スプリンターズステークス2021【予想】

スプリンターズステークスの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

2021年上半期のグランプリがこれで決まる。

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第55回 スプリンターズステークス
グレード重賞(G1)
日程2021年10月3日(日曜)
発走時間15時40分
開催場所中山競馬場
距離芝1200m
コース右回り
賞金1億3000万円
レコードタイム1:06.7

スプリンターズステークス2021の出走予定馬と予想オッズ(枠順確定)

スプリンターズステークス2021の予想オッズと最終追い切り

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ1週前追い切り最終追い切り
1枠1番シヴァージ吉田隼人牡657.084.4栗東・CW・良
6F 80.6-64.5-50.7-38.3-12.1(一杯)
栗東・坂路・良
800m 51.6-38.0-24.6-12.3(強め)
1枠2番ミッキーブリランテ和田竜二牡557.0 124.1栗東・坂路・良
800m 53.6-38.5-25.4-12.9(馬なり)
栗東・坂路・良
800m 52.2-38.4-25.2-12.7(一杯)
2枠3番ラヴィングアンサー岩田望来牡757.0 241.1栗東・坂路・良
800m 56.4-40.9-26.5-12.8(馬なり)
栗東・坂路・良
800m 52.4-37.8-24.6-12.3(一杯)
2枠4番ピクシーナイト福永祐一牡355.05.3-栗東・坂路・良
800m 52.1-38.1-24.9-12.5(馬なり)
3枠5番ファストフォース鮫島克駿牡557.031.4栗東・坂路・良
800m 52.6-37.4-24.2-12.1(強め)
栗東・坂路・良
800m 56.0-38.9-24.9-12.4(馬なり)
3枠6番メイケイエール池添謙一牝353.029.1栗東・CW・良
4F 52.2-37.4-11.7(馬なり)
栗東・CW・良
5F 71.0-54.2-38.6-12.0(馬なり)
4枠7番タイセイビジョン三浦皇成牡457.096.7栗東・ポリ・良
4F 58.1-43.4-13.5(馬なり)
栗東・CW・良
4F 50.5-37.3-12.0(一杯)
4枠8番ビアンフェ藤岡佑介セ457.059.4栗東・坂路・良
800m 51.6-37.5-24.6-12.4(一杯)
栗東・坂路・良
800m 51.6-37.3-24.1-12.1(一杯)
5枠9番クリノガウディー岩田康誠牡557.019.1栗東・坂路・良
800m 53.1-37.9-24.1-11.6(一杯)
栗東・坂路・良
800m 54.0-38.5-24.2-11.4(一杯)
5枠10番エイティーンガール横山和生牝555.0 117.5栗東・CW・良
6F 80.1-62.9-48.3-36.2-12.1(馬なり)
栗東・CW・良
4F 51.4-37.2-12.2(馬なり)
6枠11番ジャンダルム浜中俊牡657.09.1-栗東・坂路・良
800m 53.0-38.7-25.4-12.3(馬なり
6枠12番レシステンシアC. ルメール牝455.0 2.3栗東・坂路・良
800m 56.0-41.6-27.3-13.3(馬なり)
栗東・坂路・良
800m 52.1-37.5-24.5-12.2(強め)
7枠13番アウィルアウェイ戸崎圭太牝555.039.5栗東・坂路・良
800m 54.8-39.0-25.1-12.2(一杯)
栗東・坂路・良
800m 52.4-37.9-24.9-12.2(一杯)
7枠14番ダノンスマッシュ川田将雅牡657.02.8栗東・坂路・良
800m 50.0-36.4-24.0-12.2(一杯)
栗東・坂路・良
800m 54.0-39.1-25.1-12.2(馬なり)
8枠15番ロードアクア田中健牡557.0 241.1栗東・坂路・良
800m 58.2-41.9-26.8-13.2(馬なり)
栗東・坂路・良
800m 57.4-41.2-26.8-13.1(馬なり)
8枠16番モズスーパーフレア松若風馬牝655.0 15.2栗東・坂路・良
800m 50.2-36.6-23.6-11.8(末強め)
栗東・坂路・良
800m 50.0-36.1-23.8-12.1(馬なり)

スプリンターズステークス予想2021 - 過去10年のデータ傾向

北九州記念から直行の馬は、前走の人気が重要! 

