チャンピオンズカップ2018 回顧

今週も内の方につけた馬が好走。

しかし、今年も良馬場で1:50.1で、上がりが35.9だった。

先週見たアーモンドアイの好位付けのように、GⅠ馬<一応ローカルタイトルだが>となったばかりのアンジュデジールが、そこは横山典弘という正しい流れを、少し余裕をもって1角に向かいすぎたモレイラのサンライズソアに代わって作り出し、それを見ながらのミルコのルヴァンスレーヴという構図。

「正しい位置につけた人気馬が凡走しないパターン」

ルメール×ゴールドドリームのコンビに、ある種の因縁があるミルコ・デムーロの勝負に賭ける気持ちは、前日のエアウィンザーにも感じた、勝利への渇望に見えた。

俺を忘れるな。俺もスターだ。

ルヴァンスレーヴが気持ちよさそうに初めての中京ダートに馬場入りした瞬間から、この勝利は見えていたのか。

パドックの気配も、先週のアーモンドアイほどではないにしても、垢抜けていて、伸びしろがあるのに実にゆったりとした面持ちで、逆光の中を歩く15頭の中では、まるで才能の違う雰囲気を醸し出していた。

あの中山は、そんなに調子が悪かったのか。

思えば、ドバイ出張中のデムーロ騎手がいなかった日に使ったレースで負けただけの馬である。

古馬初挑戦も、元から示していた高速馬場への適性、地方の良馬場で求められるタフな条件にも、競馬を教え込まれながら、自由な競馬で、人馬とも躍動するように簡単に勝ってきた。

そんな馬だから、これまでも新潟に始まり、東京2戦2勝、川崎、大井に盛岡で、自在に抜け出して、勝ち切ってしまうのだ。

参ったというか、そういう才能こそが真のダートチャンピオンなのだろう。

それを3歳でできるのだから、あまりにも末恐ろしい。

盛岡の南部杯で、実績も経験値もまるで違うゴールドドリームを、全く寄せ付けずに、良馬場ながら、1:35.3で駆け抜けていたルヴァンスレーヴ。

2歳秋の東京不良で1:36.2のレコード勝ち。明けた東京のユニコーンSは重でも、1:35.0だった。

マイルで総合力を示した馬は、多少の距離の前後に関係なく、力を発揮するものというのは、異次元のレコードで大いに証明したマイル3戦3勝のアーモンドアイの例を挙げるまでもないわけだが、それは芝の話である。

ところが、川崎の1:41.6の競馬も、大井の2:05.8の競馬でも、流れ無視の追い込みで快勝。

マイルで強い馬は…、の格言はまさしく、この天才にこそあてはまるわけだ。

ルヴァンスレーヴは、3歳で秋の天皇賞と有馬記念を快勝したシンボリクリスエスの産駒。

母父はデムーロ騎手と共に、日本競馬の3歳春を堪能したネオユニヴァースだ。

アドマイヤマックスやラインクラフトの出たファンシミン系の中では、大活躍のダイナフェアリーにリアルシャダイをつけたところから、明らかに、熟成させることに価値を見出した十数年後のステージを目指す配合を施され、ティンバーカントリー、ネオユニヴァースを経て、最後にシンボリクリスエス。

3代母までは芝向きだったのが、ウッドマン直仔のティンバーカントリーが入ってから、完全にダート型にシフト。

名牝系にティンバーカントリーとなると、あのアドマイヤドンがすぐに思い浮かぶが、しかし、代表産駒はステイヤーズSを完璧に走る男・アルバートなのだ。

これには牝系の影響もあるのかもしれないが、表向きダート適性に優れた能力を秘めるということは、絶対的なものにはなりえないわけで、ゴールドアリュールだって、最初の方は芝向きのキレ馬も出していた。

詰まるところは、マイルを駆ける能力に長ける才能というのは、根幹距離での実績が頗る優秀なのだから、オグリキャップみたいなこともあり得ないわけではないけれども、種牡馬としての未来も確約されているのだ。

かつてのノンコノユメが試した、後方追走からのイン強襲は、ロスなく回って末脚炸裂の一昨年覇者であるサウンドトゥルーと同じだった佑介騎手のウェスタールンドは、痛快な競馬も、あくまでも伏兵の戦い方。

位置はとれなかったが、形作りは成功のサンライズソアに、同じく4歳の逃げ粘りのアンジュデジール、それらを追ったオメガパフュームとサンライズノヴァらは、力を示している。

1秒以内となると、オメガまでが該当するものの、その後は殿パヴェルまで0.7秒内で入線している。

いかにハイレベルだったか、いかに勝ち馬が抜けていたか。

ウェスタールンドら2、3着馬につけた0.4秒差と、勝ち馬が上がり2位だったことが、全てを物語っている。