阪神ジュベナイルフィリーズ2023【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着アスコリピチェーノ(5.9倍)2着ステレンボッシュ(8.7倍)3着コラソンビート(4.8倍)
レース名 | 第75回阪神ジュベナイルフィリーズ |
日程 | 2023年12月10日 |
優勝馬 | アスコリピチェーノ |
優勝騎手 | 北村宏司 |
勝ちタイム | 1:32.6 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 21,530円 |
阪神ジュベナイルフィリーズ2023 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 7 | アスコリピチェーノ | 1:32.6 | - |
2 | 6 | ステレンボッシュ | 1:32.6 | クビ |
3 | 10 | コラソンビート | 1:32.8 | 1.1/4 |
4 | 14 | サフィラ | 1:33.3 | 3 |
5 | 12 | シカゴスティング | 1:33.4 | 1/2 |
単勝 | 7 | 590円 |
複勝 | 7 | 210円 |
複勝 | 6 | 270円 |
複勝 | 10 | 180円 |
枠連 | 3-4 | 1,880円 |
ワイド | 6-7 | 890円 |
ワイド | 6-10 | 770円 |
ワイド | 7-10 | 620円 |
馬連 | 6-7 | 2,330円 |
馬単 | 7-6 | 4,350円 |
3連複 | 6-7-10 | 3,680円 |
3連単 | 7-6-10 | 21,530円 |
阪神ジュベナイルフィリーズ2023- レース後コメント(騎手/厩舎)
「スタッフの皆さんにも牧場の皆さんにも手をかけてもらっていて、すごく良いコンディションでしたので、自信を持って臨みました。結果を出せてホッとしました。前回に比べてもスタートは上手に出たかなと思います。馬のおかげだと思いますので、これからも、馬も僕も応援してもらえたらと思います」
※優勝した北村宏司騎手のコメント(アスコリピチェーノ)
阪神ジュベナイルフィリーズ2023 - レース結果動画(YouTube)
阪神ジュベナイルフィリーズ2023 - 回顧
かなりタイトな展開になりかけたところで緩みは生じたが、前に行った組がスピード優先というか、マイルまでこなせそうな総合力のクラシック向きのタイプがいなかったため、単純にレースメイクに力点を置く自分の型を優先したこともあって、思われているよりは差し馬優勢の流れ。
おかげで、関東馬上位独占の流れで来たようなところもある
サークルオブライフくらいしか最近は勝っていなかったが、その国枝厩舎が、何か急ごしらえの感じもあるステレンボッシュなる伏兵を送り込み、色々あってルメール騎手が乗ることになると、しっかりと安定の上位好走。
手練手管、常に自然体でまさに泰然自若のルメール騎手相手に、前受けで勝ち切ることになったアスコリピチェーノは、創造よりもずっと勝負強く、また底力のあるマイラー、あるいはワンターンの専門家に育ちそうな雰囲気を感じさせる、誠に見事な内容での3連勝とした。
黒岩陽一調教師は、攻めの稽古をするというほどのイメージはないのだが、栗東へ早めにこの有力候補を送り込むと、実に意欲的な稽古を重ね、明らかに状態を上げて、万全のG1獲りの態勢を整えたところもある。
ただし、レース内容は極めてタフ。
その点でも、いかにもスピードを活かして、グイグイ先行するレシステンシアのイメージが付きまとる、何だか貧弱な面も抱えるワンペースなイメージとは、最初の段階から違ったとはいえ、母系が欧州の重厚な血を重ねられたリッスンの血脈なので、そうした芝の揉まれること前提の争いに適した、まさにクラシック向きの総合力を備えたエース級になれる素材であったと、このアスコリピチェーノに関しては言えるのだろう。
ポイントとなる1000M通過は、昨年もなんだかんだで速かったが、58.2秒であるから、1秒以上遅い。
ただ、昨年は結果的に、抜けた存在がいたわけで、イクイノックスではないが、半マイル通過45.2→57.0秒での5F通過から、終いを36.1秒でレースをまとめるために、中団から抜け出し、それも伸びない外々追撃で悠々独走ながら、35.5秒で自身まとめたリバティアイランドは、当然、本物の中の本物という逸材だったが、結果的に、レースバランスが崩れてしまったことで、1:33.1でまとめるまでしかできなかった。
ところが、今年はそれを0.5秒超える1:32.6であるから、全員バテた中で自身独走の際に記録された、2019年、このアスコリピチェーノと同じ3戦無敗戴冠のレシステンシアの5馬身大楽勝で叩きだした1:32.7をも超えている。
