高松宮記念2018 回顧

セイウンコウセイが本来のレースセンスの良さを取り戻し、しかも、十分に絞っての勝負気配。

レッドファルクスは、総合力の競馬で見劣るような馬ではないが、前走というか、ここ数戦はどうも位置取りが悪すぎる。

中山でスムーズに立ち回って、悠々外に持ち出しての追い込みは、それ以外でもコースでうまく行ったというわけでもない。

判断は難しいが、今のところは、もう1200専門、GⅠで毎回来るタイプという昨年のイメージは捨てた方がいいかもしれない。

ファインニードルが勝負を分ける場面で大外にいた。

それも中団の位置からの追い上げ。

スプリンターズSで、何だか折り合うポイントを探すのが難しい展開になった時とは違い、前走の内容を考え、落ち着いて差す形に転じた川田騎手は、とてつもないプレッシャーと今後戦っていく中で、素晴らしい仕事をしたと言える。

何せ、完全に良馬場のスプリンターズSより速い流れで、昨年の覇者が引っ張ったのだ。

GⅠ馬が先行すると、そのラップ以上にタフな展開になるとされる。

33.3秒で前半は流れ、馬場コンディションがある意味でこの時期の中京らしい仕上がりであったから、上がりは前半より2秒ほど掛かって35.2秒。

レースプランなど、細やかなこともしっかりと組み立てる必要に迫られる川田騎手は、他陣営の思惑を見破るがごとき落ち着いたアシストで、思われるよりタフな展開を、理想的な外々進出でファインニードルの素晴らしい加速力をフルに出し切ったのだ。

ダーレーの勝負服。

青。こうでなくては、そのプライドが示せない。

GⅠらしい厳しいレースで、力でねじ伏せる結果。

レッツゴードンキの残念過ぎる2着シリーズ継続<GⅠでは4度目>も、彼女がもうタイトルホルダーと考えると、それも納得すべきことなのだろう。

妙に初タイトルゲットの場面に登場するケースが多いというのは、この馬らしさなのだろうか。

大人しいパドック気配は、6歳牝馬だったら当然の姿に映った。

わずか3勝という戦績が、これを必然とされる根拠となっているような気もする。

ダンスディレクターが果敢にインをついて、思わぬところからあわやの手応えで上位争いに加わったナックビーナスの、昨年外枠はダメで、今年は真ん中の枠から再挑戦の激走も印象深いが、ブリザードもしっかりと掲示板に上がってきて、やはり、人気が集まりすぎていたレッドファルクスの凡走が際立って不可解に見えた。

伏線はあったし、本当に厳しい流れに対応するようなタイプでもなかったのかもしれない。

ただ、本物であるということと、一応、元はダート路線でオープンまで上がっていって、一時代を築いたというのでは、本質的な競走馬としてのバランスが、真の王者のそれではなかった可能性を孕んでいるのではないだろうか。

いや、それは現実のものになった、とも言える。

このレースの覇者の中には、ショウナンカンプがそのタイプ。

体質面を考えてというのも、元女王のスリープレスナイトと似ている。

レッツゴードンキは芝で頭打ちだったから、血統面を考えてダートにも挑んだが、こちらは勝ち切れなかった。

どうにも、刹那的な爆発力を発揮するダート→芝替わりの成功例は、その逆が息の長い活躍に繋がるのとは対照的に、それでも、なんだが合理的な説明のつく敗因を示していると、筆者は考える。

思い切って、リスクは大きくても、勝つために、スプリンターズS三連覇のための捨てレースを、ダートに求めるというのも、レッドファルクスには悪い手ではないはずだ。