2022年秋華賞【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着スタニングローズ(5.7倍)2着ナミュール(3.3倍)3着スターズオンアース(3.0倍)

レース名第27回秋華賞(G1)
日程2022年10月16日(日)
優勝馬スタニングローズ
優勝騎手坂井瑠星
勝ちタイム1:58.6
馬場
3連単配当6,900円

2022年秋華賞 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
1スタニングローズ1:58.6-
2ナミュール1:58.71/2
3
スターズオンアース1:58.7ハナ
4
メモリーレゾン1:59.02
5アートハウス1:59.0ハナ
単勝7570円
複勝7150円
複勝8140円
複勝9130円
枠連4-41,040円
ワイド7-8360円
ワイド7-9320円
ワイド8-9300円
馬連7-8990円
馬単7-82,430円
3連複7-8-91,090円
3連単7-8-96,900円

2022年秋華賞 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「うれしいという気持ちが一番ですが、乗せていただいたオーナー、高野先生、そして師匠の矢作先生、全ての関係者の方々に感謝したいです。アートハウスの後ろのいいポジションが取れたし、追ってからの反応も前回とは全然違いました。内からスターズオンアースが来ていたのは分かりましたが、最後まで伸びていたので問題はなかったです。夢に見ていたG1を勝てたので最高の瞬間でした。まだ3歳で伸びしろもあると思うので、これからも頑張ってくれると思います。」

※優勝した坂井瑠星騎手のコメント(スタニングローズ)

2022年秋華賞 - レース結果動画(YouTube)

2022年秋華賞 - 回顧

優勝したスタニングローズの4代母にあたるローザネイは、Shirley Heightsの産駒をお腹に抱えて輸入された。

1993年に社台ファームで生を受けた牝馬はロゼカラーと名付けられ、その3年後、第1回が開催された秋華賞で、ファビュラスラフィン、エリモシックらに続く3着に入る。

また6年して、ロゼカラーがサンデーサイレンスを配され、最初に生まれたのが母母のローズバド。

春にフィリーズレビューを制し、オークス2着。

桜花賞馬・テイエムオーシャンに借りを返されたこの舞台では、オークス馬のレディパステルには先着し、2着。

ローズバドは3番仔にローズキングダムがおり、これが朝日杯フューチュリティS・中山開催の時代 と、2位入線のジャパンCを繰り上げで優勝している。

ただ、スタニングローズの母であるローザブランカは、そのローズキングダムの姉であり、また初仔だった。

3勝を挙げたものの、大レースには縁はなく、最初は惜敗癖というこの血筋特有の怪しげな性質を引き継いでいたスタニングローズも、栄えあるクラシック戦線に向け、着実に能力を伸ばす才能もしっかりと継承していたことを示すような格好で、この秋華賞勝利に至ったという話。

3代経て、着順をひとつずつ上げながら、血の更新をするというストーリーは、競馬の世界ではレアケース。

まだまだ、このローザネイの一族には我々の知らない未知の魅力が隠されているのかもしれない。

牝祖となる牝馬G1のウイナーがようやく誕生した価値を大きい。

スタートに不安のあったナミュールは普通くらいの立ち遅れのないスタートであったが、どうしても、スタート直前というのは、先週の毎日王冠がそうであったように、変な体勢になってしまう馬が有勢の中に必ず1頭くらいは出てきてしまう。

今回は不安を大きく抱える「1番人気」に推された春二冠のスターズオンアースであったということになる。

仕方はないが、そういうことが1番人気の連敗という負のスパイラルを生むわけで、自身ではどうにもならない何かまで背負わされたわけだ。

ただ、肝心のスパートをイン強襲の形をとったルメール騎手の判断は、モタれ癖が尋常ではないところのある、正確にはあったとすべきだろうが、厳しい展開を敢えて選択の一発逆転作戦「テイエムオペラオー・炎の年間8連続重賞制覇」で和田騎手が敢行した、イチかバチかよりも、かなりスマートな狡猾とも言えるような好騎乗であった。

ただそれでも、最後に脚があがったわけではないが、実戦の勘は2着のナミュールと似たようなものでも、必ず運動をさせられない骨折治療の期間があるのだから、その辺りは埋め合わせることは難しかったであろうことは、容易に想像がつく。

