース名 | 第85回皐月賞 |
日程 | 2025年4月20日 |
優勝馬 | ミュージアムマイル |
優勝騎手 | J.モレイラ |
勝ちタイム | 1:57.0 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 22,670円 |
皐月賞2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 11 | ミュージアムマイル | 1:57.0 | - |
2 | 10 | クロワデュノール | 1:57.3 | 1.1/2 |
3 | 6 | マスカレードボール | 1:57.3 | クビ |
4 | 5 | ジョバンニ | 1:57.4 | 1/2 |
5 | 16 | サトノシャイニング | 1:57.4 | アタマ |
単勝 | 11 | 1,060円 |
複勝 | 11 | 200円 |
複勝 | 10 | 110円 |
複勝 | 6 | 280円 |
枠連 | 5-6 | 700円 |
ワイド | 10-11 | 280円 |
ワイド | 6-11 | 1,280円 |
ワイド | 6-10 | 490円 |
馬連 | 10-11 | 680円 |
馬単 | 11-10 | 2,470円 |
3連複 | 6-10-11 | 2,730円 |
3連単 | 11-10-6 | 22,670円 |
皐月賞2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「本当にいい馬です。道中はスムーズにいかない場面がありましたが、最後は素晴らしい脚で跳ね返してくれました。厩舎の皆さんが本当によく仕上げてくれて、今日は馬の具合が良かったです。パドックでまたがった瞬間から力強さを感じました。本当にいい馬です。素晴らしい馬ですが、特別な馬になるかもしれません。距離は延びても問題ないと思います」
※優勝したJ.モレイラ騎手のコメント(ミュージアムマイル)
皐月賞2025 - レース結果動画(YouTube)
※実況レース映像
皐月賞2025 - 回顧
ミュージアルマイルの血統
晩成型というよりも、気難しさが大いなる欠点となってきたロイコン系の牡馬が、ついに、モレイラ様の力を借りて、大きな勲章を手に入れた。 シンコウラブリイ<ロイコンの孫、彼女の母であるハッピートレイルズはミュージアルマイルから見ると4代母にあたる>がクラシックを走る3歳の季節が1992年に訪れたことを思えば、モレイラがクラシックレースをバンバン制し、外国産馬がクラシック出走NGだった時代と比して、いかに古いかが、よくわかる。
父はこのレースで4位入線、5着へ降着になったリオンディーズ。 ダービーは大人しく乗って5着だったが、ミルコ・デムーロ騎手を大いに悩ませた一頭でもあった。 ダービーを走って、次はなかったリオンディーズは、全く同じようなキャリアを残した芝オークス日、米制覇の偉業を成した、あのシーザリオの仔。 弟は皐月賞好時計勝ちのサートゥルナーリアであり、一族の大ボスは、色々な意味でワイルドなエピファネイア<高速レースで2着というのは、まるでクロワデュノールとそっくり>である。
クラシック戦線で、サートゥルナーリアの仔がまだ本領発揮ならない段階で、こうして、同じキングカメハメハの血を持つリオンディーズの産駒が、因縁の強風時の開催となった皐月賞を制する。 モレイラ騎手の技量を求めるまでもなく、あの時マイル戦を使ったということが…。 リオンディーズは2000の新馬を勝った後に、マイルの朝日杯を選択し、弥生賞までは通用したのだが、その先を見せたミュージアルマイルに、シーザリオの血を持つ後継者としての、大いなる資質の証明となったこの一戦の価値は、極めて重要な意味を持つ。 もしも、あのイクイノックスがジオグリフに敗れた図式と同じような展開が待ち受けていたとすれば…。
勝ちタイムの1:57.0は、昨年の超前傾、3番手以降には、前後半のバランスラップを耐え抜く厳しい展開に等しい大レコード<当時のコースレコードでもあった>を凌ぐタイムであったものの、極めて、本格派の中距離型には問題なくこなせるだろう、順当な平均ラップを刻んだ前半を上回る、典型の後傾ラップ。 近年の皐月賞では、あまり多くなかったが、断然人気のクロワデュノールが完璧なレース運びをしたものだから、全体が、ファウストラーゼン待ちの展開であり、そこまで織り込んだ、18人の騎手の思惑とすると、どこにも破綻が生じなかったようにも思えた。
ところが、雨予報もあった週末の馬場が、いつも、そのハズレが比較的高温で、かつ晴れも続くとなった時に見られる、春の恒例にも近い、異様な高速化が、問題を引き起こしたように感じる。
ミュージアルマイルは道中で色々なことがあったとモレイラ騎手が語ったが、勝負どころではいつも通りのポジショニングで、万全の伏兵の振る舞いができる状況を整えた。 前週の桜花賞で不利を受けた側の意見が、ささやかながら、記事になった部分もあるから、その辺りで、昨年のヴィクトリアマイル・人気に推されたマスクトディーヴァに対する厳しいプレッシャーに似た形をとった、意図していたグループもいたのだろう。
