NHKマイルカップ2022の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

NHKマイルカップの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第27回 NHKマイルカップ(G1)
グレード重賞(G1)
日程2022年5月8日(日)
発走時間15時40分
開催場所東京競馬場
距離芝1,600m
コース左回り
賞金1億3,000万円
レコードタイム1:30.5

NHKマイルカップ予想2022 -予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

NHKマイルC2022の予想オッズと登録馬

馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11マテンロウオリオン横山典弘牡357.07.24栗東・CW・不良(横山典)
6F 79.1-64.3-50.4-36.1-11.3(強め)
栗東・坂路・良(横山典)
800m 53.9-40.1-26.8-13.6(馬なり)
12ソネットフレーズ横山武史牡355.024.09美浦・南W・稍重(嶋田)
5F 67.2-51.9-37.9-12.0(馬なり)
美浦・南W・良(横山武)
6F 81.5-66.3-51.1-36.7-11.9(馬なり)
23ソリタリオ鮫島克駿牡357.054.712栗東・CW・不良(鮫島駿)
7F 98.4-66.3-51.1-36.7-11.0(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 51.6-37.6-24.5-12.4(一杯)
24セリフォス福永 祐一牡357.02.61栗東・CW・不良(福永)
6F 81.7-67.2-52.4-36.7-10.8(強め)
栗東・CW・良(助手)
5F 69.4-53.7-38.1-11.5(G前仕掛け)
35キングエルメス坂井瑠星牡357.018.37栗東・坂路・良(坂井瑠)
800m 55.4-40.3-26.0-12.8(馬なり)
栗東・坂路・良(坂井瑠)
800m 52.6-38.2-24.8-12.6(末強め)
36トウシンマカオ戸崎圭太牡357.088.614美浦・南W・稍重(戸崎)
5F 66.5-50.8-36.9-11.6(馬なり)
美浦・南W・良(助手)
5F 67.4-52.2-37.7-11.5(馬なり)
47タイセイディバイン松若風馬牡357.047.610栗東・坂路・不良(助手)
800m 59.5-43.3-28.4-13.5(馬なり)
栗東・坂路・良(松若)
800m 54.7-39.4-25.0-12.2(末強め)
48アルーリングウェイ藤岡佑介牡355.020.78栗東・坂路・不良(助手)
800m 54.7-39.9-26.0-12.8(馬なり)
栗東・CW・良(藤岡佑)
4F 52.1-36.9-11.5(馬なり)
59ダンテスヴュー吉田隼人牡357.050.511栗東・坂路・稍重(助手)
800m 57.4-41.4-26.3-12.5(馬なり)
栗東・坂路・良(吉田隼)
800m 53.5-39.1-25.3-12.6(強め)
510カワキタレブリー菅原明良牡357.0294.717栗東・坂路・不良(加藤祥)
800m 57.4-42.0-27.3-13.6(馬なり)
栗東・坂路・良(田村)
800m 54.8-40.3-26.4-13.2(馬なり)
611インダストリアダミアン・レーン牡357.05.93美浦・南W・良(レーン)
6F 82.2-66.1-51.0-36.3-11.4(強め)
美浦・南W・良(助手)
5F 67.2-52.2-37.1-11.3(馬なり)
612セイクリッド菊沢一樹牡355.0298.318-栗東・CW・良(助手)
6F 82.3-66.9-52.1-38.0-12.0(馬なり)
