フェブラリーステークス2020 予想

世の中が新型コロナパニックに陥るかどうか、まさに瀬戸際に立たされる状況に至って、不要不急の極致たる公営ギャンブルのお祭りのようなGⅠレースが行われることになったのは、ちょっとした不幸なのかもしれない。

一応、競馬というのは基本的に屋外で行われるから、ファンがキレイに改装されてもう久しい東京競馬場のスタンドで好き勝手やったところで、問題はその前の満員電車の方だろうというのが、本質的な部分。

各スポーツに影響が大きく出始めている状況で、JRAが途端にファンの締め出しをするはずはないが、咳をしている人くらいは、歯磨きもシャワーもしなくていいから、車内ではマスクをしてもらいたいものだ。

6歳馬が人気になる一戦。

大いに怪しい面もあるが、GⅠ馬ならばそれがクリアできるという側面もあったりするフェブラリーS。

良馬場になると妙に時計が掛かる傾向が、良馬場としては平均的な含水率になりそうな多雨の厳寒期を迎えた東京ダートにおいて、今年も継続するとは思いづらい。

7歳馬は勝っていない。8歳馬も。

その辺りが、6歳と言えでも、芝のGⅠシーズンではない時期のフェブラリーSの傾向と見事にリンクする。

やや無理筋ながら、キャラを理解する過程で戦績との本質に乖離があるように感じた4歳の重賞2勝馬・デルマルーヴルを狙ってみたい。

ルメールよりデムーロが頼れるとされた頃に目立ったダートへの親和性というか、柔軟な対応力は、中央で行われるGⅠ両獲りを唯一果たした中央生え抜き以外の騎手であること、全盛期のオリビエ・ペリエとGⅠフェブラリーS黎明期に皆を圧倒した岡部幸雄など3人しかいない連覇を経験した実績だけでなく、オメガパフュームという小柄なダートのトップホースで結果を出している点もデムーロ騎手は評価できる。

唯一の東京1600の経験が、同日開催が通常のヒヤシンスS。

初の芝スタートで2歩目で滑ったような感じで、その際に内枠だから進路をカットされてしまって、それまでも乗っていたルメール騎手がマイルの差し馬というような型を作り上げている中で、不完全燃焼の3着。

その前に園田や川崎でも結果を出し、ドバイ遠征後は地方行脚の末、名古屋のエキセントリックな2500M戦で重賞を制したから、パンチの利いた浦和や川崎で乗ったマーフィー騎手は、きっと彼はスタミナ溢れる馬という認識だったのだろうけど、きっと、デムーロ騎手は全日本2歳優駿2着時のいい感覚を持っていて、ぐるぐるタイトなコーナーを回っていくようなレースよりよっぽど、ワンターンの競馬が合っていると考えてるはず。

が、色々経験しているので、揉まれてもガッツを出す岡部誠の叱咤に応えきった側面も秘める稀有なパイロ産駒なのは間違いない。

同系の好走馬として、何度もここで好走したインカンテーションや昨年の覇者であるインティは、幾重にも積み重ねられたネイティヴダンサーの芸術的構成が、パワーあふれる才能を底力の求められる場面でこそ発揮する原動力となったわけだが、デルマルーヴルはインカンテーションと似ている血統だけではなく、母父に馴染みのヘイローと同族のノーザンダンサーの母であるナタルマやその母で両者の祖母であるアルマームードのきついクロスが内包されている点。

インカンテーションは母父マキャヴェリアンの母がアルマームードの3×3、デルマルーヴルの母父父のデインヒルがナタルマの3×3を持ち、後者はそれにより生じたネイティヴダンサーの4×4が起点となって、ネイティヴダンサーの大きな輪が出来上がっている。

ミスプロにノーザンダンサー、ノーザンダンサーと同配合のアイスカペイドが、早熟性と無類の芝嫌いの性質を示すパイロの頼りない面を補完している。

4歳馬があっと言わせたシーンは、ここ最近の方が多く、サクセスブロッケンもコパノリッキーも、3歳春頃までの勢いは失せたとされ人気を落とした豪華メンバーのフェブラリーSで、華麗なる復活を遂げた。

まだGⅠ勝利には縁のないデルマルーヴルだが、コパノリッキーよりは早熟でサクセスブロッケンより上がり目十分。

前走惨敗の馬は若いほど狙い目。

当然、インティもマークするが、本命と真逆、進境著しい7歳ボールドルーラー・ヴェンジェンスの充実ぶりも侮れないので、予想のベクトルからこれもしっかり押さえておきたい。

ただ、上位に選んだ2頭よりは渋った馬場を好むタイプか。

◎デルマルーヴル

○インティ

▲ヴェンジェンス

注アルクトス

△サンライズノヴァ、ミッキーワイルド、モズアスコット、ワンダーリーデル