桜花賞2023【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着リバティアイランド(1.6倍)2着コナコースト(18.4倍)3着ペリファーニア(17.6倍)

レース名第83回桜花賞
日程2023年4月9日
優勝馬リバティアイランド
優勝騎手川田 将雅
勝ちタイム1:32.1
馬場
3連単配当13,220円

桜花賞2023 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
13リバティアイランド1:32.1-
29コナコースト1:32.33/4
314ペリファーニア1:32.3クビ
45ハーパー1:32.61 3/4
54ドゥアイズ1:32.71/2
単勝3160円
複勝3110円
複勝9310円
複勝14330円
枠連2-51,160円
ワイド3-9560円
ワイド3-14570円
ワイド9-142,540円
馬連3-91280円
馬単3-91520円
3連複3-9-144,750円
3連単3-9-1413,220円

桜花賞2023 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「無事に届いてくれてホッとしています。今日はパドックの時点で穏やかでしたが、返し馬に行ったらスイッチが入っていました。ただ、ゲートが開いてからあまり進む気がなかったので、この位置からになって、じゃあどうして行こうかというところでした。この位置になってしまったのは、彼女が自分でそういう走りを選択しましたので仕方がないですからね。その中でリズムを作りながら動ける準備をしてきましたので、あとは直線で彼女を信じて動いてもらうだけというところでした。」

※優勝した川田 将雅騎手のコメント(リバティアイランド)

桜花賞2023 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

桜花賞2023 - 回顧

レースというのは、型を崩さない方が勝ちに出る無理な戦法をとるよりも、ずっと楽に勝てる。
だから、出ないことは明らかに想定内だった川田騎手にとって、差せる脚を武器に戦えるリバティアイランドに対し、この後方一気というのは、全く無理強いしたことではないのかもしれない。
無論、出てくれたらその方がいいが、伏兵評価のトライアルホース・モズメイメイの半マイルの通過は、例年よりもむしろ速いレベルの45.9秒。
あくまで結果論だが、ハープスターで驚きの直線一気を魅せた20代の川田将雅と比べ、自信を過信しすぎることもなくなった自然体の今、疑う余地のない才能を活かす手段を、たった一つ繰り出しだけなのかもしれない。

ウシュバテソーロという、何とも掴みどころのない追い込み一手の砂巧者を、北米圏と日本の中距離界のスターが集まり、ややJRA組過多の組み合わせとなったドバイワールドCで、事も無げに、彼らしい前半チンタラペースに合わせ切り、上げていくタイミングばっちりで、終いは本命馬のような伸びで突き抜けたのは、つい先々週のことである。
そこで恐怖心など全くない立場にあった川田騎手とすれば、もっとよく知っているリバティアイランドの良馬場における反応は、むしろ、自分から仕掛けていくようなことをしない方が、ずっと彼女らしい末脚を繰り出してくれるだろうという読みもあったはず。

その展開は、思われているよりもずっと、今の馬場状態に合った高速決着での猛時計耐久戦の側面があるが、決まって、スマートに乗りこなした好位付けの方がよく粘れる。
道中にロスなどない方が、よっぽど楽というのは、型が他の馬と全く違うリバティアイランドは除き、トライアル健闘のコナコースト、ペリファーニアの120点では評価不足というほどの、理想の立ち回りでの粘り込みからも、単純に理解が可能。

特に、自分でレースを作っていったコナコーストと鮫島克駿騎手は、充実の内容で最も口惜しい2着であろうが、他にやりようがないので納得のはず。
急進勢力の中で、最も戦績のブレのなかったコナコーストは、年明けでそれも中3週のあとの中4週で、今風のローテでは全くないが、新馬勝ちは晩夏の小倉。
ここで小回りのタフな1800をこなし、理想のローテに持ち込んだことになる。
父キタサンブラックも管理した清水久詞調教師は、年明けデビューのキタサンブラックに、ハードなローテを課しつつ、ダービーをガス欠で自滅させながら、その経験を、最終年の5歳シーズンでのG1・4勝に活かしきった。
あのクラシック皆勤がなければ、ただの大型菊花賞馬だった。
唯一、牝系のサンプリンセスがやけに早熟の天才を生む傾向にあるから気がかりだが、彼女はここでは勝てなかった。
オークスを勝てば、その他一族と同じ道を辿るだろうが、中内田調教師と川田騎手が、自信満々に1週遅れて東京登場となった時以外、父のような活躍を期待できるはずだ。
とても強い2着である。