713ジャングロ武豊牡357.09.05栗東・坂路・良(助手)
800m 51.8-37.2-24.3-12.4(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 51.2-38.0-25.0-12.6(強め)
714フォラブリューテ大野拓弥牡355.0144.816美浦・坂路・良(助手)
800m 55.2-39.9-25.5-12.5(馬なり)
美浦・南W・良(大野)
6F 83.5-67.4-51.9-37.3-11.7(馬なり)
715オタルエバー横山和生牡357.0114.115栗東・坂路・不良(助手)
800m 52.0-38.4-26.0-13.7(馬なり)
栗東・坂路・良(横山和)
800m 52.1-37.7-25.3-13.2(一杯)
816プルパレイミルコ・デムーロ牡357.017.46栗東・CW・不良(デムーロ)
6F 82.2-65.2-49.9-35.9-11.4(G前一杯)
栗東・坂路・良(デムーロ)
800m 54.3-38.7-25.2-12.5(馬なり)
817ステルナティーア池添謙一牡355.072.013美浦・南W・稍重(助手)
7F 97.7-67.3-52.4-37.9-11.5(馬なり)
美浦・南W・良(池添)
6F 84.0-67.2-52.7-37.5-11.1(馬なり)
818ダノンスコーピオン川田 将雅牡357.04.32栗東・坂路・重(助手)
800m 56.2-40.4-25.5-12.2(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.2-39.6-25.6-12.5(馬なり)
人気1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気7回2回2回9回35%45%55%
2番人気4回3回1回12回20%35%40%
3番人気2回2回2回14回10%20%30%
4番人気1回2回2回15回5%15%25%
5番人気0回4回0回16回0%20%20%
6~9番人気3回3回7回67回3.8%7.5%16.3%
10番人気以下3回4回6回167回1.7%3.9%7.2%
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬3回1回1回15回15%20%25%
先行馬5回7回4回62回6.4%15.4%20.5%
差し馬7回8回13回135回4.3%9.2%17.2%
追い込み馬5回4回2回88回5.1%9.1%11.1%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠1回4回2回33回2.5%12.5%17.5%
2枠2回2回2回34回5%10%15%
3枠2回3回3回32回5%12.5%20%
4枠2回0回1回37回5%5%7.5%
5枠2回4回4回30回5%15%25%
6枠3回0回3回34回7.5%7.5%15%
7枠5回3回2回50回8.3%13.3%16.7%
8枠3回4回3回50回5%11.7%16.7%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト 67回40回46回277回15.6%24.9%35.6%
ロードカナロア20回23回19回151回9.4%20.2%29.1%
ハーツクライ18回18回25回86回10.4%20.8%35.3%
キングカメハメハ17回16回14回86回12.8%24.8%35.3%
ルーラーシップ17回14回11回107回11.4%20.8%28.2%
ダイワメジャー13回9回7回116回9%15.2%20%
エピファネイア11回7回8回63回12.4%20.2%29.2%
ディープブリランテ8回9回7回92回6.9%14.7%20.7%
ハービンジャー8回5回6回76回8.4%13.7%20%
スクリーンヒーロー 7回12回12回79回6.4%17.3%28.2%

