2022年宝塚記念の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

宝塚記念の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第63回 宝塚記念(G1)
グレード重賞(G1)
日程2022年6月26日(日)
発走時間15時40分
開催場所阪神競馬場
距離芝2,200m
コース右回り
賞金2億円
レコードタイム2:10.1

2022年宝塚記念予想 - 予想オッズ/出馬表(馬柱)/出馬予定馬の馬体/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

宝塚記念2022の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11オーソリティC.ルメール牡558.014.98美浦・南W・稍重(助手)
7F 96.0-65.2-50.5-36.1-11.6(馬なり)
美浦・南W・稍重(助手)
6F 85.1-68.7-53.8-39.0-11.7(馬なり)
12アフリカンゴールド国分 恭介セ758.099.812栗東・CW・良(助手)
6F 82.0-66.4-52.3-37.7-11.9(一杯)
栗東・CW・不良(助手)
6F 81.7-66.0-52.2-37.7-11.9(一杯)
23メロディーレーン団野 大成牡656.0201.615栗東・坂路・稍重(団野)
800m 51.8-38.1-25.1-12.7(一杯)
栗東・坂路・不良(助手)
800m 55.6-40.5-26.2-13.1(馬なり)
24エフフォーリア横山 武史牡458.04.22美浦・南W・稍重(横山武)
5F 68.1-52.6 -37.1-11.1(直一杯)
美浦・南W・稍重(横山武)
6F 85.0-68.8-53.1-37.5-11.1(馬なり)
35アイアンバローズ石橋 脩牡558.0221.016栗東・CW・稍重(助手)
6F 83.1-67.6-53.0-37.9-11.7(強め)
栗東・CW・不良(助手)
6F 81.8-65.8-51.4-37.1-11.8(馬なり)
36タイトルホルダー横山 和生牡458.03.71美浦・南W・稍重(横山和)
6F 80.9-64.5-50.4-36.6-11.9(馬なり)
美浦・南W・稍重(横山和)
5F 67.7-52.3-37.4-11.2(馬なり)
47デアリングタクト松山 弘平牡556.06.54栗東・CW・稍重(松山)
7F 95.3-64.4-51.0-37.2-12.0(馬なり)
栗東・坂路・不良(松山)
800m 54.9-40.1-25.7-12.3(馬なり)
48ステイフーリッシュ坂井 瑠星牡758.053.910栗東・CW・良(坂井瑠)
6F 81.7-66.1-51.2-36.7-12.2(一杯)
栗東・坂路・不良(坂井瑠)
800m 54.0-39.3-25.2-12.3(一杯)
59マイネルファンロンM.デムーロ牡758.0120.014美浦・南W・稍重(嶋田)
6F 81.7-66.8-52.0-37.2-11.5(直一杯)
美浦・南W・稍重(助手)
5F 68.1-52.9-37.9-11.7(馬なり)
510ヒシイグアスD.レーン牡658.010.96美浦・南W・稍重(レーン)
5F 69.0-52.6-37.6-10.9(馬なり)
美浦・南W・稍重(レーン)
5F 68.4-53.3-38.8-11.9(馬なり)
611パンサラッサ吉田 豊牡558.010.05栗東・CW・良(助手)
6F 80.8-65.2-50.4-35.8-11.5(強め)
栗東・坂路・不良(助手)
800m 51.7-36.8-23.8-12.0(馬なり)
612ウインマリリン松岡 正海牝556.069.911美浦・南W・稍重(松岡)
6F 80.1-64.7-50.3-35.9-11.0(馬なり)
栗東・CW・不良(助手)
6F 84.7-69.3-54.2-38.9-11.6(馬なり)
713アリーヴォ武 豊牡458.013.77栗東・CW・稍重(武豊)
6F 81.3-66.3-51.9-37.1-11.2(馬なり)
栗東・坂路・不良(助手)
800m 54.0-39.7-25.4-12.2(馬なり)
714キングオブコージ横山 典弘牡658.0117.713栗東・CW・良(調教師)
6F 80.2-65.0-50.7-36.4-11.0(馬なり)
栗東・CW・不良(調教師)
6F 82.0-65.6-50.9-36.5-11.7(馬なり)
715ディープボンド和田 竜二牡558.04.23栗東・CW・良(和田竜)
7F 96.1-64.2-50.7-36.4-11.5(一杯)
栗東・CW・不良(和田竜)
6F 83.6-67.2-52.0-37.1-11.8(馬なり)
816グロリアムンディ福永 祐一牡458.0229.217栗東・CW・良(福永)
6F 83.0-67.1-52.8-37.5-11.4(G前一杯追)
栗東・CW・不良(福永)
6F 86.4-70.0-54.5-38.5-11.5(馬なり)
817ギベオン西村 淳也牡758.0249.518栗東・CW・稍重(西村淳)
5F 70.0-53.0-37.5-11.8(馬なり)
栗東・CW・不良(西村淳)
5F 69.0-53.2-38.1-12.2(馬なり)
818ポタジェ吉田 隼人牡558.019.79栗東・CW・良(藤岡康)
6F 82.7-66.1-51.3-36.3-11.5(一杯)
栗東・ポリ・良(助手)
6F 87.9-71.0-55.7-41.4-12.9(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬2回2回4回13回9.5%19%38.1%
先行馬9回9回7回56回11.1%22.2%30.9%
差し馬7回2回7回80回7.3%9.4%16.7%
追い込み馬2回7回2回84回2.1%9.5%11.6%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠1回3回6回19回3.4%13.8%34.5%
2枠1回2回3回25回3.2%9.7%19.4%
3枠2回2回2回27回6.1%12.1%18.2%
4枠0回4回1回30回0%11.4%14.3%
5枠2回5回1回30回5.3%18.4%21.1%
6枠5回0回1回34回12.5%12.5%15%
7枠0回3回2回37回0%7.1%11.9%
8枠9回1回4回31回20%22.2%31.1%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト11回11回7回69回11.2%22.4%29.6%
キズナ5回2回1回16回20.8%29.2%33.3%
ハーツクライ5回0回4回36回11.1%11.1%20%
キングカメハメハ4回6回2回24回11.1%27.8%33.3%
ルーラーシップ3回5回7回30回6.7%17.8%33.3%
ステイゴールド2回2回0回15回10.5%21.1%21.1%
ドゥラメンテ2回1回1回2回33.3%50%66.7%
ゴールドシップ2回0回2回4回25%25%50%
バゴ2回0回1回2回40%40%60%
オルフェーヴル1回2回2回17回4.5%13.6%22.7%
人気1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気6回5回2回7回30%55%65%
2番人気3回2回3回12回15%25%40%
3番人気3回2回4回11回15%25%40%
4番人気0回1回3回16回0%5%20%
5番人気1回2回0回17回5%15%15%
6~9番人気6回5回4回65回7.5%13.8%18.8%
10番人気以下1回3回4回105回0.9%3.5%7.1%

