朝日杯フューチュリティステークス2021予想
目次
朝日杯フューチュリティステークスの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!
歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。
レース名 | 第73回 朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ) |
グレード | 重賞(G1) |
日程 | 2021年12月19日(日曜) |
発走時間 | 15時40分 |
開催場所 | 阪神競馬場 |
距離 | 芝1600m |
コース | 右回り |
賞金 | 7000万円 |
レコードタイム | 1:32.3 |
朝日杯フューチュリティステークス2021の予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)
朝日杯フューチュリティステークス2021の予想オッズと登録馬
枠順 | 馬番 | 出走予定馬 | 騎手 | 性齢 | 斤量 | 予想オッズ | 人気 | 1週前追い切り | 最終追い切り |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3 | 4 | セリフォス | C.デムーロ | 牡2 | 55.0 | 1.9 | 1 | 栗東・CW・稍重 6F 80.4-64.9-50.3-36.2-11.5(一杯) | 栗東・CW・良 4F 56.4-40.1-12.3(馬なり |
7 | 13 | ジオグリフ | C.ルメール | 牡2 | 55.0 | 2.8 | 2 | 美浦・南W・重 6F 84.6-67.6-52.6-38.1-11.8(馬なり) | 美浦・南W・稍重 6F 82.8-66.7-52.2-38.3-11.9(G前仕掛け) |
4 | 7 | ダノンスコーピオン | 松山 弘平 | 牡2 | 55.0 | 6.9 | 3 | 栗東・CW・重 6F 81.9-66.9-52.4-37.3-11.7(馬なり) | 栗東・坂路・良 800m 52.3-37.6-24.3-12.1(馬なり) |
5 | 9 | ドウデュース | 武 豊 | 牡2 | 55.0 | 11.1 | 4 | 栗東・CW・重 6F 78.4-64.3-50.7-36.5-11.4(稍一杯) | 栗東・ポリ・良 5F 64.8-50.4-37.4-11.5(馬なり) |
6 | 11 | ドーブネ | 吉田 隼人 | 牡2 | 55.0 | 15.1 | 5 | 栗東・CW・稍重 6F 81.6-66.5-51.9-37.2-12.1(馬なり) | 栗東・CW・良 6F 86.7-69.7-53.6-38.0-11.9(馬なり) |
5 | 8 | プルパレイ | M.デムーロ | 牡2 | 55.0 | 27.7 | 6 | 栗東・CW・重 5F 68.9-53.2-37.5-11.3(末一杯) | 栗東・坂路・良 800m 52.1-37.2-24.0-12.1(末一杯) |
4 | 6 | オタルエバー | 幸 英明 | 牡2 | 55.0 | 31.5 | 7 | 栗東・ポリ・良 6F 81.0-65.8-51.3-37.6-11.5(強め) | 栗東・坂路・良 800m 52.2-37.6-24.3-11.9(馬なり) |
7 | 12 | トウシンマカオ | 戸崎 圭太 | 牡2 | 55.0 | 33.6 | 8 | 美浦・南W・重 6F 84.1-67.1-52.1-37.6-11.9(馬なり) | 美浦・坂路・稍重 800m 52.6-38.6-25.4-13.0(末強め) |
2 | 3 | アルナシーム | 池添 謙一 | 牡2 | 55.0 | 34.4 | 9 | 栗東・CW・重 5F 66.8-52.2-37.5-11.5(末強め) | - |
6 | 10 | スプリットザシー | 和田 竜二 | 牝2 | 54.0 | 83.3 | 10 | 栗東・坂路・重 800m 55.1-39.2-25.0-12.3(末強め) | 栗東・坂路・良 800m 54.2-38.0-24.5-12.4(末強め) |
3 | 5 | ヴィアドロローサ | 鮫島 克駿 | 牡2 | 55.0 | 89.3 | 11 | 美浦・南W・重 5F 66.9-52.2-37.8-11.9(一杯) | 美浦・南W・稍重 5F 67.3-51.6-37.2-11.8(馬なり) |