  • モズスーパーフレア、昨年の3着馬・アウィルアウェイなど。

たかがサマーシリーズの終盤戦のひとつであり、特に、G1を意識するかは結果次第というようなレースの格ではあるものの、牝馬の有力馬では、かつては3歳牝馬のアストンマーチャンが逃げ切り、2年前のモズスーパーフレアも、4着から同期のエース級と真っ向勝負で中身の濃い2着と盛り返した記録がある。

アストンマーチャンの場合、桜花賞までは世代のトップホースと認識されており、言わば、乗り難しさでメイケイエールなどと類似するものがあったが<ここまでの戦績はほとんど同じ>、強烈なライバル<ウオッカとダイワスカーレット>相手には、クラシックディスタンスは長すぎたという負け方であった。

アストンマーチャンもモズスーパーフレアも小倉に実績はあったが、激しい競馬になるコース形態の影響で、いずれも自分の先行策を自重するような抜け出しで、差し馬の台頭を呼び込んだ。

いずれにせよ、小倉では前掛かりの展開にしかならないから、その後中山のザチャンピオンシップで逃げ切れるような馬でも、全然前に行けない。

幾らか大人になったモズスーパーフレアが、レースコントロール能力を身につけ、自慢の「3歩目には他馬より1馬身出ている」というダッシュ力について、終いの粘りに疑念は残る面はあるものの、前走で人気になっていれば粘り込めるチャンスはある。

データ上はそうということになるが、問題は年齢の方なのかもしれない。

牡馬は高齢馬もよく健闘するが、6歳牝馬の好走例は、あの長く活躍したストレートガールしかない。

完成の度合いなどで大差はないだろうが、果たして。

言っても主流のセントウルS出走馬は、人気と同時に、着順にもポイントがある

  • レシステンシア、ピクシーナイトら出走予定馬多数。

セントウルSはひと叩きの舞台であり、サマーシリーズの最重要戦であるから、例年、夏の重賞を戦ってきた面々の方が幾らか優勢。

でも、人気はあまりにも格が違うという馬が出てくるので、それに譲るケースがほとんど。

だから、人気通りに決まらない年が多いのである。

レシステンシアもピクシーナイトも人気通りに走り、斤量差諸々まで加えると、流石にレシステンシアが格上のように見えた前走。

ピクシーナイトは3歳馬としてやや厳しい、春から4戦してきた上での中2週。

レシステンシアが消えるなら…、の条件が付くだろう。

というのも、人気は差が出ても、上位人気同士であればその時の着順通りに、伏兵台頭ならば人気馬がきっちり本番では変わり身を見せるというのが通例の、近年では珍しいオーソドックスな関係性が、両レースには成立している。

力があれば無難に巻き返すだけでなく、休み明けでの実力者は結果の中身が重要となる。

前出のストレイトガールにしても、前哨戦は3番人気で4着も、勝ったのは伏兵の3歳馬で、彼女に先着した上位勢は皆消えた。

順当だったからこそ、昨年のダノンスマッシュのような拾い方がいいのかもしれない。

差してきた3、4着勢も、レースを連続してろくに出来ていないジャンダルムの方に、少し妙味を感じる。

走る馬を多く出すキーンランドC出走馬は、ローテの関係で直行組ばかりだが、キーンランドCを休み明け好走すると飛ぶ 

  • 連下の2頭など

カレンチャンや新潟開催の年のスノードラゴンなど、芦毛関係の実力上位の馬が快走してきたが、ローテをとると、あまり消えるデータにはなっていないとも言える。

ダノンスマッシュが一昨年の3着馬<キーンランドC1着>で好走した例はあるが、基本的にはスノードラゴンタイプのジョーカーを見つける枠となる。

人気であったメイケイエール<7着>、ミッキーブリランテ<10着>は人気が駄々下がりになるだろうが、その適役には相応しいとしても、本当のジョーカー。

では、順調に使われたキーンランドC狙いに思えるエイティーンガールなどの好走馬は、中1週使いの直後であり、実力的にも少し物足らないから、枠の埋め合わせは人気になっていた2頭でいいだろう。