NHKマイルカップ予想2022 - 過去10年のデータ傾向

重賞2着止まりの馬がやけに強い謎傾向は、要するに、余力があるかどうかのサインとも捉えることができる

今年の該当馬は以下の通り。

  • ステルナティーア
  • ソネットフレーズ
  • ソリタリオ
  • ダンテスヴュー
  • タイセイディバイン
  • トウシンマカオ

強い馬は多い。

アエロリット、シュネルマイスターらはその後も安田記念などで好走。東京が合っていたというのも勝因だった。

展開が向いたわけではないケイアイノーテック、トウシンマカオと同じように前走で57を経験という理不尽な重賞未勝利馬の悲劇を乗り越えたラウダシオンらが、ディープの力で激走。

ディープインパクトインとなれば、数も限られるから、よく走るヴァイスリージェント系とかストームキャットがどこかに潜んでいる伏兵などに注目したい。

人気のインダストリアと狙いのダンテスヴューとは、その北米系の血が入っているかどうかの差があり、キングマンボ系がキングカメハメハ以外勝てないところでは、両者有力としつつ、近年傾向から狙いは人気のない良血馬であるダンテスヴューとなった。

ソネットフレーズ、ソリタリオなども、滅多に馬券に絡まないロベルト系で、キングカメハメハとも好走確率では小差。

歴代の優勝馬もいない。入っている馬はクロフネもピンクカメオも同じだが、言わずと知れたヴァイスリージェントの直系。

タイセイディバインはキングマンボ系で、トウシンマカオもプリンスリーギフト系であり、北米系の血は少ない。

軸狙いには合わないが、3着はあるから別の券種では拾ってもいいだろう。

実力以上の力を発揮して侮れぬ準トライアル級レース組に対し、本流のG1・トライアル組は物量で勝負

今年の注目馬は以下の通り。

  • インダストリア・ディープ記念
  • ダンテスヴュー・皐月賞
  • プルパレイ・ファルコンS
  • オタルエバー・ファルコンS

アーリントンC組に関しては、重賞実績馬の上位独占であったことで、特に不安な要素こそないが、これまたキングカメハメハばかりの上位独占で、阪神は合う系統であるため<桜花賞はドゥラメンテ、マイラーズCも同系ルーラーシップの各産駒>に、上積みという点で加えるべき要素は意外と少ないように感じる。

一方で、東京が得意そうなインダストリアや左回りの好走実績が多めのファルコン直行組は、一頓挫というか、小休止の時間があったことで、再上昇の可能性を秘める。

ただ、プルパレイがもう7戦していて、肝心の朝日杯で完敗だから、父イスラボニータ同様、本当は1600前後にフィットして、再び勝ち切れない可能性を感じる。

だから、クオリティ面で一旦リセットされる重賞経験組の取捨のポイントは、一度クラシック路線に乗りそうになったかどうか。

でないなら、ラウダシオンやカレンブラックヒルのように独自路線を進めばいいわけで、ラウダシオンとプルパレイの戦績が似ているようで、サリオスとドウデュースの能力差はいったん置いておくとしても、他にも有力の朝日杯組がいるとすると、強調点に乏しい。

だから、距離短縮の旧毎日杯組的流れに期待のトレンドを昨年に引き継ぎ採用。

左回りが合うキングマンボ系は食わせ物も多いが、変に重賞を勝っていないのはいい。

世代全体の注目レースとなった東京スポーツ杯4着のダンテスヴューに、いくらか有利に見えるが、さすがに肩入れが過ぎるか。

マテンロウオリオンを敢えて、黒・▲にしておいた理由

ダイワメジャー産駒は、カレンブラックヒルとメジャーエンブレムが派手に逃げ切っているわけだが、他に好走した馬が沢山いるわけでない。

レシステンシアまで加えると、力のある馬から狙えという点で、その分のキャリアは2、3戦目の強烈な結果で証明しているとできるマテンロウオリオンは、このレースを1999年・シンボリインディ、2015年・クラリティスカイ、2017年・アエロリットらで3勝の非定型ジョッキー・横山典弘騎手騎乗が確定であり、歴代の好走パターンに対し、色々と大いにお試し済みだから、マイルなら武豊より横山ノリの紋切り型でしっかりとマーク。

これに合わせて踏まえたいのが、ニュージーランドTの前にシンザン記念を使っていたという馬の好相性ぶり。

ずっと一緒に走っていた感じのシーキングザパール−ブレーブテンダーで決まった第2回に始まり、ロジック・2006年、ミッキーアイル・2014年という3例が勝ち馬に関わる成功のパターン。

これと比して、朝日杯とNZTという括りにすると、意外にもグランプリボス・2011年以降で3例の勝ち馬がいるという結果は、消耗度合いが使った時期にレースレベルなどを加えると、余裕を持ったマイルローテだとぶれないという可能性を指摘できる。

第1回から2着ツクバシンフォニーに跨り、一昨年も武豊騎手と共に大事なところで流れに乗り損ねたサクセッションに乗っていた。

最初から自分で動くことも多いが、長い距離の方がそのパターンが多く、短距離ほど派手ではない騎乗が目立つから、バランスラップになりやすい東京でマテンロウオリオンを普通の競馬に導けるかが、好走のポイント。

思ったより普通に乗って勝っているから、トロットサンダー、ブラックホークらの追い込み・安田記念より、クロフネ産駒よく勝ってきた近年の好位抜け出しに期待するのがいい。

1番人気は5連敗中で、10年で連対の4頭は全て逃げ馬

昨年のグレナディアガーズも本質は先行型であった頃でもあり、これが仕掛けてレースが動いて、3着止まり。

その上に来た差し馬は世代のエース級マイラーに育ったが、長かったとも今となればできる。

カレンブラックヒル、ミッキーアイル、メジャーエンブレムは既出であるだけでなく、前向きなレシステンシアを含め、連対のメンバーはいずれもダイワメジャー産駒かマイル重賞2度逃げ切り勝ちのミッキーアイルだけ。