1 | 1 | カジュフェイス | 秋山 真一郎 | 牡2 | 55.0 | 132.7 | 12 | 栗東・坂路・重 800m 52.5-38.2-25.2-12.9(馬なり) | 栗東・坂路・良 800m 51.5-38.0-25.5-13.3(馬なり) |
8 | 14 | トゥードジボン | 藤岡 佑介 | 牡2 | 55.0 | 137.6 | 13 | 栗東・芝・稍重 5F 64.5-50.0-36.7-11.6(一杯) | 栗東・CW・良 6F 85.5-69.8-54.2-38.4-11.4(一杯) |
2 | 2 | セッカチケーン | 団野大成 | 牡2 | 55.0 | 249.0 | 14 | 美浦・坂路・重 800m 56.3-41.1-26.7-13.2(馬なり) | 美浦・南W・稍重 5F 68.1-52.4-38.5-12.5(馬なり) |
8 | 15 | シンリミテス | 国分 優作 | 牡2 | 55.0 | 341.0 | 15 | 栗東・CW・稍重 6F 83.9-67.7-52.6-37.4-11.6(一杯) | 栗東・CW・良 6F 83.7-67.8-53.1-37.8-11.8(追って一杯) |
脚質 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
逃げ馬 | 1回 | 2回 | 2回 | 18回 | 4.3% | 13% | 21.7% |
先行馬 | 11回 | 4回 | 7回 | 51回 | 15.1% | 20.5% | 30.1% |
差し馬 | 6回 | 13回 | 7回 | 98回 | 4.8% | 15.3% | 21% |
追い込み馬 | 2回 | 1回 | 4回 | 92回 | 2% | 3% | 7.1% |
枠順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 6回 | 2回 | 4回 | 26回 | 15.8% | 21.1% | 31.6% |
2枠 | 3回 | 2回 | 5回 | 29回 | 7.7% | 12.8% | 25.6% |
3枠 | 3回 | 4回 | 1回 | 32回 | 7.5% | 17.5% | 20% |
4枠 | 3回 | 3回 | 3回 | 31回 | 7.5% | 15% | 22.5% |
5枠 | 0回 | 4回 | 1回 | 34回 | 0% | 10.3% | 12.8% |
6枠 | 2回 | 4回 | 1回 | 33回 | 5% | 15% | 17.5% |
7枠 | 1回 | 0回 | 4回 | 37回 | 2.4% | 2.4% | 11.9% |
8枠 | 2回 | 1回 | 1回 | 37回 | 4.9% | 7.3% | 9.8% |
朝日杯フューチュリティステークス予想2021 - 過去10年のデータ傾向
人気勢の長短としては、人気になりそうな馬ほど、ここで勝ち切れない馬のキャリアと酷似していること以外、その他死角は乏しいと思われる。
ジオグリフ/ 札幌2歳S連対馬は、旧ラジオNIKKEI杯と強く結びついていたが、近年2歳重賞の中では異質な存在
普段なら、喜んで消しと行きたいところだが、新潟2歳Sの勝ち馬はデイリー杯の勝ち馬でもあり<人気を分けるセリフォス>、萩Sを制したダノンスコーピオンもデビュー戦は阪神のマイル戦という馬。
2着馬がそれぞれ、接戦の時ほど強力だったことは、大舞台に向けて理想のキャリアの重ね方となる。
そういう武器で戦えない、直線の脚勢の違いが勝負を決める最大要素となってきたジオグリフは、ここ10年ほど縁のない札幌2歳S優勝馬。
最後の好走馬である早世のコディーノは、中山時代の2着馬であり、前走は東スポ杯快勝のクラシックを目指していた馬。
札幌で完勝ながら、本番では逆転を許したロゴタイプには、以降全く勝負にならない力関係に転じている。
場所が移り、早期に1戦1勝の馬・リオンディーズが優勝馬に名を連ねた新星フューチュリティSは、昨年のように、1勝馬が重賞勝ち馬を負かすことが複数回あった。
同時に、ダノンプレミアムやサリオスらが、王道の東京マイル重賞・サウジアラビアロイヤルC優勝から、流れを作っている。
そうしたトレンドも近年の出来事に含まれるが、時の流れは早い。
京王杯2歳Sは中山時代はよくコネクションを生んでいたが、そうしたトレンドがずっと前に消え失せたように、今は、余裕ローテを組める夏デビューの馬の展開になっている。
気性的な問題はあまり感じられないジオグリフは、この下に記す有力勢に対し、フレッシュさで挑める。
普段の勝ち馬とは違う…。
阪神に移れば、コディーノのような弾け方をしているジオグリフは、キレで勝負できるという武器を手にしているから、その点の可能性が勝敗を分ける要素になるだろう。