まさに、素晴らしい好内容のレコード決着で、その近辺に、翌年以降またパワーアップする白毛という枠では収まらなくなったソダシ<1:33.1だから、リバティアイランドと同じ>もいるわけで、正攻法に近い抜け出し、前は苦しく、本物しか伸びてこないところで、大変に珍しい牝馬の京王杯2歳S優勝馬であるコラソンビートと、いっちょ、ここは追い比べをして勝負を決めようかというところで、外に振った分というよりも、本質的な適性の差で、1400の世代王者は坂上で脱落。
見事としか言いようがない、ルメール追撃の2着は、ソダシを追い詰め、一瞬出たかと思わせたあのサトノレイナスを思い起こさせるようなイン強襲に最後はなったが、ついに、並ぶ手前まで来られたものの、さすがは、差し返す正攻法のマイル王・ダイワメジャーの娘であるアスコリピチェーノが、一度も前に出させることはなかった。
久々のビッグチャンスで、北村宏司騎手も最後は必至であったが、修正することで精一杯のステレンボッシュ・ルメール騎手の方が、よっほど苦しい2着であったように思う。
アスコリピチェーノはまだもうひと粘り出来た印象もあった。
総合力勝負のマイルは、その後の競走馬としての進化に大きな意味をもたらす好意的な結果をもたらす一面がある一方、あれだけ強かったレシステンシアも、その後ついに、勝てそうなところまで行ったG1タイトルを得ることはできなかった。
サークルオブライフも脚部不安などがあり、その後は伸び悩み、同じ厩舎のサトノレイナスも、結果的にソダシの圧に屈してから、一度も勝てずに、ダービーの惜しすぎる5着を最後に、ターフを去っている。
関東馬では、メジロドーベルのシーキングザパール討ちが、アパパネの阪神試走がてらの戴冠に続くレベルのお手魅せとなったわけだが、ブエナビスタやリバティアイランド、ソダシもまさにそのパターンで、負けたがハープスターもいい経験を<鞍上もそうか>することになったから、あとは自分が成長をするだけの余裕が、好結果を呼び込むいい循環を生んできた。
万全の態勢で、
このレースを獲ったわけだが、陣営の余裕があるなら、まだ先がある。
馬には余裕はあったはず。
怪我だけが怖い立場になった今、最も重要なことは、先を見据えた戦いをする準備を重ねること。
正直、関東馬はライバルとして、この中にはいないだろうし、では関西馬は…。
出てこなかったあの2頭の存在が、アスコリピチェーノのモチヴェーションになってもらわないと、2歳女王の名は廃る。
ダイワメジャーらしさをみせつつ、このレベルの高くなった一戦で、終いをここ2戦のスローと同じように、33秒台でまとめたアスコリピチェーノに、しっかりとチームはついていかないといけない。
サフィラにはぴったりの展開に思えたが、結果は置かれた4着。
人気を裏切ったと言われるほど、抜けた支持を集めたわけではないが、どうも典型的なハーツクライ、この一族も、関東馬部門の2歳チャンプ・サリオスを除けば、サロミナの仔と言えば、晩成であり…。
思われているより、新馬戦こそ、あれは松山騎手がやらかした結果でも、内面的にまだまだ未発達の要素が溢れているような、いい意味でもやはりという感じでも、どうもまだ力がついていないという結果に見えてしまった。
分かっていて使ってきたし、それをファンも理解した上で、更に言えば、アルテミスSで2着という、昨年のリバティアイランドだとか、メジャーエンブレムなどの幻影を追いかけてしまったのだとすれば、少し早合点であったのだろう。
高速の阪神で、外差しは決まらないし、レースを展望するところでも、ダイワメジャーがレコードを出しているレースなのだから、アスコリピチェーノは総合力向きとはいえ、やはり、外からピュっという牝馬らしい決め手が繰り出せたところで、ブエナビスタのように伸びてくることはできないという、レース特性の罠にモノの見事に引っ掛かった。
コラソンビートが正攻法に近い内容で、予定通り、力を出し切り、マイル実績で勝る面々にタフに押し込まれたのに対し、そこに3馬身の差は、キレの面でも物足りない。
とはいえ、ハーツクライ×サロミナなのだから、パワーの繰り出し方も、サリオスではなく半姉のサラキアそっくりのサフィラには、まだこの1番人気は重荷でしかなかった。
可哀そうなことをしてしまったといううちに、この血統はあっという間にモンスター級に育ってしまうが、この日の口惜しさをいつかまた、大きな舞台で100倍返しにしてくれるその瞬間をじっくり待ちたい。
サラキアの全盛期を知る松山騎手は、焦ってなどいないはずだ。
望外にも、レースレベルを高めたこの上位入線組と、陰ながらアシストした伏兵陣は、思わせている以上に底力があるのかもしれない。
1000Mは58.2秒の通過だから、レースの上がり自体が34.4秒と高速。
オッズが割れるのは仕方ないが、この一戦で、チェルヴィニアやボンドガールら、未対戦のエース級への挑戦状を叩きつけるべき存在のレベルが窺い知れたわけで、それが昨年の1、2着馬の間のレベルにあることは明らかだ。
また、面白いクラシックを楽しむことになるファンは、実に豊かな時間を過ごすことに恵まれている。
感謝しなければならない。