ホープフルステークス2023【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着レガレイラ(3.1倍)2着シンエンペラー(3.1倍)3着サンライズジパング(128.7倍)

レース名第40回ホープフルステークス
日程2023年12月28日
優勝馬レガレイラ
優勝騎手C.ルメール
勝ちタイム2:00.2
馬場良馬場
3連単配当56,240円

ホープフルステークス2023 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
113レガレイラ2:00.2-
26シンエンペラー2:00.33/4
35サンライズジパング2:00.62
44アドミラルシップ2:00.73/4
518ミスタージーティー2:00.7アタマ
単勝13310円
複勝13140円
複勝6140円
複勝51,350円
枠連3-7520円
ワイド5-65,390円
ワイド5-135,130円
ワイド6-13280円
馬連6-13530円
馬単13-61,150円
3連複5-6-1318,800円
3連単13-6-556,240円

ホープフルステークス2023 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「うしろから楽にポジション上げてきました。で、最後の瞬発力はすごかったです。スタートはあまりよくなかった。ゲートのなかでちょっとチャカチャカしてタイミングが良くなかったので後ろの方になりましたけど、そこから冷静に走ってくれたので、最後にいい脚を使うことができた。距離を延ばしたらいいと思います。最高の1年でした。すごくうれしいです。ファンの応援はすごかった。また来年。よいお年を」

※優勝したC.ルメール騎手のコメント(レガレイラ)

ホープフルステークス2023 - レース結果動画(YouTube)

ホープフルステークス2023 - 回顧

レガレイラの血統

母のロカは、京都の新馬戦を衝撃的な末脚で勝ち切った阪神ジュベナイルフィリーズ1番人気馬。

新馬から直行というのも異例だったが、この年から、朝日杯も阪神開催になったので、蛯名騎手の連続週制覇が目立った裏で、レガレイラというか、残念だったタリフラインのようなスタートで終わったあの日のことを一瞬思い起こすシーンはあったのだが、娘の方はずっとタフだった。

この牝系は、言わずと知れたディープ一族のウインドインハーヘア直系。

3代母がそれであるから、今勢いのあるディープ孫世代とよく似た作り。

直系はハーツクライのライン。スワーヴリチャードから当たりが出る率が高いことは、産駒誕生の時点から、もう早々に知られることとなったが、この牝馬がサンデーサイレンスの3×4を持ち、かつ、鉄板のリファールクロスも併発。

スワーヴリチャードは早熟でも何でもなかったが、明けて初戦の共同通信杯を四位元騎手と独走ウイン。

持ちあわせた才能を証明するのに、最も適していないはずの舞台で、能力全開、とも思えないほど、あっさりと豪脚を披露だから、キレの血の集積体は、いかに日本の高速レースに適しているかが、再び当たり前のことのように証明されたことになる。

速い馬がいて、前がやりあって、本命級の男馬がそのすぐ後ろにいたとはいえ…。

2分そこそこで、かつてのラジオたんぱ・NIKKEI杯を勝つ牝馬はついに現れなかったが、後継でG1となったここで、牝馬限定時代以来の勝利。

どう考えても、血統的な裏付けもあるのだから、誰がどう見ても、結果1番人気に相応しい振る舞いだったと、あとからみんなで言い出すことになる。

その次の勝因がルメールさん…、ということにしておきましょう、一応。

ワンダーホース現る。

それもドウデュースと同じハーツクライのラインから。

2019年末にリスグラシューの意志を、三冠全てを獲ってしまうコントレイルが受け継いだ、ある種のバトンタッチ、のようにも思えてしまった。

いつでもどこで、ルメール騎手<ハーツクライG1制覇位の立役者>だとか、武豊騎手<ハーツクライでも重賞勝ち、リスグラシューもドウデュースも元は主戦>らの名が出てくる血統。

ディープインパクトに絡む因縁の物語が、このレガレイラの血統表の中に密封<ロカの母父ダンスインザダークも武豊騎手のお手馬>しておいた爆発力の血は、

60.0-60.2→2:00.2

という、完全クラシック級を容易に証明する、極めて濃密な攻防の中で、こんなレースにいきなり放り込まれたなら、どの馬も変な走り方をしてしまって…、いささか残念な、18番枠なのに内に潜り込んで損をしたミスタージーティーなど、様々なところから流れ弾が襲い掛かる激しい展開であるところ、外々追撃は、いくらルメール騎手でも、丁寧な仕事をしたとはいえ、ほぼ独走能力で牝馬だからこそ価値ある35.0秒の末脚に、シンエンペラーにない魅力が凝縮されているように思えた。

正しい立ち回りは、必ずしも、とりわけG1では勝ちに繋がるわけではない。

ルメール騎手はそれを再び思い知らされた日曜日を経て、完勝する牝馬という女性騎手も陰ながら盛り上げた一戦<4着のドイル騎手・アドミラルシップは、人馬の実力通りだったか>を、見事に演出。