十分に阪神外回り向きのロングスパートも反応のすばしっこさも証明している。
ダノンスコーピオン/ 重賞未経験の馬で来るのは無敗馬というよりも、1勝クラスをいい勝ち方で制した馬が多い
驚きの全敗。しかし、萩Sは昔で言えば京都2、3歳Sの位置づけに近く、東京スポーツ杯も今の京都2歳Sも、すでに登竜門としての位置づけを完全にモノにした「相応しい重賞競走」へと成長を遂げている。
今年も両レースからは、素晴らしい勝ち馬が登場。
萩Sはつい最近といっても2018年に、サートゥルナーリアが制した一戦。
ちょっと前ならワンアンドオンリーは可能性を広げるような2着。
メイショウサムソンに至っては、春にはすぐに世代を代表するエースになるのに、ここでは古馬に挑むまでほとんど経験のない馬券外の4着に敗れている。
近年は強い順で、力をつけた順にどんどん勝ち上がり、トライアルを強気に回避するための賞金加算に役立つ一戦だけに、人気で敗れるようなことになると後が辛い。
2番人気ながら、直線の伸びでキレというより重厚感を見せたダノンスコーピオンは、最近注目というか、実はスタンダートに近いキングマンボ系×サドラーズウェルズ系<エルコンドルパサーもワークフォースもタイトルホルダーも同じ組み合わせ>なので、クラシックディスタンスの1600は卒なくこなすはず。
弾けるほどキレることはないが、確実に伸びるという味わいがある。
人気があまりないなら、単勝などを押さえるべきだろう。
何故来ないかは、それは重賞馬の方が強かったから、という理屈に合わせて、自分は格下ではないことを堂々示したい。
セリフォス/ 早い時期に重賞2勝の馬は、中山・朝日杯時代から苦戦傾向
重賞2勝以上の馬で、このレースが中山開催時代から、1番人気ではなかったという例は、たったの1回しかない。
1996年 マイネルマックス… 1着、2番人気 〔函館、京成杯3歳Sを連勝〕
メイショウボーラー、コディーノらは、断然の支持を受けるも、最後は勝ち馬のコスモサンビーム、ロゴタイプら重厚な血統の持ち主に競り負けている。
ポイントは無敗であるかどうか。
重賞2勝以上で出走する時点で、ほぼ無敗は確実。
その点がマイネルマックスの場合だと、新馬戦でよくある叩き台の敗れ方をして、後はみんな同じ連戦連勝だから、今の時代、無敗以外で4戦4勝のチャンピオンを目指すことは厳しいと言える。
特に、マイネルマックスは朝日杯が初の1600M。
今の時代、そうしたタイプが勝つことも難しいから、中京、新潟、阪神の各1600戦快勝の記録だけに囚われず、厳しい戦いの連続で割り引くのが自然な流れ。
快速型のメイショウボーラー、上手に走れるコディーノらは速い馬の証明をしていたから、そこまで派手ではないセリフォスに残り目はあるが、何か他の有力馬の自滅や不利に運を委ねているようなところはある。
最上位人気になれば苦しいだろう。
クリスチャンはもう2週ほど日本で乗っているが、とても弾けている感じでもないから、過剰支持だと少し怖い。
注目すべきは、連をまだ外していないオープンキャリアの少ない伏兵・昨年のグレナディアガーズタイプが今後主力になりそう
走る馬は早いうちに結果を出して、あっという間に出世してしまう。
しかし、例外となる存在も当然出てくる。
関西馬で、気性などの問題があって惨敗などあったところで、その他が強ければ、問題ない。
2015年優勝のリオンディーズは京都2000の新馬を制してから、直線一気の末脚でエアスピネルと武豊騎手の初制覇の夢を奪った。
昨年の2敗馬・グレナディアガーズは、オープン級でも苦しい勝率、連対率でありながら、誰よりもタフに直線で力強さを誇った。
ここに至る過程で連を外していた馬も当然勝てるレースだが、大概は2着止まり。
しかし、可能性があるとすれば、距離が長いところで結果を出しているだとか、キャラが際立っている馬がいれば、十分に昨年のような道悪だとかレコード決着の重賞勝ち馬が人気になる年は好勝負なのだから、そうしたタイプが今年いないので穴狙いはしづらい。
オープン特別組も1勝クラス特別・東京組も、信用ならない傾向や出走馬そのものがいない今年は、絞り込める要素として活用し、伏兵の付け入るスキなしの一戦とした根拠は、この穴要素満載の伏兵枠不使用、使用不可の登録馬から予測される好走の蓋然性の低さに基づいている。
まさかがあれば、新馬でセリフォスに敗れ、3戦目で初勝利のトゥードジボンだろうが、何となく除外なり回避しそうな雰囲気がある。
朝日杯フューチュリティステークス予想2021 - 出走予定馬の血統/成績/タイム
速い馬ではないことを示したドレフォン産駒のジオグリフだが、酷い競馬をしそうな気配がほとんどしないコース設定!
