2019年有馬記念 予想 長距離カテゴリーの厳しい展開を、アーモンドアイは実は経験していない

アーモンドアイの電撃参戦により、牝馬が5頭も出走する。

それに完敗の牡馬勢が多いから、人気も牝馬が上位に挙がるだろう。

とはいえ、牝馬が確実に走れるという保証もなければ、持ち味の決め手やスピードがフルに発揮されることが勝利に繋がるというほど単純なわけではない上に、春の安田記念同様、アーモンドアイが闖入者として出現した流れ。

レースに影響を大いに及ぼすが、長距離カテゴリーの厳しい展開は、実は経験していないのも怖い。

勝機は大いにあるが、そういう時ほど、インディチャンプのような本流の候補に有利に働く展開が予測される。

敢えて、ルメール騎手はきっと乗りたかっただろう池添謙一騎手に乗り替わったフィエールマンから入る。

どう見ても小回り向きではないが、あのラジオNIKKEI賞でついていけなかったフィエールマンでは、もはやない。

凱旋門賞で好位付けをした、実力派の中長距離型である。

その凱旋門賞の敗因をどう分析し、反動等を見極めていくかは重要なファクターとなるが、至極単純に、ここはローテも馬場も距離も、普段やってない競馬もその全てが敗因となったとしたい。

日本で良馬場しか経験のない馬が、本格的な道悪馬場の欧州競馬で健闘を見せることはあり得ない。

それと比べ、本質的には長いはずの春の天皇賞は、何度となく位置取りを変え、結果、後に香港ヴァーズ圧勝のグローリーヴェイズに、自ら脚を使いながら、マークさせることで消耗させながら、併せ馬の最後はちょっとまた突き放すような完勝であった。

昨年ほどの馬場ではちょっと怪しいが、昨年よりいくらか馬場の質は軽い。

母はJC参戦も、格下扱いでゼンノロブロイらに完敗のリュヌドール。

注目はその父のグリーンチューンで、これがエイシンプレストンと同じグリーンダンサー。

おまけにノーザンダンサーの3×4まで共通。

ただし、エイシンプレストンと同じようにテディ系などの異系色の強い血が重なっている一方で、グリーンチューンには、仏マイルGⅠ2勝を可能にしたミスタープロスペクターの存在が、色濃く影響いている特徴が見受けられる。

距離適性などはエイシンプレストンとそっくりだが、その大種牡馬の存在が、ネイティヴダンサーの継続的なクロスを可能にし、フィエールマンは万能のサンデーサイレンス系と相まって、小回りの中距離戦と大きな競馬場の長距離GⅠで両方好走するものの、プレストンは香港で何度も、グリーンチューンはロンシャンでGⅠ2勝など、偏りが出るのもまた傾向としてはっきり出ている。

こういう場合、中山はやはり苦手ではとなるわけだが、初の中山で快勝後、自在に様々な右回りの競馬を経験し、淀みない展開となりそうな今回の有馬記念に挑むのであれば、むしろ、コーナー6つの競馬の経験値込みで、かなりのアドヴァンテージがあるように思う。

ニジンスキーというと、スペシャルウィーク親子や2度とも勝てなかったスーパークリークの例があるから、あまり歓迎の血統とは言えないものの、相手は左回り巧者の牝馬であり、やや実力に陰りの見えている5歳牡馬、脚の使い方に注文がつく3歳などである。

力でねじ伏せる競馬を中山でしたならば、フィエールマンはあのアーモンドアイが早く仕掛けた時、唯一差し切れる力を秘めた天才として、再び脚光を浴びる可能性は大いにある。

無論、受けて立つ競馬でも交わされない、その唯一の存在となり得るのが彼だ。

池添騎手とルメール騎手は、全くの同学年。

思えば、昨年もこの二人の位置取りで勝敗が決した。

オルフェーヴルが最初に勝った時の2着エイシンフラッシュの鞍上もルメール。

その時々で、一番乗れている騎手を葬ってきたグランプリ男にもたらされた幸運の緊急参戦は、本来の狙いになかった女王の緊急参戦とは意味合いがあまりにも異なる。

引退レースを制した馬があまりにも少ないように、そもそも戦略を立てづらい有馬記念へ、目先を変えての出走そのものに、とりわけオーナーサイドの神経が疑われても致し方ないだろう。

ここは海外遠征で大失敗の男の意地を、大いに見せつけてもらいたいものだ。

追い込み濃厚も、内枠なら選択肢が増えるエタリオウの復活も近いだろうから、これもしっかりと押さえたい。

◎フィエールマン
○アーモンドアイ
▲エタリオウ
注サートゥルナーリア
△ヴェロックス、リスグラシュー、キセキ、アエロリット