メイケイエールは先のダノンスマッシュ同様<*本来は函館スプリントSからの直行なりセントウルS参戦からの挑戦が理想であったはず>、春のG1から人気での参戦であったから、勝っていたらそれはそれで苦しかったはずだが、キーンランドC3着はずしの馬は定期的に穴をあけるので、妙味がある以上は買っておいた方がいい。

理屈の上では苦しいが、どちらの馬も走る気になった時はG1好走馬などといくらでもいい勝負ができる。

普通、高松宮記念なり春の香港から直行の馬には期待できない

人気筆頭、2番人気以内は最低保証であろうダノンスマッシュの取捨はいかに…

来たのは、次のレースでマイルチャンピオンシップを制するミッキーアイル。

奇しくも、今年そのファーストクロップが不気味に参戦を、快走を目論むという構図となった。

それに続くはずという希望的観測は、流石に無理筋であって、ならば安田記念を使えばもっと好走率は上がるのだから<9月開催に移ってからずっと続く傾向>、そうすればいいのである。

ヴィクトリアマイル完敗から直行のレッツゴードンキも好走したことはあるが、いずれも完全なスプリンターというより、幅広の短距離型といった印象。

昨年より少し速い時計の決着になりそうだから、無理をしているタイプの人気にもなる馬は狙いづらい。

それこそ、4歳時は王道のセントウルSを叩いてからハナ差勝ちの4歳時、高松宮記念休み明け2着から直行の5歳時、年明け初戦の6歳時という3年連続別パターンで好走のデュランダルのような例はあるが、言っても、彼はこのレースの勝ち馬である。

いずれも流れに乗り切れず、流れに乗ったものの…、という両パターンで完敗のダノンスマッシュは、得意とする休み明け<通算【5・0・0・1】>の実績に乗るか、通常の負けパターンとして常識的に考えて扱うか。

筋読みとすれば、人気で頭から買いたいと思うようなタイプではないだろう。

スプリンターズステークス予想2021 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

牝馬の時代に相応しい4世代の韋駄天女王候補が一堂に会した、昨年以上に中身の濃い力勝負に期待を寄せたい

彼女の姪にあたる同年生まれのQafila<豪産馬>は、南半球のリズムで秋・5月に行われる菊花賞というかアルゼンチン共和国杯というか、A級ランクに及ばないサウスオーストラリアンダービーというG1を勝っている。

血統的には、デインヒルの直系でその孫にあたるNot A Single Doubtという父と世界レベルの北米最高の種牡馬であるTapitの組み合わせで、どう考えても長い。

オセアニアはこういう配合が多いから、ごくごく当たり前のレース選択なのであろう。

ただ、春・翌シーズン扱いの11月で行われるコーフィールドC<勝ち馬は日本のメールドグラース>では、全く勝負になっていない。

モズスーパーフレアとは違って、全力でスピードを繰り出すように前半から勝負をしてくるミスプロの快速系の血は入らず、ニジンスキー<英三冠馬>のクロスがこうした性質を後押ししているのであろうが、日本ではきっと、好まれて輸入されることはない。

そんなモズスーパーフレアは、5代母にFool-Me-Notという屋台骨になる繁殖牝馬が入っている。

その代表産駒は、ケンタッキーダービーを制したFoolish Preasure<1972年・USA産>である。

フーリッシュプレジャーといえば、あのRuffian・ラフィアン<父Reviewer/ 11戦10勝の超名牝>とのマッチレース。

大半がラフィアン推しでフーリッシュプレジャーなどダシに使われただけだったが、運命は残酷だった。

両者三冠戦を終えたばかりのベルモントパークで行われた世紀のマッチレースで、ラフィアンはレース中に故障を発症し、そのままこの世を去ったという実に後味の悪い一戦。

ダービー馬の名前も良くないから<イメージという意味で>、敵役に徹した一戦後も、彼はよく頑張って通算26戦16勝と記録で同期を牽引した。

実は、彼にはクラシック後に現れたWajima<父Bold Ruler>という刹那のスターに、失意の3歳後半を救ってもらった面はある。

2歳戦からいっぱい駆けて、ほとんどのレースを制したというフーリッシュプレジャーの才能は、脈々と後世に、主に母系に入り伝えられたが、ここに挙げたUSAスターは皆、ボールドルーラーの直仔か直系の孫という馬ばかり。

