NHKマイルカップ2015 回顧

チグハグそうに見えたクラリティスカイの3角までの<騎乗した横山騎手曰く、4角手前まで掛かり通しだった>レース内容だったが、鞍上にしてみれば、こんなものは常識の範疇の競馬なので、馬の走りやすいようにエスコートすることを重視しながら、最もメンバー中動きの見えやすいアルビアーノをゴール前、測ったように差し切るのであった。

面白いもので、時計もはっきり言えば遅いし、殆んどの馬は引っ掛かっていたのだが、掲示板に載ったのは全て上位5番人気以内のそれも単勝一桁台の馬。

混戦と言われるほど…、ペースがそれほど速くならなさそうだが…、などと考えられるレースというのは、なかなか荒れないものである。

みんな6枠までに入っていたこともついているといえばついている。

でも、でも…。

調子が良さように見えたのはアルビアーノで、スケール感では枠に泣く形になった復調気配のダノンメジャーとパドック診断を下したのだが、半年前のレコード時計をそのままGⅠで丸写しして、群雄割拠の一戦を制してしまうのは、特段素晴らしい出来とは見えなかったクラリティスカイの総合力が、まさに一枚上だったと言わざるを得ない。

レースレベル云々を語る向きは色々あったが、レース後ペースが…、などと恨み節を言ったところで、人気馬は揃いも揃って走っているわけだから、虚しさが残るだけ。

難しい競馬だったのかと問われれば、新潟でも京都でもゴール前で変わるメイン競走の一様の結果から、それもそうだよなと思える部分もあるけど、こちらは人気上位馬がマイルのGⅠを制したのだ。

彼が7か月前同じ場所で光輝いていた日のことを思い出せば、アルビアーノの方がよっぽど頑張ったのではないか。

明らかに力勝負。直線で、少しダート向きの血統の馬が粘り込むシーンというのは、創成期のNHKマイルCのあるべき姿そのものである。

時間が経つにつれて、いい競馬だったと思い出の1ページに綴られるレースかもしれない。

ただ、一つだけ注文を付けるなら、もしレンイングランドが逃げたくないと意思を示していたら、それこそ桜花賞の二の舞になっていただろうという怖さが残ったこと。

確かに微妙なポジションのレースだが、皆オープンクラスにいる馬だったのだから、もっとレースの質を上げることもできたはずだ。