大阪杯2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着べラジオオペラ(5.5倍)2着ローシャムパーク(6.0)3着ルージュエヴァイユ(40.0倍)

レース名第68回大阪杯 (G1)
日程2024年3月31日
優勝馬ベラジオオペラ
優勝騎手横山和生
勝ちタイム1:58.2
馬場良馬場
3連単配当93,050円

大阪杯2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
111ベラジオオペラ1:58.2-
22ローシャムパーク1:58.2クビ
313ルージュエヴァイユ1:58.2ハナ
49ステラヴェローチェ1:58.31/2
56ジオグリフ1:58.51
単勝11550円
複勝11220円
複勝2250円
複勝13730円
枠連1-61,600円
ワイド2-11900円
ワイド2-133,700円
ワイド11-133,120円
馬連2-111,930円
馬単11-23,720円
3連複2-11-1322,720円
3連単11-2-1393,050円

大阪杯2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「この馬とは重賞を獲れていましたが、ダービーの悔しさを忘れられなくて、この馬とG1を勝ちたいと思っていました。最高にうれしいです。ずっとお世話になっている先生、厩舎スタッフにちょっとでも恩返しできたのがうれしい。ここから先、どのような成長を見せてくれるのか楽しみで仕方ないです」

※優勝した横山和生騎手のコメント(ベラジオオペラ)

大阪杯2024 - レース結果動画(YouTube)

大阪杯2024 - 回顧

ベラジオオペラの血統

皐月賞と菊花賞を制した後、エアシャカールがこのレースで、2年連続で2着に入ったことがあるが、これが3代母エアデジャヴーの半弟。

ハービンジャー産駒のローシャムパークが相手に来たから、キングカメハメハ肌のエアグルーヴ直系のファミリーでもあり、両者、かなり似た血統構成同士であった。

昨年は全く違うタイプの血統でハナ差の争い。

ヴァイスリージェント系が強いとされるこの競馬で、どちらかというと、横山和生騎手が昨年3着に鮮やかな運びで持ってきたダノンザキッドと似た血統の馬が、今年はわんさか上位を占めたことになる。

ベラジオオペラは短距離専門だったロードカナロアの産駒ではあるが、ダービーの4着馬。

世代によっては…、ということではやや低調な部類なので、あれ以上はなかっただろうが、渋とい特性を秘める母父ハービンジャーらしい、タフな中距離戦を好みそうな配合でもある。

ロードカナロア×ハービンジャーという配合は、そもそも、競走馬登録の数そのものが、一桁しかまだないので、他との比較は難しいが、北米系に固められた父と、サンデーサイレンスのキレを殺さない欧州系のノーザンダンサーのデインヒルやその父ダンチヒと同じく、テディを経ない同系を母父に持つノーザンテーストが入る構成が、元々、ブライアンズタイムというモンスターをよく出してきたロベルト系種牡馬がいるパワフルな北米系の良さを残しつつ、これからも、今回の様に時計が速すぎない中距離戦を守備範囲とする馬になっていくだろう。

いかにも、札幌記念が合いそうというのは、ローシャムパークともよく似た点。

仲良くなれる関係性ではないが、いずれにしても、行く末に似たような展開が待ち受けることは間違い様がないところか。

昨年のダノンザキッドは、中山記念ボロ負け直後の一戦だったが、初騎乗であり、また最後のコンビともなった横山和生騎手が、父典弘騎手・マテンロウレオにとって必殺に近い好位抜け出しの戦略を超える積極策で、終始、前を行ったジャックドールを少しいじめる役を買って出たかと思えば、前に届かずとも、バテながらでもスターズオンアースの追撃に屈したのみで、3着に粘った。

ダービーで口惜しい思いをしたと、レース後に、和生騎手にしては熱を帯びたハートのこもったコメントを残したが、チャレンジCでの復帰戦制覇を経て、確勝級となれた前走の京都記念が、荒れ馬場の安定の京都であったことで、様々な意図を持った試走まではできなかったものの、それまでずっと苦しい戦いを強いられていたプラダリアが、京都外回りで本領発揮となっただけで、敗因のことよりも、何か確信めいたものを得たというような2着騎手には珍しい言葉が、レース当日になって、妙に気になってきた筆者。

スタニングローズに乗った西村騎手は、先週のこともあって、悔いを残さないようにということを誓ったかのような先行で、一旦は行こうというか前まで見せた和生騎手のベラジオオペラを制したところは悪くなかったが、これがもっと飛ばしても、もっと抑えてもあまり価値のない逃げになるところで、60秒の中間地点通過で、実際は勝負ありだった。

