天皇賞(春)2017 予想

両雄並び立たずは、有馬記念以外では常識である。

だから、2強対決の構図であれば、少なくともどちらかは崩れるという展開が予想される。

菊花賞は現に、その既定路線があっさり崩れる結果に終わった。

春の天皇賞は、3強の対決の歴史でもある。

TTGが春、秋の天皇賞で揃い踏みになることはなかったが、アンバーシャダイ、ミナガワマンナ、ホリスキーらが34年前に頂上決戦を行ったのに始まり、勝ち馬だけ書き並べれば、マヤノトップガン、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、マンハッタンカフェ、アドマイヤジュピタなどなど、頻繁に名勝負が繰り返されてきた。

時計も速くなりやすく、また、上位争いが確定的であると、近年の波乱傾向に反発するように、手頃な頭数のガチンコ勝負となるのが主だった傾向。

17頭立てで、実際は有馬記念のリメイクマッチの側面があるから、そこで半分より上位に入った5頭が、今年も一つレースを使われて、ここでも上位人気に推されるだろう。

当然、それらを買わないわけにはいかないから、必然的に上位人気の馬ばかりに印が回ることになる。

問題はここ5、6年で、昨年もそうだったが、二桁人気の馬や100倍前後の絶対来ないだろうと思われた馬が、他のレースに倍する形で上位争いに加わっているという事実だ。

昨年の年度代表馬は、昨年最も厳しい勝ち味をここで味わった。

オーナーの執念は、今季初戦の楽勝に引き継がれたが、果たして、本当にこの距離が合っている馬なのか。

最近は菊花賞で超高速決着が多くみられる。

天皇賞とて、その流れに平均値において、頑なにスタミナ勝負を出走馬に求めている時計が頻発しているわけではなく、時代に逆行した傾向は出ていないから、今年は先行馬も多く、どの道力勝負になる。

長距離戦において、追う者の強みは不変だから、武豊と横山典弘しか近年では逃げ切っていないように、キタサンブラック=逃げ馬の構図に落とし込む予想は、あまり重要ではないだろう。

菊花賞を勝った時は、完全に好位差しであった。

渋とさでブラックが有利なのと同じように、渋いなりに鈍くでも末脚を伸ばすのがダイヤモンドの武器も互角であると、秋の時点で証明されている。

しかし、決め手が強烈ではないから、じりじりとした厳しい叩き合いに持ち込まれてしまうケースも、昨秋は何度もあった。

だから、この2頭は絶対ではない。

昨年は位置取りを言い訳にしていた<敢えて、そう言わせてもらう>福永騎手は、その後、押したり引いたり色々試している。

目標ははっきりしているシュヴァルグランは、秋には目標はない。

ジャパンCを狙っていたようなローテのようで、明らかに本命は天皇賞での逆転劇を想定している使い方である。

引いてもいいけれども、58での勝利記録で箔の付いたこの挑戦者は、今回は、無難に立ち回っても普通に勝負になるという手応えを持っているはずだ。

秋からずっとこの馬に課してきたのは、直線の決め手であり、時計の更新だった。

アルゼンチン共和国杯で上がり33.7秒。

阪神大賞典を3:02.8で走破。

もちろん、決め手が自慢の直線勝負型ではないから、レインボーラインのような決め打ちはできないが、マヤノトップガンのような直線一気もできる展開になるだろうし、普通に乗って、絶対に敵わないという舞台設定ではないだろう。

競り合いに強い印象はないが、キタサンブラックやゴールドシップを苦しめたハーツクライ産駒は、熟成度合いが結果に反映する母父トニービンの良さを体現する馬ほど出世するので、勝機濃厚とみる。

人気はそれなりに集めるだろうが、今の福永騎手には、自在に競馬をしやすい有力馬という認識だろう。

ヴィブロスの秋華賞の時のように、最高の仕事をしてもらいたい。

3強の構図に持ち込みたい。

このレース、昔から2000M重賞とのコネクションが強い。

菊花賞でダメだったといえ、今のディーマジェスティには、長い距離でじっくり仕掛けられる競馬は合う可能性がある。