有馬記念2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着レガレイラ(10.9倍)2着シャフリヤール(30.1倍)3着ダノンデサイル(4.0倍)

レース名第69回有馬記念
日程2024年12月22日
優勝馬レガレイラ
優勝騎手戸崎圭太
勝ちタイム2:31.8
馬場
3連単配当196,520円

有馬記念2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
18レガレイラ2:31.8-
216シャフリヤール2:31.8ハナ
31ダノンデサイル2:32.01.1/2
45ベラジオオペラ2:32.11/2
511ジャスティンパレス2:32.33/4
単勝81,090円
複勝8320円
複勝16540円
複勝1210円
枠連4-86,980円
ワイド8-1620,470円
ワイド8-164,450円
ワイド1-8720円
馬連1-161,900円
馬単8-1633,100円
3連複1-8-1620,850円
3連単8-16-1196,520円

有馬記念2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「レガレイラに感謝です。スタートが鍵だと思っていました。少し遅れましたが、二の脚もよくてスムーズなポジションとリズムで道中走れました。

最後の直線は接戦で、気持ちで負けないようにと思っていました。勝ちとわかった時は嬉しさが込み上げてきました。乗せていただいたオーナーさん、スタッフさんに感謝したいです。

(有馬記念勝利は10年ぶりで)長い年月が過ぎましたけど、また勝てて嬉しい。さらに頑張りたいです。3歳牝馬で有馬記念を勝てて今後ますます楽しみになったと思います。(今年は)あと1日競馬があるので、応援していただきたいです」

※優勝した戸崎圭太騎手のコメント(レガレイラ)

有馬記念2024 - レース結果動画(YouTube)

有馬記念2024 - 回顧

レガレイラの血統

ディープインパクトの母であるウインドインハーヘアが3代母。 戸崎騎手で勝ったディープインパクト産駒のジェンティルドンナも。 ディープ自身も勝ち馬となったが、その他で勝ったのは、サトノダイヤモンドだけ。 一応、3年連続好走のキタサンブラックが、サンデーサイレンス×ウインドインハーヘアのブラックタイドを父に持っているから、その産駒のイクイノックスも勝っているとなれば、それなりに有馬適性はあったとなるが、自分で捲るか時計が少し掛かる馬場を期待していた父スワーヴリチャードとはキャラ違い、同血とできるアーバンシックともまるで正反対、その、ディープ的な何かが伝わっているという印象を、再び、ファンに思い起こさせるような直線だった。
母父ハービンジャーは、ブラストワンピースの父であるから、ダンスインザダークには全く縁のなかったこのレースながら、血統構造上の解釈、その適性の理解は十分に可能。 ただ、スケール感その他で、戸崎騎手との相性や馬場状態、いくらか差し有利の共通という条件が、全てでシャフリヤールとの一騎打ち、デカすぎる腕白の同級生とも違い、秘めたる可能性全開の展開を生んだとできる。 このキレはディープのような、華奢に映すくらいのシルエットであるからこそ引き出される特異なキャラクター。 一つ違いでも、まるで馬格から何から別物のブラックタイド・ディープインパクトらのキャラが、その産駒に丸写しされたような代の重ね方からして、イクイノックスやコントレイルの成功を後押しする何かが、この有馬の内容から窺い知れる。 まさに父のキャラそのままだったのが、ダノンデサイル=エピファネイア、アーバンシック=スワーヴリチャードであるから、活躍期がもっと先である可能性も待たしめたしたという印象も残した。

