菊花賞2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着エネルジコ(3.8倍)2着エリキング(4.3倍)3着エキサイトバイオ(82.6倍)

レース名第86回菊花賞
日程2025年10月26日
優勝馬エネルジコ
優勝騎手C.ルメール
勝ちタイム3:04.0
馬場稍重
3連単配当140,270円

菊花賞2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
19エネルジコ3:04.0-
215エリキング3:04.32
314エキサイトバイオ3:04.43/4
412ゲルチュタール3:04.4ハナ
518レッドバンデ3:04.5クビ
単勝9380円
複勝9180円
複勝15190円
複勝141,180円
枠連5-71,010円
ワイド9-15540円
ワイド9-145,480円
ワイド14-158,370円
馬連9-151,110円
馬単9-152,100円
3連複9-14-1545,690円
3連単9-15-14140,270円

菊花賞2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「菊花賞3連勝、信じられないですね。すごい長い距離のレースだし、GⅠだし、勝つには難しいですが、毎年強い馬に乗りました。特にスタミナのある馬に乗りましたから、スムーズな競馬で勝つことができました。また、今日のエネルジコはすごくいい脚を使ってくれました。彼はスタートが上手ではないですから、今日は後ろの方から乗ろうと思いました。長い距離で時間があるので、1周目は後ろから我慢しました。向正面は豊さんの後ろでトップポジションにつけました。だんだんポジションを上げて、最後は長い脚で伸びてくれました。京都でGⅠ勝つと僕にとって特別ですね。京都に住んでいますから、京都のGⅠは僕にとって大事です。大きいところで勝てて良かったです。おおきに!」

※優勝したC.ルメールのコメント(エネルジコ)

菊花賞2025 - レース結果動画(YouTube)

菊花賞2025 - 回顧

母はドイツオークス勝ちのエノラなのだが、母父のノヴェールはラーイ産駒の芝のマイラー。

フランスダービー勝ちのルアーヴルはルメール騎手での優勝であったというのは、隠された要素なのかもしれないが、これで産駒の菊花賞3勝目を成したドゥラメンテの適性以上に、プラスアルファとなるものがあるとすれば、やはり、騎乗者の腕となりそうと結論付けるのが筋であろう。

最近の長距離戦は、時計勝負になることもあるから、シュヴァルグランに代表されるように、ヘイローのクロスを持つ馬も結構来る。

この馬もその4×5。

速い馬に出そうなイメージは、タイキシャトルの産駒<直系ひ孫がタイキシャトル>がデビューした当初、先にスタッドインしたフジキセキなどとのヘイローの意図的な強いクロスから生まれるものであるのだが、実際は、そのタイキシャトルを母父に持つハーツクライ産駒のワンアンドオンリーがダービーを制している。

一昨年にルメール騎手が魅せたドゥレッツァもその4×4。

まるでスピード強化のようで、その持続力を活かすナスルーラの血を持つ馬に着目した筆者だが、このことをすっかり忘れていたから、3連覇は難しいのではと思ったが、軽く見た私共は、かなりの数が痛い目を見たことになる。

キタサンブラック同様、この手のスピード配合の高速ステイヤーには、ここぞの場面で気を付けたい。

時計勝負になったからこそ、力の決着になったことにも着目すれば、その必然性は、すでの証明済みだったと情けない回顧に皮切りになったのである。

お見事であるなどと、いまさら言うことはない。

怖かったのは年上のおじさんたちだったが、自分のモンスター化しかパートナーに手こずる結果となり、見せ場を作ったものの、形作りまでは至らなかった。

ヤマニンはかなりやる気になってしまっていた。

元々、武豊騎手に教育を依頼したような馬。

結果的に、お互い<マイユニバース>不幸な結果になってしまったわけだが、若々しい彼らから得られるエネルギーが、オジサンたちを再び元気づけるのだと考えると、どちらもこの先は長そうである。

ルメール騎手は、どう考えても前に行くことは難しく、もしその時が訪れたとするなら、ドゥレッツァでの経験も参考にしつつ、アクロバティックなギャンブルを迫られる怪騎乗になっていたのかもしれないが、何とか、こちらもやる気が満ちた状態でありながら、ギリギリで折り合いというよりも、納得させるラインに止めることに成功。

流れが61秒→63秒→60秒という、理解の範疇にある上等な菊花賞のペースになったことで、スケール感で上回ったことになるエネルジコの総合力がフルに発揮されたようなところもある。

多少は距離にも展開にも注文は付くが、俯瞰した目で捉えた時、古馬と対戦、それも好メンバーの新潟記念を使った上で、納得の2着であったことも、ルメール騎手が落ち着いた立ち回りを見せ、また、スパートも常識的な仕掛けであったことを思えば、同期の皆が不安を抱える戦いに挑む状況を冷静に判断すると、いかに自分たちはアドヴァンテージを持っていたのかということに、今度は我々の方が気付かされたのである。

