フェブラリーステークス2019 回顧

サクセスエナジーがパッとしないスタート。

インティはちゃんと出たスタート。

サンライズソアなどが攻めてくるというほどの先行力は、インティに対してはそれほどないわけで…。

ユラノトの動きばかり見ていた筆者だが、これは和田&モーニンが邪魔になるなと思ったのだが、彼が本来の力をまだ出せるような状況であったから、ユラノトも何とかスペースを作って内から伸びてきた。

うまく外へ…。それは福永騎手も考えていただろうが、初のGⅠだから、着差はともかく、この結果でも納得であろう。

それにしても、パドックの気配からして、インティの存在感は抜けていた。

筋肉がとても詰まった迫力の丸太ボディを、どういう風に鞍上が活かし切るか。

ところが、これはちょっと・・・。

異変は本馬場に入ってから、外ラチに向かって突進するようなお披露目になったところで、皆に察知される。

きっと武豊騎手は、15:43頃のインティの晴れ姿のために、その時から懸命の施しを始めたのだろう。

スピードがあり、尚且つ、末も伸びる。

サイレンススズカもスマートファルコンも、しっかりと先行することが重要なスピード型の本物の姿を理解する武豊騎手だからこそ、捨て身にならない程度の積極的な先行ポジションこそが、この状況のインティには合っているのではないのか。

やれることは全てできた。

上手に走れることが、今まで通りの余裕のローテで、返って、不発続きになっているゴールドドリームが、この日もルメール騎手と共に、ここ1年取り組んできた普通のダートチャンピオンの走り方を体現した。

しかし…。

天才・インティにとって、そういう馬の追撃こそが、自身の力をより際立たせる最後の隠し味になるのだろう。

60秒そこそこの5F通過は、展開に様々な想定がされた中で、インティの危険な面が出そうな中での単騎先行としては、ベストに近い流れ。

鞍上の知っているインティ、インティ自身が知るインティ。

軽いレースに向くだけではない彼が、時計の証明と名手のお墨付きにより、本物と認められた今なら、きっと、この高いGⅠの壁も簡単に乗り越えてくれるのではないのか。

直線はきっと、最悪の条件が馬自身に重なった中では、ベストを尽くせたという自負が人馬にあったからこその抜け出しだったのだろう。

ゴールドドリームが近づくにつれ、自身にも接近されたが、その後ろの組はもっと突き放された。

イレ込みとも言えるくらいの状況で、国内2番手の東京マイル後者の追撃を凌ぎ切ったのだから、もはや、ルヴァンスレーヴの代理が務まるのは、インティしかいないと、これで証明されたことになる。

インティの血統背景に関しては、東海Sの展望の際に迫ったのだが、ミスプロの直系同士で掛かった3×4という特異にして、極めて有用なるインブリードがあるだけではなく、その背景に祖父にあたるネイティヴダンサーの血がこれでもかと、5代表外に組み込まれている点が、彼の血であり肉。

そして、そのスピードと底力が求められた時にこそ発揮される爆発的な才能は、初めてのビッグタイトル参戦での優勝により、マイル-2000における黄金ステージでの活躍が、これで確約されたと言える。

ケイムホームや母父のノーザンアフリートに目が行くと理解できない、距離の離れたところにあるミスタープロスペクター、セクレタリアト、ニアークティック、ストームキャットなどなどの根幹種牡馬の血が、彼の可能性を無限に広げていることへの認知。

底力の血を邪魔しないケイムホームの良さがはっきりしたことで、その名がより広まるだけではなく、ミスプロ系・ネイティヴD系の隆盛が、このインティという存在のような気がしてならない。

半端ない男とは、まさにインティのことである。

5着健闘のコパノキッキングも素晴らしいが、彼のベストパートナーが藤田菜七子騎手である可能性が見出せただけでも、それは収穫。

ただ、どんなにいいマシーンでも、細かなポイントを押さえてくれる信頼のパートナーがいたかどうかで、こういう差が出てくるのは仕方がない。