2022年宝塚記念予想 - 過去10年のデータ傾向

有馬出走馬は、中距離の重賞で結果を出してから挑みたい

クロノジェネシスは連覇を達成する前に有馬記念を制し、グランプリ3連勝。

直前というか、その合間にドバイのシーマクラシックで完敗という内容の2着。

そこは長いのもあったが、凱旋門賞挑戦を逆算したときに、有馬記念はかなり仕上げていたはずだから、絶好調はあり得なかった。

もう少し調子を上げていたはずの宝塚とて、頗る絶好調というほど、素晴らしい出来ではなかった。

さて、エフフォーリアにそのクロノジェネシスやマリアライト<有馬4着、日経賞と目黒記念を挟んで、宝塚で激走ウイン>などのような勝ち切る構図を見出す要素とは何かとなれば、牝馬ならではの12F未満のタイトル戦への実績が、宝塚記念の適性とマッチするという側面合があるという事実。

久しぶりの牝馬のウイナーであったスイープトウショウは秋華賞優勝翌春にここを制し、秋にはエリザベス女王杯勝ち。

クロノジェネシスも秋に有馬記念をジャックするリスグラシューも、何ならここには縁がなかったのに有馬は勝ったジェンティルドンナも出てきて、好走例は全て牝馬となる。

有馬出走馬になる前の5歳で海外G1を勝った2頭は、3歳秋の秋華賞連対実績で共通。

もっと格は上である秋の天皇賞を連対した馬が、翌年の宝塚に出てきて好走した例は、2011年のブエナビスタが最後で、そもそも牡馬でも牝馬でも出走例が少ないこともあるが、ジェンティルドンナが大負けの年がそれに該当するのだから、問題あり。

