2022年有馬記念【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着イクイノックス(2.3倍)2着ボルドグフーシュ(14.1倍)3着ジェラルディーナ(7.4倍)

レース名第67回有馬記念(G1)
日程2022年12月25日(日)
優勝馬イクイノックス
優勝騎手C.ルメール
勝ちタイム2:32.4
馬場
3連単配当9,740円

2022年有馬記念 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
19イクイノックス2:32.4 -
23ボルドグフーシュ2:32.8 2 1/2
3
5ジェラルディーナ2:33.1 1 1/2
4
2イズジョーノキセキ2:33.2 3/4
57エフフォーリア2:33.2 クビ
単勝9230円
複勝9120円
複勝3270円
複勝5200円
枠連2-51,150円
ワイド3-9500円
ワイド5-9340円
ワイド3-51,030円
馬連3-91,320円
馬単9-31,770円
3連複3-5-92,520円
3連単9-3-59,740円

2022年有馬記念 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「今日はすごくいいスタートをして、結構前の位置になりました。道中、結構引っかかって、我慢しないといけなかったけど、直線で大外に出したらすごくいい脚を使ってくれました。最後は一番強い馬でした。イクイノックスは最初から能力を見せてくれたけど、キタサンブラックの仔でクラシックの時は大人じゃなかった。秋からすごい強くなりました。ハーツクライで勝った時もサトノダイヤモンドの時もクリスマスの日でした。僕にとって2度あることは3度あります。みなさん、メリークリスマス!」

※優勝したルメール騎手のコメント(イクイノックス)

2022年有馬記念 - レース結果動画(YouTube)

2022年有馬記念 - 回顧

リファールもトニービンも入っているサンデーサイレンス系の決め手に優れた馬なので、ハーツクライの産駒のようなイメージを持っていたが、ハーツクライと似た才能を秘めたオルフェーヴルだということを証明した一戦でもある。

リファールのクロスが5・5×4となり、父キタサンブラックから続くタフな競馬に適した差し馬向きのインブリードを持つこのイクイノックスは、父が3度目でついに逃げ切ったこのレースを引退戦で制したのとは逆に、正攻法の三分三厘の仕掛けで差し切ったというか、独走を可能にしたのも、このクロスであろうと思う。

ヘイローが同時にクロスする配合ながら、ここに今は、スピード能力のプラスアルファはなく、むしろ、スピード系のクロスが衝突し、完成度を早めるどころから、シュヴァルグランのように<3×4・5>なかなか成長するのに時間を要するようになるタイプもいれば、晩成の要素が、体が大きい<大きくなりやすいプリンスリーギフト系が入っている>というくらいしかないキタサンブラックの産駒が、このように500kgにわずかに足らないくらいまでなら、直線勝負に転じても好勝負とできるような形作りが可能だと証明されたなら、スローの時ほど差しが決まりやすいこの有馬記念は、古馬の有力勢はがほぼ総崩れになった時点で、もう勝負ありだったのだろう。

早い完成ではないことを確信した陣営の作戦勝ちであると同時に、豊かな成長力をもつリファールやトニービンの血の芝向きの性質を味方につけたイクイノックスは、しっかりとオーヴァーフォールを経ることで、何度も復活し、また大きなレースを制すことだろう。

早熟に出やすい天才型のロベルト系・エフフォーリアとは違い、何度か、もどかしいレースは経験するだろうが、また輝く瞬間を我々は目撃するはずだ。

ある意味、面白みがないというほどに、イクイノックスがジャックした有馬記念であった。

トータルの勝ちタイムである2:32.4というのも、序盤に、スタートそのものがよかったタイトルホルダーの作った流れが、本来の厳しい展開ではなかったことを踏まえると、午前中から、前日の渋残りの気配を残した馬場状態の影響まで加味した時、これ以上の時計は繰り出せない馬場状態。

キレるイクイノックスが、まさかの上がり3F35.4というのは、あの休み明けで走り方さえ知らない段階にしかなかった皐月賞<小回りで右回りの競馬が初めてだった>よりも、更に、1秒近く要している。

他の馬も大いに走れていなかったが、勝負所の手応えからして、現状の充実度の差や、昨年主役級だった横山兄弟の騎乗馬とは雲泥の差であった、ということも明らかになった直線。

ルメール騎手はあまりにも余裕があったために、まさかの追撃に備え、しっかりと外を見て、一応警戒をするくらいの自信が見て取れた。

右回りも然ることながら、中山の消耗戦でかつ古馬の実力も決して侮れないとされていたが…、菊花賞組とは違い<2着ボルドグフーシュ、7着ジャスティンパレスも終始レースに正攻法で挑んでいたから上々の結果>、古馬の一線級とさっさと対戦した上で、お釣りを残して有馬にも挑めるという理想の流れが、エフフォーリアによって実証されただけでなく、消耗度合いでの優位性を大いに示したこの結果は、秋の天皇賞の位置付けそのものが変化する可能性までも示唆することになった。

なぜならば、秋の天皇賞を使うということは、次戦の狙いがマイルチャンピオンシップなのはもちろんのこと、当然の東京連戦となるジャパンCも然り。<1998年のエルコンドルパサーだって、本当はこのローテでジャパンCに挑みたかったが、外国産馬は天皇賞に出走不可の時代>