逃げてA級重賞を勝っているメンバーだから、当然、クラシック級はまず出てこない、通用もしない以上、差し馬の伏兵狙いが基本線か。

逃げ馬が粘りこめるかそれが崩れるかがはっきりと出るレースであり、先行型の1番人気馬しか信用ならないとなると、センスはいいがさすがに暮れ以来では不安のセリフォスがダイワメジャー産駒で…、ということくらいしか狙いは立たない。

レーン騎手が乗りそうなインダストリア、「困ったら川田」のパートナー・ダノンスコーピオン<懇意にする中内田厩舎のセリフォスではなく師匠の管理馬で挑戦>らの3択だが、さすがキンカメとDメジャーは同期のクラシックホースらしく、適性で差をつけている印象。

3歳マイル王と古馬マイル王の違いが、このレースでのパフォーマンスに影響を及ぼしていることは自明なのであるから、有利なのは人気であるほどセリフォス。

しかし、この休養明けローテはダイワメジャーには合わないのだろう。

レシステンシアもメジャーエンブレムも、変にレース間隔があくとダメで、叩くと目立った結果を残すというのは、すでに証明された適性でもある。

崩れない可能性十分のセリフォスとキンカメバイアスの人気2頭は、いずれが最上位評価でも少し狙いは下げた方がいいか。

アドマイヤマーズも皐月賞を使って良くなった。

1番人気ではなかったが、後々狙うべきマイラーとしての才覚で、現状見劣るものがあるなら、グランアレグリアも連続敗戦の直接対決でもあったから、ここは穴狙いにシフトした方が道理に合うと結論付けたい。

NHKマイルカップ予想2022 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

〔新馬は勝てても重賞はなかなか勝てないクロウキャニオン兄弟の中では異質、キンカメ産駒&芝未勝利勝ちに魅力を感じる伏兵。

ダンテスヴューの血統

祖母クロカミの話でも、兄弟たちの異常な勝ち上がり率に関する指摘でもいいのだが、ここはCaerleon・カーリアンの話がいいだろう。

如何せん、マイルG1と言えばこの大種牡馬である。

直仔の輸入競走馬/外国産馬を挙げていけば、即座に納得できる結論へ行き着く。

  • <エルウェーウィン/1992年・朝日杯3歳S>
  • <シンコウラブリイ/1993年・マイルチャンピオンシップ>
  • <ビワハイジ/1995年・阪神3歳牝馬S>
  • <ゼンノエルシド/2001年・マイルチャンピオンシップ>

これらの輸入最盛期に、イブキパーシヴ<クイーンC>、クロカミ<京王杯オータムHなど>、ダイワカーリアン<東京新聞杯、富士Sなど>らがマイル重賞、その周辺の路線で活躍。

同時期に、のちに日本で種牡馬になったテンビーがグランクリテリウム、フランキー<・デットーリ騎手>で1000ギニー・英を圧勝後にダービーで撃沈の名牝・Cape Verdiもいたのは確かだが、何しろ、これも後に輸入種牡馬となるジェネラスは英愛ダービー勝ちであり、MarienbardだとかWarrsanといった、欧州圏の12Fを制覇したような重厚な後継馬を出したとするのが、種牡馬カーリアンの正当な評価。

フサイチコンコルドは3戦3勝で日本のダービー馬になったが、これが日本のカーリアンの本質を行く結果とは言い難い。

何しろ、母父に入ったら、直仔のレベルの結果ではなかっただから…。

  • <タイキシャトル/マイルチャンピオンシップ2回、安田記念、ジャック・ル・マロワ賞などG1・5勝→殿堂入り/ 父Devil's Bag>
  • <ブエナビスタ/阪神ジュベナイルフィリーズ、桜花賞、ヴィクトリアマイルなどG1・6勝/ 父スペシャルウィーク 母ビワハイジ>
  • <ダノンシャーク/2014年・マイルチャンピオンシップ/ 父ディープインパクト>
  • <ピースオブワールド/2002年・阪神ジュベナイルフィリーズ/ 父サンデーサイレンス>
  • <ジョワドヴィーヴル/2011年・阪神ジュベナイルフィリーズ/ 父ディープインパクト 母ビワハイジ>