実績文句なしのエフフォーリアは買えないわけではないが、勝てる保証は全くない。

アジア圏で結果を出してきた猛者について、今更、評価を下げる必要もないわけだが…

リスグラシューやクロノジェネシスがまた登場では、古牡馬勢は全く以って立つ瀬なしとなってしまうわけだが、今年の期待馬となる意欲旺盛な伏兵軍団「チーム・コントレイルには服従」らは、何とも妙な展開から先行力を身に着けて、絶賛大暴れ中。

パンサラッサの意外な普通の先行押し切りに端を発し、長距離で目覚めたそのステーブルメイト・ステイフーリッシュ<無論、コントレイルにとっても厩舎の先輩だった古豪>であり、もう一頭のエピファネイア<正確には母がそれと同血>・オーソリティの本格化のいずれも、さすがに侮れないのだが…。

好走4頭に共通するのは、ルーラーシップ・ジェンティルドンナ・ドゥラメンテ・リスグラシューと、いずれもG1ウイナーであったという点。

この中でルーラーシップ的に、直前でギリギリ間に合わせたパンサラッサだけということになるが、中山記念だとか福島記念だとかを高速というか鈍らぬ先行力でねじ伏せた姿は、有馬大敗でもわかるように、条件付き最強馬の典型にも思える。

充実の姿をメイダンで世界に見せつけたことで、課題は急坂に絞られる。

JC2着のオーソリティ<父はこのレース圧勝のオルフェーヴル>、よくわからない感じで再成長のステイゴールド・ステイフーリッシュらには、血の適性があるわけで侮れない。

ここは常識的見解で、5歳の2頭にチャンスは残るとしたいところだが、ギリギリ候補程度の扱いに留めたい。

クラシック好走馬には苦しい歴史があるからこそ、このレースで逆転劇が繰り返されてきた

菊花賞好走馬が有利なのは間違いない。

ただ、春二冠連続好走馬はそれなりに走る。

ジェンティルドンナもドゥラメンテも、底力でドバイ経由後に好走。

はっきりしているのは、本来の実力を直前の大レースで見せつけていないということ。

ゴールドシップを見ていればよくわかるが、人気を裏切った時ほど、宝塚で強く、阪神大賞典こそ3連覇も春天も勝った6歳時は、ここで大チョンボの大煽りを犯して見せたのである。

クラシック好走馬で、前走連対馬の宝塚記念優勝は、秋華賞が非クラシック戦であると定義した際、2010年のブエナビスタまで遡らないといけない。

そうなるともうメイショウサムソンだとかディープインパクトまで直前に登場の流れで、クロノジェネシスがかろうじて道悪で台頭となった時、今度は正規に良馬場の宝塚記念でこの厳しい条件を付けたところで、例外はなしに、あのヒシミラクル<前走春の天皇賞優勝>が最後。

怪しい馬の方がいいという傾向なのかもしれないが、だから、1番人気がほぼ確実に上位まで絡むのに、結果的に逆転劇のような展開になってきたのである。

速いことも強いことも重要になりづらいのが、阪神2200Mというコース。

菊花賞馬やその好走馬が再び息を吹き返す<近10年で4歳馬だけでも3度好走例がある>構図は、そこでダービー好走馬が今一歩伸びきれない当然の傾向としてあるように、タフに戦えるキタサンブラックのような馬でも息切れするのが当たり前の状況において、厳しい戦いになる4歳勢には、手抜きの勧めをしたいところ。

春天は走りすぎというより、後続もかなり走らされたという内容であったことで、菊花賞馬のタイトルホルダーも人気になるはずだが、こういうのはグランプリ前の余力や伸びしろという、いつものあれを重視し、ディープボンドの逆転含みで、両方連外しで着順不動というくらいの見立てでいいだろう。

