高松宮記念2015 回顧

この直前の雨は…。

昨年の馬場コンディションとはまるで違うが、今年も結局は、外差しが届くことはなかった。

エアロヴェロシティには、前半の3Fが34秒台だったことが、明らかに自分のリズムに合っていたように見えた。

想定と違う展開。否、アンバルブライベンというのは、先行力のあるスプリンターには珍しく、出た直後は速くても、その後はどんどんペースが落ちていくタイプ。

突つかれることを嫌がるわけではないから、意外なほどのスローペースでの牽引はあり得た。大分大人になったハクサンムーンにしてみれば、それを見てスパートするのは理想形。

ただし、決め手で勝負できない彼らにとって、内を掬うようにエアロが伸びてきたのでは、もうお手上げである。

雨はエアロにとって、外差しの煙幕に隠れて、理想的なコーナーワークをするには最高のアシストになった。普通の先行馬では交わせなかっただろうが、相手はまだ勝ち癖がついている状態ではなかった。

スローに迷惑したのは、大外枠の有力3頭。ミッキーアイルは、うまく流れに乗って前走以上にスムーズに立ち回ったが、如何せん、ハクサンムーンには楽な流れ。若さで距離短縮に対応した印象だが、自分の競馬にはできなかった。馬場も合わない。

敢えてついていかなかったコパノリチャードにとっても、戦法が限られたストレイトガールにしても、外を回らされた分のロスしか結果に反映されない展開に、見せ場を作れず。この2頭は、絶好調ではないにせよ、距離延長で大立ち回りを演じるタイプじゃないから、少し辛い立場になってしまった。

ダイワマッジョーレは、まさにスタートからアウトの競馬だったが、想像した通りのハイペースであれば…、とか色々あった違う展開の想定は、全てエアロの勝ちパターンである、行った行ったの形で封じ込められてしまった。

サドンストームやアフォードが、格下でありながら、前記の実績馬と同等クラスのパフォーマンスを見せられたのは、やはり馬場の影響もあるのだが、結果的には、ほとんど現状のレーティングに則した着順のように映った。力通りとも思える。

だからって、人気がそれと比例することは稀。4-6-3番人気の順になったのは、2、3着馬が外枠で、エアロは4番枠だった影響も大いにあるだろう。

ニュージーランド産馬で、基本的には晩成のスピード型が大物に育つ環境で育ったせいもあるのかもしれないが、大きなマイナス体重でありながら、この馬には4歳馬にも負けないピチピチ感が、パドックから漂っていた。

日本馬とは違うものは、一体何だったのか。

トムフール系とサートリストラム系の配合から生まれたビッグスターには、日本の良血馬よりも、ゴール前皆が目撃したようなあと一歩の伸びしろが潜んでいたのであろう。

この競馬の奥深さが、ハクサンムーンの悲運をより引き立てる。