宝塚記念2019 予想
登録馬の発表時点からは定かではないが、活きのいい4歳馬が1頭しか出てこなかった宝塚記念というのは、気づけば長い期間行われてきた中で、今回が3度目のようだ。
最近の例は、06年の京都で行われたこのレース。
勝った馬があのディープインパクト。凱旋門賞の壮行レースであった。
あとの一回は、78年に天皇賞馬が3頭で競ったときに、重馬場で再び快走したエリモジョージが勝った年。
後に重賞を3勝するハシコトブキという馬が出ていたのだが、こちらは惨敗。
シンザン産駒だったというのも影響したのだろう。
今年もここ10年程パターン化した、宝塚記念仕様の重い馬場になる。
その4歳馬。今年は、よりによってエタリオウさんである。
2着がもう7回。父ステイゴールドがここで7度目の2着に入るより早く、父も出ていた日経賞ですでに記録している。
異例の1勝馬の挑戦。
初勝利は2戦目であり、和田騎手が初めて乗るも、全く前半から進んでいかず、道中は殿からの追走。
しかし、やや強引に捲りを敢行し、京都の2000Mを力で勝ち切ろうとする。
一度は、人気のムーンレイカー<現2勝>の競り落とされそうになるも、見事に二枚腰を見せ、差し返した。
あれから1年と9か月ほど…。
うまく流れに乗れば最後は差され、4戦目以降、友道調教師が好むことと出が悪い性質をカバーするように、2400M以上の競馬を使うこと実に9戦。
ダービーと天皇賞の4着、追い込み切れずの内容以外は、どうやっても2着だった。
きっと、一番惜しかったのは初めて純粋に直線勝負に出て、メイショウテッコンなどがいた4戦目の梅花賞だったのではないだろうか。
その後も好勝負を繰り返すメイショウに、際どく迫るも差し切れなかった。
だから、あのまずまず理想の競馬になった菊花賞もあるし、父のように、また似たような戦績のサウンズオブアースとはちょっと違うのだ。
いいところまで来るけど勝てないというより、勝てるはずのレースが勝てなかったのだ。
フィエールマンと3歳秋と4歳春で極端に力の差が出たのではない。
デムーロ騎手なりに、色々考えたが、考えすぎてしまったのが影響した前走の残念な結果がある。
実は、その前の日経賞で、今まではなかったことだが、少々スタンド前で気が逸って行こうとしている面が見られた。
その伏線が、極端な追い込みという狙いに誘ったという捉え方もある。
距離が今までは長かった。
自分のパートナーよりは、相手との力関係に案外詳しいことが、意外な作戦の成功パターンの下地にあることの多い横山騎手が騎乗するから、その辺りの感覚は掴んでいるかもしれない。
癖がないというのは、ステイゴールドでなくても困るもの。我が強いわけではないことは、相手に合わせてしまう可能性を秘めることとイコールなのだ。
しかし、距離が短縮されれば、その辺りは軽減する可能性がある。
母系はアメリカン丸出しながら、非常に緻密な配合が繰り返され、この代では5代内クロスなし。
エタリオウの5代母クリアセイリングからは、自身のラインであるインフィニットの妹・ピュアプロフィットから、17戦14勝のインサイドインフォメーションが登場する。
GⅠは7勝。ベルモンドパークで3歳時はエイコーンS、古馬になってBCディスタフをそれぞれ圧勝。
これが両方重馬場だった。
また、引退レースのBC戦で粉砕した面々に、コロネーションS勝ちのソフィスティキャットを送り出すセレナズソング、人気で惨敗のマライアズストームがあのジャイアンツコーズウェイの母であったりと、ストームキャット×ラーイの配合で、欧州型マイラーや10Fホースを生むニックス系形成のきっかけも見てとれる。
インサイドインフォメーションはボールドルーラーが母母父。
母父がリボー系のキートゥザミントでプライヴェートアカウント産駒。
米の芝の重でGⅠ勝ちのホットチャチャを母に持つエタリオウは、母父系がリボーのブロードブラッシュとマジェスティックライトが入り、母の代でリボーはクロス。
ネアルコとの絶妙な距離が、見た目はアウトブリードで殺風景のように映すが、ナスルーラなども薄くクロスしていたり、大変にバランスがいい。
ステイゴールドが6代父ネアルコを4つ持っていることが、最も理想的に活用されるパターンが、エタリオウなのではないか。
ここに登場する父以外の名馬たちが、全て10F以下のGⅠ勝ちしかないことでも、妙なストームキャットと重馬場のリンクが念を押す。
2勝目を挙げる条件があまりにも整っているような気がする。
下げない手で一つの理想の形を見つけようと格闘してきたデムーロ騎手のスワーヴリチャードも、本質2400戦は厳しいことを踏まえ、渋馬場の適性なども考えたら、彼が対抗一番手だろうと考える。
◎エタリオウ
○スワーヴリチャード
▲レイデオロ
注リスグラシュー
△キセキ、マカヒキ