圧巻のスターホースに加え、他2頭の2歳女王に晩成のディープインパクト産駒という不思議な特性を持ったかつての古豪の名も出てくるといったラインアップ。

世界的に見ても、日本の競走馬の成功確率はかなり高い方で、ビワハイジの牡駒からはアドマイヤジャパンとアドマイヤオーラという種牡馬も輩出している。

ちなみに、ダンテスヴューの母父フレンチデピュティは2001年のクロフネ=グラスエイコウオーら外国産同産駒のワンツーから、直仔がブラックホーク・安田記念などG1を2勝 の半妹であるピンクカメオも制していて2勝。

クロフネ産駒だともっと強烈で、このレースを2勝というのは著名だが、他の2、3歳マイルタイトルを初年度産駒のフサイチリシャールとソダシの2頭で効率よく制している。

カーリアンとは違い、安田記念やマイルCSは勝っていないものの、限定戦では強く、距離は少し怪しくても、川崎2100の関東オークスは3勝しているクロフネは、短距離向きとすると、かなり優秀な北米型の系統。

一方、父キングカメハメハはNHKマイルCを当時のレースレコードで制したが、その産駒でロードカナロアもリオンディーズも、そこまで適性を感じさせないところでマイルのタイトルを得たものの、牝馬の一流どころが手薄になることも多い万能型エースが出やすいからか、ロードカナロアではケイデンスコールの2着、キングカメハメハだとミュゼスルタンなどの3着がそれぞれ最高着順。

ダービー馬や牝馬三冠に縁のある系統だけに、この傾向にはやや死角アリの伏線とも言えなくはないものの、北米血統から皐月賞馬誕生の流れで、ドレフォンの母父がヴァイスリージェント系であるという強引なこじつけで、キングカメハメハの壁は無理やり突破してもらいたいところだ。

NHKマイルカップ予想2022 - レース展開と最終予想

なぜ、こんなところから狙ったのか。

有力とされる組の頭数こそ揃ったが、如何せん、1番人気馬の不発と同じくらいインパクトの大きい波乱の結末が続くことで、上位支持の馬から素直に狙うべきか、かなり悩ましい面があったから、というのが一点。

何しろ、オークストライアルまでの今季3歳重賞における1番人気馬の全成績は、驚愕の【2・6・3・7】であるのだから、どうしようもない。

複勝率では6割超えではあるものの、1番人気馬のオッズで2倍はつかないから、信頼度は低く、本番直前のトライアルでも少頭数となることの多いトレンドもあり、そこを勝ってきた牡牝トライアルウイナーは全て、5着以下に敗れた。

オッズに対し、適性や体調などが見事にかみ合っていない。

狙い方は自由である。

とりわけ、牡馬戦線は牝馬の争いより混沌としているとされ、桜花賞もかなりのトラックバイアスに影響されたように、僅差の力関係。

言われるほど、牡牝の差はないとできる以上に、近年は当たり前となった牝馬の活躍はほぼ既定路線。

伏兵ばかりであるが、関東名門厩舎所属の良血馬2頭は、左回りに適性を感じさせるので、これまでの評価からも人気落ちでスターズオンアース<クイーンCまで4戦連続1番人気だった>のような逆襲に遭う可能性は大いにあるから、気に留めておきたいところだ。

さて、ダンテスヴューの魅力は母クロウキャニオンであるということ以外に、強烈なる勝ち運を、20年余りも競馬界に知らしめ続けてきた金子オーナーの手厚いフォローがあるという点が挙げられる。

クロウキャニオン自身もそう、その産駒が14頭いて、競走年齢に達した13頭が全て勝ち上がり、新馬戦に限ると、驚愕の8頭もがウイナーとなった偉大なる快記録の持ち主であるのだ。

POG<ペーパーオーナーズゲーム>ではあまりにも著名なため、取引価格の多寡で揺れ動くもののあったりするものだが、金子さんのところのクロウキャニオンだからねぇ…、ということで話はおしまいになるほど超安定株。