アリーヴォには力はあるが…、騎手の腕に頼りすぎでもある。

三冠馬参戦の歴史

少ないサンプルは、同時に、有馬記念至上主義の証左ともなっている。

三冠馬はシンザンの時代から、グランプリ競走に縁がある。

ただし、当時では珍しく関西馬として天下統一を果たしたシンザンくらいしか、まともな狙いでここを仕留めた三冠馬はいない。

第一、それ以外で勝ったのは21世紀になってからのスピード型・サンデーサイレンス系のディープインパクトやオルフェーヴルだけ。

有馬記念優勝馬は、シンザンもルドルフもいるのに、スピード型有利にも映るこのレースに、季節の難しさも影響して、大切な厩舎の宝物をぞんざいには扱えないと、それこそコントレイルのような回避の手法が一般的。

速い馬を求めているようで、菊花賞好走馬が有利であることをずっと証明してきたレース史からも、オルフェーヴルのように菊花賞が一番強かった、楽勝だったというタイプには向いているレース。

一方、牝馬は得意なようで合っていない側面が、とりわけ桜花賞やオークスで全力発揮の強い馬ほど怪しいとなって、牝馬三冠だと、不思議とダメダメな結果。

秋華賞で強さを見せた馬の方がいいのだから、三冠馬ほど秋華賞は桜花賞のような楽勝ではないことも多いから、道悪での実績が有利でもある。

道悪のクラシック勝利がある三冠馬は、菊花賞が稍重のシンザン、ダービーが不良馬場のオルフェーヴルが勝利。

ルドルフと同じ無敗の三冠馬・ディープインパクトが、阪神大賞典の渋馬場&強風をものともしない独走後、ほとんど重馬場の京都開催の宝塚記念を完勝。

ジェンティルドンナは新馬が不良馬場。でも負けていたから、ここでは完敗。

重馬場の桜花賞を制し、渋残りの秋華賞で三冠を決めたデアリングタクトに傾向上の死角は存在しない。

ただし、初めて5歳でグランプリに…、いや、ジェンティルドンナが引退レースの有馬記念初参戦では、好位抜け出しで勝ち切っている。

2022年宝塚記念予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

三冠馬が滅多に登場しない宝塚記念だからこそ、史上初、5歳時にグランプリ競走初参戦のデアリングタクトに妙味を感じる。

  • デアリングタクトの血統

デアリングタクトの父エピファネイアの産駒からは、当然、強力なライバルとして初顔合わせともなるエフフォーリアが出ている。

他にも2頭。

一頭は、昨年の2歳女王であるサークルオブライフ、もう一頭が、三冠阻止に大働きしたものの以降揮わないアリストテレス。

濃密にして、謀など一切通用しない大物のみが登場してくる。

早い話が、ロベルト系らしい当たりはずれの大きさが、この代に<エピファネイア直仔だと4代父がロベルトとなる>なってぶり返している印象。

3世代続けて、クラシック競走の頂点である芝12F戦で、いずれもが1番人気に推されている。

結果は芳しくないとなるが、三者ともそこで最も苦しい経験をし、少なくとも秋以降を知る4歳以上の2頭について、その活躍を我々は目撃している。

強烈な武器を秘めるサンデーサイレンスクロスは、母父に入った<母父父>エピファネイアとサークルオブライフ、絶賛迷い道の最中である重賞7連敗中のアリストテレスらに共通の直交型〔父系・父母父系・母父系いずれもヘイルトゥリーズン系/父系除き4×3を形成する2ラインは当然サンデー系>では、今年はすでに、ヴェローナシチー<母父ゼンノロブロイ/京都新聞杯2着等>やニシノラブウインク<アグネスタキオン/フラワーC2着>が登場。

前記のエース級が今年はヘンテコな結果しか残せていないので目立たないが、クラシックディスタンス向きなのは明らか。

一方、間にキングカメハメハ<ミスプロ・キングマンボ系>が挟まり、母母父がサンデーサイレンスという4×3の形を作る非同系配合型〔ヘイルトゥリーズンは5・6×5、エピファネイアの中にはボールドリーズニングやサドラーズウェルズのように母父に同系統を持った種牡馬も入っている〕タイプは、全く配合が同じになるスカイグルーヴ<デアリングタクトと同じ5歳牝馬>が1400重賞で連続2着。

