NHKマイルカップ2020 予想

鞍上初騎乗でこのレースを制した2頭の特性を分析していくと、実にわかりやすい傾向があった。

07 ピンクカメオ

11 グランプリボス

主な共通項

・東京で勝ち星あり

・2歳GⅠ出走馬<ピンクカメオは桜花賞も出走、グランプリボスは2歳王者>

・東西の輸送経験

・前走負け

・母父ヘイルトゥリーズン系

直系ヘイルトゥリーズン系で、主要マイル重賞勝ちの実績があるから、多少の変化には対応できるはずの両者だが、殊、東京の経験とGⅠ出走の有無で、決定的な相違点を有することが死角なのかもしれない。

細かいことはさておき、それ以外でもサトノインプレッサ、タイセイビジョン、シャインガーネット等々、魅力たっぷりの実績馬もいる一方、サクセッションやラウダシオンには、近年のこのレースにおける好騎乗がクローズアップされる名手がそれぞれ乗っているから、これも侮れない。

ただ、強いのはとりあえずは、2歳女王のレシステンシアであろうと考える。

強いの根拠は、言わずもがなの2歳女王としてのステータスとその際のパフォーマンスに尽きるわけだが、もう一点、これも付け加えないといけない。

牝馬のウイナーは過去5頭存在するが、

シーキングザパール

ラインクラフト

ピンクカメオ

メジャーエンブレム

アエロリット

と、前走の勝ち負けで分類は可能でも、ピンクカメオがそうであったように、過酷なGⅠ<この年は相手関係>の経験値があった。

それは牝馬だけではなく、牡馬にも大きな影響を及ぼす。

昨年は朝日杯の直接対決で示した内容が、人気両頭の明暗をくっきり分けた。

アドマイヤマーズは、時計面の死角をGⅠの経験で補い、ここを勝ったことでマイル戦5戦全勝の快挙を成し遂げた。

連戦連勝や快速型の台頭の根拠には、ハイペースの経験がついてくる。

人気になっても崩れなかった2歳GⅠ好走馬の本懐は、まさにマイルへの適性。

しかし、ここを経て変質するというか、むしろ、本質面が顕在化する格好でより短い距離への適性を示する活躍馬がいるのも確か。

ラインクラフトが勝った時の1番人気は、その後連戦連敗した末、1度オープン特別を勝った後に、初の1200となった高松宮記念で2着快走するペールギュント。

彼が走る前の年の2着はラインクラフトで、ペールギュントが快走した年のスプリンターズSで3着だったのが、マイルCも3着のアイルラヴァゲイン。

1400のレースでGⅠをジャックした過剰なスピードが売りのレシステンシアが目指すべきなのは、女傑の道を正攻法ではないルートから極めたシーキングザパールがあるとか、ミッキーアイル、アエロリットらの進んだ快速型としての成功例。

速いことが特別ではない時代にあって、かつてのテスコガビーやダイワスカーレットにようには輝けなかったことが、彼女の才能を否定しているわけではないことの、何よりの証明になるのがこのレースにおける勝利だ。

メジャーエンブレムで思い悩んだ末に、NHKマイルCでクイーンCほどの逃げではないのに、あっさり汚名返上してみせた4年前のルメール騎手の勝負勘が戻っているのは確かだから、その結果が後の桜花賞連覇の足掛かりになったとした場合、では、昨年のアレは…、ということを再び、結果でファンの戯言を封ずる仕事が今回も求められる。

鍵は先行態勢の作り方。

逃げたいのはニシノストームかハーモニーマゼランかメイショウチタンか、はたまたサクセッションなのか、ミルコっぽい危うい勝ち気が出た時のラウダシオンだが、サクセッションやラウダシオンは強気すぎる先行はしたくないから、レシステンシアマークが基本線だろう。

行けるし、総マーク歓迎の2歳女王は、ハイペースや揉まれた経験で一日の長があった、2歳GⅠ好走馬のそれを全て有しているだけではなく、過酷なローテに耐えたという実績が何より光る。

この手のスピード型は、今や、余裕ローテで一発勝負型が大半のトレンドにあって、健気に主要レース毎度登場のタフネスぶりは、最近見かけないレベル。

そういう馬に向くレースだから、今年は線の細いグループには厳しいのではないだろうか。

揉まれない程度に、前をつつくのが理想であろう。それより下げず、上げていくのはOKの馬。

ほぼ日本人騎手のクリストフが、そんなことに気づかないほどヘボのはずがない。

同じような実績のあるタイセイビジョンにも期待。

どちらも1400くらいが合うタイプだが、自分で時計を作るその精度でこの順番。

以下、連勝馬と東京で勝っている馬を押さえたい。

大波乱は有り得ない。