面白いのは、自身の持ち馬であったキングカメハメハ、多数の直仔を抱えるディープインパクト、その全兄ブラックタイド<今年の2歳牝駒が初めて>というエース級を生んできた種牡馬を交配し、クロウキャニオンの産駒を庭先取引というよりも、ノーザンファームに一任しつつ、ほぼほぼオーナーブリーダーのような形で、自分で所有し続けるパターンを延々繰り返してのこの結果であるということだろう。

いくら優秀でも、競走能力を伝えきれずに、肉体的な臨界点が一定レベルに達しないという馬も出てしまうものだが、その辺りの凡庸な面々とは比べるレベルにないのである。

ダンテスヴューは優秀なクロウキャニオン一族の中では珍しい、芝デビューから2戦目の芝で初勝利の馬。

最初に勝ち星を挙げたどちらかのトラックでしか勝ち星を積み重ねられないのは、これも珍しいキングカメハメハの万能性からして、やや不安がよぎるも、きさらぎ賞で2着だったのだから問題はないか。

ディープインパクトでもダート専門<ボレアスは母と同じように芝を走らせても平凡な馬だった>が出るくらいだから、渋馬場の新潟で不覚の新馬負けから盛り返して、もっとタフな中京の稍重でG1経験馬と接戦のダンテスヴューは、安定感と引き換えに失った突破する底力を秘める可能性がある。

それがダートなのかもしれないと思うところで、数々のフレンチデピュティ直系、母父ヴァイスリージェント系の活躍馬を多く生み出したNHKマイルCで、最もフィットした配合がこの馬なのかもしれない。

彼の母父に当たるフレンチデピュティの代表産駒であるクロフネは、秋からダートを使われ、2戦圧勝も芝より速く走って、体をダメにしてしまった。

何をつけてもズブい系統だが、先述の逃げ馬有利の傾向から、上がりの速さが重要とされない、本格的なマイルG1の性質も併せ持つこのレースのこと。

マイル適性を感じさせるだけでなく、ダンテスヴュー自身、クラシック戦線に乗るだけの決め手と距離適性に限界を感じさせた皐月賞の内容がある。

じり脚が途端に一変はあり得ない一方、過去5年の連対馬で、前走の上がりがメンバー2位以内だったのは、桜花賞では直線で間に合わせただけのアエロリットと、怪我の功名で後方一気に舵を切ったばかりのカテドラルくらいなもので、派手めの末脚勝負型に向くレースではない。

あの強烈な追い込みを決めるロードクエストでさえ、捲って出た皐月賞の失敗を修正した池添騎手が、我慢をした結果の2着があったくらいで、昔から続く東京マイルの追い込み列伝は今続くわけだが、近走ほど、末脚を活かせなかった馬が有利。

故に、逃げ切りの馬のみ連勝ができるとなっているわけだ。

重賞勝ちはないが、ダンテスヴューは血統的な背景からもマイラーの可能性がある。

加えて、クロウキャニオンの産駒で最初の芝の1600戦を使われたという、芝に勝ち星のある馬であれば【3・2・0・1】であり、唯一の着外となった6位入線失格のマウントシャスタも、次にマイルを使った暮れのリゲルSで2着。

キングカメハメハの相性こそ悪い東京マイルのビッグタイトルながら、条件は揃った。

二度目の吉田隼人。三度目の正直であった大阪杯のポタジェも、昨年輝いたソダシも、地道にローカルで活動する過程で気に入って使ってくるようになった西の名伯楽による管理馬で、ポタジェと同じ友道厩舎。

流れは川田の代打で同じだが、そんな同期の活躍に全く負けないクラシック騎手の隼人騎手は、妙にNHKマイルCと好相性のヴァイスリージェント系の血を持つ馬と縁がある。

師匠の馬で、師匠の宝物でもあるロードカナロアの産駒で、川田騎手は負けたくない戦いをする中、こんなに気楽に戦えるG1がまた訪れるなんて、吉田隼人も持っている、と是非勝った後には賞賛したいものだ。