ジャパンカップ2023【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着イクイノックス(1.3倍)2着リバティアイランド(3.7倍)3着スターズオンアース(26.6倍)
レース名 | 第43回ジャパンカップ |
日程 | 2023年11月26日 |
優勝馬 | イクイノックス |
優勝騎手 | C.ルメール |
勝ちタイム | 2:21.8 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 1,130円 |
ジャパンカップ2023 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 2 | イクイノックス | 2:21.8 | - |
2 | 1 | リバティアイランド | 2:22.5 | 4 |
3 | 17 | スターズオンアース | 2:22.6 | 1 |
4 | 5 | ドウデュース | 2:22.7 | 3/4 |
5 | 3 | タイトルホルダー | 2:23.1 | 2 |
単勝 | 2 | 130円 |
複勝 | 2 | 110円 |
複勝 | 1 | 110円 |
複勝 | 17 | 210円 |
枠連 | 1-1 | 180円 |
ワイド | 1-2 | 130円 |
ワイド | 1-17 | 440円 |
ワイド | 2-17 | 310円 |
馬連 | 1-2 | 180円 |
馬単 | 2-1 | 260円 |
3連複 | 1-2-17 | 600円 |
3連単 | 2-1-17 | 1,130円 |
ジャパンカップ2023 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「この馬の走りは信じられません。ペースが速かったけど、直線はすぐに反応して、自分でもびっくりした。アクセレーション(加速)がすごかったです。スーパーホースですね。彼の上では自信をたくさん持ちます。賢い馬で乗りやすい。おとなしい。ポニーみたい。誰でも乗れますよ(笑)すごくいい競馬をしてくれたことを、うれしく思います」
※優勝したC.ルメール騎手のコメント(イクイノックス)
ジャパンカップ2023 - レース結果動画(YouTube)
ジャパンカップ2023 - 回顧
イクイノックスの血統
父キタサンブラックは2016年の優勝馬、父父の全弟であるディープインパクトは2006年、いずれも4歳時に完勝している。
言わずと知れた、日本競馬界の至宝・武豊騎手とのコンビで、それぞれが歴史的名馬の姿をこの大舞台で示したことになる。
母父父はワンダーホースという点で、ディープインパクトと全く遜色のないダンシングブレーヴ、母母父トニービンらは、ほぼ同時期に凱旋門賞を制し、前者は3歳時に、後者は5歳時に勝って、トニービンの方は引退レースとしてこのジャパンCに参戦し、5着に敗れた後、その存在感を種牡馬としてより示すように、今ここに至る。
説明のつかないレベルに到達したイクイノックスに、血統的な価値を求める前時代の効果をどこかに求めるという論理構成は、もはや不可能となってしまったが、誰も知らない世界を教えてくれるイクイノックスに、ルメール騎手が思わず感極まるのは、ごくごく当たり前のリアクションであったように思う。
ここに挙げた誰にも似ていないからこそ、スタンダートが他と違うイクイノックス、という存在が説明できるのかもしれない。
地球を何周回っても、まだイクイノックスが先頭切って走っていそうな雰囲気さえあったが、化け物じみたあの天皇賞を経て、リトルサイズの進化ではなく、肉体的に更に研ぎ澄まされたような、不可思議なレベルでの内面的なビルドアップがあったとしか思えないほど、笑うことさえ人間から奪うほどに、異次元の独走劇。
ある意味、イクイノックスが止まって何ら不思議ない展開だったものの、そのようなことが普段ならあり得て、もしそういう不幸な流れになれば、リバティアイランド以下もまた全然お呼びでないと、全体が地盤沈下する不毛なジャパンCともなるが、スピードレースになったことで、正当な評価を受けてきた猛者たちであるから、あのタイトホルダーとて、最後は差し返してきたほどのパワー勝負。
3歳馬にはつらすぎたという見立てもできるが、フォームを乱しながら、同父のスターズオンアースをねじ伏せるようにしっかりと粘り込んだリバティアイランドは、ほぼ、9割方のジャパンCで優勝馬になったはずの馬と思わせるほど、自力強化だけでなく、強い馬に怯まない底力を見せつけた。
相手が悪いというレースは、下級条件でも多く見られるが、その次にこれが見られる舞台というのは、こうした真のエースを決定する大レースであったりする。
何一つ、陣営の仕上げにもレース内容に関しても問題はなく、一瞬噛んだような怪しい挙動があったくらいで、それは相手関係が…、そこまで含めて、対イクイノックスの直接の敗因ではない。
イクイノックスだって、本当はもっと前に行きたかったはずである。
だから、本当に褒めるべきなのは、休み明けもほとんど大外も無視したようなスターズオンアース。