休み明けから動けたヴィクトリアマイルが印象深いデアリングタクトは、思われているよりステイヤー型ではないのだろうが、陣営が思うほどマイラーでもないだろう。

スカイグルーヴは大事なフローラSでガス欠。

オークスで不利を受けながら、負けゲームを逆転の構図は、普段なら連勝継続だったはずのJC3着時の内容と酷似し、デアリングタクト自身はサンデーサイレンスらしさがかなり伝わっている印象もある。

エピファネイア自身は2000Mで、3歳以降は未勝利。

古馬になっていきなり吹っ飛んだ大阪杯があるエフフォーリアと、中距離でも結局怪しいままのアリストテレスなどと比べれば、故障の前後であまり極端にパフォーマンスダウンの印象まではないデアリングタクトが持ち直していると、配合的にもグランプリ適性を大いに秘める組み合わせであるから、かなり有利に戦える可能性がある。

無論、闘争心が空回りしないことが大切なのだが。

過去10年で、牝馬は8頭、計9例もの3着以内の記録がある。

距離が合っていないとは思わないが、オープン級とも言えないメロディーレーンさんも昨年の経験<11着、ここは牝馬が上位3番人気を独占し、全て掲示板内に入った>を糧とし、一つ下の重賞タイトルを持つ2頭と合わせ、5年連続の牝馬馬券内の記録継続へ奮闘したいところだが、妙なところに敗因と直結する弱点を抱えるウインマリリンと体力勝負向きのメロディーレーンとが、一緒にデアリングタクトに先着というところまでは描きづらいのも事実。

この流れに乗って押さえるならば、それは三冠馬が相応しいのではということで、デアリングタクトにしたわけだが、先述したとおり、そもそもの三冠馬の出走率が低い。

牡馬の三冠達成者で唯一、グランプリ不出走のコントレイルが最後はしっかりとJCを勝ち切って、素晴らしきラストランであると同時に、何とも見栄えのいいスタッドインとなったことも明らかになったように、時代の要請は元通りにというか、在るべき根幹距離G1・400で割り切れる基本距離でのチャンピオン戦での争いを再び重視する時代になったと言える。

2022年宝塚記念予想 - レース展開と最終予想

考えてみれば、昨年は牡馬でA級馬がおらず、勢いに乗る鳴尾記念勝ち馬・ユニコーンライオンがレースを盛り上げ、結果的にクロノジェネシスの走りやすい環境を整えた面もあったが、近年は必ず走る菊花賞や秋華賞の好走馬がしっかりと威厳を保ったことで、レースの質は担保された面がある。

今年の秋華賞好走馬はデアリングタクトだけで、菊花賞の上位3着以内入線馬は、4歳のタイトルホルダー、5歳以上だと掲示板内のディープボンドやメロディーレーンなどが挙げられるが、駆けすぎか駆けなさすぎか両極端なところに、上がり目まで考えると、長距離実績と斤量設定<古牡馬58で牝馬はそれを2kg減>も踏まえて、春天組は上位なら買えそうなと雰囲気はあるものの、怪しすぎる大阪杯の結果が大きく変化するまでの劇的な何かがあるとも思えず、案外の混戦。

皐月賞ではまるで勝負にならなかったエフフォーリアとタイトルホルダーが同格評価になりそうな状況は、かつてのドゥラメンテ・春二冠とキタサンブラック・菊花賞勝ちと酷似する関係性。

大きな故障などあったわけではない後輩たちは、ドゥラメンテではないが、負担のようなものが大きく強さを見せつけた一戦の後、はっきりと結果に表れる面が出てしまっている。

頑張りすぎる根幹距離型は、どうしても割り引く必要がある。

非クラシック戦の秋華賞が三冠全戦通して、一番楽だったように映るデアリングタクトの復活を期待したい。

特別、何か前走と変化するものがあるとすれば、大きく増やした馬体重くらいなもの。

絶好調での出走も難しく、また前走の反動が全くないはずもない。

ヴィクトリアマイルで自身の示した走破時計の1:32.7というのは、言わずもがなの自己ベストである。

ただし、秋華賞あたりから前向きさに顕著な面が見られ、ハイペースでその三冠達成の秋華賞や異次元の底力勝負となったジャパンCで目立つことはなかったものの、以後、スローに近い金鯱賞や香港のQE2などでは、残念の伸びに終始。