ところが、それが見当違いであったように、キレ味にいくらか不安を感じつつも、完璧すぎる抜け出しで、一斉の追い上げも完全に振り払ったように思えたクロワデュノールは、直線で弾けるように伸びたミュージアルマイルにいとも簡単に捉え切られてしまったのである。
レースの記録は、前半59.3秒と、馬場を考えるとスローにも近い展開から、驚くべきことにここからすべてマイル戦のような5F連続での11秒台中盤を立て続けに刻む、本格的なダービートライアル的なレースながら、型を崩したというよりも、ダービーにこそ、本当の狙いがあるクロワデュノールの北村友一騎手にとって、この物持ちのいい高速馬場で、実際は、自分は少しだけ上がりの脚を使いこなせなかったというか、途中で限界突破してしまったような、坂での伸びあぐねに繋がったように思えた。
昨年のジャスティンミラノは、戸崎騎手が楽な流れしか経験のないパートナーを、勝負どころでかなり叱咤していたが、最後は楽だった。 この馬がダノンデサイルには完敗だったが、見せ場十分のダービー2着。 実力が似通っていた時に、適性のズレが着差に現れるのは、3歳のレースでは決定的な差として出てしまって不思議ない。
何となく、ダービーで敗れたそんなジャスティンミラノの姿と、このクロワデュノールが見事にリンクした。 似たような上がり勝負。 一方で、クロワデュノールには今はまだ厳しい相手という感じで、クラブの使い分けであることは明らかだったミュージアルマイルは、いくらモレイラ騎手でも、狙いをここに絞ったとしても、理想を超え過ぎた快走。 結果、あのドスローの朝日杯を経験し、クロワデュノールにプライドを傷つけられることなく乗り越えた、ある種の強運が、彼の持ち合わせた勝負運と合わさり、完全なる皐月賞馬への道を、神により導かれていたかのように、鮮やかにキレた。
朝日杯では、33.8秒の決め手でもアドマイヤズームに置き去りでは、マイル適性の証明とはならなかったが、そのわずかな差異に、クロワデュノールに付け入るわずかな隙を見つけた…、という結果論の筋書きは、ある意味で、サンデーレーシングの自滅にも思えてしまった。 競馬はだから、難しいのである。
理不尽な仕打ちを受けると、何故か、そっちの方に勝ち運が巡ってくる。 そんなことが、今回はミュージアルマイルに当てはまり、今度はクロワデュノールに当てはまるダービーとなりそうだ。
1分57秒台の決着となった皐月賞で、ここまでは58秒台で先行グループが中間点を通過してきたが、サートゥルナーリアが勝った年と似た後傾ラップで、前ががやがややり合った2019年は、1:58.1の勝ちタイム。 結果、このレースでは距離適性が見えてしまい、結果的にマイルG1を勝つことになるダノンキングリーに、成長力などの点で、連対のサートゥル、ヴェロックスは敗れる。
高速馬場で連続して行われたこの年は、伏兵の付け入るスキを生んだが、今年は一昨年の様に、もう二強モードに突入。 まず、両者とも崩れないダービーであろうが、モレイラ騎手でも12Fの3歳戦はあまり経験がない。 ケンタッキーダービーに乗ることが決まり、ある程度の期待感のある馬での参戦は貴重なプラスの要素であろうが、例の特例が今年も採用されそうな流れで、それは出来なかった時の陣営は苦しいだろう。 クロワデュノールのダービー優勢に大きな変化はない。
期待のキングスコールは完全に終わったような序盤の追走に、展開面も含め、まるで内枠活かせずの展開ながら、最後は追い詰め、5着以内ではなかったからダービー断念でも、上がり最速レベルで追撃。 ただ、後続を突き放した上位2頭に上がりで勝っただけで、どれも断然ではなかった。
似た者同士の雰囲気であり、内も特別有利ではなく、差し馬の方が基本性能が良かったことを示すように、上位入線組の中で、クロワデュノールを除けば、その後ろにいた組ばかりの好走。 上がりがクロワデュノールを上回ったからといって、極端に勝ち馬のミュージアルマイルが速い脚を使った記録ではないから、決め手比べにダービーでの死角を有するというのは、位置取りが大本命以外前にいての粘り込みは皆無のところで、本調子ではなかったとされたら、間隔に少しだけ余裕のできた青葉賞などの別路線組、ダービー一本釣り狙いの勇者を除いて、変な馬場傾向が、妙な結末を生んだとするより他、クロワデュノールの本調子一歩手前の必然を除き、何も驚くべき変化があったようには思えない。
道悪の中山の経験はあったが、それで走りきれなかったミュージアルマイル。 何となく、ウイニングチケットに差されて、見事な逆襲を成した、武豊のナリタタイシンを思い起こした、そこそこキャリアのあるファンが多くいたようにも終える。 以降のタイシンは大いに苦戦し、ダービーは3着。 差し返される形で、ウイニングチケットとビワハヤヒデに先着を許した。 これと同じだと感じれば、クロワデュノールの勝ち筋にハマっているとも思える。