フーリッシュプレジャーの半姉として誕生のモズの4代母・Nowmepacheは、今や完全絶滅のセントサイモンを経ないキングファーガス直系種牡馬の産駒であるが、その娘のBid Galは、Bold Bidderの産駒だからきっちりボールドルーラーの血を受けている。

そのボールドルーラーは、モズスーパーフレアの父Speightstownに入るその4×5×5と反応し、やんちゃさ丸出しの快速系として成功した根拠を成している。

無論、レイズアネイティヴやノーザンダンサーに快速の本質を求めるのが筋だが、あの出の速さは明らかにキングファーガス系<カウントフリートも出ている危ない気性の系統>やネアルコによるスピード革命のベースを作った北米圏におけるボールドルーラーの血によるものであろうと考えられる。

母母父はインテント系ヴァリッドアピール、母父はダンチヒ系ビロングトゥミー。

その狂気を秘めたスピードを、むしろ強化したような構成である。当然、そう簡単にへこたれない底力を身上とし、また体現できてもいる。

種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1位ダイワメジャー 18回22回12回103%11.6%25.8%33.5%
2位アドマイヤムーン10回11回11回57%11.2%23.6%36.0%
3位ロードカナロア9回6回8回54%11.7%19.5%29.9%
4位キンシャサノキセキ 5回11回9回87%4.5%14.3%22.3%
5位ハーツクライ5回2回3回36%10.9%15.2%21.7%
6位ディープインパクト5回1回2回50%8.6%10.3%13.8%
7位ベーカバド4回3回4回25%11.1%19.4%30.6%
8位ダノンシャンティ4回3回2回28%10.8%18.9%24.3%
9位マツリダゴッホ4回2回11回70%4.6%6.9%19.5%
10位ハービンジャー4回2回2回20%14.3%21.4%28.6%

〔今年の主な出走馬〕 <牝馬/ 牡、騸馬>

・6歳

<モズスーパーフレア/ ダノンスマッシュ、ジャンダルムなど>

・5歳

<アウィルアウェイ、エイティーンガール/ クリノガウディー、ファストフォースなど>

・4歳

<レシステンシア/ ビアンフェ、タイセイビジョンなど>

・3歳

<メイケイエール、(ヨカヨカ・故障で引退決定)/ ピクシーナイト>

スプリンターズステークス予想2021 - レース展開と最終予想

今年も牝馬の方が強いように思うスプリンターズS。

脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬4回4回2回10回20%40%50%
先行馬4回8回6回52回5.7%17.1%25.7%
差し馬9回6回6回106回7.1%11.8%16.5%
追込馬3回2回6回82回3.2%5.4%11.8%

裏を返せば、6歳のG1好走実績がある2頭以外は、軸には牝馬を据えたいという一戦であろう。

何を隠そう、このレースにおける牝馬の連対は、一昨年までの3年連続2着を含む4年間続く記録であり、3着以内とすると、2013年にロードカナロアがレース連覇達成の翌年にストレイトガールが新潟のレースで2着に入ってからというもの、7度続けて馬券内の記録も継続している。

枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠1回2回4回30回2.7%8.1%18.9%
2枠0回6回3回29回0%15.8%23.7%
3枠1回1回3回33回2.6%5.3%13.2%
4枠7回2回0回29回18.4%23.7%23.7%
5枠4回3回0回31回10.5%18.4%18.4%
6枠0回1回3回36回0%2.5%10%
7枠5回3回5回27回12.5%20%32.5%
8枠2回2回2回35回4.9%9.8%14.6%