内枠不利に思えた超休み明けのヴィクトリアマイルも、流れに乗った上に、もっと内の方の馬場がよければもっと走れていたはずという好位抜け出しの6着だった。

しかしながら、幸か不幸か、今回はタイトル持ちのタイトルホルダーなりパンサラッサといった行く一手の面々がいるだけでなく、他にも冷やかしの攻めで前走の大阪杯注目馬・ジャックドール潰しに成功したアフリカンゴールドも参戦可能な状況。

序盤の展開の作り方が、ミドル向きの馬と完全ステイヤーとでまるで違うのは当然としても、後半のロングスパート型で共通の先行型の多さに、エフフォーリアの復活を阻害する雰囲気が充満している気がしている。

雨の荒れ馬場は苦にしないが、根幹距離で良馬場希望のエピファネイア産駒のビッグツーは、不安となる要素がまるで違う中での前走内容に大きな差があり、共倒れは当然あり得ても、両方とも復活という画までは想像できない状況。

ハイペースは歓迎のデアリングタクトに対し、スマートに後傾ラップに乗せていきたい、大型馬にしては繊細なところもあるエフフォーリアとで、本質的な適性の差がありそうだ。

勝つならデアリングタクト。件のJCは、例年なら勝利濃厚のパフォーマンス。

体調万全でなくても、簡単に有馬を勝ってしまったエフフォーリアが弱いわけはないが、年長馬のやや不甲斐ないところで出番が早く訪れてしまった不幸が、前走に反動として出ていたとすると、オルフェーヴルの復活宝塚の再現まで望みすぎに感じる。

秋も王道路線、それはデアリングタクトも同じだろうから、結果如何で渡仏や香港遠征か大きく展望できるとするなら、ここを圧勝したとき。

間に合うというか、形作りからまずは始めたいところだった牝馬三冠のデアリングタクトは、意外なほど動けた復帰初戦だったと考えても、ソダシの強さ、それに敗れたものの安田記念で好走のソングライン、ファインルージュなどと大差ない着差であったわけで、普通はプラマイ様々の細かな計算をして、同等の出来ならば、十分に好走できそうな条件は整った感じもする。

どことなく、ワンターン向きの素質だとか、意外にも左回り巧者の気配もなくはないが、例年以上にタフな宝塚記念になりそうな今年。

有力馬が動いていく流れに被せていける状況にあるというだけ、挑戦者となった時の三冠馬の底力が見事に体現されそうな予感がする。

強い馬が多く、まさしく春の総決算の様相。

ダービー馬・シャフリヤールのロイヤルアスコット不発の穴埋めを、直下の世代である・ドウデュースが凱旋門賞ですればいいという流れになった今、また北米圏やオーストラリアの大レースにも色気を持った馬を出すためにも、この宝塚記念は重要。

とりわけ、実績が抜けているエピファネイアの2頭に加え、今年のG1ですでに結果を出している面々の継続した好走にも期待したい。

しかしながら、実力で他を圧倒するのだとすれば…、祖父シンボリクリスエス、父エピファネイアにこのレースは全く縁がなかったが、父父シンボリクリスエスは有馬連覇。孫も有馬を勝った。

ロベルト系が圧倒的にグランプリで強かった90年代中期から10年間以降、久しく、この宝塚記念でもチャンスが巡ってきた。

勝てば、グラスワンダー直仔でレコード勝ちのアーネストリー以来。

ステイゴールド全盛時代に隙間を狙い討った彼は、脚部不安でクラシックを棒に振り、機の熟した6歳での戴冠だった。

同系のウインマリリンにも雰囲気はあるが、ならばデアリングタクトでも出番は巡ってくる。

サンデー系の停滞がしばらく見られることは必至なところで、この展開もデアリングタクトの味方になる要素であろう。

思われているより、勝機のある一戦なのである。