これも神騎乗に思えるが、普通にレースをするということに傾注する中で、ポイントは全てクリアしていったという、ある種のRPG的な挑戦を、いつも通りに全クリアしたような感じにも思えた。

負けたら、それは距離か馬場だよね…。

言い訳まで準備していたような状況であるなら、ルメールが気負うことなどない。

彼ももう大ベテラン。

信じられないような事態に何度も直面し、切り抜けたこともあれば、何もできなかったこともある。

勝負師たる本懐というものを見せつけられた時、ファンに支持の重み、1番人気に応え続けることの凄みを、まざまざを見せつけられた1勝でもあった。

エリキングは滑る馬場ではなかったが、フットワークの大きさからも、準備万端ではあったのだろうが、最後は天運も味方しなかった。

川田騎手も、色々と距離不安のある鞍上と揶揄されてきたが、こればかりは、立派過ぎる、見た目では殿堂入り確実のグッドルッキングであるから、もはや、これは苦手の部類であったろうに、離されても、2着までには上がってきた。

もはや、藤田オーナーも含め、何なら、宗教的に意義のある行動を求められるほどに、これはついていない。

ドゥラメンテ産駒とはパワーは本質的には異なるのだろうが、キズナ産駒にしては、ブレのない中長距離型に育ちつつある。

天皇賞は春の方が楽しみである。

まだ、反応も鈍いのは事実でも、川田騎手にアシストされるまでもなく、自ら進むような成長を遂げた時、覚醒するのかもしれない。

いい勉強になったろうが、ようやく、期待通りに相応しい舞台で結果を残せたのは、陣営とすると嬉しいだろう。

3着争いは、奇しくも同期騎手同士の争い。

モタモタしやすいゲルチュタールは、気難しいレイデオロ産駒でもイケイケの荻野極騎手だと自在のエキサイトバイオのわずかな器用さの違いで、小差4着に敗れた。

坂井瑠星騎手も、来週は大仕事が控える。

自厩舎も大攻勢で、期待以上に走ったコントレイル産駒に矢作厩舎と松永幹夫厩舎の馬で勝利している。

年間100勝にも乗せ、いよいよ、全盛期に入る時代を予感させるわけだが、新婚パワーがまだまだ熱々のままの極騎手のエネルギッシュなこの騎乗から、燃えるところもあるのかもしれない。

人馬とも、ライバルが一枚上回った印象もある。

結局、スタートがうまく決まらず、動くという手段しかない武豊騎手のマイユニバースのあるあるの失敗があったから、セントライト記念から行くことを選択肢の中に戻してきたジーティーアダマンが、理想に近い逃げでペースメイクをしていった。

無論、本懐ではないマイユニバースの動きであるが、こればかりは、典型的な怪しい馬、それも極めつけの名手が乗り繋いできた癖馬。

良さを引き出すことを重視すべき、正しく育ったような一流とは一線を画すから、変な馬ばかりあてがわれる、最近のG1逃避行定期状態の武豊騎手は、その一番怪しい奴を弟の幸四郎調教師から提供されて、いよいよ、ボヤキが飛び出したという。

当然、そういう騎手ではありませんというスタンスを保ちたい、武豊ブランドの意地ということも、ある種の営業活動であるから、リップサービスはあるのだろうが、とても大切な仕事を今回したように思う。

ノリちゃん、ユタカの仲になって久しいわけだが、暴走の危険もある小柄でもパワフルなこのシンコウラブリイ一族の牡馬は、少しだけ、諦念のようなものを備えておかないと、型通りにだけはなかなか事が運ばない怪しい面を大いに秘める。

結果的に、スタミナ勝負の型を、かなり相手に恵まれた前回は、勝機を確実にものにするためも、横山典弘騎手がその構造を知り尽くす中山で魅せる逃げとなったが、正直、あれだけでは足りなかったのは事実だろう。

いくらか注文がつくことを深く理解しつつ、これからのために、前向きさ全開になりそうなところで、武豊騎手もロケットスタートではなかったことに、少しだけ安心したような面もあったのかもしれない。

下げる手しかないから、押し上げるタイミング一つ。

ただ、そんなことに納得するとは到底思えないマイユニバースは、思惑通りに捲ることはできなかったのだが、まだ内面が不完全なままのマイユニバースにとって、それはそれで悪いことではなかったはずである。

妙な具合にノリが長手綱にならざるを得ず、コントロールをするために比較的に手元に近いところで折り合わせたユタカ。

エネルギッシュな若馬から、何か、今後の自分に課すべきテーマを探りつつ、常勝の武豊でありながらも、馬乗りを大切な要素を全て修了させようという義務感が、今回は感じられた。

難しい馬ばかり…、だけれどでも、面白いよね。

こんな楽しみがなければ、40年も騎手は続けられない。