この馬のことは、血統表を分解すると個性が読み解けるようなところがある。
父・ドレフォン<その父Gio Ponti>/ ストームキャット直系
自身は3歳時に、サンタアニタのBCスプリントを制した名スプリンター。
翌年も現役を続行するも、今年と同じデルマーの開催年にいいメンバーが揃ったことで、人気にはなったが6着に敗れている。
父のジオポンティは、ストームキャット直系の孫にしては珍しく、北米の芝で活躍した名馬。
BC競走も3年続けて出走し、オールウェザーということで挑戦のクラシックは4歳時、あの絶対女王・ゼニヤッタに敗れるも2着。
翌年以降は芝のマイルに参戦し、欧米の名馬に敗れて勝てずじまい。
まあ、ジオポンティが血統の性質の通り、速いダートスターを生んだことに価値があるとすれば、代表産駒ドレフォンが日本にいることの意義は大きい。
母・アロマティコ<父キングカメハメハ>
エリザベス女王杯3着は4歳の時の記録であり、強い二冠牝馬・メイショウマンボと翌年優勝のラキシスらに完敗ながら、最後まで重賞を勝てなかった馬なのだから、クライマックスに近い見せ場であった。
初勝利は阪神内回りの1400ながら、あとは直線平坦の京都、小倉、新潟、函館の中距離戦なのだから、普段のG1競走にあまり縁がないことの窺える性質がはっきりと出ていた生粋の平坦巧者。
スピード勝負に限界がある一方で、末脚の爆発力ならば、時代のエース級と一瞬であれば負けないほどの決め手があった。
母母・ナスカ<サンデーサイレンス>
彼女がキーホース。
サンデーサイレンス直仔ということ以外にも、自身が未出走馬であり、上にオーバーザウォール、サンバレンティンといった福島重賞ウイナーに加え、ダービー2着など故障と戦いながら活躍のインティライミが一族の代表に近いところにいることで、レディチャッター-シャダイチャッターまたはこのアンデスレディーというどちらもノーザンテーストを父に持つ社台自慢の物持ちのいい牝系を継承するに最高のバックボーンと、消耗のない競走適齢期を過ごせた幸運も重なる。
種牡馬 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ディープインパクト | 53回 | 46回 | 49回 | 280回 | 12.4% | 23.1% | 34.6% |
ロードカナロア | 21回 | 14回 | 17回 | 142回 | 10.8% | 18% | 26.8% |
ハーツクライ | 19回 | 10回 | 16回 | 135回 | 10.6% | 16.1% | 25% |
ダイワメジャー | 15回 | 24回 | 17回 | 141回 | 7.6% | 19.8% | 28.4% |
キングカメハメハ | 14回 | 13回 | 8回 | 86回 | 11.6% | 22.3% | 28.9% |
ルーラーシップ | 10回 | 15回 | 11回 | 110回 | 6.8% | 17.1% | 24.7% |
エピファネイア | 10回 | 10回 | 7回 | 51回 | 12.8% | 25.6% | 34.6% |
キズナ | 9回 | 8回 | 7回 | 66回 | 10% | 18.9% | 26.7% |
ステイゴールド | 8回 | 4回 | 4回 | 65回 | 9.9% | 14.8% | 19.8% |
ハービンジャー | 7回 | 9回 | 7回 | 91回 | 6.1% | 14% | 20.2% |
所謂サンデー×ノーザンの配合はポンコツも沢山登場して、皆が嘆いたわけだが、断然血統馬として繁殖要員の位置づけにおいては、とりわけ繁殖牝馬ならばベストに近い。
ここで結果を残せなくとも、おじに長距離王のアルバートがいるのは頼もしいから、ジオグリフには長く活躍してもらいたいものだ。
ジオポンティがレイズアネイティヴの4×3を持つせいで、直仔ミスタープロスペクターらのクロスを併発するから、スピード型に出て不思議なかったが、抑えの利く馬にここまではなっている。
ジオグリフのこれからは、その辺りの血を開放して、積極的に動くしかなくなった時の粘り込む力が重要になってくる。
今のところは、身体を柔らかく使えるから、動きの制約は少ない。