機先を制し、伏兵というよりも、挑戦者らしい立ち回りを大本命級でも繰り出す和生騎手には、タイトルホルダーとの戦いやウシュバテソーロをダートのスターに育てた実績もあるから、ノリ騎手の組み立てに近い正攻法に、展開上の勝利の方程式にハメこんだ勝機を見出した上で、前走の結果に、これは差す形に拘るのはここで早めた方がいい…、そんな計画したとおりの作戦を実行した、それを成功させたような深い意図を、やけに感情を爆発させる鞭の観客プレゼント<久々にこういうのを見たので、何だか楽しくなる>という行動に、全てが凝縮されていたような完遂の結果だったことを思わせるものがあった。

速い馬がそもそもいないだけでなく、クラシックを勝った同期の不遇<ソールオリエンスは復活ならずに7着、タスティエーラは謎めいた不発の11着で完全に信頼感が薄れてしまいつつある>に感けることもなく、それらと未完成の時期に伍して戦えたという自信が、先行策の選択の根拠を裏付けているのであろう。

ミッキーゴージャスも一旦は行こうとしていたデムーロ騎手の狙いがよく理解できたが、マイナス6kg以上の内面的なダメージが窺い知れて、テン乗りではあったが、勝ちたいG1での勝負も、途中から無理をさせなかった。

ある種、ややこしい連中は勝手に自滅。

唯一、中山開催再開から勝ち星激増の戸崎圭太が、何か、展開を深読みしつつも、大事に作り直す過程で、ローシャムパークに最小限の負担で勝ちを求めたような、各馬で唯一に近い途中の捲りは敢行するも、前が止まらない展開であるなら、ベラジオオペラもろとも足を先に使わせるくらいの追撃と圧力が必要で…。

そんな流儀はない戸崎圭太も、横山和生の敵ではなかった。

うまく乗った両者を称えつつ、動きを最初に抑えて、脚をひたすらに溜めて、抜群のスパートのタイミングから抜け出した和生騎手とベラジオオペラを褒める以外ないというレースであった。

一方、負けるけれども、そこにも中身があるだろうという感じで、その辺りの道で究めつつある重賞未勝利馬のルージュエヴァイユも、プラダリア不発の中で、イン追撃の3着と健闘。

この馬はローシャムパーク同様、このレースと非常に相性の悪い関東厩舎の美浦所属騎手というコンビ。

来週もこれが目立つが、ルメール騎手欠場がほぼ確定の中で、関東馬の流れになるクラシックを、何だか予感させるものはあった。

関東所属で血を繋げた馬乗りの達人を目指す横山家の名手が勝ったレース。

もう、簡単にこの流れは変えられない。

エピファニーや好位付けのジオグリフなど、タレントがここにも豊富だった関東勢に対し、長き休養を経て、ついに甦ろうとするステラヴェローチェが立派だった。

前受けをしたわけではなかったが、距離はひとハロンしか違わない中で、このバゴ産駒は万能の性質を秘めるから、酒井騎手は終いの脚を引き出す中団からの追走で、好走の結果を残した。

いつでもどこでも頑張る馬であり、クラシック皆勤はおろか、高速決着だった朝日杯フューチュリティSの2着馬だった。

高速の富士Sから復帰し、ダメ元で使った、体作りに必要な実戦を積むために選択の武蔵野Sは奇策というよりも、狙った通りのステップアップの形であり、そこで一呼吸置いた上での前走大阪城Sは、期待通りの結果だったに違いない。

ジャスタウェイやゴールドシップというモンスター級の同期ステーブルメイトを管理し、近年はソダシが看板だった須貝尚介厩舎において、堅実ながらも、いかにも晩成こそ本物に育つというブラッシンググルーム系らしいその復元の様相に、やけに胸騒ぎを覚えた。

まだやれると思わせたこの6歳馬に、再び、新たな魅力を付け加えようとするベテランの酒井学騎手をセッティングするようにして、呼びこせたようなところのある新コンビに、発展性を感じる4着。

上位勢もまずまず、上々に近いG1好走の結果であったが、まだ伸びしろがありそうなステラヴェローチェは、今後も侮りがたき存在になる。

思えば、作り上げることは不可能に近い富士Sでは、勝ったナミュールには突き放されたが、それと1秒差の入線で、1:32.4という走破タイム。

奇しくも、2歳暮れに阪神で走った2着の際の走破タイムと同じ。

意外にも、マイルで初タイトルもあり得そうだ。