逃げるにしても、軽い逃げは単純な消耗に繋がるということで、意味がないものとしていたはずの横山典弘騎手からすると、キャラの分析に時間を割いていくうちに、ダービーは逃げていても結果は変わらなかったのではないか…、と思わせる素振りがあったので、行く馬が最初からいないと見えているなら、シャフリヤールに乗るクリスチャンに吹っ掛けた藤原調教師が、実は、横山典弘をけん制していたという可能性に、少し伏線が見えていた気もする。
行こうという気がないと、スピードレースになる日本の芝G1では、手も足も出ないことを、ホームに近いところからジャパンCなどにやってきた当地のG1馬の動きに対し、快騎乗としたクリスチャン・デムーロ騎手だけでなく、ムーア騎手なども、アプローチに対し、柔軟性を持ったテクニックを求められることを深く理解する。
同時に、風が強いから逃げてはダメ…。 その裏をかいて、見事に逃げ切ったマヤノトップガン=田原成貴元騎手<一応、元調教師でもある>の成功モデルの復元が、頭のどこかにあるはずだ。 あれは29年前の有馬記念。 タイキブリザードも若いのに逃げ粘るくらいで、先行残り。 あの日とよく似た環境に、ナリタブライアンとヒシアマゾンが前年のような動きができないと見切った策そのものは、完全にハマったように思えた。 今のデサイルには、これができる。 確信はあったはずである。
そんな時に限って、アーバンシックはいつものヤツをかまして、ルメール騎手ならではの超絶リカバリーで何とか取り繕ったものの、馬が若すぎて、直線は瞬発力勝負に対応できなかった。
ただ、ダノンデサイルも逃げたことはない。 これ以上いい味付けのしようがないところで、内の馬は抑え込めたが、外のキレ馬がやけに素晴らしい立ち回りを見せた。 テン乗り戸崎・レガレイラ、昨年好走のダービー馬・シャフリヤール。 動き出しも抜群だったシャフリヤールはさすがクリスチャンだったが、初めてなのに、そうは思えないようにレガレイラの戸崎騎手も、驚くほどに、10年前のリプレイシーン<あの時もドスロー>そのもののような抜け出しで、今度は決め手比べで歓迎なのだろうレガレイラの潜在能力というより、1年使っていなかったエネルギーが、見事に全開。
キャラ的には、内枠有利の有馬で、好位付け可能の最内がいかにも絶好のようで、立ち遅れた時のリスクと、下手な好位追走の捲られた時の多様な選択を求められる状況に、ダノンデサイルの完成度を組み合わせたスローは、意外なほど伏兵の策のようで、極めて順当な選択に思えたのだが、如何せん、相手が決め手がありすぎた。
レガレイラはよく蘇ったが、妙な感じで、ルメール騎手の策が尽きたというエリザベス女王杯の普通の競馬をしようとした理想の差しが、今回はハマった。 実力通りの結果にも思えた。 他方、タフすぎるシャフリヤールも立派だったのだが、今後の組み立てに有利性をもたせるということで、他を翻弄するためだけに、今後の作戦を相手に迷わせるための逃げは妙手だったダノンデサイルは、案外、広いコースの競馬でこそ逃げるのがいいようにも感じた。 いかにも、セイウンスカイで人気を裏切ったグラスワンダー復活の演出をしてしまったあの競馬を再現したようで、鞍上は、完璧にやるべき仕事をしたようにも映った。
展開的にはヒットだったが、揉まれるリスクを回避するために講じた策とすれば、十分に機能していたのだが、馬には迷いもあったのだろうし、何しろ、速さを繰り出すという才能が、まだ引き出されていない。 誰よりも輝いて見せたパドックのダノンデサイルは、ある一定数の例外を除いて、よく見せる燃え尽き症候群のダービー馬などではなく、ここから再始動を印象付けた、自身も騎乗していたあの日のキタサンブラックのように思えた。 恐ろしい未来を予感させる、初めての挑戦は、確信を持った未来の予測へと展開する可能性さえある。 その時に、横山典弘が乗っているかはわからないが…。 そういう仕上がりのダノンデサイルは、ある程度の経験を積んだG1級の騎手ならば、きっと、誰でも乗りこなせるだろう。
一見すると情けない負け方のアーバンシックは、たしかに完全な自滅。 逃げ切りパターンをふいにしたダノンデサイル同様、馬が大いに若すぎた。 騎手がどうこうではなく、これでも完璧に近いレース参加の形をとりながら、菊花賞とは真逆の、窮屈な競馬に、自慢のスパート力は大いに殺がれたものの、いい意味で、掛かりながらの追走は、苦しいというよりもファイトしようという姿勢に見えた。 無論、そういう教育をするべきと考えを切り替える余裕がある今のルメール騎手は、人気を裏切ったことよりも、今後にどういうステップを踏んで立派な競走馬にするのは、勝負所でやはり反応鈍くジエンドだったとはいえ、上がりの数字で他に大きく見劣ることはなかった。
早くも次以降を見据えたダノンデサイルに対し、いったん後退を印象付けたものの、久々に、この有馬記念で完全に子供という感じの馬に乗ったルメール騎手も、ある意味、この先で有馬完勝のプロットを立てるには、十分な伏線であったはず。 毎年有馬で来るルメさんにも、こういう年がある。 レガレイラがあまりにも天才的だったから、最初は、やんちゃ坊主たちは好き勝手やっていたが、パドックの落ち着きから、ようやく、おねえさんキャラを演じることになったレガレイラに、中身が追いついてきたはずなのに、また大事なところで勝ってきた。
一旦、リセット。 しかし、この明け4歳のG1馬3頭は、これほどまでに明るい未来を有馬記念で示すことができるのだから、素晴らしい。 ドウデュースがいたら…。 違うドラマがあったはずの主役欠場は、実際、代打レガレイラの機能により、幻の秋三冠を予期させるに十分な15頭の争いだったように思う。 3歳馬が反則的に有利な斤量の恩恵を受けてこそ、この有馬記念は正常化する。 昨年の方が、少しイレギュラーだったのかもしれない。