よく仕上げてきたな、というくらいの9分以上の出来であるからこそ、反動も少ないだろう。

スターズオンアースの未来は、騎手と高柳瑞樹調教師以下関係者の懸命な立て直しにより、ここを勝つよりもずっと明るくなったように思える、ゴール前の競馬参加に思えた。

一方、オークスで味な攻めの抜け出しを決めきれなかったスタニングローズのファイターぶりは、まるでローザネイ一族のそれとは違うガッツを感じさせた。

前走のタフな本格的秋華賞5週前調教となった紫苑Sの競馬が、本物になったことの証だと、鮮やかに直線で、目標として動き出しの理想形を作ってくれるだろうと読んだ川田騎手のアートハウスを置き去りにした瞬間、筆者ひれ伏すのみであった。

見返してみれば、それはまさにナミュールの理想の追走を突き放す意味もあり、昨年も最後にファインルージュが突っ込んできたように、牝馬同士の阪神2000は差しもよく決まるのだが、勝ち切るのはやはり好位より前というルールに則ったレースでもあったから、スタニングローズの完勝であったとできる。

かなりの票はスタニングローズの逆転に集まっていたとされるが、途中から手綱を任せられたとはいえ、もう若武者とは言えない素晴らしいキャリアを重ねている坂井瑠星も冷静だった。

川田先輩の考えを完璧に読み切り、前走以上に弾ける可能性を確信した理想の三分三厘の仕掛けは、単純な海外での武者修行だけでは成しえない、正しい成長を遂げた証。

師匠である大井コネクションの矢作調教師をして、うまくなったと敢えて言葉を選ばず、ストレートに評価した少し前の感想は、そっくりそのままこのレースの立ち回りに当てはまる。

昨年のアカイトリノムスメを駆った戸崎騎手もそうだったが、坂井騎手には正攻法の戦いが似合うのかもしれない。

変則的な対応力を問われるときに、ルメール騎手や武豊騎手が繰り出してきた裏技をふとレース中、大ピンチの時に思い出せるように、これからは安心して、もっと上を目指すために必要な例外を知識を加えられたとき、もっと感動的なレースを作り出せるようになる。

まだ25歳。荻野極騎手だけがライバルというわけではない。

ナミュールはよく頑張ったが、チグハグさが今回はなかった半面、上手に競馬をさせると平凡の印象を持ってしまった。

秋華賞はロングスパートかスターズオンアースであるとかアーモンドアイでルメール騎手が平然と仕掛けを待ったような抑える策も有効であるとされてきたが、名手ほどそれをしてきたところで、外々を回ってこの結果だと、より堅実なスタニングローズの正攻法に完敗なのだから、思われているよりずっと注文が付くタイプなのかもしれない。

本音を言うと、まだ10㎏以上増えた方がいいはず。

これはオークス辺りで計時しておきたい450㎏少し足らずの馬体重だったから、やはり、大幅減のジュベナイルフィリーズの反動は、夏頃まで尾を引いたことになる。

ハービンジャー×ダイワメジャーの血統の通りに、パワフルにレースを牽引する正攻法を身に着けた時、距離の壁を突破できるはずだが、1800くらいが合っていそうだ。

他に気になった点とすれば、2馬身差が3着のスターズオンアースから、上り馬のローズS組メモリーレゾン・これが西のトライアル組で最先着 との間についてしまったこと。

オークスも3着のナミュールから、直前の西宮S完勝だった4着のピンハイまで1馬身差。

あのサウンドビバーチェ激走事件が発生したオークスであるから、きっと、半分以上は力出し切れずに終わっただろうともっと乱戦になる事を期待した筆者とすると、平均よりわずかに遅いかイーブンくらいの展開で、オークス上位組が2、3、1着で収まる秋華賞は、想定外である。

とはいえ、紫苑Sが少頭数になり、アートハウス以外は大いに怪しかったローズSとで、オークス出走馬の数が圧倒的に前者の方が多く、その勝ち馬が連勝して秋華賞を制したのだから、火を見るよりも明らかというやつであろう。

皐月賞で人気だった馬が、ダービーでもほぼ崩れなかった展開と似ていて、好走のメモリーレゾンと少し後ろになりすぎた期待のストーリアを含め、最後はどこかで苦しい経験をしていたことが活かされる正しい3歳戦の姿を示した点に、激闘を戦い抜き健闘した上位勢をしっかりと評価したい。

時間をかけて成長させた方が、本来はいいはずであり、天才型ばかりに目を奪われた我々は、こういうクラシック戦線をもっと歓迎すべきなのではないかと考えを改めた次第である。

彼女たちには、まだまだ繫殖牝馬との重要な役目もある。

たとえ高速馬場だとしても、時計はこれくらいがいい。<1:58.6>