阪神ジュベナイルフィリーズ2019 回顧

完勝だった。レシステンシアしか強い馬がいなかったというほどの内容。

1:32.7で決着。

<45.5-47.2>

前走の内容もさることながら、新馬戦からセンスの良さを感じさせる内容の方に、オッズが断然の支持でもあったように、大きな期待感があったからこそ、この結果そのものは驚くものではないだろう。

ただし、完全な前傾ラップを上がりで前半より2秒弱要しながら、北村友一騎手がしっかり追ったこともあるが、最後にもう一度突き放したような内容は、父の妹にあたるダイワスカーレットの完成期の姿とダブる万能感もたたえた無敵の強さも感じさせた。

ウオッカでさえ、調子に乗った時の彼女には接近することさえもままならなかった。

ダイワスカーレットが一番強かったのは、当然、相手があるから産経大阪杯だとか有馬記念となるのだろうけど、インパクトだけで言ったら、今度は並ぶことを許さず、自力勝負で差し馬の方により脚を使わせて圧倒した桜花賞がベストに思う。

そういうところがダイワメジャーの血筋であるスカーレットインク系の魅力。

直線のふらつきにその兄妹が秘める危険なにおいの一部分が見て取れたわけだが、その余力こそが相手にとっての脅威であり、最大の武器であったりもする。

レシステンシアという馬は、アルゼンチン由来の南米血統という括りで分類されるのかもしれないが、母父はデインヒル直系であり、リザードアイランドはその孫、母母父のポリグローテがサドラーズウェルズの直仔。

見方によっては、凱旋門賞連覇など傑出した記録を残して未だ現役のエネイブルやその前に凱旋門賞を席巻したトレヴなんかと、大きな血統的特性は変わらないのだ。

単純比較とはなるが、ヘイローの血が強く効いている分、こうしてスピード能力を活かした戦法をとれる馬。

リアアメリアは母系がアメリカ血統だから、自分から時計を作っていく方が魅力が出てくるはずでも、今回は、あの追い込んだ東京の時とほとんど同じ1:34.2でしか走れなかった。

代わりに、上がりが全く違って3秒近くかかっている。

ヤマカツマーメイドに注目していたので、それが奪いとるべき好位のインにウーマンズハートがいたから、これをヤマカツマーメイドが交わせないのは仕方ない。

ただ、これも平凡な上がりの勝負に持ち込まれることで、凡走に近い4着で、手間をかけて外に出したヤマカツに迫られた。

リアアメリアはその後ろで話にならないが、一方で、4着以下のグループに2馬身半つけたマルターズディオサ<キズナ>、人気馬の競馬をしたタフネスガールのクラヴァシュドール<ハーツクライ>らは、レシステンシアのように、道悪や時計勝負を経験している。

ウーマンズハートに直線で一刀両断にされた新馬戦を経て、以降負けなかったマルターズディオサが、今度はタフな本番のレースで大逆転。

即ち、この序列を崩すことから、全てが始まるのである。

まあ、レシステンシアは気持ち早めの出世となったわけだが、明らかに、本格派マイラーとしての未来は開かれようとしている。

頑張ってもらいましょう、2020クラシックフィリーズには。