もっとも合理的に仕上げることができる、ギリギリ一戦必勝のローテで、2019年のアーモンドアイ以降、もっと言えば、ひと叩きで秋の天皇賞に挑んで、ジャパンCは嫌って、余裕を残して有馬に挑んだ、ジャパンC創設から20年くらいまでの間のトレンドに乗っかり、最後は55で挑める有馬の3歳特権<牝馬なら53>を活かしきることが、最も合理的な策であり、ジャパンCは翌年以降で…、という狙いもあったのだろう。

いずれにせよ、今年はシルクレーシング<アーモンドアイ惨敗で生じた因縁を振り払った>、昨年はキャロットファームの各看板ホースが勝ち切ったということだから、人気馬不動と同時に、日本競馬の根幹を形成するノーザンファーム生産馬の欧米並みの完成度を、件の斤量利で古馬G1での優位性を活用するという完結型の理想ローテの体現がハマった意義は、悠長に馬の完成を待って勝負する時代ではなくなったことを、高らかに天下に示したのとも同義であったりする。

その完成度には見劣りつつ、小脚で勝負するタイプではないボルドグフーシュは、戦前の気配からも、出たなりで理想の勝ちパターンにハメる形まで希望出来ていたはずだが、馬自身がそうした経験がないことで、将来性も見極めた福永騎手の総合的なジャッジで差すいつもの形に出たことは、イクイノックスが強かったことにより、より正確な好走パターンの読みであったことをも証明したことになる。

出ないのであれば、いつもの形にするしかない。

ただ、動くに動けない好位勢の有力馬に、出足である程度のストレスがかかる外枠で好位付けに出たディープボンドらに対しても、動きが出た後に仕掛ける形で十分に勝負になる状況は作れる。

百戦錬磨で、名手と言われるところにまで大いなる成長を遂げた福永祐一に、キングヘイロー<イクイノックス、ディープボンドの母父>を駆った時代の若々しすぎた未熟さは全くなかった。

ここまで離されたのでは仕方ない。

筆者のような単勝、頭突き抜け狙いの勝負に出たファンには残念だったが、イクイノックスに挑めるだけのスピード能力はまだ備わっていなかった。

メンバー唯一の重賞未勝利馬。

G1を勝ち切るためには、その実績を新たに加えることと同時に、好発を決める馬自身の成長も一定レベルで必要になる。

今回はその手のエース級である福永騎手が教え込めなかった部分はあるが、秋緒戦までは条件馬という馬。

むしろ、伸びしろしかない…、という理想のステップは踏めたのではなかろうか。

差したジェラルディーナはいい位置は取れなかったし、そもそも、この距離は本質長い。

うまくいかなかった割に、イクイノックス以降の馬に有利な差し遅れグループの台頭の展開に乗っただけとはいえ、誰よりも負けん気の強い母譲りの気性は、エリザベス女王杯の時ほどではないが、この日も見られた。

ごちゃごちゃしたところから、直線もまずまず位しか伸びてこなかったヴェラアズールよりも、ある意味では、G1馬らしい3着であった。

問題はタイトルホルダーやエフフォーリアだろう。

ただし、1年後の大一番で…、というのは、オグリキャップが○×○、トウカイテイオーも×○だったように、連チャンなどまずあり得ない。

ジャパンCを経ていないことで全く同じ横山兄弟の騎乗両馬ながら、あの天皇賞があり<昨年の秋と今年の春>、有馬記念も経て、中距離のビッグレースにも複数回登場なのだから、完全なる休養やリカバリーといった作業は、簡単ではなかった。

さすがに変な増え方であったものの、プラス12kgそのものが気にならないくらいにやる気を取り戻していたエフフォーリアは、どこか、昨年までの幻影を追いかけつつ、あの踊るように駆け抜けた共同通信杯のような走りを、ワンターンで取り戻すだとか、格から言って価値には乏しいものの、日本では春の時期のオーストラリアでビッグレースに挑むなど、中距離での可能性の詮索に力点を置くことで、目標の変化と同時に、新たなる野望を抱くことは可能であろう。

エフフォーリア自身は、準備ができている気がする返し馬の前進気勢と映ったが、あとは、負けることへの恐怖から解放された陣営の開き直りの方が重要だろう。

ようやく、締めることできるような心身の状態に戻ってきた気がする。

タイトルホルダーとディープボンドに関しては、ケチをつける意味そのものがないという凱旋門賞激闘組であり、ディープボンドはともかく、出来る限りのリカバリーを経たタイトルホルダーは、春の激走の反動もあるだろうから、そもそも、この秋は完調に届くような復調は期待できなかったのであろう。

漲るものがなかったものの、ひと叩きで変わるのは両者のいいところ。

休み明けから全力投球のタイプではないからこそ、復元への時間はあまり要さないだろうか、ズブさは当然増していく。

タイトルホルダーもずっと逃げられるわけがないから、一度、マヤノトップガンがそうであったように、試しに差す形をとる捨てレースのようなものが作れると、復活は近いはずだ。