よく粘ったことでは、もっと厳しいキャリア2戦、暮れデビューの死角をものともしなかったペリファーニア。
さすが血統馬である。
ヒシアマゾンもアドマイヤムーンも、本番に縁のなかったアマゾンはずっと勝ち続け、アドマイヤムーンも4歳になれば、ライバルはもうメイショウサムソンだけになっていた。
そして、傑作であるエフフォーリアが独走した皐月賞で鞍上にいた横山武史騎手が、懸命のアシストで、どこにいるかまで見る余裕はなかっただろうリバティアイランドに、変に内から来られるよりもずっとスムーズな競馬で、これもまた悔しい連続3着だか、阪神の経験を見事に大一番で結果に繋げた内容。
相手が強すぎるとき、レースは基本的に壊れてしまいがちだが、このトライアル好走の2頭に関しては、昔よりはずっと速いが、本番より2秒近く遅い内容のレース決着で、理想のキャリア形成ができた1勝馬同士。

桜花賞らしく、素晴らしい血統背景を持つ伏兵評価の快走は実に好ましい。
ただ1頭、見えている景色が違うクラシックというのは、今も昔も、10年単位で1、2度は出現するもの。
幸運とは程遠い結果ながら、血を繋ぐ宿命を背負った繁殖牝馬として、この上ない記録をスタッドブックに刻むことになった。

この後に続いたのが、ハーパー・ドゥアイズらのクイーンC組。
これで掲示板組が出揃い、シンリョクカ・シングザットジャズ・ライトクオンタムら、マイル専門とは思えないが、すでに重賞で結果を出している組が続いた。
ラヴェル・ドゥーラなど、2歳シーズンでは名の知られた組こそ惨敗も、上位勢で唯一、32.9秒の破壊的直線力を見せつけた勝ち馬に対し、時計勝負のマイルで絶対的な才能がないことだけは、暮れの時点でわかっていた。
リバティアイランド自身も不運と言えばそういう感じのスタートだったが、実力が違う馬が同じところにいたことが、彼女たちにとって全てであった気がする。

ダービーも視野に入るリバティアイランドは、5F通過、自身は59.2秒。
レース展開上、大体バランスラップの45.9→46.2という、極上のレース展開でありながら、ほとんどジュベナイルフィリーズと同じような57.6秒のモズメイメイのラップに対し、その前走でのリバティアイランドは、これも推定で、57.6秒で1000Mを通過していると思われる。
自分自身に大差をつけられるポジションにありながら、最終的に、暮れの自分を6馬身以上突き放した内容は、もはや破格でさえなく、アーモンドアイやデアリングタクト、速いテスコガビーやアパパネ、伝説を数多く作るブエナビスタやジェンティルドンナなどよりも、完成度だけですでに互角以上。
故障に恐れをなすような超高速ではないタイムでも、上がり33.3秒で独走のグランアレグリアに対し、勝ちタイムでも上がりでかなり上。

距離延長への不安はおろか、川田騎手の狙いが桜花賞制覇に止まっていないことは明らかだったが、もっと動いても止まらないことをジュベナイルフィリーズという大出世レースで証明済みの彼女が、こんなところでキャリアの頂点を迎えるはずもない。
志半ばでターフを去った超速二冠馬である父ドゥメンテも、皐月賞は歴代2位、ダービーは父のレコードを少し越しただけであっさりの二冠。
負かした相手はキタサンブラック、リアルスティール、サトノクラウンと超濃厚だった。
2、3着馬ももっと強くなって不思議ない組み合わせにあって、父の道を辿るとするなら、もっと明るい未来が待っている。
レコードウインのソダシにほんの少し届かなかったが、その2着馬だったサトノレイナスは、ダービーで最高潮に乗せるまでは行かなかったが、大健闘の3着にも等しい接戦の5着。
どの道、リバティアイランド自身は視界良好。
今度は誰と戦うか、にシフトしたことは明らかだ。
マイルはもしかすると、合わないのかもしれないと思わせる末脚でもあった。

いずれにせよ、オークスでは少なくとも、あと二枠空いている。
直前の関東馬・グランベルナデット・大竹正博厩舎の忘れな草賞勝ちが、オークス展望だけでなく、ブラストワンピースやその前のルージュバックなどに施した、期待馬だからこその積極遠征を、後のキャリアを形成するのに重要な役割を果たしたことから、秋華賞などまでも展望するに相応しい結果となったが、これが正攻法の馬。
よもやの正攻法二冠狙いのあの娘登場で、これが消える展開もあるが、例年通りに差しが決まるなら、シンリョクカやドゥアイズの東京実績や絶妙なキレなど、同期同士の争いで面白い部分は大いにある。
上がり3位のシンリョクカやクイーンCから連続好走とした惜しくはないが、オークスが見えたハーパーなどは、例によって、人気の妙味で実力までの変動しそうな組み合わせだから、穴人気の組に含まれた時、その他グループではないことを少しは証明した彼女たちの躍動に、次戦では期待であろう。