朝日杯フューチュリティステークス予想2021 - レース展開と最終予想
最初からルメール騎手が乗れるという幸運もあったのだろうが、ジオグリフは思われているよりずっと、進化の速い馬のように思う。
ここまでは1800Mのレースを2戦。
ただし、腐っても東京のスローの新馬戦と否が応でもタフさが問われる札幌最終週の札幌2歳Sが比較的タイトに流れたから、両方とも別のレースをしていたことになる。
好位のインに収まった新馬戦は、みんなまだ厳しい東京の直線に挑む体力気力共に、大いに発展途上であるから、すぐにバランスを崩してしまっていたが、ジオグリフ自身は、進路を変えるひと手間があり、外に出して今度はマニュアル式のギアチェンジを鞍上が選択し、じわじわ加速させていった。
そのせいで、馬も加速させるためのステップを一度で理解したように、鞭も入ったり、何度も外へ一頭分ずつズレていったりとロスはアリながら、しっかりと伸びきった素晴らしい末脚を披露して、この結果を反映するかのように、札幌2歳Sは終始1番人気だった。
強調材料はそれよりも、大いに進路をロスさせてくれた2着馬のアサヒが、すでで東京スポーツ杯2着と上々の結果を出していることが挙げられるだろう。
おまけに、その際3着であった新馬1番人気支持のアスクビクターモアが、2戦目でアサヒを今度は破っている。
この馬もアイビーS3着。
勝ち馬が目立って強いとか、怪しげなレースレベルというのもあるが、細かいことは置いておくとして、近年の牡牝クラシックへ向けたステップという観点で重要なレースで結果を出していることも、十分に買える要素に繋がってくる。
ついでに言えば、4着カメハメハタイムも勝ち上がっていて、百日草特別に参戦して結果は出せなかったが、どことなくタイトルホルダーと似た雰囲気があって期待が持てる。
そんな隠れ好レースを難なく勝ち上がり、若さも見せながら、見事にスタートでやってくれた2戦目の札幌2歳Sは、前年にソダシ-ユーバーレーベン-バスラットレオンで決着、逃げたピンクカメハメハも不幸な事故に遭ったが、サウジアラビアで歴史的な勝利を挙げたレースが1000Mで59.2秒を記録する異様な展開でも、4コーナー1、2番手の馬が馬券内に入ったという強烈な実例の裏で、単なる差し決着ではあったが、それでも60.3秒の通過はかなり厳しい。
出なかったことを逆手に取ったクリストフの妙手もあるが、捲って勝ち切ったのだから、ユーバーレーベン級の魅力が少なくとも秘められるはずだし、ジオグリフ自身、ソダシが作ったコースレコードと同じ1:48.2を、東京のスローの新馬戦で記録しているから<札幌は1:49.1>、少なくとも両クラシックホースの間くらいのレベルにあることだけは確か。
近年のトレンドに乗らず、猛々しい名牝2頭は、東京をひと叩きしてジュベナイルフィリーズで再び好走した。
上手に流れに合わせて動けた価値は、見た目の派手さよりも<とはいえ、4馬身差圧勝は懐かしのマイネルプラチナム・1998年の5馬身差大楽勝に次ぐ大変な快走の記録>ずっと大きいはずだ。
右回りのワンターンに合っているとは必ずしも言い切れない前走内容でも、総合力で札幌の出世レースを完勝であり、似たようにこの時期高く評価される新潟2歳S勝ちのセリフォスと、理論上では同格。
おまけにワンターンのスローのみの経験で、新潟では限界に近い1:33.8を記録のセリフォスは、恐らく苦手な類の超スローのデイリー杯を平凡な時計でギリギリクリアだから、その辺りの伸びしろは元気満々のジオグリフの方にちょっと分がある。
一方、阪神でしか走っていないダノンスコーピオンはロードカナロア×スライゴベイ・サドラーズウェルズ直仔という重厚な配合であるから、似たような作りとも考えられるかつての2歳女王・レシステンシア的才能も、十分発揮して不思議ない。
同時に、接戦を制した競り強さは認めつつ、どうしても時計面だとか上がり勝負に対する、クラシックディスタンスにおけるパフォーマンスに平凡な面を持っている可能性も否定できない。
どうしたって、どの馬も不完全な中で戦わねばならないのが2歳タイトル戦である。
死角は色々あっても、この3頭に関しては大目に見ておく必要を感じている。
彼らの可能性について、常識的な視点からもここでは肩入れしておきたいところだ。