ハイペースが得意とも思えず、極端なスピード勝負ではない展開は合っていたはずだが、順調であれば…、そう思わせる3着は、非常に消化不良にも近いここ1年ほどのキャリアの中で、抜きん出たパワフルさを披露した、至極のレースともなった。
天皇賞でも、恐らくはもっと走っていただろうが、勝ち馬は変わらなかったのだろう…、そう思わせた対戦の構図の中で、一つ、リバティアイランドの異様なまでの破壊力とは別に、底力の古牝馬というところで、本物の力を見せた価値がある。
ただ、偶然なのか何なのか、父はキタサンブラックとドゥラメンテの姫2頭。
古馬になれば、全くにっちもさっちも行かなくなったドゥラメンテに対し、威風堂々の正攻法で王者になっていく4歳秋以降にG1を5勝のキタサンブラックとの差が、底力をそのまま反映する高速のジャパンCで、はっきりと出てしまった感じ。
クラシックホースであるか、そうではないか。
クラシックホースが掲示板の2着以下を全て占めるレース<2、3着は牝馬クラシック二冠以上、4着はダービー馬・ドウデュース、5着は菊花賞馬・タイトルホルダー>となったところで、堂々の逃げ切りにも近い完勝劇を演じたイクイノックスには、人間には見えないレベルで、まさに可視領域から外れたところで自身の本質を見ているのでは思わせるほどに、言い知れぬオーラがあるのだ。
誰も近寄らせないのだから、勝負にならない。
リバティアイランドにだけ、挑戦状を送らせてもらえるだけの権利は与えられなかったが、妙な格好で、1番枠がリバティ、イクイノックスはすぐ後ろで、奇縁にも等しい2番枠で、隊列を縦隊に組むことになれば、メンタルもなかなかに図太いリバティアイランドだから、イクイノックスに追われるというか、ついてこられる状態になる。
それは敗因ではないが、馬はあくまでも集団の中で自分のポジションを明確にする草食動物。
ボスは誰だと、18頭の中で決める段階は、もう鞍を付けた後から始まるのだろうが、イクイノックスに勝てるという勇気を与え、リバティアイランドには少なからず、この大将を倒さねば、ナンバーワンではないという言葉のない世界での軋轢が、少々ばかりではない感じで、実は、大きなプレッシャーになっていたのかもしれないと思えた。
思えば、ジェンティルドンナとオルフェーヴルの肉弾戦でも、染め分け帽がつけられたような、両者が大外枠同士という異様なレース。
位置取りは今回と違ったが、捲ったオルフェーヴルを真っ向迎え撃ったジェンティルドンナという構図とは、似ているような、いや少し違うか。
プライドを競うような性質の両者に対し、もっと大人しいところがある今年もビッグツーは、何か、自然の摂理の中で、ごくごく当然のような展開が、レース前で決定的な部分で結論付けられたから、イクイノックスは普段通り以上のハイパフォーマンスがいとも簡単にできてしまったのではないのか。
疲れは多少あって不思議ない両者だが、この対決を分けたポイントは、レースに至る前までの人間にはわからない中で行われる攻防にあったとすれば、独走で決着の結果、斤量差も展開もまるで無視という展開の説明はつかない。
本当に強い馬は、レース前に他への圧をかける。
JCを勝った三冠馬は、いずれもそういうところがあったように思うから、来年は勝ちたいリバティアイランドは、今度は受けて立つ側に回って、堂々の競馬をできる下地を、イクイノックスにこっそり教えてもらったともできなくはない。
尚、天皇賞をレコードで勝った馬を含め、前走58を背負って勝った馬が、このレースを連勝で制した例は、斤量設定が57までであった昨年までは散見されるが、密かに、58でハードローテをほとんど無視して、堂々のG1連勝は、このイクイノックスが史上初。
ヨーロッパの凱旋門賞が著名である酷斤の中耐え抜く勝負をする戦いが当たり前の世界では、なんてことはない記録だが、高速の日本競馬、それも東京で連勝。
アーモンドアイは5歳時に、56→55の順で連勝。
安田記念が58に設定され、宝塚記念との連勝が今も昔もないのは、今では距離とされるが、やはり、この斤量無視の大記録は、イクイノックスに誰ができるのか…、というレベル。
一方、秋華賞を良馬場以外で制した馬は、これで4頭続けて、連勝記録を伸ばせずの安定のリバティアイランドは、諦めの中でも、歴史的な内容で2着。
アーモンドアイに食らいつこうとしたコントレイルにはなれなかったが、その他とは、本質的な底力の差を示したから、言うことはない。
ちなみに、このジャパンCで上がり1位が、イクイノックスの33.5秒。
スローのダービーのコントレイルではこれを見たことがあるが、もう語彙に乏しい人間から、徐々にイクイノックス評の正当な型が、どんどん除外されているようにして、とんでもないところを走る馬としか言えないような存在になっているが、もうこの上はない。
締め方をどうイメージするのか、生産のサイクルに合わせ、上手に退く道を探らないと、サイレンススズカの二の舞だけは御免である。
有馬記念で終わるという無謀なねじ込み方も、もう無理筋ではないのかもしれない。
そりゃ、ルメさん泣いちゃいますよ。