勝ち運に恵まれるために、捨てレースではなく、完璧な惜敗を体感することは何より重要なことを、ルメール騎手はしっかりとハーツクライと共に学ぶ季節もあったが、シンエンペラーのムルザバエフ騎手は、まだその辺りの勝負の綾の部分を、どこまで理解できているか、まだまだ未知数だけに、ショックを受けることのないようにしてもらいたいと、妙に気を遣ってしまいたくなるほど、今年も完ぺきと言えるようなレース運びだった。

流れを読むというより、正しいポジションを素早く取るという基本スタイルに、今回ばかりは、ひとつの穴があったとなるが、本当の芝のビッグタイトル<欧州圏における深い芝の上で繰り広げられる大レースという意>を目指す、誇り高き凱旋門賞馬といえるソットサスの同血兄弟馬が、前走も厳しい京都2歳S、続いてこのレースでも…。

コントレイルは他の馬と競っているような雰囲気がなかったが、このシンエンペラーのキャラは、むしろ、レースに行って強いという印象。

欧州には存在しないだろうサンデーサイレンスの3×4と真っ向挑む、北米ダートのクラシックトライアル級の時計勝負で展開の一戦を、かなり他の馬に迷惑をかける直線入り口の立ち回りでありながら、何故か、誰も衝突はしないという不思議。

かつて、皐月賞でドゥラメンテが内から外に出すところで、こういうことが偶然起きて、今年の皐月賞馬であるソールオリエンスも、中山で毎度そんな感じだった。

ダメージはあるはずだが、経験に勝る大きな財産は存在しない。

レースに行って強い馬だと証明できたことで、ムルザバエフ騎手も評価は一つも落ちない。

レガレイラがこのスピードレースの申し子であったというだけのことで、互いに不利はないのだから、能力を出し切りつつ、レガレイラの牝馬らしい爆発力と本質的なスピードで敗れたことを、距離延長を展望することこそが、クラシック競走の本懐とするならば…。

矢作調教師は、ある意味で、本当の確信めいたものを認識したうえで、積極的な采配を振っていくような気がする。

サンライズジパングはJBC2歳優駿の2着馬だが、これが因縁めいているようで、その勝ち馬こそが砂の2歳王者であるフォーエヴァーヤング<シンエンペラーと同じ藤田オーナー>に敗れたが、普通は勝っていたのではないのかという競馬。

昨年も、事実上はダート馬で確定に近いムルザバエフ騎手のドゥラエレーデが勝ったレース。

レースの水準は馬場差は若干あったにしても、圧倒的なレースレコードであるわけで、どの道を進もうとも、前途洋々。

ただ、舌の根の乾かぬ内の典型ではあるのだが、早仕掛けを咎められることがあっても、それは必ずしも、ここでの勝利の可能性を失ったまでのことで、未来にはどうにでも展開するという思惑にフィットする年があるにはあるが、不利を受ける側に回ったら、損をするだけであって、勝ち運もろとも、未来の発展性までの失いかねないというのが、G1の残酷な真実。

伏兵の中で、同じように大駆けの類であるアドミラルシップやミスタージーティーも、本当はもっと上があったはずなのに…、の前に、次に賞金を確実に積み上げないと、むしろ、他で力を蓄えていた馬やそれこそ、出たいのに出られなかったゴンバデカーブース<レガレイラの末脚に見劣ったところで、不利を受けなければ確実に勝ち負けだったろうが、彼がいなくなったことで、16頭立てになったのが、結果力勝負に直結した部分もあり…>なども、本来ライバルだったはずと考えれば、実力を早々に証明してこそ、真のG1級の格言が彼らに当てはまることとなる。

確率は高かったとはいえ、一応は、抽選を経ての出走であるレガレイラの爆発力は、勝ち運に恵まれるための努力を惜しまない名手の差配で、鮮やかなゴール前逆転に繋げたが、人馬共に、経験が重要なことがよくわかった一戦。

ルメール騎手でなければ、普段は内に入ることも多い鞍上のスタイルからして、序盤から潔く、直線勝負の準備を整えるために、出負けを全く死角としなかった好判断一つとっても、実力勝負の一戦だった。

だからこそ、負けたグループは、シンエンペラーは強気の攻めたレース選択なら問題ないが、すぐに重賞の力を見せつけたい。

特に、逃げてしまったようなところがあるヴェロキラプトルなどは、立て直しができないと、かなり尾を引いてしまう。

あと、菜七子騎手のアンモシエラは、勝ち馬と同じ牝馬で、全くもって比較にならない殿15着<タリフラインは残念な故障でリタイア>だったが、2:02.4で駆けている。

天下の逃げ馬となったパンサラッサ<勝ったのは当然あの僚馬>は、それより0.3秒遅く走った。

時計の価値は違うが、この牝馬もちょっと侮りがたい。

それは藤田騎手も同じだろう。