この陣容で、その流れは当然続くと思われ、他を選択する方が間違いのようにも思う。

極論、フォーメンションの1頭目の枠に牝馬を全て入れ、残りの2枠を総流しの形をとれば、ヒモ荒れの多いレースだから、全馬複勝買いよりも恐らくは回収率は高いだろう。

人気1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気9回3回1回7回45%60%65%
2番人気2回7回3回8回10%45%60%
3番人気3回5回1回11回15%40%45%
4番人気1回0回0回19回5%5%5%%
5番人気2回1回2回15回10%15%25%
6~9番人気1回1回9回69回1.3%2.5%13.8%
10番人気以下2回3回4回121回1.5%3.8%6.9%

ここからはスポーツとしての競走馬評。

とにかく速いが、中間がそうでもなくなったモズスーパーフレアは、何だかここに来て、かえって妙にしぶとい印象がある。

・高松宮記念<重>… 前々走

ラップ [12.2-10.7-11.2= (34.1)+ (35.4)⇒ 1:09.5] <勝ち馬から0.3秒差5着>

・北九州記念<稍>… 前走

ラップ [11.7-10.6-10.9= (33.2)+ (35.2)⇒ 1:08.4] <勝ち馬から0.2秒差の3着>

ちなみに、

・2019年 当レース

同上 [11.9-10.1-10.8= (32.8)+ (34.4)⇒ 1:07.2] <勝ち馬から0.1秒差の2着>

・2020年 当レース

同上 [11.9-10.1-10.8= (32.8)+ (36.5)⇒ 1:09.3] <勝ち馬から1.0秒差の10着>

ここ3年の臨戦過程は全て同じだから、その比較も単純に出来る。

・2019年<全て良馬場>

〔高松宮15着/ 33.2+35.8 →北九州4着/ *通過順3-3、上がり3F・35.6 →スプリンターズ上記参照〕

・2020年<全て渋めの馬場>

〔高松宮2位繰上げ1着/ 34.2+34.5 →北九州2着/ 32.4-35.7 →スプリンターズ上記参照〕

前半で押せ押せにならないから、当然他の先行型につかれやすくもなっているのだが、同時に終いに安定感が出ている。

今年緒戦のシルクロードSは、まだ寝ぼけていたような33秒台後半のテンの入りで、外差し馬場の影響もあり、見せ場さえ作れなかった。

雨が降っても、そういうバイアスは生じづらいのが中山の特性だから、その後立て直されて展開をコントロールできるようにあったモズスーパーフレアは、ライバルが先行型だろうと差しタイプだろうと、むしろ、目標にしやすいという死角を逆手に使える有効手を持ち合わせていることになる。

今なら、馬場の渋り方にも本来歓迎のパンパン馬場でも、<ここ数戦そういう馬場状態で走っていない>一定の計算が立つ。

渋っても有利な先行型の定義は、昨年の高松宮記念で公式記録上は証明されたが、台風も来るかもしれないという時、2004年と2007年の不良馬場での逃げ切りの記録が引き合いに出される。

裏を返すと、渋った方が逃げ切りやすい。

追いかける方が大変だから論法は、既に高松宮記念で推挙した昨年に採用済みなので、ここでは参考程度にとどめておくが、本来は一昨年のような高速馬場の方が合うのだから、ここはあまり関係ないか。

その点、馬場は本当なら渋ってほしくないレシステンシアやダノンスマッシュらが、春に駆けすぎたということは死角になる。

昨年のモズがまさにそれだったように感じる。

かれこれ、1位入線は2年半ほど遠のいているモズスーパーフレアながら、あの時の快速に柔軟性が備わった今、よくわからないメイケイエールらを差し置いて、堂々の底力の逃げ切りに期待したい。

モズと同格の先行力があるレシステンシアは、テンの流れで、1200戦は2度ともやや置かれている。

モズの平凡な先行だった春の中京でも同じだから、ルメール騎手の仕掛けのイメージが大切になってくるが、半端に動くとかえって危険。

肉弾戦に持ち込む覚悟がないと、終いがキレないタイプだから連対でやっとに思う。

だからって、それらを差すのはもっと大変。

この2頭の間、あるいはモズの先に何がいるかによって、その結果は大きく変わってくるだろうが、モズスーパーフレアは何と言っても今しぶとい。

先手を奪われずにかつテクニックまで備えた今、真の実力を示すべき場面が訪れたような気がする。